ミラン、敵陣での高速ボール回収の「暫定王者」に

今回は、1つ興味深いデータについて言及したいと思います。
『Kama.Sport』により提供されたデータによれば、今シーズンのミランはセリエAにおいて、「ボールロスト後に素早く相手陣内でボールを回収する回数」が最も多いチームであるそうです。(ソース:Serie A, la classifica dei ‘football data’: Milan capolista davanti all'Inter, rossoneri ‘re’ delle palle recuperate in attacco

具体的に。このデータにおける「敵陣での素早いボール回収」とは、「ボールロスト後、相手陣内にて5秒以内または相手のパス3本以内にボールを回収すること」と定義されており、ミランはこの指標において1試合あたり「4.55回」を記録。この数値はセリエAで1位とのこと。
ちなみに、現在カンピオナートで首位に立つインテルは「4.48回」で2位。3位はスペツィアで「3.91回」、4位はアタランタで「3.81回」。またユベントス、ローマ、ラツィオ、ナポリなど他のビッグクラブの平均は「3強」であるそうです。

他方で他国のビッグクラブに目を向けると、リバプール、チェルシー、マンチェスター・シティの3チームは「4.4~5.4回」の間に位置。そして、この指標において圧倒的なのが「5.84回」を記録したバイエルン・ミュンヘンとのことです。



さて。ピオリ・ミランにおける戦術コンセプトとしては、大まかに「アグレッシブネス」、「コンパクトネス」、「予測不可能性」の3つが挙げられると個人的に考えていますが、今回ご紹介したデータはそれらの内「アグレッシブネス」、「コンパクトネス」に深く関わるものだと思います。
ボールポゼッション時においてもその後のネガティブトランジションを意識したコンパクトな陣形を維持しつつ、ロスト後は素早い切り替えによるアグレッシブなプレスで相手ホルダーのプレーや選択肢に制限をかけてボール回収を目論む…。こういった戦術的志向が数字という形でしっかりと反映されていのではないか、と。

また、こうした志向はトモリ&ケアーのレギュラーCBコンビ、レビッチというプレス強度の高い選手がいなくても不変となっています。
例えば2022年初戦のローマ戦。CBには急造コンビ(当時)のカルル&ガッビア、またそれ以外の陣容も普段とは大きく異なるものでしたが、アグレッシブなプレスによりローマのビルドアップやカウンターを妨害することに成功。組織として高いレベルを備えていることを証明しています(そうは言っても、流石に上記3選手がいないと機能性が落ちるのは避けられませんが)。


最後に。2月以降もこうしたスタッツはキープ・向上させていきたいですし、そのためにはアグレッシブな戦術を実践する選手個々のコンディション管理が極めて重要になってきます。
この点、CLグループステージのあったシーズン前半戦に比べて後半戦は日程的に間違いなく楽になりますし、ミランにとってはリーグ戦に注力できる状況ですから、上手くやればパフォーマンスは落とさずにいける可能性は高いはず。そうなれば攻守ともに機能性は高まりますから、結果的に勝ち点も順調に積み重ねられるはずです。

引き続き期待していきたいですね。


それでは今回はこの辺で。

2Comments

Aki

いつもありがとうございます。とても面白いデータですね。

セリエAの他の上位陣と比べると、攻撃の迫力やファイナルサードでのアイディアは差をつけられていると思っていますが、こういうところが現ミランの強みですよね。守備と攻撃の両方に有効な強みなので、安定&向上で後半戦を戦う必要があると思います。今冬のメルカートで戦力補強はなさそうなので、逆に現スカッドでの戦い方を研ぎ澄ませると信じます!

  • 2022/01/31 (Mon) 09:55
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カカニスタ22

カカニスタ22

To Akiさん

コメントありがとうございます。

チームとして良いところはキープしつつ、改善出来る部分は可能な限り改善していって欲しいですね。

  • 2022/01/31 (Mon) 17:46
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