【新(真)10番のお披露目】サンプドリア対ミラン【2021-22シーズン・セリエA第1節】

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カカニスタ22
今回はセリエA2021-22シーズン第1節、サンプドリア対ミランのマッチレビューを行いたいと思います。


スタメン

【21-22シーズン】サンプドリア対ミラン_スタメン_TACTICALista_2021825038

基本システム:サンプドリア「4-4-2」、ミラン「4-2-3-1」
(※当記事におけるキャプチャ画像の映像引用元はいずれも『Dazn』より)


ロングボール

ミランはこの試合、組み立ての局面においてはセーフティな形を優先。
サンプドリアのダブルボランチ(2、6)がミランのボランチをタイトにマークし、2トップ(23、27)もミランCBを監視してくるため、まずミランは後方から前線のジルーもしくは右サイドへとロングボールを多用していきます。


【21-22シーズン】サンプドリア対ミラン_戦術分析_TACTICALista_202182515
――9分、メニャンがボールを持った際のミランの陣形とサンプドリアの陣形。ここからメニャンは右サイドにロングパスを供給


例えば上記のようにサレマが中に絞り、相手のダムスゴー(38)を引き付けつつ右サイドにスペースを作ります。で、そのスペースにカラブリアが上がり、そこへロングパスを送り込んでいく形などですね。中に入ったサレマは上下左右に積極的に動いていきます。
すると試合序盤の9分、左SBアウジェッロがロングボールを処理し損ね、そのボールを受けたカラブリアがサイド突破。そのクロスにブラヒムがダイレクトで合わせてネットを揺らし、ミランが幸先良く先制に成功しました。

相手の過失による側面も大きかったものの、ミランとしては理想に近い形で取れたゴールだったかなと感じます。



トランジション

先制点の場面ではロングボール1本から一気に決定機へと繋げられましたが、当初のミランの想定としてはロングボールのこぼれ球に素早く詰め、ボールを拾ったりスローインから深い位置でリスタートしたりといったもののはずです。
つまり、敵陣にボールを送りつつ、こぼれ球回収からの速攻や素早いトランジションによって仕留めるという形が基本的な狙いの1つだったように見受けられました。


【21-22シーズン】サンプドリア対ミラン_戦術分析1
――例えばこの場面。ミランスローインからリスタートし、その後一旦相手にボールが渡る。ここでミランは人数をかけ、ボールホルダーを素早く囲い込みカラブリアがボール奪取を図る(赤)。また、この場面では逆サイド側のボランチであるクルニッチも囲い込みに参加し、よりコンパクトネスを高める


【21-22シーズン】サンプドリア対ミラン_戦術分析2
――その後の場面。ミランがボールを奪ってショートカウンターに繋げ、惜しいチャンスを作り出した



ベナケシ不在のため中盤の構成力は下がっていますし、かつ早い時間帯で点も取れているので無理に繋ぐ必要もありません。そのため合理的な戦略だったかなと思います。
また、この点に関して、クルニッチとトナーリのダブルボランチは縦横に走ってスペースを埋めてくれたと思いますし、身体を張った守備も散見されましたね。


サンプドリア戦_タックル成功数ランキング_21-22シーズン
――この試合における各選手のタックル成功数について(『WhoScored』より)。
クルニッチ、トナーリはカラブリアと並ぶチームトップの「3回」を記録した




ブラヒムの躍動

一方、前半中盤からは、ライン間ないし下がってボールを引き出そうと動くブラヒムに縦パスを付け、彼のドリブルによる持ち運びといった形も積極的に織り交ぜ始めるミラン。
サンプドリアの前線からのプレッシャーが強まったことや、ジルーへのロングボールからの展開が中々ハマらなかったこともあり、ブラヒムを経由しての速攻に活路を見出してチャンスを作り出していきます。


【21-22シーズン】サンプドリア対ミラン_戦術分析3
――例えばこの場面。左サイドのトモリにボールが渡り、そこにアタックするガッビアディーニ。この際クルニッチは最終ラインに下がってトルスビーを前に引き付けており、それにより空いている中盤のスペースにブラヒムが動いてトモリからボールを引き出す。また、ここではテオが前線で内に絞ってCB吉田を牽制することで、吉田が前に出辛い状況を作り出している(赤)


【21-22シーズン】サンプドリア対ミラン_戦術分析4
――ボールを受けたブラヒムに対し、やや遅れて吉田とプレスバックしたトルスビーが対応。しかし、ここで時間を得ていたブラヒムは前を向き、2人を躱してドリブルで前に運ぶ


【21-22シーズン】サンプドリア対ミラン_戦術分析5
――その後の場面。斜めに走り込んできたレオンにブラヒムがパス。惜しくもオフサイドとなったが、チャンスを作り出した


この試合ではダブルボランチが中々ボールを運べないコンビのため、ブラヒムのドリブルによる推進力がポゼッション時にかなり鍵になっていました。そしてチームとしてもブラヒムのドリブルを活かすべく、上記のようにクルニッチがスペースメイクしたり、サレマやレオンが内に絞ったりなどして相手最終ラインを牽制することで、ブラヒムの下がる動きに対応させ辛くしていたのではないかと思われます。


【21-22シーズン】サンプドリア対ミラン_戦術分析6
――後半早々における同様のシーン。クルニッチが対面のトルスビーを引き付け、空いたスペースにブラヒムが入ってメニャンからパスを引き出す


【21-22シーズン】サンプドリア対ミラン_戦術分析7
――その後の場面。ブラヒムがここまで独力でボールを持ち運び、裏に抜けるサレマにスルーパスを送ろうとしたがインターセプトされた


更に、ブラヒムは組み立て時だけでなくカウンター時にもたびたび躍動。サレマやテオ、レオン等と協同し、主に左サイドからの惜しいカウンターチャンスに関与していきました。
正に新(真)10番に相応しい活躍ぶりでしたね。



メニャンの戦術的価値

他方、そんなブラヒム等へボールを渡す「パスの出し手」に目を向けると、特にGKメニャンの存在は重要でした。

先述の通りサンプドリアが2トップ・ダブルボランチでミランの2CB・ダブルボランチに制限をかける中、最後方で比較的自由にボールを持てたメニャンが正確なパスを継続的に供給することで、チームの前進に大きく貢献してくれました。


【21-22シーズン】サンプドリア対ミラン_戦術分析8
――例えばこの場面。メニャンがボールをキープし、前方の状況を確認。ここではトルスビーがメニャンにプレスをかけにくる。


【21-22シーズン】サンプドリア対ミラン_戦術分析9
――メニャンがキックモーションに入る。角度とキックモーションにより、前方~右方向への(ロング)キックだと相手に予測させる


【21-22シーズン】サンプドリア対ミラン_戦術分析10
――しかし、実際にメニャンが選択したのは左斜め前方のブラヒムへのショートパス。


【21-22シーズン】サンプドリア対ミラン_戦術分析11
――メニャンによる相手の虚をつく見事なパスにより、ブラヒムはドフリーでボールを持つことに成功した


メニャンのようなGKがいれば後方からのビルドアップの質は向上しますし、改めて良い補強だったなぁと思います。


また、メニャンは前後半にそれぞれあったピンチも抜群の俊敏性を活かしてセーブし、GKとしての本分もしっかりと果たす活躍ぶりを披露。個人的にこの試合ではブラヒムに次いで素晴らしかったのではないかと思います。



守備の局面

最後に守備について少し。
先ほどのスローインからの守備のように、ミランは普段通りコンパクトな守備を実施。それによりボールを奪取し、カウンターへと繋げるシーンが見られました。

対するサンプドリアは時にボランチをサイドに流すなどしてミランの守備の基準点をずらそうとしましたが、ミランは基本的にマークを受け渡して対応。また、ダムスゴーのいる左サイドでは主に彼とアウジェッロの連携により突破を図りますが、対面のカラブリアとサレマがしっかりと対応。

そのため、大体においてはサンプドリアの攻撃を封じ込められていたかなと。ただし、パスミスからの被カウンターや試合終盤の猛攻時などはヒヤリとしましたし、この点については特にテオにミスがあった印象です。

まぁそれでも最後までゴールを許さずに試合終了。ウノゼロで勝利を収めました。

サンプドリア0-1ミラン


雑感

難しいチーム状況の中でも手堅く戦い、見事に初戦を制したミラン。

攻撃に関してはチームとして主にブラヒムを活かす戦術を採り、そのブラヒムが期待に応えて決勝ゴールを含む大活躍を見せるという理想的な結果に。しかし全体的なチャンスの質(決定機の数)という点では物足りなさは否めず、この点は次節以降の課題になるでしょう。
とは言え、ジルーのポストプレーからの周囲の抜け出しや、ジルーへのクロスという形などはこの試合でも何度か見られ、あと少しのところで決定機になりそうな場面も散見されるだけに、文字通り時間の問題であると個人的には楽観視しています。
新加入選手であるジルーと周囲の連携が深まれば、相乗効果が生まれチャンスの数・質も向上していくと思いますしね。

問題があるとすれば、それはブラヒムの負担が大きいことによる疲労ないし負傷のリスクではないかと。
この試合でも組み立て時のボール運び、崩しの局面におけるチャンスメイク、守備時・カウンター時のスプリントとフル稼働しており、その影響か60分過ぎには疲労が露わになってるように感じました。
元々スタミナが多いわけではないので、この状態をキープし続けるのは現時点だと難しいと思いますし、その意味でもやはりブラヒムの好調如何に関わらずトップ下に補強は必要ではないかと感じます。


さて。開幕白星スタートに成功したミランの次の相手はカリアリです。
次の試合も勝利を収め、最高の形で代表ウィークを迎えたいですね。

Forza Milan!


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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Comments 6

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Aki  

ありがとうございます。今季もお世話になります。
いよいよ開幕!CLも含め楽しみなシーズンで鼻息も荒れております。

まず何より勝利が嬉しいです!そしてブラヒムはまさに10番としての大活躍でした。なんとかって前10番(の良い時)同様に広い範囲でのリンク、カウンターの運びとパス。素晴らしかったです。
ただやはり活躍すればするほどスタミナは心配ですね。交代前提では物足りないですし、チームとしての課題かもしれません。

メニャンも素晴らしかったです。前任とは違うタイプとして活躍が期待できそうです。挙げていただいたシーン以外にもフェイントでのショート・ミドルパスを巧みに使いこなしていて、一瞬パスミスかと思っちゃいました。チーム戦術として今後さらに活きそうです。

ジルーもボールが入れば良い仕事をしていたと思うのですが、距離感か連携か、だいぶ改善の余地があるように見えました。

トナーリはやはり覚醒しつつありますね。ボールスキルやドリブルは昨季より発揮してきています。圧巻のドリブルに思わず(僕が)立ち上がるシーンもあり。エグいパスももっと発揮して欲しい。

終盤にロマニョーリいれての3CB(5バック?)、今回は機能したか良くわかりませんが今後アリなオプションかもしれません。

勝ったし注目選手の活躍もあり満足ですが、やはり戦力不足も感じますね。もう1点欲しいと思っても交代カード少なすぎます。
メルカート終盤と次節、今週も楽しみです!!

  • 2021/08/25 (Wed) 09:59
  • REPLY
グラミラニスタ  

レビュー、ありがとうございます。勝手ながら、今シーズンも楽しみに拝見させていただきます。
咋シーズン、2位フィニッシュだったものの、まだ暗黒時代のトラウマがあるため、試合結果がドキドキです。とりあえず勝てて良かったですし、新戦力の可能性や既存選手の成長も感じれて嬉しいかぎりです。
UCLの組み合わせ、移籍期間終盤の行方、ケシエの更新など、気になること満載ですが、これまでとは違うステージの悩みなので、ワクワク感もありますね。
あの偉大なミランを取り戻すため、今シーズンも上を向いて進んで欲しい!

  • 2021/08/25 (Wed) 19:31
  • REPLY
デラピッポ  
祝電

更新お疲れ様です。デラピッポと申します。
数年前に一度コメントさせて頂いた
(カラブリアがプリマベーラから上がって来た?ぐらいの頃)のですが,
今シーズンオフからうちの奥さんをミラニスタに引きずり込む事に成功した為,
私も本腰サポ復活!⇨書き込みさせて頂きます。

アンブロジーニが退団して以来のサポ復活です。それでもリザルトは常に追っかけてましたが, 辛い事ばかりでした。
当時に比べて今ミランは未来が明る過ぎて幸せです。チーム愛と別でしょうが, エリオットも投資メリットで一致してるし。

今節ですが, 2連発を塞いだ瞬間から,
我が家ではメニャンをマジックマイクと呼んで応援してます。
真10番の瑞々しい笑顔は, パロスキやクトローネを思い出させますね(涙)
次節以降マークされてからに大期待です。
ブラヒムとメニャンには色々と忘れさせて欲しいですね。

DAZNで見逃し配信が基本になると思いますが, Forza,milan!!

P.S. ベロッティがインテル行きってマジですかね。いつか赤黒の妄想し過ぎてたのであのユニフォーム見るの辛過ぎる。

  • 2021/08/25 (Wed) 20:19
  • REPLY
カカニスタ22
カカニスタ22  
To Akiさん

コメントありがとうございます。

ブラヒムを酷使して怪我させてしまうのは最悪ですし、その意味でも彼をスタートから休ませることのできる優秀なトップ下の補強は必要かなぁと思いますね。システム自体を弄るという解決策もありますけど、選択肢は多いに越したことはないですしね。

3バックについては試合後にピオリ監督が今後採用していく可能性も示唆していますが、ガッビアやカルルもいますし、オプションとしてアリだと僕も思いますね。柔軟に選手やシステムを使い分けてくれると嬉しいです。

  • 2021/08/26 (Thu) 23:23
  • REPLY
カカニスタ22
カカニスタ22  
To グラミラニスタさん

コメントありがとうございます。

いきなりの主力不在という状況の中で迎えた開幕戦だけに僕も不安でしたが、蓋を開けてみればチームとしての安定ぶりを感じるゲームとなり良かったと思います。

今季はCLもあり昨季以上に見所が多くタフなシーズンになりそうです。ただ、こういう状況はミランがあるべき姿に戻ろうとしているが故だと思うので、耐えるべきときは耐えつつファンとして応援していきたいと思います。

  • 2021/08/26 (Thu) 23:24
  • REPLY
カカニスタ22
カカニスタ22  
To デラピッポさん

お久しぶりです。コメントありがとうございます。
ミラニスタの勧誘もお疲れ様です(笑)

メニャン、ブラヒム共に素晴らしいスタートを切れましたし、この調子を是非とも維持してもらいたいです。

ベロッティはどうなりますかねー。かねてから噂のあったコレアはインテルに行きましたが、ベロッティもとなると凄いですよね。

  • 2021/08/26 (Thu) 23:25
  • REPLY