【一進一退の攻防】 ミラン対インテル 【2021-22シーズン・セリエA第12節】

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カカニスタ22
今回はセリエA第12節、ミラン対インテルのマッチレビューを行いたいと思います。

スタメン

【21-22】ミラン対インテル_スタメン_TACTICALista_20211191446

基本システム:ミラン「4-2-3-1」、インテル「3-5-2」
ミランの攻撃

まずはミランの攻撃と、インテルの守備について見ていきましょう。

【21-22】ミラン対インテル_戦術分析1
――ミランのビルドアップ時の陣形とインテルの守備陣形

基本的に5-3-2でブロックを作り構えるインテルに対し、ミランは主にボランチのケシエが積極的に下がって3バックを形成し、ボールを回していきます。
こうした際にポイントとなるのが、「相手2トップの背後のスペース」と、「3ボランチの横のスペース」です。

前者に関しては、インテルの2トップがミランのボランチ(主にトナーリ)へのパスコースを消すポジションを取りながらミランCBに牽制をかける中、ミランは何度かその中央のスペースへと入れるシーンがあったわけですが、そこで具体的なアクションを起こすことが中々できませんでした。


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析2
――例えばこの場面。ケアーからパスを受けたケシエ。前方にはスペースがあるが、反転せずすぐにバックパスを選択


インテル2トップの守備意識は前節対戦したローマのそれと比べて高かったですし、中央が固いため、そこから縦に差し込むというのは中々難しいところでありました。
また、試合開始早々にケシエが謎キープから相手にPKを与えてしまったことで、チーム全体が中盤でボール持つことに対し多少の恐怖感を覚えたというのもあるかもしれません。


続いて後者の「3ボランチ横のスペース」ですが、こちらについてはレオンが中心的な役割を担いました。


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析3
――左サイドでレオンがボールを受けた場面


同SBのバロトゥーレが上がって相手WBを牽制すると同時に、少し下がった位置でレオンがパスを引き出します。
そしてそこにはバレッラが対応するも、レオンが強引に相手の中央をこじ開けにかかる、と。


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析4
――ドリブルで中央へと侵入するレオン。ここでは相手を引き付けたことでブラヒムへのパスコースが空く

ここをこじ開けられ(そうになっ)た場合、相手としてはまず中央のスペースを消しにかかるわけですが、そうなると逆ハーフスペースにいるブラヒムへのパスコースが空きやすくなります。
ミランはこのようにレオンの個の力を活かして中央突破を図る形が良く見られたわけですが、そこから先が上手くいかず、決定機に繋げることはできませんでした。


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析5
――その後の場面。レオンがパスを出す直前にボールを奪われ、インテルのカウンターとなった


この点に関し、逆サイドハーフで起用されたブラヒムにも攻撃においては同様の役割が期待されたわけですが、その期待に応えることはできず。
純粋にコンディションが上がり切っていないのもあるのでしょうが、フィジカル的な不利を覆せずにロストを連発。おまけに露骨なまでのファールアピールと、印象としては悪いものでした。

また、トップ下のクルニッチもラスト30メートルでのクオリティに欠け、決定機を演出することが中々できませんでした。


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析6
――例えばこの場面。ここではトナーリが相手3ボランチ横にボールを持ち運び、ライン間のクルニッチにパスを通す


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析7
――パスを受けるクルニッチ。ここでもし彼が前を向ければ、イブラが対面DFを引き付けながらニアサイドに抜け、それにより空いた中央のスペースへ飛び込むブラヒムにパスを通すことで決定機を作れそうな場面


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析8
――しかし、ここでクルニッチはボールキープを優先しサイドに逃げ、トナーリへのバックパスを選択した



ミランの守備

攻撃に関しては中々攻め切ることのできないミランでしたが、一方の守備に関しては得意のプレッシングでインテルを苦しめます。


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析9
――ミランの前線守備


ミランは基本的にイブラとクルニッチで中央のデフライとブロゾビッチをマークし、両サイドのレオンとブラヒムがそれぞれ対面のシュクリアニアルとバストーニをマーク。インテルのビルドアップを前線から妨害しにかかります。
一方、対するインテルは途中までセーフティに前線へのロングボールを選択する形を多用してきたため、ミランとしては比較的安全にボールを回収することができました。

この点に関し、特にポイントとなったといえるのがクルニッチじゃないかと。
彼は広範囲に動き回るブロゾビッチをマークしながら周囲のカバー・プレスバックも献身的にこなすパフォーマンスを披露。すると16分、クルニッチのプレスを機に高い位置でボールを奪ったミランがFKを獲得し、そのFKから相手のオウンゴールを誘発して同点に追いつきました。


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析10
――この場面。右サイドにボールを誘導されたインテルは、GKにボールを預けて作り直しを図る。しかし、ここでクルニッチが飛び出してGKにまでプレスをかけ、そのまま同サイドに追い込んでいく


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析11
――その後の場面。同サイド高い位置でボールを奪ったミランはFKを獲得した(赤)


更に、試合序盤~中盤の展開において重要になったのがトランジションの局面です。
先述の通りミランはボールを握るも最後まで攻めきれないという展開が続き、そのためインテルにパスカットされ被ロングカウンターという場面も往々にしてあったわけですが、そういった際には素早いトランジションを披露。こうして大体においてボールを再回収ないし相手の攻撃を遅らせることができていたのではないかと。


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析12
――例えばこの場面。ミランのパス回しをカットしたインテルがカウンターを開始しようとする


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析13
――その後の場面。ここではケアーが前に出て相手の攻撃を遅らせつつ、CBトモリの両脇へとケシエとバロがすぐに帰陣


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析14
――その後の場面。ブロゾビッチが出し所に困る中、プレスバックしたクルニッチがボールを奪い、再びミランボールとなった



インテルの攻撃

潮目が変わり始めたのは前半中盤~終盤にかけてです。
インテルは左から組み立て、右に展開する形を織り交ぜながらミランを押し込む場面を作り出していきます。


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析15
――例えばこの場面。インテルは左サイドから右サイドへ展開し、フリーのバレッラへとボールを渡す


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析16
――バレッラがドリブルで持ち運び、ミランを押し下げる


この形の嫌なところの1つは、右に展開された際にバロ・トゥーレとダルミアンの1対1が作られやすいところです。
バロは25分にダルミアンを倒してPKを与えてしまうなど、守備時において不安定なパフォーマンスを露呈。結果的にはそれ以上の致命的なミスはありませんでしたが、前半の内に交代ということで決して満足いくプレーではありませんでした。

そして、こうした形で押し込まれた場合に厄介なのはサイドハーフが自陣深くまで戻らざるを得ない点です。
特に、この試合でサレマの代わりに右サイドハーフに入ったブラヒムは後ろ向きの守備や「よ―いドン」でのフィジカル・スピード勝負が得意とは言えませんし、この部分を突かれると苦しいところがありました。


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析17
――その後の場面。ボールは再び左サイドに展開され、ペリシッチがボールを受ける。ここで、CBバストーニが前線に飛び出し、ペリシッチからスルーパスを引き出す。そこにはブラヒムが対応(赤)


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析18
――その後の場面。ブラヒムのマークはあっさりと外され、その後バストーニのクロスから決定機を作られた(赤)



後半の攻防

後半になり、更に積極性が増した印象のインテル。
CBの持ち上がり・飛び出しによるプレス回避や、サイドチェンジによる押し込みなど、前半終盤の勢いそのままに後半開始からチャンスを作り出していきました。


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析19
――例えばこの場面。バストーニがドリブルで前方に持ち運ぶ


【21-22】ミラン対インテル_戦術分析20
――その後の場面。バストーニは2トップとの連携で一気に前線へと侵入した


これに対し、ミランも早い段階で修正を加えます。
58分、相手CBを抑えられなくなってきたレオンとブラヒムに代えてレビッチとサレマを投入。エネルギッシュな2人(レビッチは病み上がりで少しキツそうでしたが)を入れて挽回を図りました。

それでも流れにのっていたインテルが引き続き攻め込む時間帯が続いたものの、後半中盤になりバレッラ、ジェコという効いていた2人が負傷交代。一方ミランはベナセル、バカヨコを投入し中盤の強度を強めます。
こうした双方の交代によって再び盛り返したミランは、89分にサレマがポスト直撃のシュートを放つなどチャンスを作り出していきますが決めきれず。試合はそのまま1-1で終了しました。

ミラン1-1インテル


雑感

両チームが修正を加えて自分たちの時間帯を交互に作り出し、それぞれ強みを発揮した印象の今回のミラノダービー。
チャンスの「質」という点では2回のPKを始めエリア内でのシュートも多くあったインテルの方が上回っていたと思いますが、ミランとしても終盤の猛攻の中で決めて欲しい場面がありました。両チームともに決めるべきところで追加点を決められず、それ故に痛み分けという結果は妥当なのではないかと個人的には思います。

ところで。ミランは直近の約3週間で7試合という極めてタフな日程を4勝2分1敗で乗り切り、リーグ戦に限れば4勝1分と見事な成績を残しています。
攻撃面に関しては主力不在&コンディション不良の影響を感じざるを得ず、実際にここ4試合で流れの中からの得点がないわけですけど、そんな中でもしぶとく勝利をもぎ取り勝ち点を積み重ねた選手・コーチ陣は称賛されるべきですし、現チームの地力の高さというのが発揮された3週間だったのではないかと思います。

これから再び代表ウィークに突入するという事で、休める選手はしっかりとコンディションを整えてもらいつつ、各代表に招集された選手についてはとにかく怪我だけはしないようお願いしたいですね。


Forza Milan!


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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Comments 4

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Aki  

カカニスタさん、いつもありがとうございます。

僕の目には押されることのほうが多い試合に映りましたし、順位表やチーム状況から引き分けは妥当かつ上々の結果と受け止めています。
采配や選手の奮闘という意味でも非常に見応えのある試合でしたし、やはりテオも居てほしかったですね。
実際、バレッラ+ダルミアンvsレオン+バロは青黒に軍配が上がってしまいましたね。テオがいれば、レオンのコンディションが良ければ、とか色々ありますが。インテルはダルミアンとかバストーニあたりが攻撃でも目立っていて、今年も強いなと改めて感じました。ロマもバストーニに負けずに頑張って欲しいです。

トモリ…自分で決めたかのような力強いガッツポーズ、高感度UPです(ホントに)。
タタさん…超ビッグセーブ、感動しました。喉いためるほど絶叫しました。
バロ…素晴らしい。(PK与えた時の動きは)全て間違っていた…。
チャ●☓■ール…今は全てのサッカー選手の中で一番キライ。試合楽しめない点。

このブレイクでメシアス復帰&コンディション回復して、前半戦を乗り切りましょう!

  • 2021/11/09 (Tue) 17:43
  • REPLY
ぬまぬ  

おつかれさまです
結果は、引き分けで良し
パフォーマンスは、低調。早く問題点を消し込んで欲しいと思います
まあブラヒムがトップ下で復調し、テオがスタメン復帰すれば、その二つのバックアッパー問題が残るだけと思いますが
タタルサヌは今回のビッグセーブでノッて行ってくれれば。なんせメニャンは年内難しいようですし
あとは何か青黒にトルコ人らしき人がいましたが、誰ですか?見たことがないw

  • 2021/11/09 (Tue) 20:37
  • REPLY
カカニスタ22
カカニスタ22  
To Akiさん

コメントありがとうございます。

開幕前はルカク移籍とかで色々と言われていましたが、インテルは健在ですね。離脱者続出とかがない限り大崩れすることはなさそうで、手堅く勝ち点を積み重ねてくる厄介な好チームだと思います。

選手については僕も同様の見解です。同点時のトモリの喜びっぷりで彼がスコアラーなんだとすっかり騙されました(笑)
彼やタタルシャヌの感情むき出しのパフォーマンスは観ている側としても非常に盛り上がりますし、最高ですね。

今度の代表ウィーク空けも引き続きチームの快進撃に期待していきたいですね!

  • 2021/11/09 (Tue) 22:15
  • REPLY
カカニスタ22
カカニスタ22  
To ぬまぬさん

コメントありがとうございます。

アタランタ戦辺りをピークに、現在はチームとしてのパフォーマンスが下降しているのは確かだと思います。
ただ、仰るように主力の復帰やコンディションの回復次第でまたピーク時に戻ると思うので、その意味でも代表ウィーク明けのミランには期待していきたいですね。

彼奴に関しては一夜にしてミラニスタから尋常ならざる怒りを買ったわけですが、度々ミラニスタを挑発してますしこれが本望なのでしょう(笑)

  • 2021/11/09 (Tue) 22:23
  • REPLY