ミラン、ベラルディ獲得の噂について

ドメニコ・ベラルディ
サッスオーロのCEOであるジョバンニ・カルネヴァーリ氏が先日のインタビューにて、ベラルディのミラン移籍の噂について興味深い発言をしています。

ミランがベラルディを求めたか?以前、ディレクターが我々の何人かの選手について問い合わせてきたよ。だが今はクラブ売却の噂で全てが停滞している。
ベラルディは我がチームの最高の選手だ。もし私がどこかのビッグクラブのマネージャーで、サッスオーロの選手を獲得しようとするなら第一に彼を狙うだろう。先日のボローニャとのダービーマッチでは彼のゴールがチームを勝利に導いた。そのおかけで今シーズンをボローニャより上の順位で終わらせることができたね



ベラルディには長年移籍の噂が浮上していますが、これまではチームに残留しサッスオーロの中心選手として結果を残し続けています。
そんな中、今年も報じられているベラルディのミラン移籍の噂。例年に比べてその実現可能性は多少なりあるんじゃないかと個人的には考えているのですが、先の通りサッスオーロCEOは現在のミランからの接触を否定しています。

この点、現在のミランにはベラルディ獲得に動く前にクリアすべき問題がいくつかありますから、カルネヴァーリの発言には真実味がありますね。


クリアすべき問題点

問題点を列挙していくと、第一にカルネヴァーリも言及した「クラブ売却問題」です。以前はインベストコープがミランを買収することが決定的とされていましたが、他のオーナー候補の登場などにより現在は不透明な状況になっています。
補強方針には得てしてオーナーの意向も反映されるものですし、そのオーナーが不透明な状況ではベラルディなどのビッグネーム獲得に向けて動くのは非常に難しいでしょう。ボトマンやサンチェスなど、既に大きく進展している交渉なら別なんでしょうけどね。

第二に、「現有戦力の整理」ができていない点です。現在、ミランの右サイドを本職とする選手には去就が明確でないサレマ、メシアスの他に余剰戦力となっているカスティジェホの3人がいるため、まずは彼らの去就の目処を付ける必要があります。カスティジェホの放出先を見つけること、メシアス買い取りの是非を判断すること、そして(メシアスを買い取った場合は特に)サレマの扱いを決めることなど…。補強の前にやるべきことは多いです。

第三の問題点として、「ベラルディの他に獲得候補者がいること」も挙げられると思います。報道によれば、ミランの獲得候補としてはベラルディの他にもアセンシオやマフレズ、エンクンクなどなどビッグネームが並んでいますが、彼らは年齢やタイプが異なりますから、現時点で右サイドに求める選手像が明確でない可能性が考えられます。今後、更なる調査を行って候補者を絞っていくことになるでしょう。
また、これには「第一の問題」の際に取り上げたオーナーの意向も関わってくるでしょうし、獲得候補をベラルディ含む少数に絞って具体的なアクションを起こすとしてもまだまだ時間がかかるんじゃないかなと。


さて。ここまでいくつかベラルディ獲得に際しての問題点を挙げてみましたが、どれも一筋縄ではいかなそうなものばかりです。
更には、仮にベラルディ獲得に向け具体的に動いたとしても、そこから待っているのはサッスオーロとのタフな交渉です。報じられるベラルディの移籍金(3000万ユーロ以上?)をミランがそのまま支払う可能性は低く、獲得のためには移籍金を何とかして下げてもらう必要があるでしょう。しかしながら、他クラブとの競合になればそういった手を打つことも難しくなります。

という訳で、現時点でベラルディ獲得の可能性は低いのではないかなと。ただこのことは、他のビッグネーム獲得についても同様のことが言えますし、それゆえ上記の問題点の早急な解決が望まれますね。


ベラルディのプレースタイル(簡易)

今回の主題とは逸れますが、最後に軽くベラルディの直近のプレーについて言及しておこうかなと。
先に引用したカルネヴァーリのコメントの中にある通り、ベラルディは先日ボローニャ戦にて決勝ゴールを記録しています。クロスに対する相手クリアのこぼれ球に反応し、超絶技ありシュートでネットを揺らしました。


(ゴールシーン:1分41秒~)

しかし、今回注目したいのはゴールそのものではなく、得点に繋がったクロスに至るまでの「ベラルディの動き」です。


ベラルディ_プレースタイル分析1
――シーン1

この場面。ボールホルダーのエンリケ(97番)からパスを受ける前、ベラルディはいったん裏を突くそぶりを見せて対面の相手CBスマオロ(5番)の重心を後ろに下げさせます。(シーン1)

その後、彼は素早く方向転換し、ライン間でパスを引き出します。(シーン2)

ベラルディ_プレースタイル分析2
――シーン2


こうした事前動作によって相手CBを牽制することで、ライン間にてフリーの状態でボールを受けることができました。(シーン3)

ベラルディ_プレースタイル分析3
――シーン3

この後、余裕のある状況で前を向いたベラルディは、前方へ飛び出したスカマッカへのパスコースを相手に警戒させつつ、右サイドのスペースへと上がってきた味方SBに絶妙なスルーパスを供給します。(シーン4)


ベラルディ_プレースタイル分析4
――シーン4

その後のクロスがきっかけとなって決勝ゴールが生まれた、と。

このような細かい駆け引きやゴール前でのチャンスメイク力というのは今のミランの右サイドに欠けているものであり、ピオリ監督がベラルディ獲得を熱望している(と報じられる)理由の一つであると考えられますね。

詳細なプレースタイル紹介については、これからもし彼の獲得の噂が具体化したら行っていこうと思います。


それでは今回はこの辺で。

2Comments

Aki

いつもありがとうございます。

僕はベラルディ獲得は少しだけ否定的で、その理由は年齢と移籍金とクラブ方針(と予算)が合わないと考えているためです。でも解説いただいた動きや効果を考えると、僕の考え以上に大きい戦力になるのかもしれませんね。もともと魅力的な選手であり即戦力としては間違いないですから。

ただ右サイドの補強は一番難航するポジションで、挙げていただいた問題点の他にトレクァルティスタ問題もあるかなと思ってます。ブラヒムの去就、トレクァルティスタの一番手を誰にするかによって、右サイドとトレクァルティスタを兼務できる選手を取るのか、右のスペシャリストを取るのか、まだ定まっていないと思います。でもオーナー交代や他の候補者の問題と被る点ですね。

このポジション強化はチームの大きな底上げになるので要チェックや!ですね。楽しみです。

  • 2022/05/19 (Thu) 08:57
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カカニスタ22

カカニスタ22

To Akiさん

コメントありがとうございます。

確かに、最近のミランの獲得選手を見ると若手か30越えのベテランかといった感じで、もうすぐ28になるベラルディはそうした傾向に沿う選手ではないんですよね。得てして全盛期を迎える年齢期であるため市場価値のピークともいえますし、選手の価値を高めたいエリオットのこれまでの基本方針からはズレるため、例外が適用される事例なのかは気になるところです。

仰るようなトップ下問題、もっというと来季の基本システムが何かというのも候補者選定の重要なポイントでしょうね。考える要素はかなり多いので、引き続き注視していきたい話題です。

  • 2022/05/19 (Thu) 21:17
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