【重要な勝利】ミラン対トリノ【2020-21シーズン・セリエA第17節】

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カカニスタ22
今回はセリエA第17節、ミラン対トリノのマッチレビューを行いたいと思います。

スタメン

【20-21】ミラン対トリノ_スタメン

4-2-3-1のミランと3-5-2(3-5-1-1)のトリノ。
ミランの守備①~ハイプレス~

この試合も、ミランは前線からの猛プレスにより主導権を握ります。
トリノはあっさりとボールを奪われる事はないものの、ミランのプレスを前にチャンスに繋げることはできないという状況です。
特に序盤はミランがGKシリグにロングボールを蹴らせ、そのボールを拾ってカウンターという形が何度か見られました。

ミランの守備②~サイドの囲い込み~

それでもトリノが何度かミランのハイプレスを回避し、主に右サイドにボールを展開したわけですが、そこから崩しのフェーズにおいて大苦戦します。
というのも、そこでミランはトリノ側右サイドにコンパクトな陣形を形成し、トリノ攻撃陣を同サイドに押し込めました。

【20-21】ミラン対トリノ_戦術分析1
――一例。右WBシンゴがボールを持った場面。コンパクトに守るミラン。ここでシンゴは左インサイドハーフのゴヤクにパス

トリノとしてはサイドチェンジにより、手薄なサイドを突く形が一つの解決策として考えられます。しかし左サイドへの有力な中継地点であるゴヤクに対しては、近くのトナーリやSHのカスティジェホが中に絞って対応し、逆サイドへの展開を阻止します。
また、上記の通りハウゲやブラヒムがプレスバックしているため、バックパスも難しい状況です。


【20-21】ミラン対トリノ_戦術分析2
――先ほどの場面のその後について。ボールを受けたゴヤクに対し、ミランは近くのトナーリとブラヒムで挟み込んでボール奪取


【20-21】ミラン対トリノ_戦術分析3
――その後の場面。ボールを奪ったブラヒムは近くのカスティジェホに預け、カウンターを開始した

ロングパスにより一気に逆サイドへ展開するという手段も考えられましたが、ミランの選手が近くでプレッシャーをかけていますし、おそらくは技術的な問題もあったため実際には出来ませんでした。

というわけで、同サイドから攻め込もうとするトリノに対し、ミランは複数の選手が近い距離間で相手のボールホルダーを挟むことでボール奪取を連発。そこからカウンターに繋げ、チャンスを量産していきました。


【20-21】ミラン対トリノ_戦術分析4
――同様の場面について。右CBイッツォからサイドのシンゴにボールが渡る


【20-21】ミラン対トリノ_戦術分析5
――その後の場面。シンゴに対し、対面のテオとプレスバックしたハウゲの2人で挟み込み、ボール奪取。カウンターに繋げた



ミランのビルドアップと、2得点について

続いては、ミランのビルドアップについて。普段通りカウンター主体の戦術を採ったミランは、基本的にビルドアップ時にはSB(主にカラブリア)を起点に前線へロングボールを蹴り込んでいきます。


【20-21】ミラン対トリノ_戦術分析6
――例えばこの場面。守備時5-3-2で守るトリノは、ミランのSBに対して主にインサイドハーフが対応する。ここでボールホルダーのカラブリアは、裏に抜けるレオンにスルーパス。これによりCKを得たミランは、その流れから2点目を獲得した(後述)


ただし、一度ブラヒムが得意な位置(右ハーフスペース)でボールを引き出し、そこから速攻に繋げるシーンがありました。

そして25分、ミランが先制に成功します。


【20-21】ミラン対トリノ_戦術分析7
――先制点のシーンについて。サイドでボールを受けたテオが中にドリブルし、敵の注意を引き付けたところでライン間のブラヒムにパス。ブラヒムは裏に抜けるレオンにワンタッチでパスを通し、そのレオンが冷静にゴールを破った


ライン間で恐れずボールを引き出せるのがブラヒムの特長であり魅力だと思うのですが、そこからのパスやドリブルが上手くいかず、ボールロストしてしまうというのが最近の傾向としてありました。
しかしながら、今回の得点シーンではしっかりと周りの状況を見極めて素早く正確なラストパスを出せており、こうしたプレーが継続的に出来れば選手として一皮むけるのではないかと思われます。

また、この得点シーンにおいてはテオの中へのドリブルによる敵DF陣の引き付けがゴールに大きく関与しています。
テオはSBながら、チーム戦術もあってより中央へ進行する意識が高まっているだけに、今回のように中央の狭いスペースでも正確にプレーできるようになると更に選手として破壊力が増しますね。


続く32分。先述の流れで得たCKの流れからブラヒムが見事なドリブル突破でエリア内に侵入し、ベロッティと接触して転倒。それがVAR判定の結果PKとなりました。
そして35分、ケシエがPKをモノにし、ミランが貴重な追加点の獲得に成功します。

是非ともブラヒムにはこの調子で頑張ってもらいたいです。


前半終盤の攻防

ここまでは文句なしの試合運びとなったミランでしたが、その後はトリノも少し盛り返していきます。
先述のような、ミランのサイドでの囲い込みを避けるため、CBの持ち上がりやバックパスからのサイドチェンジなどでミランのプレスを外していき、打開を図りました。


【20-21】ミラン対トリノ_戦術分析8
――例えばこの場面。イッツォからパスを受けたルキッチは、前方の状況を見てバックパスを選択


【20-21】ミラン対トリノ_戦術分析9
――その後の場面。バックパスを受けたイッツォはサイドチェンジで右サイドに展開した

それもありミランはいくつかファールを与えてしまい、結果ブラヒム、ロマニョーリ、トナーリが次々とイエローを貰ってしまうという嫌な展開に。
そして42分には、ミランゴール前で得たFKからリカルド・ロドリゲスがポスト直撃のシュートを放つなど、ゴールを脅かしました。

とは言え実際にゴールを破られることはなく、前半を2-0で折り返します。


後半序盤の攻防

後半序盤はトリノが主にボールを握る展開に。
ミランの堅い守備をこじ開けるため、パスを前後左右に散らしながらミランの守備を動かし、機を窺います。
また、その際はヴェルディがライン間でパスを引き出す形で打開を狙います。


【20-21】ミラン対トリノ_戦術分析10
――例えばこの場面。ライン間に侵入したヴェルディがブレーメルからパスを引き出す


【20-21】ミラン対トリノ_戦術分析11
――その後の場面。ケシエがすぐさま対応するも、ヴェルディはベロッティにパス。その後、プレスバックしたダロトがベロッティを倒してしまい、トリノがFKを獲得した


ケシエの守備範囲、ケアーのカバーリング共に前半から素晴らしいものがあり、トリノに決定機こそ作らせませんが、ミランにとってあまり良い流れとは言えなかったかなと。

しかも、53分にはトナーリが負傷し、ダロトと交代(カラブリアがボランチに)。続く60分にはブラヒムも足を痛そうにしながらチャルハノールと交代という事で、怪我人続出中のミランに更なる試練が襲いかかります。


後半中盤・終盤の攻防

決定打に欠けていたトリノは64分、ザザとムッルを投入し、システムを4-3-1-2に変更。攻勢を仕掛けてきます。
対してミランは、サイドチェンジやカウンターなどから打開を図ります。


【20-21】ミラン対トリノ_戦術分析12
――例えばこの場面。4-3-1-2でプレスをかけるトリノに対し、ミランはサイドでボールを受けたチャルハノールが鋭いサイドチェンジで逆サイドのダロトに展開


【20-21】ミラン対トリノ_戦術分析13
――その後の場面。ダロトに対し左インサイドハーフのリネティが急いでスライドして対応するが、全体のスライドが間に合わず中央にスペースが空く。ダロトがそこへパスを通し、途中からボランチに入ったカラブリアがフリーでボールを受け手速攻に繋げた


しかしながら、良いところでパスが合わなかったりギリギリのところで相手にカットされたりで中々決定機を作ることができません。

一方で守備に関しては、システムの変わった相手に対してもしっかりと対応し、引き続きプレスをかけ続けることでトリノのスムーズなビルドアップを妨害していきます。


【20-21】ミラン対トリノ_戦術分析14
――例えばこの場面。レオンにプレスをかけられたリャンコは、横のブレーメルにパス。それと同時に、アンカーをマークしていたチャルハノールがブレーメルに寄せに行き、レオンがカバーに入る


【20-21】ミラン対トリノ_戦術分析15
――その後の場面。しっかりとパスコースを制限したミランは、ブレーメルからヴェルディのパスをインターセプトすることに成功した


普段通りとは言え、終盤になっても継続的にプレスをかけ続けることのできるチームの献身性と集中力、そして組織力は流石の一言です。



そして85分。ハウゲに代えてダニエル・マルディーニ、そしてレオンに代わってイブラヒモビッチが投入されます。待望のイブラ復帰です。

試合内容に関しては、トリノが猛攻を仕掛けていくつかシュートチャンスを作りますがドンナルンマとケシエがしっかりとブロック。
ミランもカウンターで応酬しますがゴールは至らず。試合はそのまま2-0で終了。

ミラン2-0トリノ



雑感

前節に久方ぶりの敗戦を喫してしまったミランでしたが、今節はきっちりと勝利を収めることに成功しました。

敗戦のショックをズルズルと引きずらないため、何としても勝利が求められた一戦だっただけに、この勝利は非常に大きいのではないかと。

また、チームパフォーマンスに関しても引き続き安定しています。
これだけの離脱者が出てもなお一定のパフォーマンスを発揮するチームには脱帽ですし、ピオリを中心とするコーチ陣の能力の高さが窺えますね。


続いて。この試合の注目は何といってもイブラヒモビッチの復帰にあったのではないかと。
投入時のスコア状況もあり、今日は試運転という感じでしたが、この苦しい台所事情の中で彼が戻ってきてくれたのは本当に助かります。

ミッドウィークのコッパイタリアは休んでもらって、次節のカリアリ戦から本格復帰して欲しいところですがどうなるか…。イブラの性格的にコッパイタリア出場を直訴しそうですが、ここで無理はして欲しくないんですよね…。


一方、イブラ復帰という喜ばしい事実とは逆に、この試合でもトナーリとブラヒムが負傷交代するというアクシデントが発生してしまいました。

不幸中の幸いというべきか、大怪我も心配されたトナーリが比較的軽い怪我で済んだのというのには一安心ですが、この怪我の連鎖がいつまで続いてしまうのか…。コッパイタリア、ELといったカップ戦も始まる今後の日程を考えると戦々恐々です。

今のミランにとってリーグ戦の結果こそが最重要であることは明白ですから、このチーム状況を考えれば、カップ戦を捨てるという選択も本格的に検討すべきなのではないかと思う今日この頃です。


さて。次節はミッドウィークのコッパイタリア(またしても相手はトリノ)を挟み、カリアリとの一戦を迎えます。
この一戦にも確実に勝利を収めてもらい、再び勢いに乗りたいところです。


Forza Milan!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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Comments 4

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ぬまぬ  

おつかれさまです
カリアリ戦は、復帰者が感触を取り戻す、怪我人が出ない、累積警告貰わない、という良い形で終わってくれればと思います(勝利は前提でw)

その次のアタランタ戦が前半戦最後の大勝負ですね、最終的にCL出場圏内に入ってきそうな相手は直接潰しておかねばです
シーズン最終戦の相手にもなるアタランタ、一年前の屈辱をシーズンダブルで晴らしましょう
…でも怪我人は出ないようにw

  • 2021/01/12 (Tue) 02:00
  • REPLY
Aki  

大きな勝利でした!
久しぶりの、かつユベントスに敗戦したあとでキッチリの勝利、とれも嬉しいです。
おっしゃるように満身創痍のチーム状態でも内容が崩れないところが
本当に素晴らしいですね、頭が下がります。
1つずつ乗り切って回復を待ってほしいところです。

個人的に嬉しかったポイントは、ブラヒムが復調したことと、レオンの成長が感じられたところです。特にここ2~3試合のレオンは、オフザボールの動きの量が増えて試行錯誤も感じられますし、地味にポストプレーの質が上がっているとも感じております。ベースのポテンシャルは半端ないので、ぜひプレーヤーとして完成度を高めてほしいですね。周囲に良いお手本が多いですし。

コパとの過酷な連戦をどうすべきか難しいところですけど、やはり少しターンオーバーをするようで安心しました。

この調子で、1つずつ勝利を重ねることを祈っています!

毎度のレポート、ありがとうございます。とても勉強になり、観戦の仕方も変わってきた気がします。

  • 2021/01/12 (Tue) 10:34
  • REPLY
カカニスタ22
カカニスタ22  
To ぬまぬさん

コメント&労いのお言葉ありがとうございます。

仰る通り次節のカリアリ戦は、勝利はもちろんのこと、これ以上の離脱者が出ることなく終わることを願いたいですね。これ以上の離脱はホントに勘弁です。

アタランタには順位の上でも、昨季のリベンジを果たすためにも何とかして勝ちたいですねー。
そのためにもカリアリ戦で内容・結果共に充実したものを見せて欲しいと思います。

  • 2021/01/12 (Tue) 17:27
  • REPLY
カカニスタ22
カカニスタ22  
To Akiさん

コメントありがとうございます。

結果はもちろん、内容的にも非常に安定しているのが素晴らしいですよね。これまでの快進撃が決して偶然でないことは明白です。
ただ、いくらなんでも離脱者が出過ぎなので、これ以上の怪我人が出ないこと&現離脱者の早期復帰を願うばかりです。

レオンが成長したのは間違いないですね。継続性も大きく改善され、非常に波のある選手だった昨季と比べて安定感が増したと思います。
彼には是非ともこの調子で、更なる成長を遂げてもらいたいです。

こちらこそ読んでいただき感謝ですし、そう仰っていただけるのは非常に励みになります。

  • 2021/01/12 (Tue) 17:28
  • REPLY