ポルト戦の雑感【2021-22シーズン・CL第3節】
始めに戦術面に関する個人的感想ですが、まずポルトの守備が素晴らしかったというのが1つあります。
DF陣が高いラインを維持することでコンパクトな守備陣形の形成に大きく寄与。それに応じて前線・中盤もインテンシティの高い前線守備を敢行し、ミランのビルドアップを封じ込めていきました。
DFリーダーはペペなのでしょうが、特に彼が相方のムベンバと共に見事なラインコントロールを披露。このポルトが前節、リバプール相手とは言え何故に5失点も喫したのか不思議に思ったのですが、当時のスタメンを見たらペペもムバンベも不在だったので、おそらく彼らの不在が大きく響いたのでしょう(特にペペ)。ポルトの戦力事情は分からないので推測ですけどね。
攻撃に関しても、左サイドのルイス・ディアスがドリブルとボールキープ力で脅威となり、他方で右サイドのオタビオはミランのプレスの基準点を乱す流動的な動きを披露。彼らや前線のタレミが中心となってミランを押し込み、続々とチャンスを作っていきました。
この点に関し、ミランの誤算ともいえたのがトモリのパフォーマンスではないでしょうか。
前半16分という早い時間帯でイエローカードを貰うと、普段のような圧倒的な対人能力は鳴りを潜め、後手に回るシーンが目立ちました。おそらく連戦に因る疲労や、ともすれば国際舞台の経験に乏しいこともパフォーマンスに影響を与えたのかもしれません。
○主力欠場の代償
ミランにとって、内容的に今季ここまでのワーストゲームといっても過言ではなかったポルト戦。
その原因として、先述の通りポルトが良かったというのももちろんありますが、やはり主力中の主力が複数人欠場したというのが痛恨だったように思われます。
例えばブラヒム・ディアス。今回のようにライン間が非常に狭い中でもボールをキープし、前を向いてボールを運べる彼の存在は今季のミランにとって非常に大きな武器です。
現状の彼の控えであるクルニッチ、ダニエル共にこのような役割はこなせませんし、実際にクルニッチはスペースのないこの試合でミスを連発。生命線となるジルーのポストプレーが機能しない展開だったこともあり、沈黙してしまいました。
また、ブラヒム不在のシワ寄せがサレマにいってしまい、彼のパフォーマンスにも影響を与えているような印象を受けます。具体的に、彼がブラヒムに代わってドリブルで打開せざるを得ないシーンが増えましたが(※この試合でもレオンに次ぐドリブル挑戦数を記録)、ドリブラーでない彼にこの役割を任せるのは荷が重いのではないかと。
この点、メシアスが健在であればサレマの代わりに起用することもできるのでしょうが…。
続いて、ブラヒムと同様に欠場が痛かったのがテオです。今回のようにプレスが中々機能せず、押し込まれる試合展開においては、彼の圧倒的な推進力を活かしたドリブルはトランジション時の大きな武器であり、試合の流れを引き戻す上で非常に重要な役割を担っています。
一方、彼の代役として扱われるバロトゥーレは、スピードこそありますがテオのようなドリブル能力はなく、主にタッチライン際でしかその能力を活かせていないことから、現状はテオの代役として十分とはいえません。それに、守備面がまだまだ危なっかしいですしね。
もし彼ら2人がいれば、今回のように試合の主導権を握られ、ほぼ一方的にボコボコにされる展開にはならなかったでしょう。いずれにせよ、この2人は現状替えが利かないことから早期復帰が特に強く望まれますね。
○今後の展望
さて。久方ぶりのCL復帰となったミランですが、ここまでは3戦3敗と全く結果が出ていません。

上は現在の順位表です。2位との勝ち点差は「4」という事でまだGL突破の可能性は残されていますが、極めて厳しい状況に追い込まれてしまったなというのが正直な印象です。
そして語弊を恐れず言えば、3位フィニッシュでELに回るくらいであれば4位でGL敗退し、リーグ戦に注力した方が良いと僕は思っているので、次のポルト戦の結果如何によっては複雑な思いで残り2戦を観ることになるかもしれません。
まぁ何にせよ、次のポルト戦に勝利すれば大逆転突破の可能性は見えてきますし、ホームで意地を見せて欲しいですね。
Forza Milan!
それでは今回はこの辺で。