【CL権獲得!】ラツィオ対ミラン【2021-22シーズン・セリエA第34節】

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カカニスタ22
今回はセリエA第34節、ラツィオ対ミランのマッチレビューを行いたいと思います。
本当はもっと早く更新したかったのですが、体調不良により遅れてしまいました。すみません。


スタメン

【21-22】ラツィオ対ミラン_スタメン_TACTICALista_20224261737

基本システム:ラツィオ「4-3-3(4-5-1)」、ミラン「4-2-3-1」
ラツィオの先制

試合開始、立ち上がりの主導権を握ったのはラツィオだったと思います。

まずは攻撃について。後方からボールを繋ぐ意思を見せるラツィオは、ミランのハイプレスを誘発しながらその背後の選択肢へとボールを送り届けようとします。
具体的には、バックパスを効果的に使ってミランのCFジルーと2列目の一人(多くはサイドハーフ)の計2人をCB対応のため前に出させることで、その背後で浮くSBにボールを届ける形などですね。


【21-22】ラツィオ対ミラン_戦術分析1
――例えばこの場面。右サイドからバックパスを受けたCBパトリックに対し、レオンが寄せに行ったため背後でラッツァーリが浮く


【21-22】ラツィオ対ミラン_戦術分析2
――その後の場面。中盤(ルイス・アルベルト)を経由してフリーのラッツァーリにボールを届けた

前回対戦時のミランは、こういう浮いた位置の相手SBに対してはボランチが素早くスライドして対応することで継続的にプレスをかけ続けたわけですが、今回は後方のマークの確実性を重視したためか全体を下げながら対応する形が基本のように見受けられました。

また、ラツィオは守備に関しても試合開始直後はアグレッシブな姿勢を見せ、ミランのビルドアップを妨害していきます。

すると前半4分。スローインの流れでサビッチがサイドを突破。そのクロスをインモービレが見事な動き出しで合わせて先制に成功しました。
ミランとしては数日前のインテル戦に引き続いての開始直後の失点ということで、立ち上がりの集中力や強度を見直す必要がありそうです。



試合の構図

さて。ラツィオの先制後は一呼吸置いて、ミランがボールを握りラツィオがミドルブロックで対応する構図となりました。
この試合のミランは右サイドからの組み立てを重視します。その際にはトナーリを相手中盤ラインの背後に潜り込ませ、右アウトサイドに張るメシアスや右サイドに顔を出すジルーが彼と協同しながらボールを引き出し、崩しの局面へと移行していきました。


【21-22】ラツィオ対ミラン_戦術分析3
――例えばこの場面。中央のパスコースを締めるラツィオに対し、ミランはカルルが右アウトサイドのメシアスに展開。ここでトナーリが裏に飛び出す動きを見せ、ラツィオのDFラインを押し下げる


【21-22】ラツィオ対ミラン_戦術分析4
――その後の場面。メシアスからカラブリアにバックパス。トナーリの動きにより広がったライン間にはジルーが入り、カラブリアからパスを引き出す


【21-22】ラツィオ対ミラン_戦術分析5
――その後の場面。ジルーがメシアスにワンタッチで落とし、チャンスシーンを演出した

一方で、ラツィオがどれほどの狙いを持ってミランに対し受動的な守備を志向したかは明確にわかりませんが、少なくとも狙いの1つとして「中央のスペースを使わせない」というのはあったんじゃないかと。

ラツィオはインモービレと片側インサイドハーフの計2人でミランの両CBとアンカーの位置にいるケシエを監視し、その背後では中盤の2枚と両サイドハーフでしっかりとラインを形成する形が基本です。そして片側サイドに誘導後、前に出たインサイドハーフは精力的に戻ります。


【21-22】ラツィオ対ミラン_戦術分析6
――ラツィオの守備

この点に関し、前回対戦時のラツィオはもっとアグレッシブなプレスを仕掛けたわけですが、それにより中央に生じてしまったスペースをミランに使われ速攻を多く喰らい、前半だけで3失点という内容でした。おそらくはその反省を踏まえ、こうした形を採ったんじゃないかなと。


【21-22】ラツィオ対ミラン_戦術分析7
――ここではフェリペ・アンデルソンも十分に絞り、中盤の選手と協同して中のスペースを閉じている

実際、こうした守りは一定の効果がありました。中央のスペースをしっかりと埋められたことで、ミランとしては右サイドから左へのダイアゴナルなパスが出るシーンというのは非常に少なくなり、それにより左ハーフスペースを主戦場としていたブラヒムはほぼゲームから閉め出される結果に。前半終了間際の数シーンを除き、彼が良い形でボールを持つシーンというのは前回と比べ激減しました。

また、相手がコンパクトな陣形を敷くのであれば、本来はサイドチェンジを使うなどして相手の守備を横に揺さぶりたいところです。しかし、ミランの右サイドはあまりそういう形は採らず(採れず)、前半の組み立ては右サイド一辺倒のやや窮屈な形を強いられることとなりました。
もしケアーがいれば、サイドチェンジを何本か入れたと思うんですけどね。

とは言え、そんな状況でしたが右サイドからの前進は一度ならず成功していましたし、また左サイドでは主にトランジションの局面から多くのチャンスシーンを創出。無得点で前半を終えたものの、後半に向け手応えはあったように思われます。



後半の猛追

さて、1点ビハインドで迎えた後半。ミランは開始から5分で同点弾を獲得しました。


【21-22】ラツィオ対ミラン_戦術分析8
――同点弾のシーンについて。カルルからテオにパス


前半はあまり見られなかった左サイド起点の攻撃。ここで、ラツィオの守備の弱所が少し露呈してしまいます。
というのもラインの形成、及びスペースの管理を重視するラツィオの守備においては選択肢の制限やボールホルダーに対する寄せが多少なり甘くなる傾向があり、ここでもテオに対する寄せが遅れた結果、DFライン裏に正確なパスを通されてしまった、と。


【21-22】ラツィオ対ミラン_戦術分析9
――その後の場面。テオが下がりながらボールを受ける。ここで、当初テオをマークしていたラッツァーリはテオの下がる動きによってマークを離し、一方アンデルソンはラインの形成を優先。それにより、テオが時間とスペースを得る


【21-22】ラツィオ対ミラン_戦術分析10
――その後の場面。テオから裏に飛び出したレオンにロングボールが通り、彼のラストパスがジルーのゴールへと繋がった


また、レオンはラツィオの守備陣に対し完全なる質的優位にありましたし、この試合でも推進力という点では正に無双状態。結果的にも1アシストをマークしました。
一方、ファイナルサードでのプレー判断・精度のイマイチさも相変わらずで、ド派手なプレースタイルに見合うような結果に繋がらないもどかしいパフォーマンスが続きますね。

さて。その後もミランペースで試合が進みます。ラツィオは前半に何度かあったような後方からプレス突破するプレーが徐々に鳴りを潜め、ミランのプレスに妨害されるシーンが散見されました。この点、ジルーの献身的なファーストプレスが光っていたように感じます。

一方ラツィオの守備は、時間の経過と共に前線のインモービレが疲労のためパスコースの制限をすることが難しくなりました。また、ミランの方もトナーリが後方でパスを受けたりCBが持ち運んだりと流動性を高め、これにより中央経由による横の揺さぶりからチャンスを作るシーンも見られ始めます。


【21-22】ラツィオ対ミラン_戦術分析11
――例えばこの場面。トナーリが監視の緩くなった中央のスペースへ後方からドリブルで持ち運び、ラツィオ守備陣に圧をかける。このあとボールを右サイドに展開


【21-22】ラツィオ対ミラン_戦術分析12
――その後の場面。右サイドでボールを回しラツィオ守備陣(中盤ライン)を引き付けた後、中央でフリーのケシエにボールを渡す。その後、ケシエは左サイドのレオンに展開


【21-22】ラツィオ対ミラン_戦術分析13
――その後の場面。レオンに対してはSBラッツァーリが前に出るが、ライン間に入っていたテオがそれと同時にSB-CB間から抜け出す。そして、レオンがその動きに合わせてワンタッチでスルーパスを通し、決定機を作り出した(※惜しくもオフサイド)

このように惜しいチャンスをいくつも作り出していきますが、重要な追加点の獲得までには至りませんでした。



切り札投入

そこでミランは67分。ジルー、ブラヒムに代えてイブラ、レビッチという攻撃の切り札を一気に投入。更にその数分後にはメシアスに代えてクルニッチを入れ、更なる活性化を図ります。
その後のチームの攻撃時の配置を見るに、それらはイブラを活かそうとするものだと推察されました。一応は右サイドハーフとして投入されたクルニッチは最初から内に絞り、レビッチと共にイブラの周囲に積極的にポジショニング。その分、右アウトサイドはカラブリアが上がります。
これにより、イブラへのロングボールの落としやポストプレーを受けやすい状況を作り出しました。


【21-22】ラツィオ対ミラン_戦術分析14
――例えばこの場面。メニャンからイブラへロングボールが通り、右サイドのカラブリアにボールを落とす。それに合わせてクルニッチは裏に飛び出す


【21-22】ラツィオ対ミラン_戦術分析15
――その後の場面。クルニッチがカラブリアからスルーパスを受け、チャンスを作り出した

一方、攻撃的になったことで守備のリスクは幾分か高まりましたが、この点はCBを中心に良く守り切ってくれたと思います。


【21-22】ラツィオ対ミラン_戦術分析16
――例えばこの場面。ラツィオは自陣でのボール奪取後、右サイドから前線のインモービレにパスが通る(赤)。ここで逆サイドのザッカーニに展開されればミランのピンチとなり得る状況だが、カルルがインモービレをファールで止めることで未然に防いだ

そして86分には疲労の色の濃いレオンに代わりサレマを投入。これにより2列目の陣形を左からレビッチ、クルニッチ、サレマとしたミランは最後の攻勢を仕掛けます。
すると92分。エリア内で相手のクリアボールに反応したイブラがトナーリにヘディングで落とすと、そのボールをトナーリが押し込み劇的な決勝点を獲得しました。
この点について、決勝ゴールを生んだ要因の一つとして「レビッチとイブラの守備」を挙げたいと思います。


【21-22】ラツィオ対ミラン_戦術分析17
――当該シーンについて。右アウトサイドでこぼれ球を拾ったマルシッチに対しレビッチがプレッシャーをかけ続け、後ろ向きのプレーを強いる。ここで、イブラはGKへのバックパスを予期してパスコースを閉じにかかる


【21-22】ラツィオ対ミラン_戦術分析18
――その後の場面。イブラによりキーパーへのバックパスを封じられたマルシッチはパスの出し所に窮し、そうこうしている間にレビッチが更に距離を詰めてボールを奪取(赤)。それから決勝点に繋がるクロスを放った


疲労によりプレー精度が大きく落ちていたとはいえ、追加点の欲しい状況でレオンをサレマに代えるというのは勇気のいる決断だったと思います。しかしながら、この交代によりレビッチの基本ポジションを左サイドに移してなければ上記の守備シチュエーション、延いてはこの形でのゴールは生じていなかったでしょう。仮にレオンを残していたとして、こういった形でボール奪取できたとは思えませんからね。
おそらくは守備の安定も考慮した上での交代だったと思うので、結果的に大正解だったのではないかと。

また、要所を押さえたイブラの守備というのも流石の一言です。守備範囲こそ狭いですが集中力の高さとインテリジェンスを活かした守備は散見されますし、このシーンにおいてもGKへのバックパスの可能性をいち早く察知し、そのコースを切ることでボール奪取に間接的に貢献しています。

トナーリによる魂のゴールは言うまでもなく素晴らしかったわけですが、攻撃の切り札である2人がキッチリとその役目を果たしたという点でも満足いくシーンでしたね。


ラツィオ1-2ミラン



雑感

劇的な決勝ゴールで勝利を収めたミラン。
そして今節の結果を受け、2年連続となるCL権獲得を達成しました。

昨季は最終節まで4位以内を確定できず、本当にギリギリのところで獲得できたCL権でしたが、今季は4試合を残しての確定です。
これは十分な「結果」といえますし、ピオリ監督を始めとするコーチ陣や選手たちは称賛されて然るべきだと個人的に思います。

とは言え、もちろん今節の勝利によりスクデット戦線に残りましたから、欲を言えばスクデットを勝ち獲って欲しいですし、残り4戦を全勝してその可能性を最大限に高めてもらいたいとも思っています。現場はやる気満々みたいですしね。

厳しい試合が続きますが、これから今シーズン最後の1カ月です。
一ファンとして、目標のその先を最後まで見届けたいと思います。

Forza Milan!

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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Comments 2

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hiromiffy  

ズラタンの最後の落とし、走ってきてジャンプしてぶつかってきたDFを弾き飛ばしてたのに痺れた。
まさに千両役者。

  • 2022/04/27 (Wed) 14:53
  • REPLY
カカニスタ22
カカニスタ22  
To hiromiffyさん

コメントありがとうございます。

要所を押さえたイブラの素晴らしいプレーでしたね~。
今シーズン残り4試合、彼の更なる活躍に期待です。

  • 2022/04/28 (Thu) 00:05
  • REPLY