【決勝進出ならず】インテル対ミラン【2021-22シーズン・コッパイタリアベスト4・セカンドレグ】
スタメン

基本システム:インテル「3-5-2」、ミラン「4-2-3-1」
この試合の結果は3-0でミランの完敗。ご存知の方がほとんどかと思います。
最初にくだらない内情話を少しさせていただきますが…。実はこういう負け試合、それも試合翌日以降に挙げるマッチレビュー記事というのは真逆の状況で出したマッチレビュー記事と比べて閲覧数が減ります。「負け試合、それもコイツのネチネチした遅いマッチレビュー記事なんざ興味ねー」という方が多いわけですね。
そんなわけで、時機も逸したし試合内容が内容だし書かなくてもいいかなぁと思ったのですが、準決勝ファーストレグの記事を書いておいてセカンドレグを無視するというのも個人的に決まり悪いのでやります。ただ、それでもあんまりやる気も起きないので、今回も攻撃の局面に絞ります。
この記事を読んでくださっている方は僕にとってかけがえのない読者です。いつもありがとうございます。
○本題
さて。それでは本題に移ります。
インテルが開始早々に先制、それもあり守備時に前からの圧力を高めない時間帯の多かった状況にて、ミランはインテルの堅い守備を主体的にこじ開けることが求められました。
この点について、結果が結果だけに否定的な感想が大勢を占めるのも尤もだと思いますが、一方で個人的には悪くない攻撃を見せられていたと思っています。悪いときはレオンの無謀な特攻ドリブルだけで終わりますしね。
具体的に見ていくと、この試合のミランの攻撃において一つポイントになったのがケシエに対する楔のパスです。
CFジルーがタイトにマークされる中、一列下がった位置でケシエが広範囲に動いて楔のパスを受け、周囲と協力しながらボールを前進させる形が一度ならず見られました。

――例えばこの場面。左サイドでテオがボールを受け、それに応じてインテルの中盤が周囲のスペースと選択肢を消しにかかる。ここでテオは相手中盤ラインの背後にいるケシエに縦パスを通す

――その後の場面。パスを受けたケシエに相手CBが素早くスライドして対応するが、ケシエは近くのジルーにすぐにボールを預ける。その後、ジルーからリターンを受けて速攻を開始した
その後、崩しの局面においては積極的なゴール前への飛び出しによりチャンスに絡んでいく、と。

――先ほどの続きの場面。ケシエはサレマにボールを預け、自身はエリア内に侵入。その後、サレマからスルーパスを受けてシュートにまで繋げた
正直、ケシエがトップ下に最適な選手だとは個人的に思いません。よほどフリーの状況でない限り前を向いて仕掛けたりできないし、ライン間でのプレー判断・選択も高精度とは思えないからです。
しかしながら一方で、今回は彼の持ち味を活かす攻撃の形が出来ていたんじゃないかと。先述の通り、楔のパスを受けながら周囲にシンプルに預けてボールを前進させ、ゴール前では積極的な飛び出しによりチャンスに絡むといった流れですね。
そうした流れの中で、右サイドハーフのサレマも得意なパターン(右から中央に侵入していき、味方からパスを引き出す形)を用いるなどして崩しに関与。中でも16分に見られた攻撃は選手たちの特徴が活かされた機能的な崩しだったのではないかと思います。

――当該シーンについて。テオからケシエへの縦パスを機に、トナーリ、レオンと細かくパスを繋いで再びケシエにボールが渡る(上図はその場面)。その間、サレマが右から中央に侵入してケシエからパスを引き出す

――その後の場面。サレマから落としのパスを受けたジルーは裏に抜けだしたケシエにパスを送る。惜しくも合わなかったが、良い形を作り出した
こうした攻めに加えて、いつもの素早いトランジションによるテオやレオンを中心とした仕掛けで少なくないチャンスを作り出したミラン。39分にはゴールまであと一歩のチャンスを作り出すなど、特に前半は多くインテルゴールを脅かせていたのではないかと。
――当該チャンス:1分18秒から
Inter (1.32) 3-0 (1.58) Milan
— SerieA xG (@xGSerieA) April 19, 2022
――参考1:当ツイートによれば、この試合のミランのxG(ゴール期待値)は「1.58」
しかしながら、実際は無得点のまま終了。後半にはベナセルのスーパーゴールを不可解な判定で取り消される不運もとい人災こそあったものの、ああいう偶然性の強いゴールだけでなくより決定的なシュートチャンスを作り、それを決めることの方が継続的な勝利のためには重要です。
そしてこの話題になるとどうしても言及せざるをえないのが、現アタッカー陣のクオリティの限界です。以前、準決勝ファーストレグのマッチレビューの際にこれを「属人的な問題」と表しました。
例えば、ケシエは先述の通り攻撃面において機能していたと思いますが、フィニッシャーとしてゴール前に飛び出したところで得点・アシスト期待度の高い選手ではありません。
また、サレマはこの試合では1つゴール前に良いスルーパスを送り込んだものの、全体を通してみればクオリティ不足は否めず。レオンも現時点だと性能がピーキーであるため全幅の信頼は寄せ辛い、と。
とは言え、思うに、チームとして今回のような攻撃パフォーマンスを続けられれば得点を記録する可能性は決して低くないでしょうし、今季はこの形を軸に騙し騙しやっていくことになるでしょう(数少ない希望だったイブラ、レビッチにはもはやあまり期待できそうにないため)。
しかし、より安定したチーム力を身に付けたいならば今夏に実力者を補強することは必須でしょうね。
雑感
3失点を喫した守備に関しては、まぁこんな日もあるという事で。後日また言及するかもしれませんが、多分ラツィオ戦はさほど問題ないでしょう。
さて。コッパ・イタリアを敗退したミランに残された今季の残り試合はリーグ戦の5つです。あと勝ち点「4」を取れば来季のCL権は確定ですから、まずは当初の目標を早く達成して欲しいと思います。
その上で最終的にスクデットを獲得できれば最高ですけど、現状は流石に厳しいだろうなぁと思ってしまいます。冬の移籍市場での静観からしてフロントは4位以内でOKみたいな感じですしね。
ただ、現場のコーチ陣や選手たちはホントに良くやってくれていますし、来季の現役続行が怪しくなってきたイブラのためにもスクデットを獲ってくれると良いのですが…。
何にせよ、まずはラツィオ戦に勝利し、チームの早期立ち直りに期待したいです。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。