ミランのCB陣容について今一度考える ~トモリ獲得の狙い~
AC Milan will make an approach for Chelsea defender Fikayo Tomori on a loan with option to buy deal.
— PF | Transfer News (@PurelyFootball) January 15, 2021
(Sky in Italy) pic.twitter.com/4kw8wsZr8A
そこで、代替案として浮上し、獲得が濃厚になっているのがチェルシーに所属するフィカヨ・トモリです。
トモリについて詳しく言及する前に、まずミランの現有戦力(CB)を整理したいと思います。
先日、ドゥアルチがトルコのバシャクシェヒルというクラブへレンタル移籍(買取OP付)することが発表されました。そのため、今のミランにはケアー、ロマニョーリ、ガッビア、カルル、ムサッキオの5人がおり、離脱中のガッビア(もう少しで復帰)を除けば4人が起用可能な状況です。
そして、今のミランの基本システムにおいて、同時に起用できるCBは2人。よって、CBは人数的にはさほど問題のないポジションですし、数で言えば左SBとかの方がよほど層の薄いポジションです(本職がテオしかいないため)。
そもそも、CB補強の必要性が叫ばれた昨夏と今とでは状況が大きく異なります。というのも、昨夏はロマニョーリ、ムサッキオが長期離脱中で、カルルは主戦力としては考えられておらず、シーズン開幕時点ではケアーとガッビアしか主戦力がいませんでした。
しかし、ガッビアが今シーズンの中で成長した姿を見せ、カルルが台頭してきた今、CBの層は当時に比べかなり厚くなっています。
○トモリ獲得の理由
それでも各メディアによれば、上記2者の台頭後もミランが変わらずにCBを要補強ポジションと捉え、シマカンやカバク(シャルケ)などを獲得候補とみなしていると報じていました。そして現在はトモリの獲得に向け熱を上げているとのことです。
一見するとやや不可解に思える話ですが、おそらくフロント及び監督の意向としては、「対人戦に極めて優れたCBが欲しい」というのがあるのだと個人的には思います。
今のミランのレギュラーCBはケアーとロマニョーリの2人ですが、両者共にライン取りやカバーリング、そして空中戦(ポジショニングを活かしたクリア)等に優れています。よって、ラインコントロールとリトリート後のクロス等において強みを発揮しており、ミランの堅守に大きく貢献してくれていると思います。
しかしながら、対人戦(地上での1対1など)において絶対的な強さを持っているとは言い難く、特にロマニョーリはディバラやルカクといったカンピオーネクラスとマッチアップした際、フィジカル的な限界を露呈することが少なくありません。
一方で、獲得が濃厚だったシマカン、そして現在獲得に動いているトモリはいずれもフィジカル的な長所を数多く持った選手であることが明白ですし、そのため対人戦においても強さを発揮するものと推察されます。
彼らのような存在は、今のミランのサッカーにも凄くフィットすると思いますし、アグレッシブなスタイルにより磨きをかけていく上でも重要ですから、是非ともこの手のタイプは欲しいところです。
(※トモリの好プレー集)
続いて。軽くですがデータにも触れておきたいと思います。
まず、ロマニョーリとケアーの守備に関する主要スタッツ(2020-21シーズンのリーグ戦)です(『SofaScore』より)。

――ロマニョーリ

――ケアー
続いてトモリについてですが、彼は今シーズンほとんど出ていないため、昨シーズンのリーグ戦のデータを参照します(同じく『SofaScore』より)

――トモリ
こうして見比べてみると、1試合平均のタックル数や地上戦勝利数などでトモリが優れた数値を記録しています。やはり、対人戦に優れているのでしょう。
まぁ特にDFに関してはフルで観てみないことには断定できませんので、あくまで参考程度にしておきたいと思います。
○おわりに
最後に。先述の通り、個人的にはこの手のCBを補強することに賛成です。将来的にはクリバリのように強力な選手になってくれたら最高ですしね。
ただ、トモリに関していえば、果たして将来にわたって確保できる選手なのかどうかという疑問があります。
というのもミランは所属先のチェルシーとのレンタル移籍交渉に際し、例によって契約形態で揉めていたわけですが、争点の一つに「買取OPの行使価格」がありました。
Fikayo Tomori is expected to join AC Milan next week on loan for the season with a €30m option to buy in the summer. (Source: @FabrizioRomano) pic.twitter.com/qByZU88RdL
— Transfer News Live (@DeadlineDayLive) January 17, 2021
これについて報道によれば、その額はチェルシー側要求の3000万ユーロでまとまりそうとのことで、実際にミランが払える額なのか大いに疑問を感じるところです。
まぁ、現時点でもかなり期待できる選手みたいなので、この半年間だけでもミランの目標達成に貢献してくれれば良いのですが…。異なるリーグで即フィット&大活躍なんてことになれば、完全移籍して欲しくなることは間違いないですね(笑)
何はともあれ獲得は決定的みたいですし、新戦力の到着を心待ちにしたいと思います。
それでは今回はこの辺で。