ミラン、イリチッチと個人合意
『ディマルツィオ』によれば、ミランはイリチッチの獲得交渉に関しクラブ側のアタランタとは合意していないものの、選手のイリチッチとは既に個人合意に達しているとのことです。
🚨 Milan and Ilicic have already agreed personal terms with contacts established since April. No agreement has been reached with Atalanta yet. Milan intend to wait with deal to possibly be concluded in the final week of the market under better conditions
— Milan Eye (@MilanEye) August 6, 2021
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年齢や現行契約期間、現在籍クラブでの立場などの理由により、イリチッチ獲得のハードルはさほど高くありません。
各報道によればアタランタは移籍金として600~800万ユーロを要求しているのに対し、ミランはその約半分(およそ350万ユーロ)もしくは買取OP付きレンタルでの取引成立を望んでいるとのこと。
他の獲得候補(ヴラシッチなど)との交渉に比べれば隔たりは小さく、もしミランがイリチッチ獲得に本腰を入れれば(他クラブの介入がない限り)合意は十分に可能であるといえますね。
ここ数年のイリチッチはアタッカーとしてセリエAでトップクラスの成績を収めており、直近3シーズンの通算成績はリーグ戦85試合で33ゴール25アシストというものです。
近年のアタランタの躍進を支えた1人であることは間違いありません。
また、イリチッチはアタランタにおいて、チームのずば抜けた組織力も相まって卓越したチャンスメイクを披露しており、それは以下のようなデータにも表れています。

(参考:19-20シーズンにおけるイリチッチのパススタッツ及び、セリエAの同ポジションの選手たちを対象に測定したパーセンタイル値)
一例としてパスに関するスタッツを挙げましたが、いずれもセリエAの同ポジションにおいてトップクラスの数値を記録しており、アシスト期待値に至ってはリーグトップとなっています(出場機会の多かった19-20シーズンをここでは参照しましたが、昨季も同様に高数値を記録)。

その他にも上記のドリブルに関するスタッツを筆頭に、攻撃のスタッツにおいては軒並み高数値を記録しているイリチッチ。
アタランタのチーム戦術に因る部分も大きいとはいえ、彼の持つ技術は確かだといえます。
〇イリチッチに期待すること
さて。そんなイリチッチをミランは「右サイドハーフ」の補強候補として位置づけ、獲得を狙っていると。
この点について、イリチッチは右サイドを主戦場とする選手であり、中でも右ハーフスペースでのプレーぶりには特筆すべきものがあります。

(参考:イリチッチのシーズンヒートマップ)
そして、ミランの右サイドハーフは崩しの局面において中に入り、プレーすることが求められるポジションであるため、イリチッチがハーフスペースでその多彩な能力(キープ、ドリブル、パス、ミドルシュート)を如何なく発揮する可能性は十分に考えられますね。
現在のミランの右サイドハーフにはサレマ、カスティジェホといるわけですが、後者は攻撃面での貢献度が極めて低く、サレマも成長中であるとはいえ独力でのボール運びやラストパスの精度に現状欠けるところがあるため、イリチッチのようなクオリティの高い選手は求められるところであります。
一方、守備範囲やプレス強度に関してはサレマに分があると思いますし、状況に応じて両者を使い分けられればベストではないかと。
例えば、スタートは手堅くサレマを起用し、点が欲しい状況になればイリチッチを投入するといった形ですね。もしくは、イリチッチスタメンの場合は左サイドにクルニッチを起用しバランスをとるなどといったことも考えられます(システム自体を少し弄ってもいいですしね)。
いずれにせよ、彼の加入が実現すれば攻撃の選択肢は増えますし、チームの崩しのクオリティを大きく高め得る存在ではないかと。
〇おわりに
最後に。加齢によるフィジカルコンディション低下(=衰え)のリスクや、割と好不調の波があることなど、イリチッチ獲得に関していくつかの懸念材料があるのは確かです。
しかし、既に補強資金が”かつかつ”の状況であるミランからすれば、ローコストで実績十分の実力者を迎えられるチャンスはできるだけ逃したくないですし、多少のリスクは受け入れざるを得ないのではないかと個人的には思います。
ただし報道によれば、イリチッチの獲得交渉は移籍市場終盤まで縺れる可能性が高いようで、正直右サイドは早く補強して欲しいのですが…。交渉の行方については気長に待つことになりそうです。
それでは今回はこの辺で。