【得点が欲しいです】トリノ対ミラン【2021-22シーズン・セリエA第32節】
スタメン

基本システム:トリノ「3-4-2-1」、ミラン「4-2-3-1」
まずはミランの攻撃(ビルドアップ)とトリノの守備について。
ミランはトリノのマンツーマン志向の強い守備に対し、序盤から選手たちがダイナミックに動いていきます。

――開始早々、大きく立ち位置をずらすミラン
例えばSBは積極的に内に絞り、CBはサイドに開いて対面の相手選手(ベロッティ、ブレカロ)から逃れようとポジショニング。そして、GKメニャンに対し相手2人のどちらかが寄せに行けばCBが空く、と。そうなった場合、中盤を経由してCBにボールを預けるなどしてボールを前進させていく狙いが見られました。

――例えばこの場面。ホルダーのメニャンに寄せに行くベロッティ。ここでメニャンは下がってきたトナーリに一旦パスを当てる

――その後の場面。トナーリからトモリにボールが渡され、フリーのトモリが前方にドリブルで運んでいった
ただしトリノもそういった狙いを察してか、メニャンに対してはプレッシャーをあまり強めずに自身の担当する選手へのマークを優先する傾向でした。その場合、ミランはジルーへのロングボールを軸に攻めていきます。

――参考1;この試合における空中戦勝利数ランキング。ジルーが「10回」で1位
○1対1
この試合においてミランが特に問われたのは「相手とのデュエルを如何にして上回るか」といった点だったと思います。スペースよりも選択肢の制限を重視する相手に対し、頻繁に発生する局所的な1対1を制することができれば相手のマークをずらし、守備対応に迷いを生じさせることが可能となりますからね。
それゆえ、ピオリ監督は攻撃陣に対し積極的な仕掛けを指示していたように思います。例えばレオンはいつも通りドリブルで仕掛けていましたが、久々に先発したサレマもドリブルやターンでボールキープしながらタメを作ったり仕掛けたりして、積極的に相手守備陣を崩そうとするシーンが一度ならず見られました(上手くいったかは別として…)。それと、前半にはトナーリがグングンと前にボールを運ぶシーンもありましたね

――例えばこの場面。サイドのサレマにパスが渡るが、ロドリゲスがしっかりとマークしている(赤)

――その後の場面。サレマがプレッシャーを受けながらも何とか前を向き、前方のジルーにパス。ジルーはワンタッチで横のブラヒムに叩き、マーカーの背後でパスを受けることに成功したブラヒムはこの後前方のスペースへドリブルを開始した
○両チームの門番
しかしながら、こうした狙いが結果に結びついたかというとそうではありません。ミランは引き続きゴール前での正確性に欠け、決定機に至るまでにチャンスをフイにするシーンが散見されました。
この点については相手の集中した守備、とりわけCBブレーメルが優れたパフォーマンスを披露していたというのも大きかったでしょう。

――上図の場面の続きについて。ドリブルで運ぶブラヒムに対し、ブレーメルがジルーのマークを外して対応。あっさりと潰してボールを回収した
ミランにとって、上記の狙いを結実させる上での鍵となったのはレオンの突破力であったわけですが、彼が突破してから決定機へと繋げようとしたシーンにおいては尽くブレーメルが立ちはだかりました。

――例えばこの場面。レオンがマーカーを外して前方スペースへのドリブルを開始する

――その後の場面。ゴール前までボールを持ち運ぶレオン(赤)に対し、ブレーメルが的確な対応で前に出て進路を塞ぐ。その後レオンからジルーへのラストパスをカットした
一方、ミランの守備もトモリがブレーメルに負けず劣らずの個人パフォーマンスを披露し、相手のチャンスシーンの多くを防ぐ中心的な役割を遂行。中でもベロッティのシュートをブロックした後半のシーンは印象的でした。

――参考2;この試合における「タックル成功数」ランキング

――参考3;この試合における「クリア数」ランキング

――参考4;この試合における「インターセプト数」ランキング

――参考5;この試合における「守備時の空中戦」ランキング
トモリと同じく安定していた相棒のカルル、そしてGKメニャンが最後の壁として見事に機能したミランは本日もクリーンシートで試合を終えることに成功。しかしながら一方の攻撃の方は精彩を欠き、2試合連続のノーゴールとなりました。
トリノ0-0ミラン
雑感
試合を振り返って見ると、そもそもこの試合ではベナセル、レビッチ、イブラが急遽欠場を余儀なくされたというのが痛かったように思います。
まず、ベナセルが欠場になったことでケシエをボランチに回さざるを得なくなり、それによりブラヒムが先発となってしまった点。
彼がこういうタイプの相手チームとの試合でスタートから出ても活きないのは今に始まった話ではなく、案の定この試合でも存在感無く54分という早い時間帯で交代。相手の守備強度が下がる時間帯からの投入など、スーパーサブとしてならまだ機能しますけどね。
元々ケシエがトップ下スタメンでブラヒムがベンチスタート予定でしたから、監督も間違いなく分かってるはずです。アクシデントによりその計画が狂ったのは痛恨でした。
続いて、イブラとレビッチが欠場したことで攻撃的な交代カードがほぼ存在しなかった点。
消耗の激しい試合になることはわかっていたため、この試合では後半の選手交代というのが流れを変えるため特に重要なポイントの一つでありました。しかし、今日のミランが点を取るために使えた攻撃的な交代カードは実質メシアス1枚のみ。これでは厳しいです。
正直、キックオフの数時間前に彼ら3人が同時に欠場だと知った時は軽く絶望しました(特にベナセル)。上記の理由ゆえ、ミランにとって苦しい状況になる可能性は更に高まっていましたし、引き分けという結果も十分にあり得るだろうなぁと。
そんな予想を裏切ってくれず妥当すぎる結果に終わったという訳で、正直今回はマッチレビューもあまりやる気が起きず、最後の方はやっつけ感漂う記事となってしまいました。すみません。
さて。ミランの次節の相手はジェノアとなります。
まぁもうとにかくやるしかないという事で、チームの奮起に期待したいですね。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。