【絶体絶命】 ミラン対ポルト 【2021-22シーズン・CL第4節】
前回のポルトとの対戦時は今季暫定ワーストともいえる内容で負けてしまったミラン。
その惨敗の原因については以前の記事「ポルト戦の雑感【2021-22シーズン・CL第3節】」にて軽く個人的見解を書かせてもらいましたが、その内容を改めて簡潔に振り返ると
・主力中の主力の不在
・過密日程疲による疲労蓄積
・ポルトのハイパフォーマンス
等を挙げました。
では、今回の対戦において上記の点はどうだったのか。今回はこの観点から試合を振り返っていきたいと思います。
○主力中の主力の不在
前回のポルト戦でミランは多くの主力を欠く中で試合を行いましたが、今節はテオとブラヒム、ケシエが戦線復帰し、前者2人は先発となりました。
しかしながら、結論から言うと2人ともベストパフォーマンスは発揮できず、と。
特にブラヒムはコロナからの復帰後初の出場でしたから、かつての好調時と比べるとそのコンディションの差は顕著だったかなと。
また、後述するポルトの素晴らしい守備組織を前に両者とも飛び出しやライン間でのプレーを封じられたというのもチームにとっては痛かったですね。
○過密日程疲による疲労蓄積
離脱者の続出に伴い、一時的にかなり選手層が薄くなっているミランでは一部の主力選手に大きな負担がのしかかっています。CBのトモリ、各サイドを担当するレオンとサレマはその代表例ですね。
現在は(実質的な)控え選手がいないため、彼らはこの試合でもスタメンで出ずっぱりにならざるを得ないという状況。それでも一定のクオリティを示しているのは流石ですが、やはりベストコンディション時と比べるとパフォーマンスの差は強く感じます(例えばトモリは縦へのスライドの鋭さや正確性、レオンはドリブルの頻度・キレ、サレマは全体的なパス精度・判断など)。
次節もミラノダービーであるため彼らを休ませることはできませんが、このままではパフォーマンスの低下はおろか怪我にも繋がってしまうんじゃないかと戦々恐々です。
○ポルトのハイパフォーマンス
本日のメイントピックはコチラです。
今回の試合はミランのホームで開催という事で、ポルトも多少はミランを警戒して前回よりも身構えて試合に臨むんじゃないかなぁと戦前予想を立てていたのですが、完全に甘い見通しでした。
前回同様、ポルトは序盤から積極的な守備でミランのビルドアップを妨害していくと、開始早々の5分にはベナセルからボール奪取してショートカウンター発動。そのまま先制点をゲットしました。
ポルトのベースとなる守備時フォーメーションは数日前に対戦したローマと同じ「4-4-2」だったわけですけど、その中身は大きく異なります。
ポルトはまず2トップの一角がミランCBにプレスをかけ片側サイドに誘導し、もう片方がボールサイドのミランボランチをマーク。また、ポルトのダブルボランチはブラヒムとミランボランチの片割れを厳しくマークすることで、中央への展開を阻止する形が基本。
この点について、ポイントとなったのがハイラインのディフェンスです。
ポルトはペペを中心とするDF陣が極力高めにラインを取り、それによりコンパクトな陣形を維持。そのため中盤にスペースがなく、ライン間でブラヒムやサレマがボールをほとんど受けられません。
それならばと、ミランは裏やサイドのスペースを狙っていくわけですが、それに対してポルトは迅速な帰陣やスライドで対応。そもそも前節のローマ戦と異なりボールの出し手にチェックがかかっていることが多いので、適切な位置やフリーな状況でタイミング良く前方にボールを送るのも難しい、と。
それでも何度か裏への抜け出しやテオ等のドリブル突破からスペースに持ち運びチャンスを作りかけたシーンもありましたが、そこでもポルト守備陣が見事なラインコントロールで立ちはだかります。
この点について少し興味深いデータをご紹介しますと、この試合のミランのオフサイド回数は「7回」。一方、今シーズンにおけるミランの平均オフサイド回数は「2.2回」ですので、今回は平均を大きく上回っています。
更に細かく見ると、この試合のミランは後半だけで「6回」のオフサイドを稼いでいるんですよね。
後半になり、ミランはビルドアップがいくらか改善してボールを運びやすくなったことでシュートチャンスになりそうなシーンを増やしていったわけですが、それでもなおポルトDFの壁は高かったと。
雑感
結局のところ、ミランはセットプレーから相手のオウンゴール(ほぼカルルのゴール)で何とか1点をもぎ取り引き分けに持ち込んだわけですが、個人的にポルトの守備はホントに素晴らしかったと思いますし、この守備を攻略するのは非常に困難だなと感じます(少なくとも今回のミランのメンバーだと)。
また、ポルトは攻撃陣に関してもテクニックのある選手が多く、連動したパス回しやドリブル突破でミランの守備は何度も崩され(かけ)ました。
ミラン戦の2試合を見るに、ポルトはCLグループステージ突破はもちろんくじ運によってはベスト8ないし4にいける実力はあると感じますし、ミランはつくづく最強(最凶)のグループに入ってしまったなと…。
4試合で勝ち点1というのはあまりに寂しい数字ですし、ミラン史においても最悪のペースらしいですが、今のミランがそのような汚名を着せられるべきチームだとは決して思いません。何とか挽回して欲しいですね。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。