【今は耐える時】ミラン対ナポリ【2021-22シーズン・セリエA第18節】
スタメン

基本システム:ミラン「4-2-3-1」、ナポリ「4-2-3-1」
この試合(というかここ最近)のミランは左サイドハーフにチームのスコアラーとなるべき攻撃的な選手がおらず、起用されているのはバランサーのクルニッチ。故に失点しないというのが普段以上に重要なことになります。
そこで、理想的な試合展開としてはCL5節のアトレティコ戦のように、アグレッシブな守備によって相手に主導権を握らせず試合を進め、後半の勝負所で攻勢をかけて1点をもぎ取りウノゼロ勝利というのが考えられます。
しかし実際は前半5分。CKからエルマスに決められミランは早々に失点を喫してしまう、と。
前節のウディネーゼ戦にも同様のことがいえますが、上記の背景がありながら前半の早い時間帯でミスにより失点を招いていたらどうしようもありません。
これによりナポリに与えた心理的余裕、またミランの心理的負担は大きいはずで、結果からしても痛恨の失点となりました。
その後、1点ビハインドとなったミランはできるだけ早く同点に追いつきたいところでしたが、前半の枠内シュートは0本と上手くいかず。後半にはジルー等を投入して攻勢をかけ、アディショナルタイムにはネットを揺らしますがゴールは認められず。試合はそのまま終了し、前半早々の失点が致命傷となった、と。
○DF陣の奮闘
ミランの攻撃に関しては、今後ブラヒム・ディアスに焦点を当てた記事を書く際に言及する予定ですので割愛するとして、ここでは守備について触れておきたいと思います。
いつも通りコンパクトかつアグレッシブな守備を志向するミランに対し、ナポリは(おそらく)敢えて自陣深い位置でボールを受けてミランの選手を前に引き付け、それにより手薄となった最終ラインや中盤のスペースを素早く狙います。

――例えばこの場面。左サイドでディ・ロレンツォがボールを持ち、そこへミランの選手たちが囲い込みにいく。下がるジエリンスキに対してはトモリが対応

――その後の場面。前方のペターニャ(画面外)に楔のパスを送る
ちなみに、同様の攻め方は昨季のコンテ・インテルもやっていました。WBやCBが深い位置でボールを受けてミランの選手を前に引き付けてから、前線のルカクにパス。対面のロマニョーリを相手に悠々とボールキープし、そこから速攻を仕掛けるといった流れですね。
一方ナポリの場合はルカクのようなフェノーメノがいない代わりに、前線(特にジエリンスキ)への楔のパスを起点に細かく素早いパスワークでミランのマークを外し、速攻を仕掛けていこうとすると。

――その後の場面。パスを受けたペターニャはワンタッチで左サイドのエルマスに展開。エルマスはフロレンツィと1対1を迎える

――その後、フロレンツィを躱したエルマスがドリブルで持ち運んだ
結果的に、ミランの守備は全体として間延びし易くなります。これはデータにも表れているそうなので、ナポリの狙いが反映された形かなと。
このようにしてミランは何度か速攻を受けるわけですが、そこに立ちはだかったのはトモリです。圧倒的な機動力を武器に、素早い帰陣とゴール前での安定したプレーでナポリの追加点を阻止。また縦の反応も相変わらず素晴らしく、厄介な動きを見せるジエリンスキを相手に決して引けを取らないパフォーマンスを披露しました。

――例えばこの場面。GKからパスを引き出そうと下がるジエリンスキにトモリが対応(赤)

――その後の場面。トモリが高い位置でボールを奪い、チャンスを作り出した
他にもフロレンツィやロマニョーリ、バロ・トゥーレ等DF陣が健闘し、ミランは守備においては安定したパフォーマンスを披露。それゆえ、かえすがえすも序盤の失点や拙攻が悔やまれる結果となりました。
ミラン0-1ナポリ
雑感
この試合は後半アディショナルタイムのノーゴール判定が話題の全てを持っていってしまった感はありますが、全体的にミランの攻撃時のパフォーマンスが悪かったのは事実です。
とは言え、現状の起用可能なメンバーですと攻撃の改善には限界があるように見受けられますし、とにもかくにもレビッチ、レオンの内最低でも1人は戻ってきてもらわないと戦術的にかなり厳しい印象です。
今は耐え時だと思いますし、こういときは泥臭く勝ち点をもぎ取っていくしかないでしょうね。
そして、そのためにも不用意な失点は絶対に避けるべきですし、この試合やウディネーゼ戦のような試合展開は許されません。
前半戦最後のエンポリ戦は是非とも無失点で勝利を収めて欲しいと思います。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。