ミランの守備の弱所について【1】

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カカニスタ22
今回はミランの守備の局面について、一つ気になる崩され方をするシーンを振り返っていきたいと思います。
まず一例として、32節トリノ戦のワンシーンから振り返りっていきましょう。

ミラン守備_弱点分析1
――シーン1:WBからベロッティに縦パスが入る

自陣での守備においてゾーンを基本としつつも人に付く意識の強いミランのディフェンスに対し、例えばこのシーンでトリノは前線2枚(ブレカロ、ベロッティ)がサイドや手前に流れて自身をマークするCB(カルル、トモリ)を引き付けることで、その背後のペナルティエリア周辺にスペースを生じさせようとします。

ミランとしてはこうなった際、原則としてボランチが当該スペースを埋めるために下がるわけですが、相手のパス回しが速く正確だったり、状況に応じて埋められなかったりした場合にピンチに陥り易くなります。その際に相手は当該スペースに後方から中盤の選手やCBを突っ込ませてスルーパスを引き出させるわけですね。


ミラン守備_弱点分析2
――シーン2:ベロッティはワンタッチでブレカロに落とし、ブレカロは前方に飛び出したリッチにワンタッチで正確なスルーパスを送る


実際に上記シーンにおいてはサイドでのトリノのパス回しが速く正確で、トナーリが対応する前にボランチのリッチに当該スペースを突かれ、シュートにまで持ち込まれました。


ミラン守備_弱点分析3
――シーン3:エリア内でボールを受けたリッチ


こうした攻撃をインテルやアタランタといったチームは得意としているように見受けられ、ミランが彼らにボコボコにされる時は得てして上記に似た流れでやられる傾向があるように思われます。
具体的に、先のコッパ・イタリア準決勝のインテル戦を例に見ていきましょう。


ミラン守備_弱点分析4
――シーン4:左サイドでボールを持つペリシッチ

まずは上図の11分頃のシーンについてです。ここではサイドでボールを受けたFWコレアにトモリが対応した流れから、彼がそのままサイドに出ている状況です。そして代わりにボランチのトナーリが最終ラインに入る、と。
一方、インテルは同サイドに人数をかけてパスを回しながらボールをキープし、ミラン守備陣の意識とポジションをサイドに引き付けている間、その死角からCBバストーニがするすると上がってきます。


ミラン守備_弱点分析5
――シーン5

その後の場面。バストーニがSB-CB間のスペースを突き、チャルハノールからスルーパスを引き出しました。この際にブロゾビッチがケシエを引き連れてバストーニへのパスコースをしっかり空けているのがマジ上手いなとか思うわけですが、それは置いといて…。


ミラン守備_弱点分析6
――シーン6

その後の場面。しかし、ここでミランはトナーリが最終ラインに入ってカバーしており、すぐバストーニに寄せに行きます。そこでバストーニは仲のラウタロに合わせようとするわけですが、そのパスはカルルによりクリアされる、と。

ここでは事なきを得ましたが、本来こういう守備シチュエーションはできれば避けたいところです。というのもボランチが最終ラインに入ることで、その手前のスペースすなわちバイタルエリアが空き易くなってしまいます。
上記の「シーン6」においても、もしバイタルにボールを転がせていればフリーのバレッラが待ち構えていたわけで、より危険なシーンを作られていたことは想像に難くありません(バストーニのプレー選択の後にバレッラが怒りのジェスチャーを見せていたのも納得です)。

余談ですが、かつてアタランタもこんな感じでサイドを起点にミラン(ボランチ)を押し込み、生じさせたバイタルのスペースを使ってイリチッチ等が蹂躙するというパターンでミランをボコしました。


話を戻して…。そんな中で試合は82分、インテルに決定的な3点目が生まれるわけですが、そのシーンは当該スペースをまんまと突かれた格好となっています。


ミラン守備_弱点分析7
――シーン7:右サイドでビダルがボールを持つ

ここではインテルが右サイドでボールを回す中、トモリがFWサンチェスをマークするためポジションがかなり前掛かりとなっており、一方ボランチ(ここではケシエ)は前方のボールホルダー、CBガッビアは対面のFWジェコのマークに集中しているため当該スペースはがら空きです。そこへ死角からブロゾビッチが飛び出してスルーパスを引き出し、そのあと逆サイドのゴセンスへと完璧なクロスを供給してアシストを記録しています。


ミラン守備_弱点分析8
――シーン8:ブロゾビッチがエリア内でボールを受け、彼にとって十分な時間を得る


ミラン守備_弱点分析9
――シーン9:ゴセンスに正確なラストパスを供給してフィニッシュ

トモリやケシエが当該スペースへの警戒を怠っているのが非常に気になるところですが、ここで敢えて言及したいのがブラヒム(※途中投入でトップ下に入る)です。
このシーンで彼はブロゾビッチをマークしていたわけですが、ブロゾビッチの飛び出しに対応し切れずに走り負け、自由なプレーを許してしまいました。そして、こういったシーンはそんなに珍しくないよねというのが率直な印象です。
というのもブラヒムはトランジションの意識は高く、また前からアグレッシブに行く守備においては十分に貢献できている選手だと思うのですが、このように後ろ向きの守備時においてはフィジカル的限界を露呈することが少なくありません。

先述の通り、ミランは自陣での守備においても通常より選択肢の制限を重視する傾向があるため、流れの中で自身が担当する相手はしっかりとマークし自由にさせないことが強く求められます。特にトップ下は相手アンカーを徹底マークする役割の比重が大きく、今回も例外ではありません。
この点に関し、ピオリ監督はかつてのスアリオ・メイテのトップ下抜擢に始まり、ケシエやクルニッチといった走力・持久力がある中盤色の濃い選手を特定の試合でトップ下に起用したがりますが、それは上記のような相手チームの攻撃に対する守備(後方からの飛び出し対応、中盤のスペースを埋めさせるetc…)を考えてという側面はあるのではないかと。

そのように考えると、おそらく来季はポベガがこうした試合において重要な役割を担うことになるでしょうし、逆にブラヒムは守備面に限界がある分攻撃面で大きな改善を見せない限り、今夏もし残留したとしてもピオリから全幅の信頼を得るのは難しいように感じます。



さて。以上の僕の考えをまとめます。
「自陣におけるミランの守備について、相手FWの動きを起点にCBがサイドや手前に引き出された場合、その背後のスペースが弱所になり得る。そこでボランチが最終ラインに入ってカバーしようにも、今度は手薄となったバイタルエリア周辺を使われる危険性が増す。また、当該スペースのカバーが利かない状況下では、後方から飛び出してくる相手選手をマークする存在が生命線となる。そのため、後方からの飛び出しを積極的に活用してくるチームが相手の場合には、アタッカー陣にも守備時における走力・持久力や状況判断力、献身性がより求められる」といった感じでしょうか。

最後に。今回は個人的に気になるミランの崩され方のパターンを一つ振り返ってみましたが、そうは言っても現状こうした攻めをミランに通じるレベルで効果的に行ってくるチームは少ないように思います。そのため、喫緊の課題にはおそらくなり得ないでしょう(そう信じたい)。
しかしながら、これからの残り5試合はいずれも油断ならないストライカーや攻撃力を擁するチームが相手であることは事実であり、今一度安定した守備を取り戻すことが勝利のために必須となるはずです。

リーグ戦では無失点記録は継続中ですし、願わくはこのまま無失点で今シーズンを切り抜けて欲しいと思います。


長くなりましたが今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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