ブラヒム・ディアスの守備貢献について
本来は彼のローン延長(+買取OP)が正式に発表されてから載せようと思った記事なのですが、同様に考えていたチャルハノールがああいう事になって記事が2つもお蔵入りとなってしまったため、万が一の事を考え早めに載せます。
というわけで最近ブログ更新が滞っていたのはチャルハノールのせいです。はい。
ミラン加入当初は守備面が大きく懸念されていたブラヒムですが、イタリアでのタフなシーズンを通して長足の進歩を遂げてくれました。
そして、その集大成を披露したともいえるのが35節のユベントス戦です。

トップ下で先発出場したブラヒムは、守備時に相手ボランチの一角であるベンタンクールをマークしつつ、右CBデ・リフトにボールが渡った際にプレスをかけるという役割を主に担当しました。

――例えばこの場面。右サイドからバックパスを受けたデ・リフトが、中央のラビオにパス。ここでブラヒムはベンタンクールへのパスコースを消す

――その後の場面。ベナセルからプレッシャーを受けたラビオはデ・リフトにボールを戻す。そこで、事前に準備していたブラヒムがプレスを開始

――その後の場面。サイドに流れたデ・リフトにブラヒムがタイトに付き、ロングボールを蹴らせる

――そのロングボールはトモリが回収した
またプレスを外された場合も、しっかりとプレスバックして相手の中盤に対応します。

――例えばこの場面。左サイドにボールが展開され、中央のベンタンクールがボールを受けようとする。しかしそこにはブラヒムが対応。

――その後の場面。ボールを受けたベンタンクールだが、ブラヒムの背後からのプレッシャーもありパスミス(赤)。ミランのスローインとなった
このようにして中央へのパスコースを封鎖し、相手のビルドアップを妨害する主導的な役割を果たしました。

――参考1:ユベントス戦におけるプレスに関するスタッツ。ブラヒムはプレス回数「24回」(サレマに次いで2位)を記録し、またミドルサード(12回)、アタッキングサード(9回)ではチーム最多となるプレス数を記録した

――参考2:ユベントスのヒートマップ(右攻め)。ユーベは右CBデ・リフトの位置で多くボールを保持したが、そこから中央へボールを展開するのに苦戦した
確かにフィジカル的な強度という面では依然として十分ではないですし、それ故にサイドで起用される際などは1対1の守備局面で危うさを見せることもあります。しかしプレスの速さや角度、タイミングといった技術的な側面は大きく成長しているように感じられ、そこに持ち前の献身性が合わさることで十分な守備貢献を果たしてくれるようになりましたね。
振り返れば、ELマンチェスター・ユナイテッドとのファーストレグ(1-1)でもプレスが機能してチームとして良い試合を見せたわけですが、その時もブラヒムがトップ下です。
また、ミランが5連続クリーンシートを達成したシーズン最後の5試合の内、4試合がブラヒムのトップ下先発という事で、彼が先発で出た時にミランが多くの結果を残しているのは紛れもない事実ですね。
ここからは守備に関するデータについて、同ポジションの選手達(5大リーグの攻撃的ミッドフィルダー、ウインガー)と比較していきます。

まずはタックルのスタッツですが、いずれもパーセンタイルは50を上回っており、中でも平均タックル勝利数は92パーセンタイルと上位に位置していますね。

続いてはプレスのスタッツですが、こちらはいずれも高数値をマーク。中でもアタッキングサード・ミドルサードでのプレス回数やプレス成功数が同ポジションの他選手と比べて秀でており、ブラヒムがハイプレス・ミドルプレス主体のミランの戦術の中で自分の役割をしっかりと遂行しているのが分かります。
〇おわりに
今回はブラヒムの守備面にフォーカスを当てましたが、これまで書いてきたように彼の攻撃面も特筆すべきものがあります。
21歳の若手選手がセリエA初挑戦でここまでの成長・活躍を見せるというのは珍しいと思いますし、ブラヒムのポテンシャルの高さというのが窺い知れますね。
Talks between Milan and Real Madrid for Brahim Diaz are in a good stage and deal could be agreed within a week. Agreement was found on the basis of loan with option to buy+buy back option. Transfer figures still need to be defined
— Milan Eye (@MilanEye) June 20, 2021
[@DiMarzio] pic.twitter.com/csdHZ4Bbij
報道によれば、ブラヒムは来シーズンもローンでのミラン残留が濃厚となっており、後は買取OPの額といった点での交渉を残すのみとのこと。彼を来季もミランで見られるのは非常に嬉しいです。
ブラヒムは攻守両面でまだまだ成長を続けてくれるでしょうし、来季は今シーズン以上に主力としてチームを導くことが求められそうですから、大いに期待していきたいと思います。
それでは今回はこの辺で。