【引き続き雑感】ジェノア対ミラン【2020-21シーズン・セリエA第12節】
前節に引き続きまたしても手抜き記事ですが、あらかじめご了承くださいませ。
スタメン

4-4-2のジェノアと、4-2-3-1のミラン。
筋肉疲労により欠場したテオに代わり、左SBとしてこの試合に出場したダロト。
しかしながら、印象的なプレーを見せることはできませんでした。
まず、問題としてはポジショニングの低さが挙げられます。
ダロトは基本的に組み立て時のポジショニングが低く、同CBのロマニョーリがジェノア2トップの脇に持ち運んだりケシエが下りてボールを受けたりした状況でも低い。そのため、チームとしてもサイドで上手くボールを持つことが中々できません。

――この試合におけるダロトのボールタッチポジション(左攻め。『WhoScored』より)。ボールタッチ数は「69回」
ポジショニングが良くないため中々ボールを受けられませんし、逆SBのカラブリアと見比べると明白な違いが見られます。

――比較:この試合におけるカラブリアのボールタッチポジション。ボールタッチ数は「96回」
確かに、同サイドハーフのレオンが守備(強度)やSBとの連動性に懸念があるため、ダロトを下がり目の位置に止まらせる狙いは何となくわかりますが、それにしても低すぎないか、と。
あと、ダロトは右利きですし、左足の頻度・精度も高くないことから、左SB起用だとどうしても動きにくい側面はありそうです。
そのためか、ミランがポゼッションを確立してからはダロトが中央寄りに位置するシーンが散見されましたが(おそらく指示)、これだと左サイドで幅と深さを取る選手が基本的にいなくなるので、左サイドのスペースを思うように使うことができないと。
レオンがサイドを突くシーンというのもありましたが散発的で、連携が十分に取れていたようには思えませんでした。
○ベナセル欠場
ベナセル欠場、それに伴う影響についてはこれまでも言及しているので、詳細は割愛。
ここまでシーズンを通して見てきて、正直トナーリにベナセルの実質的な代わりは難しいように個人的には思われます。
一方で、トナーリにはトナーリ独自の良さがあるのは間違いないとも思います(例えばハーフスペースから前線への飛び出し等、より直接的に得点に絡む動き)。
ベナセルとトナーリはタイプ的に共存できると個人的に思うのですが、実際は今のシステムだとバランス的に難しいので、時にはシステム変更等でトナーリの特長を上手く活かしていけると良いんですけどね(現状、今のシステムが非常に安定しているため現実的ではなく、トナーリがチームに合わせる形になるのは致し方ありませんが)。難しいところです。
○イブラ欠場
上記2点やジェノアのハイプレス等もあり後方から上手くボールを運べないミランは、ロングボールの頻度を上げていきますが、これもまた中々上手くいかず。
この点についても言及済みのため、詳細は割愛します(要は最強のターゲットマンであるイブラが不在)。
後半からは右サイドハーフにサレマが投入され、右サイド(カラブリア、サレマ)が活性化したことで主に右から何度か良い形を見せますが、これまたレオン(後半途中から1トップ)が上手に絡む事ができず、決定機を作れそうで中々作れません。
ミランはこの試合で2得点を挙げたわけですが、見事なロングシュートとセットプレーからの得点という事で、流れの中から作り出した決定機というのは少なかったかと記憶しています。
○カルルについて
最終的に2-2で引き分けとなったこの試合。ミランの2点目を挙げたのはプロ3試合目の出場となったカルルでした。
そんなカルルですが、今回は良い所と悪い所(課題)が双方見られたかなと。
まず、スピードとフィジカルを活かしたカバーリング範囲の広さとチェックの速度、そして縦に出て相手の前進を阻もうとする積極性といった部分は良い意味で非常に印象的で、今後精度に磨きをかけていければ素晴らしい選手になれるのではないかと。
一方で、ハイボールの処理やエリア内での守備(ポジショニング)なんかは結構不安定ですし(経験が浅いので当然といえば当然ですが)、また組み立てに関してもパスの狙いや積極性はいいものの、パス精度や判断面が足りずにボールロストというシーンも散見されました。
つまり、CBの主力と見なすのは時期尚早に感じられるものの、素晴らしい可能性を秘めていることは間違いなく、今後が本当に楽しみな選手だと思いますね。
○冬の補強の必要性について
以上、ジェノア戦について非常に軽く振り返っていきました。
イブラ離脱以降、チームの抱える問題はほとんど変わりませんし、そこにベナセル、ケアー離脱が重なったことで攻守にパフォーマンスを落としているミラン(一方、それでも負けないところにチームとしての成長は感じるのですが)。
中でも、ここ2試合で挙げた4得点すべてはDFによるものという事で、1トップ(レビッチ)を筆頭に本来点を取るべきアタッカー陣にゴールがないというのはかなり気になるところです。
また、ここ2試合で喫した4失点はいずれもクロスからであり、コーチング含めエリア内での守備に長けるケアー不在の影響を感じざるを得ません。
イブラがいる時のミランはポゼッション・カウンター問わずチャンスを作り得点が取れますが、いないときは後者の比重が大きくなりますし、またそのカウンターの前段階である守備(プレス)もこの過密日程では精度を維持するのが難しくなってくるため、今後に向けかなり不安に感じるところですね。
さて。冬のメルカート開幕が間近に迫り、ミランも層の薄い様々なポジションへの補強が期待されるところですが、果たしてミランがどこまで補強に動くかは非常に興味深いです。
今のチームの問題点を解消するため、次のメルカートは是非とも活用したいところですしね。
この点について様々な報道を見るに、まずレギュラークラス(とは言え若手)のCB獲得は確実で、同時に控えのCF獲得も濃厚。
僕はイブラの「実質的な」代役を獲ることはできないと今でも思っていますが、1トップ起用時の今のレビッチ、レオンを見るに、ポストプレーと空中戦の上手い選手の補強は強く求められるかなと。
そして、かねてから噂されるCBの補強候補はだいぶ絞られ、今ではシマカンorカバクの2択といった感じです。
これらの点については次回以降に詳しく言及していきたいと思います。
ところで。現状、上記2つのポジションさえ適切な補強ができれば4位以内でのフィニッシュは現実味を帯びてくると思いますが、今のミランはそれ以上の可能性が取り沙汰されるチームでもあります。
しかしながら、そのためにはこの冬に選手層を厚くする事は必須だと思いますし、上記2つのポジションに加えてレギュラークラスのボランチ、控えの左SBの補強は現状求められるかなと(欲を言えばレギュラークラスの右サイドハーフも欲しい)。
財政的制約により、動きたくても中々動けない状況であることは承知していますが、一方でファンとしてはやはりこのチャンスをフイにして欲しくはないですし…。複雑な心境です。
まぁ何にせよ、冬のメルカートは往々にしてシーズン後半戦の成績に大きく影響してきますし、特に近年のミランはその傾向が強いですから、その動向には要注目ですね。
Forza Milan!
○追記
先日、イブラがチーム練習へ復帰したそうですが、その練習で負傷。
それにより年内の出場は絶望的となり、復帰は来年に持ち越しとなってしまいました。
正直尋常じゃないレベルでショックなのですが、こうなった以上はとにかくレオンorレビッチの1トップで凌ぎつつ、イブラの負担を少しでも軽減させる補強に期待するしかないですかね…。
レオンがこの状況下で覚醒してくれれば最高なのですが、果たしてどうなるか…。
それでは今回はこの辺で。