【簡易レビュー】ミラン対サッスオーロ【2021-22シーズン・セリエA第14節】
スタメン

ミランが1-3で負けた試合ですが、立ち上がり~先制点までは決して悪くない流れだったと個人的には思います。
ミランはサイドを起点に素早く縦に持ち込む攻撃の形で積極的に相手ゴール前へと侵入。そこまでは大分スムーズにいけていました。
また、ミランは守備についてもプレスの形を複数用意しながらサッスオーロのビルドアップに対応し、相手の認知負荷を高めることで、中盤でパスを引っかけカウンターを繰り出す形も散見。このようにして惜しいチャンスを数多く作り出していきました。
しかし、問題となったのはゴール前での精度です。テオのラストパスは相変わらず引っかかりまくり、またレオンも以前の記事にて言及した通り「ドリブルに続くプレーの精度」には改善の余地ありです。
また彼らだけでなく全体としてミスが目立ち、その結果として奪えた得点は1点。21分にセットプレーからロマニョーリが頭で合わせたものでした。
そして、流れがおかしくなったキッカケは24分。バカヨコ恒例の考えなしのパスがあっさりとインターセプトされ、サッスオーロのカウンターに移行。そのままスカマッカに強烈なシュートを叩き込まれて同点に。続く9分後にはセットプレーからのOGにより逆転されてしまいました。
1点ビハインドとなったミランは後半になるとレオンとイブラ2トップの4-4-2に移行し、攻勢を強めるわけですが、個人的な印象ですとコレは裏目に。プレス強度の低い2トップになったことでプレスがかかり辛くなり、サッスオーロに押し込まれるシーンが増える結果となりました。
すると66分、ベラルディに痛恨の3点目を与えてしまうと、77分にはロマニョーリが退場して万事休す。1-3で敗れました、と。
○2試合7失点の原因
リーグ戦2連敗、それも2試合合計で7失点を喫しているというのは決して看過できない問題です。
この問題は複合的なモノであり、特定個人のみに原因を求めることはできないわけですが、敢えて焦点を絞って言及させてもらいますと「トモリの不在」というのが一番の痛恨であったと僕は考えています。
「フィオレンティーナ戦のマッチレビュー記事」にて同様の内容は書かせてもらいましたが、基本的に今のミランの守備を十分に機能させるにはトモリが欠かせません。
同サイドハーフのレオンが高い位置に残る(残らせたい)戦術的要請の下、その後ろのボランチやCBには広い範囲をカバーすることはもちろん、なるべく下がらずに前でボールを奪い取る意識が求められるため、CBには対人能力と機動力(と判断力)が必須です。
その観点からすると、トモリの代役のロマニョーリは物足りないと言わざるを得ません(ガッビアは言わずもがな)。
ロマニョーリは一応ハイラインを取れるし、判断力が高いため及第点のパフォーマンスは見せられますが、足が速くないのでどうしたって背後のスペースケアを優先しますし(これ自体は間違ってないですが)、アジリティもないのでテクニカルな選手への対応も得意ではありません。
この試合で言えば、3失点目のシーンも退場のシーンもトモリであれば防げたはずですし、現戦術においてロマニョーリの能力的な限界は隠し切れていない印象です。ガットゥーゾ監督時代のように今より低ラインが基本で、ブロックを組む時間帯の多い戦術のチームとかでなら躍動するんでしょうけどね。
ただ、別にトモリがいないとどうしようもないってわけではありません。トモリがいないなら左サイドハーフにもっと守備に関わらせるなどして、CBの負担を軽減させてあげればいいわけです。
例えば先のアトレティコ戦だと、レオンの代役として左サイドハーフに起用されたクルニッチが中盤のスペースをしっかりと埋めることでロマニョーリの負担を軽減。そのためロマニョーリも安定していましたし、チームとしても無失点で勝利を収めることに成功しています。
幸いにもトモリが次節から復帰してくれるらしいので上記の問題は解消されるでしょうが、彼の再離脱のリスクに備えた「プランB」を確立したいところです。
雑感
負け犬の遠吠えですが、フィオレンティーナ戦、サッスオーロ戦共に選手個人個人がもっと気を付けていれば勝利もしくは引き分けにはできたと思いますし、そういった試合を1試合ならともかく2試合連続で落とすというのは由々しき事態です。
この点についてCLが影響しているのは明白ですが(メンタル的な意味でも、リーグ戦でターンオーバーをしなければいけないという意味でも)、どちらも重要なコンペティションであるため手を抜くことなどできませんからね。両立の難しさというのを8年ぶりに痛感する次第です(振り返ればアンチェロッティ時代後期も、CLに対しリーグ戦はだいぶ気が抜けてるときがあったなぁ、と)。
とは言えすぐにまたミッドウィークに試合がありますし、今のチームにはすぐに気持ちを切り替える力があると思うので、ジェノア戦の勝利に期待したいところです。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。