ミラン、ペッレグリを獲得!~プレースタイルと獲得の是非について~
先日、ミランがピエトロ・ペッレグリの獲得を正式発表しました。
Official Statement: Pietro Pellegri ➡ https://t.co/F4ereQFzm1
— AC Milan (@acmilan) August 25, 2021
Comunicato Ufficiale: Pietro Pellegri ➡ https://t.co/mna5NzTmAO #NewPlayerUnlocked #SempreMilan pic.twitter.com/fkZUp97er4
移籍形式は原則として買取OP付きのレンタルですが、一定の条件が達成された場合に買取義務となるようです。
また、報道によればその具体的な額は「50万ユーロのレンタル費+買取額600万ユーロ」とされており、随分とリーズナブルな価格にまとまった印象を受けます。
さて。今回はそんなペッレグリについて、プレースタイルや獲得の是非などを書いていきたいと思います。
まず、ペッレグリのここまでのキャリアを語る上で欠かせないのが「怪我の多さ」についてです。
ジェノアにてわずか15歳でセリエAデビューを果たした神童は、その後モナコに移籍します。しかし、そこからの約4年は継続的な負傷に悩まされ、満足いくシーズンを送ることができていない状況です。

――ペッレグリの負傷歴(『transfermarkt』より)
上記はペッレグリの負傷歴をまとめたものですが、これを見ればモナコでのペッレグリが如何に怪我に苦しめられていたかがハッキリ分かります。上記ソースによればペッレグリの負傷離脱日数は合計で「717日」にもおよび、また試合欠場数の観点から見ると負傷により計「99試合」に出ることができませんでした。
このことから、新天地となるミランにおいてはまず何よりも「プレー可能なコンディションを維持し、調子を取り戻す」ことが求められますし、それがミランで成功を収めるための前提条件であるといえますね。
〇獲得の是非
こうしたペッレグリの獲得について懐疑的なミラニスティは少なくないように思われますし、個人的意見としても成功するかどうかは未知数だと思います。
しかしながら、限られた補強資金の中でチーム強化を行うためには、「”訳アリ”だけど優秀(有望)な選手に賭ける」というのが有力手段の一つです。
例えば昨季のミランはチーム強化のため、当時約1年間プレーしていなかったマンジュキッチを低コストで獲得しました。結果的にこの補強は期待外れに終わったものの、もしマンジュキッチが期待通りのパフォーマンスを披露できていればチームにとって安価で大きな戦力アップになっていたはずでした。
今回のペッレグリにしても、負傷によりまともに試合に出られないといったリスクは当然ながらあります。しかし、もし怪我なくコンディションを維持し、継続的な練習と出場機会により復調・成長することができれば間違いなくチームの大幅戦力アップになるでしょう。本来であればイタリア人でも屈指の有望株なわけですしね。
また、前回のマンジュキッチの例とは異なり、今季のペッレグリに期待される役割はあくまで「3番手のCF」、すなわちバックアッパーです。負傷離脱の多いイブラに代わり、レギュラークラスとして即戦力になることが求められたマンジュキッチとはそこが大きく異なりますし、更に移籍形式(結果を出せなければレンタルバックでき、結果を出せば安価で完全移籍させられる)をも考慮すれば、今回はリスクマネジメントが十分になされているように思われます。
以上のことから、個人的にペッレグリは「ロマン枠」としてもの凄く期待していますし、限られた資金の中では決して悪くない選択だったのではないかと思います。
〇ペッレグリのプレースタイル

――ペッレグリの基本情報(『Sofascore』より。なお、ミランでの背番号は「64番」)
続いてはペッレグリのプレースタイルを見ていこうと思うのですが、これに関してはコチラの英語記事「Analysis: Why the recently recovered Pellegri could be a real weapon for AS Monaco」を参照させてもらいます。詳しい内容を知りたい方はリンク先に飛んでご確認ください。キャプチャ画像付きでわかりやすく解説されているため、滅茶苦茶オススメです。
さて。ペッレグリの特徴としてまず挙げられるのは、優れた体躯を活かした「フィジカル的なプレー」です。
身体を張ったボールキープはもちろん、その長身と跳躍力によりロングボールやクロスのターゲットとして機能。
また、「テクニック」も水準以上に備え、優れたボールコントロールから狙い通りのプレーへとスムーズに繋げることができるとか。
本人曰く「イブラヒモビッチがアイドル」とのことですが、両者にはいくつかの点で類似性が見られますし、イブラの側で練習・プレーするというのはペッレグリにとって大きな財産になるのではないかと思います。
続いて、上記の他にペッレグリの大きな特徴として挙げられているのが「裏(スペース)への優れた動き出し」です。
というのも、ペッレグリは「相手DFとの駆け引き」と「味方からのパスの引き出し」の両方に長けているようで、抜け出すタイミングや角度、そして相手守備陣の対応やポジショニングを上手くはかりながら裏抜けを行えるといった特徴を備えているとか。
具体的には、相手の背後に回り込みつつタイミングをはかり、味方のラストパスやクロスに巧みに合わせる形などが見られるようですね。
〇おわりに
以上のことから、ペッレグリは万能型のCFになる素質をかなり秘めた選手であることが考えられますし、無事に成長を果たせればミランにとって最高の補強になるはずです。
ただし、1つ留意しておくべきは、ここ数年の度重なる負傷により現在のペッレグリはトップフォームから大きく離れているだろうという点ですね。
継続的な負傷離脱により調子を落とし続け、それにより成長の機会をも逸するというのは割とある話で、ミランにもかつてアレシャンドレ・パトという最高クラスのポテンシャルを秘めたストライカーがいましたが、無数の怪我によりそのポテンシャルをフルに引き出すことは叶いませんでした。
そのため繰り返しになりますが、ペッレグリに関しては「怪我をせずに継続的にプレーし、トップフォームを取り戻す」ことが何より重要だと思いますし、ミランに加入してコンディション面が改善されることを願ってやみません。
イブラ、ジルーという正に手本とすべき選手が2人もいる環境はペッレグリにとって申し分ないはずですし、願わくは彼らのメンタル・技術を受け継いだペッレグリに将来のミランの柱となってもらいたいです。
それでは今回はこの辺で。