【いつもお前だ!】 ローマ対ミラン 【2021-22シーズン・セリエA第11節】
今回はセリエA第11節、ローマ対ミランのマッチレビューを行いたいと思います。
スタメン

基本システム:ローマ「4-2-3-1」、ミラン「4-2-3-1」
スタメン

基本システム:ローマ「4-2-3-1」、ミラン「4-2-3-1」
○ローマの守備とミランのビルドアップ

――ローマの守備陣形
ローマはこのように守備時4-4-2でセットし、ミドル~ローラインでコンパクトな守備陣形を形成して待ち構える形が基本。
これに対してミランは相手2トップの横からボールを持ち運び、そこからの展開でチャンスを量産していきます。
この点に関しポイントとなったのが、ミランボランチの流動的な動きです。
ローマは2トップ(エイブラハム、ペッレグリーニ)がミランCBから中央へのパスコースを切り、片側サイドに追い込む狙いを見せますが、ミランボランチ(主にケシエ)が積極的に最終ラインに下がり、数的優位を形成することでそうした狙いを回避します。

――例えばこの場面。ケシエが下がり3バックを形成したミランは、右サイドのケアーへと展開
そして、もう片方のボランチ(主にベナセル)が第一プレッシャーラインの背後にポジショニングし、隙あらばパスを引き出していく、と。

――例えばこの場面。エイブラハムがケシエのポジショニングに引き付けられ、中央のパスコースが空く。そこでベナセルがパスを引き出した
このようにして、ミランは安定したポゼッションでチーム全体を押し上げ、スムーズに崩しのフェーズへと移行していきました。
ところで。ミランが苦戦する試合というのは、得てして相手がミランボランチに対してマンツーマンで付くですとか、ハイラインハイプレスで前線からアグレッシブに仕掛けるなどして、ミランの後方からのビルドアップを妨害しにきます。開幕戦のサンプドリアに始まり、CLのリヴァプール、ポルト…。また、最近だとヴェローナとトリノが非常に厳格なマンツーマン主体のディフェンスでミランを大いに苦しめました。
しかし今回のような守備、まして2トップの守備貢献度でミランのビルドアップを封じるのは難しいですし、「相手の嫌がることを徹底的にやってくる」印象のモウリーニョらしからぬ対応だったかなぁと個人的には思いました。
また、安定したポゼッションにより相手を押し込んだミランはネガティブトランジションにおいても安定性が高く、こぼれ球を拾っての2次攻撃を見せる場面も散見。この点に関しても、ミランボランチの貢献度の高さが光ったように見受けられました。
○イブラの躍動
この試合のミランの攻撃において、やはりイブラの存在は大きいものがありました。

――例えばこの場面。ボールを持ち運んできたケアーに対しムヒタリアンが対応。そこで、ケアーは手薄となった右サイドに展開

――その後の場面。ミランはサレマ、カラブリア、そしてイブラの3人の連携で右サイドを突破

――その後の場面。カラブリアのクロスにレオンが合わせ、ミランが決定機を作り出した
このように2トップの横からボールを持ち運んだミランは、そこから相手SHの周囲を使って突破を図るパターンの他にも、前線へのロングボールによる崩しを披露。
ローマが下がり過ぎずにラインを維持しようとする中、フリーでボールを持ったケアーやベナセルから高精度のパスを飛ばしていきます。

――例えばこの場面。ベナセルから左サイドのテオにロングボール。この後、ミランは一気にエリア内に侵入し、惜しいチャンスを作り出した
また、こうしてイブラがサイドに流れたり、また組み立てに下がったりした場合に備えてレオンが積極的に前線に入り、前線の人数を担保する、と。
この点に関し、ミランはイブラの周囲に人数を割くことで彼を中心とする連動から崩しを図るわけですが、特にレオンはイブラと好連携を見せ、ローマの守備陣を脅かしていきました。

――例えばこの場面。ケアーから前線のイブラにロングボール

――その後の場面。イブラが胸で裏に落とし、そこに抜け出したレオンが冷静に1対1を制してネットを揺らした(※イブラのオフサイドにより、惜しくもノーゴール)
すると23分。レオンのドリブルにより得たFKをイブラが決め、ミランが先制に成功。その後もイブラは後半にネットを揺らし(惜しくもオフサイド)、更にはチームの2点目となるPKを奪取するなど獅子奮迅の活躍を披露しました。
○ケアーの奮闘
このように優勢に試合を進めていたミランでしたが66分、テオの退場により状況が一変。一気に劣勢に立たされることに。
その後ミランは守備的な交代カードを切り、最後は5-3-1で中央を固めてローマの猛攻を1失点のみで凌いだわけですが、最後まで気の休まる暇のない非常に緊迫した展開となってしまいました。
この点に関し、特に気を吐いたのがケアーだったんじゃないかと。
前半から相手のカウンターに対して積極的な対応を見せるなど、素晴らしいパフォーマンスを見せていたケアーでしたが、後半の猛攻を凌ぐ時間帯になってもそれは変わらず。DFリーダーに相応しい活躍ぶりでした。
――参考1:この試合におけるケアーの主要スタッツ。あらゆるスタッツにおいて高成績を記録した
攻撃に関してはイブラ、守備に関してはケアーと、ミランの誇るチームリーダー2人がそれぞれの局面において中心的な役割を担い、このカオスな試合を制しました。
ローマ1-2ミラン
雑感
ここまでは敢えて言及を避けてきましたが、結局のところこの試合は「マレスカ」という主審によって大きく大きく揺り動かされました。
ミランの2点目に繋がったPK(本当にPKなのか?)、テオの退場に繋がったその直前のプレー(クルニッチがファールを受けていたんじゃないか?)、試合終盤のケアーのプレー(PKじゃないか?)、ヴェレトゥのトナーリに対するファール(退場じゃないか?)選手たちの抗議に対するイエローカードの多さ(流石にイエロー出し過ぎじゃないか?)等々・・・この試合でなされた微妙な判定には枚挙に暇がありません。
しかもこの審判の「やらかし伝」はこの試合に限らず、例えばミランに関する話だと昨季のパルマ戦にて、イブラを不可解な形で退場させています。
審判が主役になる試合ほどうんざりするものはないですし、それがローマ対ミランのような注目カードであれば尚の事です。
願わくは彼をミラン戦で二度と見ることがなくなると良いんですけどね。
さて。次節はミッドウィークにCLを挟み、いよいよミラノダービーです。
テオが出場停止により欠場確定というのが何とも気がかりですが、無敗記録をライバルチームに止められるのは非常に悔しいものがあり(昨季もユーベに負け、記録が途絶えたのもつらかった…)。
このダービーに勝利し、更に勢いに乗って欲しいと思います。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。

――ローマの守備陣形
ローマはこのように守備時4-4-2でセットし、ミドル~ローラインでコンパクトな守備陣形を形成して待ち構える形が基本。
これに対してミランは相手2トップの横からボールを持ち運び、そこからの展開でチャンスを量産していきます。
この点に関しポイントとなったのが、ミランボランチの流動的な動きです。
ローマは2トップ(エイブラハム、ペッレグリーニ)がミランCBから中央へのパスコースを切り、片側サイドに追い込む狙いを見せますが、ミランボランチ(主にケシエ)が積極的に最終ラインに下がり、数的優位を形成することでそうした狙いを回避します。

――例えばこの場面。ケシエが下がり3バックを形成したミランは、右サイドのケアーへと展開
そして、もう片方のボランチ(主にベナセル)が第一プレッシャーラインの背後にポジショニングし、隙あらばパスを引き出していく、と。

――例えばこの場面。エイブラハムがケシエのポジショニングに引き付けられ、中央のパスコースが空く。そこでベナセルがパスを引き出した
このようにして、ミランは安定したポゼッションでチーム全体を押し上げ、スムーズに崩しのフェーズへと移行していきました。
ところで。ミランが苦戦する試合というのは、得てして相手がミランボランチに対してマンツーマンで付くですとか、ハイラインハイプレスで前線からアグレッシブに仕掛けるなどして、ミランの後方からのビルドアップを妨害しにきます。開幕戦のサンプドリアに始まり、CLのリヴァプール、ポルト…。また、最近だとヴェローナとトリノが非常に厳格なマンツーマン主体のディフェンスでミランを大いに苦しめました。
しかし今回のような守備、まして2トップの守備貢献度でミランのビルドアップを封じるのは難しいですし、「相手の嫌がることを徹底的にやってくる」印象のモウリーニョらしからぬ対応だったかなぁと個人的には思いました。
また、安定したポゼッションにより相手を押し込んだミランはネガティブトランジションにおいても安定性が高く、こぼれ球を拾っての2次攻撃を見せる場面も散見。この点に関しても、ミランボランチの貢献度の高さが光ったように見受けられました。
○イブラの躍動
この試合のミランの攻撃において、やはりイブラの存在は大きいものがありました。

――例えばこの場面。ボールを持ち運んできたケアーに対しムヒタリアンが対応。そこで、ケアーは手薄となった右サイドに展開

――その後の場面。ミランはサレマ、カラブリア、そしてイブラの3人の連携で右サイドを突破

――その後の場面。カラブリアのクロスにレオンが合わせ、ミランが決定機を作り出した
このように2トップの横からボールを持ち運んだミランは、そこから相手SHの周囲を使って突破を図るパターンの他にも、前線へのロングボールによる崩しを披露。
ローマが下がり過ぎずにラインを維持しようとする中、フリーでボールを持ったケアーやベナセルから高精度のパスを飛ばしていきます。

――例えばこの場面。ベナセルから左サイドのテオにロングボール。この後、ミランは一気にエリア内に侵入し、惜しいチャンスを作り出した
また、こうしてイブラがサイドに流れたり、また組み立てに下がったりした場合に備えてレオンが積極的に前線に入り、前線の人数を担保する、と。
この点に関し、ミランはイブラの周囲に人数を割くことで彼を中心とする連動から崩しを図るわけですが、特にレオンはイブラと好連携を見せ、ローマの守備陣を脅かしていきました。

――例えばこの場面。ケアーから前線のイブラにロングボール

――その後の場面。イブラが胸で裏に落とし、そこに抜け出したレオンが冷静に1対1を制してネットを揺らした(※イブラのオフサイドにより、惜しくもノーゴール)
すると23分。レオンのドリブルにより得たFKをイブラが決め、ミランが先制に成功。その後もイブラは後半にネットを揺らし(惜しくもオフサイド)、更にはチームの2点目となるPKを奪取するなど獅子奮迅の活躍を披露しました。
○ケアーの奮闘
このように優勢に試合を進めていたミランでしたが66分、テオの退場により状況が一変。一気に劣勢に立たされることに。
その後ミランは守備的な交代カードを切り、最後は5-3-1で中央を固めてローマの猛攻を1失点のみで凌いだわけですが、最後まで気の休まる暇のない非常に緊迫した展開となってしまいました。
この点に関し、特に気を吐いたのがケアーだったんじゃないかと。
前半から相手のカウンターに対して積極的な対応を見せるなど、素晴らしいパフォーマンスを見せていたケアーでしたが、後半の猛攻を凌ぐ時間帯になってもそれは変わらず。DFリーダーに相応しい活躍ぶりでした。
.@simonkjaer1989 vs. Roma:
— MilanData📊 (@acmilandata) October 31, 2021
➤ 96 minutes
➤ 48 accurate passes
➤ 92% pass success
➤ 8 accurate long balls
➤ 71 touches
➤ 4 duels won
➤ 0 duels lost
➤ 8 clearances
➤ 3 headed clearances
➤ 2/2 tackles won
➤ 2 recoveries
[via @MilanGlobe] pic.twitter.com/VCWbdDOSZ2
――参考1:この試合におけるケアーの主要スタッツ。あらゆるスタッツにおいて高成績を記録した
攻撃に関してはイブラ、守備に関してはケアーと、ミランの誇るチームリーダー2人がそれぞれの局面において中心的な役割を担い、このカオスな試合を制しました。
ローマ1-2ミラン
雑感
ここまでは敢えて言及を避けてきましたが、結局のところこの試合は「マレスカ」という主審によって大きく大きく揺り動かされました。
ミランの2点目に繋がったPK(本当にPKなのか?)、テオの退場に繋がったその直前のプレー(クルニッチがファールを受けていたんじゃないか?)、試合終盤のケアーのプレー(PKじゃないか?)、ヴェレトゥのトナーリに対するファール(退場じゃないか?)選手たちの抗議に対するイエローカードの多さ(流石にイエロー出し過ぎじゃないか?)等々・・・この試合でなされた微妙な判定には枚挙に暇がありません。
しかもこの審判の「やらかし伝」はこの試合に限らず、例えばミランに関する話だと昨季のパルマ戦にて、イブラを不可解な形で退場させています。
審判が主役になる試合ほどうんざりするものはないですし、それがローマ対ミランのような注目カードであれば尚の事です。
願わくは彼をミラン戦で二度と見ることがなくなると良いんですけどね。
さて。次節はミッドウィークにCLを挟み、いよいよミラノダービーです。
テオが出場停止により欠場確定というのが何とも気がかりですが、無敗記録をライバルチームに止められるのは非常に悔しいものがあり(昨季もユーベに負け、記録が途絶えたのもつらかった…)。
このダービーに勝利し、更に勢いに乗って欲しいと思います。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。