【辛勝】ミラン対ジェノア【2020-21シーズン・セリエA第31節】

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カカニスタ22
今回はセリエA第31節、ミラン対ジェノアのマッチレビューを行いたいと思います。


スタメン

【20-21】ミラン対ジェノア_スタメン_TACTICALista_20214201456
4-2-3-1のミランと3-5-2のジェノア。
ミランの攻撃

この試合の相手、ジェノアは守備時に5-3-2でセットし、しっかりと中央を固める形。対するミランは序盤ロングボールを多用し、セーフティな組み立てを優先していきます。

前節のパルマ戦とはだいぶアプローチを変えた戦いですが、これついてはまずジェノアがパルマよりも中央の守りが固かったという点が挙げられます。

加えて、前節では積極的にライン間に下がってボールを引き出し、チャンスメイクしたイブラが今節は欠場。代役のレオンに同様の役割は課せないですし、トップ下のチャルハノールも未だに状態が上がらないという事で、中央からの崩しは自チームの状態からも難しいものがありました。

そんなわけで、ミランは前線のレオン、サレマ等の裏抜けに合わせてロングボールを蹴り混んでいく形がメインになる、と。


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――例えばこの場面。右SBカルル(赤20)がボールを持ち、それに対しジェノアはインサイドハーフのストロートマン(青20)が対応。そこでカルルは前方で裏に抜けるサレマ(56)にロングパスを通した。なお、ここでレオン(17)も裏抜けをしているが、この試合ではこのように前線で裏抜けを繰り返した。下がってボールを引き出す動きを絡めるイブラとは対照的だが、チームとして機能する動きだったかは疑問


前線の味方に直接ボールが入り、即チャンスというシーンはもちろんほとんどないわけですが、ミランとしてはここで失っても相手陣内深くでプレスをかけられる状態を作れます。
この試合のミランはプレス+ショートカウンターの意識が高かったため、おそらく守備のことも考えてのこうした攻撃だったのでしょうね。


中央突破と不振

とは言え、上記の形だけでは単調過ぎる攻めですし、相手も対策を取りやすい。そこで、ミランとしては中央を経由した攻めも何度か見せていきます。


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――例えばこの場面。ミランのバックパスに応じてジェノアが前に出てきたが、ミランはドンナルンマ(99)、トモリ(赤23)と繋ぎ、ジェノア2トップの背後にポジショニングするベナセル(4)にボールを預ける


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――その後の場面。デストロ(青23)が急いでプレスバックするが、ベナセルがプレスを剥がしてドリブルでボールを運ぶ。その後、ライン間のレビッチ(12)にパスを通した


このように相手の1列目と2列目の間でボールを引き出せるベナセルの存在はやはりデカかったわけですが、パスの精度や判断スピードなどを見るに、まだ本調子とは言い難い印象を受けました。
また、ミランはチーム全体でミスが目立ち、中央突破できそうなシーンでもロストやパスミスを連発。中でもチャルは状態が上がっておらず、またレオンも崩しの局面における貢献度はかなり低いものでした。

それでも13分。セットプレーの流れから、最後はレビッチが素晴らしいシュートを突き刺し、ミランが先制に成功します。
このままグダグダ時間が経過する可能性があっただけに、この得点は非常に大きいものだったんじゃないかと。


ミランの守備

続いてミランの守備についてですが、先ほど少し触れたとおり、ミランは強度の高いハイプレスを見せていきます。
対するジェノアはWBや2トップへのロングボールないし縦パスを多用して打開を狙いますが、WBに対してはミランの両SBが素早い出足でチェック。またジェノア2トップにはケアーとトモリの2人主に対応し、がほぼ完全に封じ込めていく、と。


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――例えばこの場面。ジェノアのバックパスに応じて、レオンがプレスをかけに行く。そこでペリン(1)はラドバノビッチ(21)にボールを預けるが、そこへはレビッチが猛プレスをかける


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――その後の場面。レビッチのプレスは躱され縦にパスを通されるも、そこにはベナセルがすぐさま対応していく。その後ジェノアはザイツ(16)、ゴルダニーガ(5)、ギリオーネ(18)と繋いでいくも、ミランのプレスによって追い込まれた状況に


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――その後の場面。ギリオーネが前線のデストロにパスを送ろうとするも、パスを読んでいたトモリがインターセプトした


このようにして何度か良い形でボールを奪い、カウンターへと繋げていきました(ただし、先述の通りミスが目立ち、せっかくのチャンスをフイにする場面が散見)。


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――先ほどの続きの場面。ボールを奪ったトモリは、ライン間に位置するサレマに素早くボールを渡し、ミランがカウンターを開始



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――その後の場面。ここではサレマ、チャル、レオンとテンポ良くパスを繋ぎ、レオンがゴール前でチャンスを迎えるが決めきれず


CB陣が機能していると最前線からのハイプレスの安定感は飛躍的に増しますし(逆に、CBのところで常に劣勢を強いられるインテル戦はいつも苦戦しますが)、この試合ではチームとしてもかなり守備がまとまっていた印象です。
しかしながら37分。CKからデストロに決められ、ジェノアが同点に追いつきました。

ミランの得点もそうでしたが、基本的にセットプレーからの得点というのは試合の流れとは関係なく生まれることが往々にしてあります。今回も、流れ的には勿体ない失点だった感じです。

ところで現在のトモリの課題として「自陣エリア内での空中戦(ポジショニング、クロスボールの弾き方)」があると思っているのですが、今回の失点シーンではその部分が露呈してしまったかなと。
もちろん、現時点でもそれを補ってあまり余るチーム貢献度がありますが、より完成されたCBになるには改善が求められる点だと思います。

さて。というわけで、前半は1-1で終了。


コンディション不良

後半早々の47分。右サイドの崩しから最後はレビッチが決定機を迎えますが決めきれません。


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――該当のシーンについて。この位置でボールを持ったカルル(20)はサレマにボールを預け、自身はエリア内に侵入。そこでサレマはワンタッチでリターンパスを出し、カルルがエリア内でボールを受ける


【20-21】ミラン対ジェノア_戦術分析10_TACTICALista_20214201651
――その後の場面。カルルが中央へパスを送り、レビッチが合わせるがボールは上空へ飛んでいった


このシーンを始め、様々な局面で顔を出してチャンスに絡んだサレマのパフォーマンスはかなり良かったと個人的に感じていまして、パスとフリーランニングを活かして周囲の味方と連動しながら崩していく彼の持ち味は発揮されていたかなと。
ただ、攻撃時におけるサレマはあくまでサポート役であって、フィニッシャーやチャンスメーカーとして強く期待されているかというとそうではありません。

そうした役割は主にレビッチ、レオン、チャルハノールに委ねられていたわけですが、レビッチは素晴らしい先制点を挙げたから良いとして、残りの2人については物足りないといわざるを得ません。
彼らがチームとしても個人としても十分なパフォーマンスを発揮できていない点はかなり気になりましたし、特にチャルハノールは現状トップ下の絶対的なレギュラーですから、何とかコンディションを上げて欲しいと思います。


マンジュキッチ、勝負の8戦

その後もジェノアの低ライン+人数をかけた固い守備を前に、パスミス等で流れを掴めないミラン。
すると62分。カルル、サレマ、レオンに代えてダロト、ブラヒム、マンジュキッチを投入して打開を図ります。

チャルハノールじゃなくてサレマ?とは思いましたが、マンジュキッチはパワープレー要員として、ダロトは攻撃面、ブラヒムは狭いスペースでも上手くプレーし得る選手という事で、投入選手の選択はいずれも妥当なものだったと思います。

すると68分。ミランのCKでスカマッカがオウンゴール。ミランが追加点をゲットしました。
この得点シーン、ボールに対しマンジュキッチが競り合った事で、そのボールはマンジュキッチの背後にいたスカマッカから見えなくなってしまったはずです。というわけで、間接的にマンジュキッチが得点に絡んだといえるのかなぁと。

また、この得点シーン以外で言うと、マンジュキッチは怪我明けにしては良く動けていた印象でした。
このミランのシステムと2列目の組み合わせだと、1トップにレオンはかなり厳しいですし(個人的に、レオンを中央の選手として考えるのは今でも諦めていませんが)、イブラほどではないとは言え、ポストプレーによるチャンスメイクが期待できるマンジュキッチは今のチームを機能させる上で重要な存在になり得ます。

残り7試合。イブラがフル稼働できる可能性は高くないですし、マンジュキッチにも間違いなく出番はあるでしょうから、ここからの彼の活躍に期待したいですね。


さて。その後の試合内容については、ジェノアがアタッカーを次々と投入して攻勢をかけていきます。
そして86分。ドンナルンマがハイボールの処理をミスして大ピンチを迎えますが、ケアーとトモリが魂のディフェンスで防ぎ切りました。



ここで正直オワッタと思いましたが…今見返しても肝を冷やすシーンです。

こうして最大のピンチを乗り切ったミランは、その後も守り切ることに成功。勝利で試合を終えました。

ミラン2-1ジェノア


雑感(ほとんどスーパーリーグについて)

ホームで2ヶ月ぶりとなる勝利を手に出来た試合でしたが、内容的には戦術云々よりまずミスが多すぎるかなぁと。

前回の記事でも一部主力選手のコンディション不良について言及しましたが、シーズンも終盤になり、この点の改善がどうにも上手くいっていない印象を受けます。

次節はイブラが(もしかしたらカラブリアも)戻ってくるので戦術的には然程問題なくなるでしょうが、やはり選手個人のコンディションが戻らないと苦戦は免れませんし、何とか状態を上げていって欲しいところです。




ところで現在、欧州サッカーの世界に「スーパーリーグ」なる新リーグが設立されることが話題となっているわけですが、ミランもそのリーグの参加チームとして公式声明を出しており、一ミラニスタとしてこの件に触れないわけにはいきません。

今シーズンもといここ数年間、ミランは「CL復帰」を目標に掲げて戦い、監督も選手もファンも辛酸をなめ続けてきたわけですが、どうやらその裏でフロントはCLに対抗するスーパーリーグの設立に向けて動いていたようで…。

まぁ正直な話、このリーグの参加チームの1つであるミランにとっては財政的メリットが相当にあるようで、コロナ禍に喘ぐ現状も踏まえますと、少なくとも短期的には悪い話ではないように個人的に感じます(あくまで財政的には、ですが)。

ただ僕自身、「CL」という「世界最高の舞台」で躍動する当時のミランを見てこのチームを好きになったわけですし、やはりCLには特別な思いがあります。また、ミランの栄光の歴史を語る上でCLの存在は欠かせません。
そして、長年の苦難を経て、今まさにその舞台に戻れるかもしれないというこのタイミングでスーパーリーグなるものの設立を発表されても、気持ちの整理がまるでつかないというのが現時点での率直な感想です。

現時点で僕がはっきり言えるのはこうした心情だけであって、スーパーリーグの是非等についてはもう少し色々とハッキリしてから個人的見解を書かせてもらおうかなと。




何にせよ、今回の件で目下一番気にかかるのが監督や選手への影響です。

報道だと、プレミアリーグのSL参加表明クラブなんかは選手や監督がこのことを全く知らされておらず、動揺しているという話ですし、ミランにおいても監督・スタッフや選手にこの件がしっかりと伝えられているのか気になるところです。

それに、SLに参加するクラブの選手をW杯やEUROといった国際大会から締め出す動きがあるようで、こうした報道を見た選手たちへの心理的影響というのは決して小さくないんじゃないかと。

ミッドウィークには難敵サッスオーロとの対戦が控えていますが、果たしてミランは冷静に試合に臨めるのかどうか…。

このように気になることは盛り沢山ですが、とにもかくにも僕はミランを応援していく気持ちに変わりありません。
まずは目先の勝利を願いたいと思います。

Fotza Milan!

最後まで読んでいただきありがとうございました。


追記(4/21、7時)

日本時間で今朝方、SLへの参加を当初表明していたプレミアリーグの各クラブが、SLからの撤退を発表しました。
また、報道によればミランも撤退するとのこと。

まさかこんなにも早くスーパーリーグが瓦解するとは思いませんでしたし、UEFA・FIFAとの全面対決のムードは何だったのかと(笑)

まぁとにもかくにも、これで今季リーグ戦の価値(4位以内に入ること)が依然として極めて高いものとなりましたし、ミランとしては今夜行われるサッスオーロ戦に勝利していきたいですね(イブラを始め、またしても欠場者が続出する可能性があるそうなので苦戦は濃厚ですが…)。

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