【雑感】ミラン対パルマ【2020-21シーズン・セリエA第11節】
とは言え、次節のジェノア戦まで時間がありませんし、今回は「雑感」という形で気になった点をいくつかピックアップするだけにします。申し訳ないです。
スタメン

4-2-3-1のミランと4-3-3(4-5-1)のパルマ
まずは2列目について。
前回のマッチレポート記事でも言及した通り、チャルハノールは左サイドでも無難にプレーできますが、このシステムならトップ下の方が動きやすく、彼の本領が発揮されやすいんじゃないかと。
わざわざチャルハノールを左に回してまで今のディアスをトップ下で起用する必然性は僕には感じられず、実際、前節同様に前半だけでディアスは交代。後半からチャルハノールがトップ下という遠回りな選手起用を2度続けて行っています。
それと、ディアスは(指示なのかもしれませんが)右ハーフスペースを基本ポジションとしてそこから大きく動かず、主にライン間でパスを引き出そうとしますが、これもチャルハノールとの違いという点でどうなのかなと。
というのも、チャルハノールの場合は流動的な動きで中盤をサポートしたり前線に飛び出したりと、ボールを多く触りながら相手のブロックを動かす効果的な動きを見せますが、比較してディアスはそういうのが少なく、それ故にチームのリズムを良くない意味で変えてしまっているように思われます。

――参考1:この試合の前半におけるディアスのボールタッチポジション(右攻め。『WhoScored』より)。ボールタッチ数は「20回」

――参考2;この試合の後半におけるチャルハノールのボールタッチポジション。ボールタッチ数は「49回」
また、右サイドのカスティジェホとの関係においてもあまり良いようには見えず、カットインしたいカスティジェホの動きに対するサポートが不十分かなと。
というわけで、スタートからチャルハノールトップ下で左にハウゲ、もしくはレビッチを左サイドに回してトップにレオンという形が個人的には見たかったです。
ディアスはスーパーサブとして、相手の寄せが甘くなる後半途中からの出場が現状のベストかなと思います。
○レビッチについて
先日のイブラ負傷離脱以降、引き続き1トップで起用されているレビッチ。
彼はファーストプレスの担い手としては申し分なく、この日も鋭いプレスでビルドアップがやや不安定なパルマを大いに苦しめていきます。
この試合のミランが作り出したチャンスの内、多くはカウンターやロングボールを拾ってからの速攻によるものでしたが、この点においてレビッチの貢献は非常に大きかったのではないかと(20分くらいの場面では、正に独力でボールを奪って決定機を演出しました)。
しかしながら、レビッチはポゼッション時、殊にポストプレーという面での貢献度が低いのは否めません。
というのも、この試合ではベナセルを中心に楔のパスを多く入れていったミランでしたが、その主な受け手であるレビッチがミスをするシーンというのが散見されました。
また、本職が左サイドのためか、右サイドからボールを引き出す動きが依然として少なく、攻撃サイドが左に偏ってしまう1つの原因になっているように思われます。

――参考3:この試合におけるレビッチのボールタッチポジション。ボールタッチ数は「41回」。左サイドでのボールタッチが多いことがわかる
ミランの場合、右から組み立てて相手を引き付けたところで、左サイドに展開してそこのスペースをテオに使わせるという形が今の有力な攻撃パターンの1つなわけですが、イブラ1トップ時と比べてそうした形が中々作れていないように思われます。

――この試合のミランのアタッキングサイド
とは言えおそらくですが、ピオリ監督としてもこの事は織り込み済みで、レビッチにはカウンター時の裏への飛び出しや守備時のプレスといったトランジション面での貢献を強く求めての起用だと思いますし、その点についてはキッチリと役割を果たして決定機も演出しているため、あまりレビッチは責められないんじゃないかと。
しかしながら一方で、このままレビッチを1トップの2番手として起用し続けるのが正しい選択かは疑問の余地がありますし、冬のメルカートでの補強という選択も有力になってきたのではないかと思われます。
○レオンについて
個人的に、控えの1トップ候補としてかねてから期待しているレオンですが、この日はカスティジェホに代わって右サイドハーフでの出場でした。しかし、これもどうなのかなと。
レオンは左サイドだと、得意の縦突破からのクロスでチャンスを演出できますが(インテル戦やローマ戦では上記の動きからアシストを記録)、右サイドでそのままボールを持っても縦突破もカットインも上手く出来ないように(少なくとも現状は)見受けられます。
カスティジェホも縦突破にはあまり期待できませんが、少なくともカットインからのアーリークロスは武器にしていますし、右サイドハーフとしては動きの面でレオンよりも分があるように思われるだけに、早々にレオンと交代したのはやや不可解に思われました。
○2点ビハインドからの反撃
ここまで否定的な側面に言及してきましたが、続いて肯定的な側面にも言及していきたいと思います。
まずは、2点ビハインドから追いついたという点。
ガッビアの早々の負傷退場というアクシデント、更に2点ビハインド&ゴール取り消しと嫌な出来事が連続する中、精神面で折れることなく攻め続け、最終的に2点を返したのは素晴らしかったと思います。
エラス・ヴェローナ戦、セルティック戦もそうでしたが、2点ビハインドから反撃できるというのは精神面、技術面共に成熟している証拠だと思いますし、今のチームの地力の高さというものを感じますね。
また、選手個人について少し言及すると、カルルのパフォーマンスには目を見張るものがありました。
数日前のスパルタ・プラハ戦で出場していたとはいえ、トップチームでの公式戦2試合目となる今回の試合で、ガッビアに代わっての緊急出場ながら非常に印象的なプレーを連発。
近年、リヨンの下部組織出身の選手というのは得てして優秀な印象がありますが、そのことを改めて認識させてくれる選手です。
○おわりに
結果は2-2で引き分け。
ミランは「26対4」とシュート数で圧倒し、またパルマの枠内シュートはわずか2本でしたから、内容(スタッツ)的には痛い引き分けだったんじゃないかという感想です。
とは言え、先述の試合展開を考慮すると貴重な勝ち点1(&リーグ無敗記録継続)を手にしたとも言えますし、まぁこういう試合も長いシーズンにはあるという事で納得します(笑)
チームの勢いが衰えているとは思いませんし、引き続き快進撃を展開してくれると思いますしね。
ただ1トップの人選、2列目の組み合わせなど、イブラ不在時の構成に関しては再考の余地があると思うので、その点に関しては次節以降の変化に期待していきたいです。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。