ミランのCB陣容について今一度考える ~トモリ獲得の狙い~

フィカヨ・トモリ
ミランのCB補強の最有力候補とされていたシマカンですが、先日の試合で全治2か月の怪我をしてしまったとのこと。そのため、ミランの「今冬の」獲得候補からは外れたと報じられています(シマカンが今冬に移籍しなければ、来夏のメルカートで再び狙うらしい)。



そこで、代替案として浮上し、獲得が濃厚になっているのがチェルシーに所属するフィカヨ・トモリです。
ミランの現有戦力について


トモリについて詳しく言及する前に、まずミランの現有戦力(CB)を整理したいと思います。

先日、ドゥアルチがトルコのバシャクシェヒルというクラブへレンタル移籍(買取OP付)することが発表されました。そのため、今のミランにはケアー、ロマニョーリ、ガッビア、カルル、ムサッキオの5人がおり、離脱中のガッビア(もう少しで復帰)を除けば4人が起用可能な状況です。

そして、今のミランの基本システムにおいて、同時に起用できるCBは2人。よって、CBは人数的にはさほど問題のないポジションですし、数で言えば左SBとかの方がよほど層の薄いポジションです(本職がテオしかいないため)。

そもそも、CB補強の必要性が叫ばれた昨夏と今とでは状況が大きく異なります。というのも、昨夏はロマニョーリ、ムサッキオが長期離脱中で、カルルは主戦力としては考えられておらず、シーズン開幕時点ではケアーとガッビアしか主戦力がいませんでした。
しかし、ガッビアが今シーズンの中で成長した姿を見せ、カルルが台頭してきた今、CBの層は当時に比べかなり厚くなっています。


トモリ獲得の理由

それでも各メディアによれば、上記2者の台頭後もミランが変わらずにCBを要補強ポジションと捉え、シマカンやカバク(シャルケ)などを獲得候補とみなしていると報じていました。そして現在はトモリの獲得に向け熱を上げているとのことです。

一見するとやや不可解に思える話ですが、おそらくフロント及び監督の意向としては、「対人戦に極めて優れたCBが欲しい」というのがあるのだと個人的には思います。


今のミランのレギュラーCBはケアーとロマニョーリの2人ですが、両者共にライン取りやカバーリング、そして空中戦(ポジショニングを活かしたクリア)等に優れています。よって、ラインコントロールとリトリート後のクロス等において強みを発揮しており、ミランの堅守に大きく貢献してくれていると思います。

しかしながら、対人戦(地上での1対1など)において絶対的な強さを持っているとは言い難く、特にロマニョーリはディバラやルカクといったカンピオーネクラスとマッチアップした際、フィジカル的な限界を露呈することが少なくありません。


一方で、獲得が濃厚だったシマカン、そして現在獲得に動いているトモリはいずれもフィジカル的な長所を数多く持った選手であることが明白ですし、そのため対人戦においても強さを発揮するものと推察されます。
彼らのような存在は、今のミランのサッカーにも凄くフィットすると思いますし、アグレッシブなスタイルにより磨きをかけていく上でも重要ですから、是非ともこの手のタイプは欲しいところです。


(※トモリの好プレー集)


続いて。軽くですがデータにも触れておきたいと思います。
まず、ロマニョーリとケアーの守備に関する主要スタッツ(2020-21シーズンのリーグ戦)です(『SofaScore』より)。


ロマニョーリ_暫定守備スタッツ
――ロマニョーリ



ケアー_暫定守備スタッツ
――ケアー


続いてトモリについてですが、彼は今シーズンほとんど出ていないため、昨シーズンのリーグ戦のデータを参照します(同じく『SofaScore』より)


トモリ_1920守備スタッツ
――トモリ


こうして見比べてみると、1試合平均のタックル数や地上戦勝利数などでトモリが優れた数値を記録しています。やはり、対人戦に優れているのでしょう。
まぁ特にDFに関してはフルで観てみないことには断定できませんので、あくまで参考程度にしておきたいと思います。


おわりに

最後に。先述の通り、個人的にはこの手のCBを補強することに賛成です。将来的にはクリバリのように強力な選手になってくれたら最高ですしね。

ただ、トモリに関していえば、果たして将来にわたって確保できる選手なのかどうかという疑問があります。
というのもミランは所属先のチェルシーとのレンタル移籍交渉に際し、例によって契約形態で揉めていたわけですが、争点の一つに「買取OPの行使価格」がありました。



これについて報道によれば、その額はチェルシー側要求の3000万ユーロでまとまりそうとのことで、実際にミランが払える額なのか大いに疑問を感じるところです。

まぁ、現時点でもかなり期待できる選手みたいなので、この半年間だけでもミランの目標達成に貢献してくれれば良いのですが…。異なるリーグで即フィット&大活躍なんてことになれば、完全移籍して欲しくなることは間違いないですね(笑)

何はともあれ獲得は決定的みたいですし、新戦力の到着を心待ちにしたいと思います。


それでは今回はこの辺で。

7Comments

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  • 2021/01/19 (Tue) 13:22
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名無しのミラニスタ

プレミアとセリエではDFに求められる規律もチャレンジの姿勢も違うので
プレミアの数字で予測は難しいように思います
シウバがチェルシーに行ったのでチェルシー戦も欠かさず観戦してるニワカですが
トモリがどういう選手なのか一切分からない
シウバから多くを学びたいと言っていた彼ですが気が変わったんですかね学びの宝庫だと思うんですが
今はただマルディーニを信じているだけで個人的には何も判断出来ない

しゅうじ

チェルサポです!

間違えて、管理人さんしか見れなくしてしまったので、もう一度コメントします。

恐縮ですが、トモリについて補足します。

長所
・対人戦の強さ(サラーを封殺した試合もありました)
・圧倒的なスピード(ヴェルナーに比肩するレベルです)
・CBの中では比較的上手い足元のテクニック

短所
・判断力(空中戦の目測誤ったりします)
・左足のキック精度

まだまだ荒削りなトモリですが、チェルシーファンの私的には、伸び代十分な選手ですし、買取OPは付けないで欲しかったと思っています。

  • 2021/01/19 (Tue) 22:19
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みらぽん

トモリは足も速いし、守備範囲も広いのでシマカン以上に可能性を感じる選手なんですけど何で予算UPしたんですかね?今まで頑なに適正価格を意識して、2000万ユーロ以下で、獲得できる 若手選手を狙っていた様に見えたのですが…。以前から噂のあったカバクではなくトモリに方針転換した理由ご存知ないですか?

  • 2021/01/20 (Wed) 08:53
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カカニスタ22

カカニスタ22

To しゅうじさん

はじめまして。コメントありがとうございます。

>>私は、もともとチェルシーファンで、カカニスタさんのブログを通じて、最近ミラニスタになった者です。

本当ですか!?
ブロガー冥利に尽きます。最高に嬉しいです。
これからもどうかミランを応援してください。

さて。トモリについてですが、これまた貴重な情報をいただきましてありがとうございます。
やはり対人に優れた選手のようで、ミランにとっても重要な存在になれるポテンシャルを秘めているように感じます。
判断力については要改善ポイントのようですが、セリエAはこの手の選手をしっかりと鍛えられる傾向があるので、いずれは問題なくなると思われます。

買取OPについては、両クラブのファン共に納得がいっていない部分のようですね。
ミランからすると、財政的に3000万ユーロは相当の出費なので、おそらく余程の大活躍がない限り買取は難しそうです。なので、現状はシーズン後にチェルシーに戻る可能性が高いのではないかと個人的には考えています。

  • 2021/01/20 (Wed) 19:30
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カカニスタ22

カカニスタ22

To 名無しのミラニスタさん

コメントありがとうございます。

データの見方・解釈は難しいですね。異なるリーグの比較となると、尚更それを痛感します。

トモリは今シーズンほとんど出番がないですが、それを不思議に思うサポーターの声は調べる限り多いようです。
トモリからすると、ここまで出番が激減したのは流石に納得がいかなかったのかもしれないですね。若手は試合に出ることが重要ですしね。

  • 2021/01/20 (Wed) 19:30
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カカニスタ22

カカニスタ22

To みらぽんさん

コメントありがとうございます。

トモリの獲得交渉に際し、ミランフロントも買取額を下げようと粘ったみたいなので、本来の予算である約2000万ユーロに抑えようという意思は変わらず強かったのではないかと思われます。なので、ミランフロントが果たして3000万ユーロの買取OPを行使する気があるのか疑わしいように感じられるんですよね…。

確かにカバクの噂が立ち消えたのはどうしてでしょうかね?所属クラブのシャルケが尋常じゃない不振に陥っているらしいので、それに応じてカバクのパフォーマンスもかなり落ちていたのかもしれないですね。

  • 2021/01/20 (Wed) 19:31
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