【安定の勝利】ミラン対フィオレンティーナ【2020-21シーズン・セリエA第9節】

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カカニスタ22
今回はセリエA第9節、ミラン対フィオレンティーナのマッチレビューを行いたいと思います。

スタメン

【20-21】ミラン対フィオレンティーナ_スタメン

4-2-3-1のミランと4-3-3のフィオレンティーナ。
ただ、フィオレンティーナは守備時にリベリがブラホビッチと2トップとなり、カストロヴィッリとカジェホンで両サイドを構成する可変型(4-4-2)。
(※当記事におけるキャプチャ画像の映像引用元はいずれも『Dazn』より)


ミランの攻撃、ヴィオラの攻撃

今回のミランの2列目は右サレマ、中央ディアス、左チャルハノールという構成。
そしてイブラが欠場という事で、代役として入ったのはレビッチです。


【2020-21】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析1
――前半のミランの基本ポジション

具体的には上のように、レビッチを頂点に、ディアスが右ハーフスペース、チャルハノールが左ハーフスペースを主に使い、両サイドをテオとサレマが担当するというのが基本的な形です。

イブラがおらず、1トップを裏抜けタイプのレビッチが務めるという事は、2列目に独力で前を向いてボールを運べる選手が今まで以上に求められます。
その点でディアスには大いに期待が寄せられるわけですが、今回は動きやすいトップ下起用という事もあり(右~中央エリアにポジショニング)、周囲のサレマやチャルと連動しながらチャンスをいくつか作り出していきました。

【2020-21】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析2
――例えばこの場面。カラブリアがボールを持った瞬間、サレマが縦に走ってビラーギを引っ張る。それにより生じたスペースにディアスが入り、カラブリアからパスを引き出す。


【2020-21】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析3
――その後、ディアスがドリブルで運び、サイドのサレマにボールを渡した場面。ディアスが相手のSB-CB間を突き、サレマからパスを引き出す。


【2020-21】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析4
――プルガルがカバーに入るがインターセプトに失敗し、この位置でディアスにボールが渡った

ただし、ミランはベナセル不在で後方からのビルドアップがあまり安定しないこともあり、チャンスの多くは素早いトランジションからの速攻からでした。



一方でミランの守備は、いつものように前からプレスをかけて相手のビルドアップを妨害していく形。これに対しフィオレンティーナは、2トップ(特にリベリ)への楔のパスを起点にミランのプレスを何度か回避していきます。


【2020-21】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析5
――例えばこの場面。ディアスにプレスをかけられたペッセーラはサイドのビラーギ(黄色)にパス。それに対しサレマが詰めに行き、トナーリとカラブリアもそれぞれ身近な相手選手をマークに行く。一方、その背後でリベリが動く


【2020-21】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析6
――その後、ボールはビラーギからプルガルへ。プルガルはワンタッチで前方のリベリにパス。


【2020-21】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析7
――その後、リベリがワンタッチで落とし、走り込んだカストロヴィッリにボールが渡って速攻に繋げた。


崩しの局面においても、中心となるのはリベリ。中央~左サイドでボールを引き出し、ドリブルとパスでチャンスメイク。流石の存在感です。



ミランのPK獲得とヴィオラの守備問題

16分、CKからロマニョーリが決め、ミランが珍しくセットプレーから得点します。

続く25分には、スルーパスに抜け出したサレマがエリア内で倒されPK。それをケシエがモノにし、ミランが順調に追加点をゲットしました。

フィオレンティーナは監督交代と、それに伴うシステム変更の影響か、DF陣の連携が悪いシーンが散見されました。ミランとしてはその隙を突き、決定機を作っていった、と


【2020-21】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析8
――PK獲得のシーンについて。左サイドからのスローインのこぼれ球をディアスが拾う。それに対し、CBのペッセーラ(水色)がチェックに行く。ディアスは右のカラブリアに展開し、前方へ走る


【2020-21】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析9
――その後の場面。フィオレンティーナはペッセーラが前に出た事で生じたスペースを埋めずに放置。そこへサレマが走り、カラブリアからパスを引き出す


【2020-21】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析10
――ボールを受けたサレマは、そのままエリア内に侵入してシュート。そのシュート直前に急いで戻ったペッセーラのスライディングを受け、PKを獲得した

36分には再びミランがフィオのDFライン間を突き、そこへ飛び出したテオが倒されPK。しかしこれはケシエが外してしまい、3点目とはなりませんでした。


【2020-21】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析11
――2度目のPK獲得のシーンについて。トナーリからチャル、レビッチとパスが繋がり、レビッチはミレンコビッチを背負いながら反転する(赤色)


【2020-21】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析12
――その後の場面。レビッチがミレンコビッチとカセレスの間にスルーパスを通し、エリア内でテオが受ける。その後、急いで戻ったカセレスにテオが倒され、PKを獲得した

一方でミランの守備に関しては、前半中盤以降も引き続きハイプレスを継続。1トップのレビッチが素早くプレスをかけ、それに後ろの選手が連動し、サイドに追い込む事でビルドアップを妨害していきました。


【2020-21】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析13
――ペッセーラからミレンコビッチへのバックパスに対し。レビッチがプレスをかけに行く。ミレンコビッチはキーパーに戻すが、レビッチはそれに対しても追いかける。その動きにチャルハノールとサレマが連動


【2020-21】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析14
――その後、追い詰められたドラゴフスキは前方へのロングボールを選択。ボールはカラブリアによりクリアされた



レビッチの献身性は流石の一声です。

終盤には押し込まれたシーンもありましたが、しっかりと守り切って前半終了。危なげなく2-0リードで折り返します。



後半序盤の攻防

後半からフィオレンティーナはカジェホンに代えてボナベントゥーラを投入。システムを4-3-1-2に変更します。

これに対し2点リードのミランは、セーフティにロングボールを送り込んでいく形を多用。主にレビッチに当て、そのこぼれ球をチャルハノールを始めとする周囲の選手が狙っていきます。
ただ、最強のターゲットマンであるイブラがいればこうした攻めは非常に有効ですが、この試合はその彼がいないため、しっかりと収めて速攻に繋げるシーンというのはそれほど多くありませんでした。


フィオレンティーナ戦_空中戦勝利数ランキング
――参考:この試合における空中戦勝利数トップ5(『WhoScored』より)。空中戦の強さを誇るミレンコビッチが両チーム合わせてトップとなる「9回」を記録。1トップのレビッチはそんなミレンコビッチとの競り合いに大いに苦戦し、空中戦勝利数「3回」を記録したものの、成功率は38%に止まった



それに、期待のディアスはフィオレンティーナ守備陣(特にプルガル)にフィジカルで阻まれ、後半はボールロストを連発。決定機を演出することはできませんでした。

一方のフィオレンティーナも、中盤の枚数を増やしたわけですが、序盤はそれをあまり活かせずミランのプレスに捕まるなどしてパスミス・連携ミスが目立ちました。


【2020-21】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析15
――例えばこの場面。中盤のアムラバトにパスが通り、続けて彼は前方のボナベントゥーラ(画面外)にパスを通そうする。


【2020-21】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析16
――しかし、そのパスは弱く、ケシエがインターセプト。ミランが惜しいカウンターチャンスに繋げた

というわけで、ボールロストからカウンター・速攻の応酬というシーンが増え、お互いにチャンスを作っていきます。
すると55分にはリベリがカウンターから裏に抜け出しドンナルンマと1対1を迎えますが、ドンナルンマのスーパーセーブで事なきを得ました(そもそもオフサイドに見えましたが、オンサイド判定)。


後半中盤・終盤戦の攻防

後半中盤から終盤にかけて、システムに慣れてきたフィオレンティーナが徐々にミランを押し込んでいきます。
更に途中からリベリに代えてクトローネ、カセレスに代えてリローラを投入したフィオは、右サイドからクロスを放り込んでいく形に。

アムラバトを中心に中盤の数的優位を活かしながらボールを運んでいき、サイドに展開。そこからのクロスという形でミランゴールを脅かしていきます。


【2020-21】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析17
――例えばこの場面。アムラバトから右サイドのリローラへとボールを展開


【2020-21】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析18
――その後、リローラのクロスに対し、エリア内ではブラホビッチがニアに走り、ロマニョーリを引き付ける。一方、その背後からボナベントゥーラが侵入。またクトローネはファーポストに構える


クロスに対し、ボナベントゥーラやクロトーネが飛び込んでいく姿は何か感慨深いものがありました(笑)

その後もクアメ、バレーロと攻撃的なカードを切り、終盤に攻勢を仕掛けるフィオレンティーナ。

一方、危ないシーンが増え始めたミランも74分にディアスに代え、クルニッチを投入。フィジカル的にも体力的にも、妥当な交代ですね。
更に82分にはトナーリに代えハウゲを投入。守備を固めつつも、カウンターによる追加点を狙っていく形です。

86分にはCKからピンチを迎えますが、最後の砦であるドンナルンマがしっかりとキャッチ。
その後も最後の攻勢をかけるフィオレンティーナ相手に、ミランはチーム全体でしっかりと時間を使いながら守り切り、試合終了。

ミラン2-0フィオレンティーナ



雑感

ミランが勝利を収め、首位をキープしました。
いくつか気になる点はありますし、イブラ不在時の形が明確になったとは言い難いものの、こういう勝つべき試合できっちりと勝ち点3を積み重ねられたというのは大きいですね。


続いて選手個人に目を向けますと、まずロマニョーリは試合勘が戻ってきたようで、積極的なラインコントロールや正確なカバーリングが再び見られるようになってきた印象です。

また、トナーリもフィジカルコンディションに関しては完全に仕上がったようですし、後はビルドアップ時の動きとかパスの安定感が改善されると尚良いですね。

そしてサレマ、カラブリア、ケアー、ケシエ、チャルハノールと好調組が引き続き好パフォーマンスを披露していますし、守備に関してはイブラ不在でもほとんど問題はないと。

後は攻撃が更に良くなると申し分ないんですけどね。
後方からのビルドアップについてはベナセルが戻ってくればさほど問題ないでしょうが、崩しの局面においては(イブラ不在時は)2列目の貢献が強く求められますから、ディアスやハウゲの更なる成長・フィットが期待されますね。

この点については引き続き期待して見ていきたい部分です。


Forza Milan!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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Comments 10

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Hiromiffy  

フリックからの得点はいつもやられてばかりだったので、嬉しかったです。

  • 2020/11/30 (Mon) 23:00
  • REPLY
CL8  

レビッチは裏抜けと守備時のプレスは素晴らしいですが、やはり中央にボールが収まらそうなのでサイドがベストそうですね。意外とファーストタッチが大きくロストしますしね。ポストプレーが上手くパスが出せる選手を発掘してほしいです。
ロマニョーリは1対1以外は無敵な状態に近づいてきてるようで良かったです。噂のシマカンやカバクが獲得できれば更に盤石ですね。
他の上位陣が勝点を落とすなかミランは勝ち点を積み上げられたのは大きいですね。異常な過密日程は若手主体のミランにはコンディション的には有利なのかもしれませんね。

  • 2020/12/01 (Tue) 00:00
  • REPLY
シェバシェバ  

コメント失礼致します。
マッチレポートありがとうございます。

イブラヒモビッチやベナセルが不在の中で近年、あまり相性が良くないフィオレンティーナに勝てて良かったです。

ブラヒム・ディアスは今のところでは、途中出場の方が脅威になりうるのかなと思いました。

トナーリのコンディションが徐々に上がってきてて安心しました。トナーリに関してカカニスタさんに質問なのですが、守備時の対応についてもう少し相手に厳しく当たってもいいのではないかと思ったのですが、どのように思われますか。


時期尚早なのは十分に承知してますが、もしかしたらスクデットの可能性もあるのではないかと思うこの頃です。

  • 2020/12/01 (Tue) 01:55
  • REPLY
名無しのミラニスタ  

兎に角勝てた事とプレッシャーに負けないメンタリティの確立
本当に見ててこんなに楽しいのは何年ぶりか
そしてロマニョーリの復調が感じられたのが何よりも嬉しい
先制点といいカピタンらしい仕事

イブラ不在時の形は段々ものになって来てるとは言え
レビッチの特徴を活かしきれてるとは言えないのがちょっと心配ですね
まだ得点がないのでレビッチに得点を取って欲しかった
やはり本職ではないのでポスト以外の面でも気の利いたプレーを求めるのは難しいものがあります
レビッチはキープからの捌きや背負ってのプレーがあまり得意では無いのかなと
ワントップに拘る必要も無いような気がするんですけどね
フランクフルト時代も基本的に2トップの一角か左サイドでしたし
相手の脅威になれるのは証明されてるので代役時は長所を消し過ぎてる気がするんです

インタヴューでディアスはイブラに声かけられてトレーニングつき合わされてると言ってましたが
やっぱりフィジカル弱いからなんでしょうね

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No title

レポお疲れ様です。

トナーリはオフボールの詰めと動きがチーム色に染まってくればボランチ即戦力かなぁと。
それよりも、市場オープンの際にチャル抜けのさいにトナーリで埋められないものかなぁと少し考えました。

トナーリは逆サイドへのプレースは申し分がないと思います。ポジショニングは今のうちに学んで頂き、あとは運動量だと思いますが。。。

トナーリが前線の引き付けを本人の上がり下がりでコントロールしながらキックで裏にピシャリと嵌められるようになると、イブラのおさめからの攻撃以外に中盤から確実なチャンスを作れないものかと勝手に想像してました。
さすがに空論ではありますが。。

よくよく目を凝らして見てみると、チャルハノールのオフボールの動きは今のミランの良いリズムを産み出してるのは間違いがなく、彼の代役は余所から引っ張って明日からやってみて!?というわけにはいかないかなぁと。

であれば、チームを見てきたトナーリが担えないかなぁと思う次第。
ピルロではなく、セードルフになってくれぬかなぁと(笑)


それにしても、ケシエはこのポジションで五本の指に入れるくらいの素質がありそうで素晴らしき(笑)

イブラ意外に違いを作る選手がいなくても、チームのコンセプトで確実に勝ちを拾っていけているチームバランスを整えたピオーリは拍手です!


ビエリみたいなのどっかに落ちてないですかね(笑)

  • 2020/12/07 (Mon) 20:44
  • REPLY
カカニスタ22
カカニスタ22  
To Hiromiffyさん

コメントありがとうございます。

最近はセットプレーからの失点が目立ちますからねー。
逆にセットプレーを1つの得点源にできると接戦をモノにしやすくなりますし、今後も同様のゴールに期待していきたいですね。

  • 2020/12/09 (Wed) 23:13
  • REPLY
カカニスタ22
カカニスタ22  
To CL8さん

コメントありがとうございます。

レビッチの場合、細かいテクニックがあまりないので後ろ向きのプレーや狭いスペースでのプレーに若干の難が見られるように感じます。仰るように、サイドから中央に入っていくスタイルの方が向いているんでしょうね。

怖いくらいに順調に勝ち点を積み重ねられていますし、今の最高に近いチーム状態の内に勝ち点の荒稼ぎといきたいところですね。
まずは冬の王者になって欲しいです(笑)

  • 2020/12/09 (Wed) 23:13
  • REPLY
カカニスタ22
カカニスタ22  
To シェバシェバさん

コメントありがとうございます。こちらこそ読んでいただき感謝です。

仰るように、ディアスは相手の足が止まり、寄せが甘くなる後半途中からの投入からが現状のベストといえそうですね。
今のフィジカルだと、特に中央でのプレーの場合潰される頻度が多いように感じられますしね。

>>トナーリに関して~~どのように思われますか。

個人でのボール奪取技術や判断に関していうと、まだまだ成長中といった感じですよね。
優秀なフィジカルを持っていますから、体の使い方を覚えれば守備時も相当強力な選手になれると思いますし、少しの辛抱かなぁと思います。

  • 2020/12/09 (Wed) 23:15
  • REPLY
カカニスタ22
カカニスタ22  
To 名無しのミラニスタさん

コメントありがとうございます。

ロマニョーリの復調が感じられたのは嬉しいですよね。
昨季もアディショナルタイムに決勝ゴールを決めたりしていましたが、CBでありながらチームが苦しい時に点を取ってくれるのは非常に有難いです。

1トップ起用時のレビッチをもチームとして活かせるようになれば最高ですが、それが厳しいようなら仰るようにちょっとしたシステム変更なんかも選択肢に入れても良さそうですね。
今のチーム状況だと…4―4―2(4―2―2―2)といった感じですかね?

  • 2020/12/09 (Wed) 23:15
  • REPLY
カカニスタ22
カカニスタ22  
To altさん

コメント&労いのお言葉ありがとうございます。

トナーリをもう少し高めの位置で起用したらどうかなぁというのは確かにありますね。例えば4-3-3のインサイドハーフとか。
おそらくマインド的にも後方でゲームメイクするより積極的に縦パス入れたりチャンスメイクしたりする方が向いてる気がしますし、仰るように裏へのパスと判断の速さはかなり良いものを持っているので、そっち方面で伸びていくのかなと。

チャルハノールの代役をすぐに見つけるのはやはり難しいと僕も思います。
それだけに、少なくとも今シーズンは残ってチームに貢献してほしいんですよねー…。

  • 2020/12/09 (Wed) 23:16
  • REPLY