来季のミラン新加入、ヤシン・アドリへの期待
今シーズンの所属先であるボルドーの暫定順位は17位と降格圏スレスレ。チーム状況としては悪いですが、個人成績としてアドリはここまで1ゴール6アシストと奮闘しています。
――アドリの好プレー集
また、上手くいっていないが故かボルドーはフォーメーションを頻繁に変更しているようで、その中でアドリは様々なポジションでプレーしているようです。

『transfermarkt』によれば、アドリのスタメン出場時におけるポジションの内訳は以上の通りです(※ただし、transfermarktはこの手の出場ポジション記録について実際と異なる部分が割とあったりする印象なので、過信するのは禁物)。
メインポジションはAM(攻撃的ミッドフィルダー)。具体的には3-4-2-1の「2」のポジション(シャドー)や4-2-3-1のトップ下、2トップシステムにおけるトップ下など、様々なチームの形の中で起用されているようです。
その他にもサイド(インサイドハーフ)や中盤、果てはCF(2トップの一角)等でも起用。おそらくCF記録に関してはトップ下として高い位置を取っていたのをそう解釈されただけであるような気はしますが、何にせよ様々な起用可能性を持った選手であることは間違いなさそうです(※他のサイトで記録された起用ポジションを見てみると、上記ソースに比べてもう少し中盤で起用されている印象)。
アドリはフランスで非常に上手くいっており、ピオリにいくつかの解決策を保証してくれるだろう。彼はダブルボランチや3MFの中盤でプレーすることができ、またストライカーの後ろに配置しても効果的であることを示している――『コリエレ・デッロ・スポルト』
それでは、アドリは来るミラン加入後においてはどのポジションで起用されるのか。
この点について、現在のチーム事情的にはトップ下にフィットしてくれるのが望ましいところであります。
アドリのパスセンスやチャンスメイク能力、ドリブルやターンを用いた局面打開力には非凡なものを感じますし、存外アシスト能力に欠けるブラヒムに比して、その観点においてはこれからの成長次第で明確な違いを作り出せそうな印象を受けますしね。
しかしながら、トップ下で起用した場合の懸念材料としては得点力です。アドリは今季ここまでは1ゴールにとどまっており、通算xG(ゴール期待値)も「1.3」と低めです。そしてミランには現状シーズン20ゴールを期待できるようなストライカーがいませんから、2列目には出来るだけ得点力のある選手が欲しいところ。その観点からアドリが最適な人物なのかは疑問の余地があります。
また、アドリはアタッキングサードやペナルティエリア内でのボールタッチ数がかなり少ないというデータがありまして、これはCFイブラとコンビを組んだ場合、彼の下がってくる動きとの相性がブラヒム同様に良くないのではないかという印象をデータからは受けますね(イブラと組ませるなら、ダイナミズムやゴール前でのプレーに優れたタイプが望ましい)。

――ここ1年におけるアドリのアタッキングサード、ペナルティエリアでの平均ボールタッチ数、および5大リーグの攻撃的選手を対象としたパーセンタイル
もちろん、これらスタッツのパーセンタイルが低いのは彼が中盤としてもプレーしているため、そうした際には前線に侵入し辛くなるからというのも一因でしょう。また、今夏のミランのCF補強や編成次第ではトップ下に求められる役割も多少なり変わってくるでしょうから、あくまで現時点でデータ上から考えられる懸念材料として受け取ってもらえれば幸いです。
さて。最後に、アドリは来シーズンのミランの注目選手の1人ですし、現在まだ21歳とはいえ即戦力としての働きが期待されることが濃厚です。
彼のメインポジションがどこになるかは現時点で定かではありませんが、是非とも重要な戦力としてなるべく早期にフィットして欲しいですね。
それでは今回はこの辺で。