ミラン、ショボスライ獲得に動く?~チャルハノールの後釜候補~
○はじめに
チャルハノールとの契約満了の可能性が日に日に高まる中、そんなチャルハノールに代わる存在として、ミランがドミニク・ショボスライに強い関心を示していると報じられています。
📰Gazzetta: Szoboszlai is the dream for January. He has a release clause of €25M, Milan could attempt to pay it especially if there is no agreement found over Calhanoglu's contract extension. The next few weeks will be important to understand Milan's strategy. pic.twitter.com/VDNPEJPtdC
— Milan Reports (@ACMReports) November 14, 2020
今回はそんなショボスライについて、プレースタイルや基本情報など、調べたことをまとめていこうかなと。
その上で、チャルハノールと随所に比較しつつ、その後釜として適切な選手であるかどうかも考えていきたいと思います。

ショボスライは20歳のハンガリー代表。185センチと上背もあります。
また、左サイド、トップ下、中盤と、複数ポジションでプレー可能であり、現在は主にLM(中央に絞る攻撃的アタッカー)でプレーしています。
そして今シーズンは公式戦ここまで12試合で5ゴール9アシストをマークする大活躍を見せており、その中にはCLでの2ゴールも含まれています。無数のクラブによる争奪戦になるのも納得の成績ですね。
○ショボスライのプレースタイル
もう少し具体的に見ていきましょう。

以上が今シーズンのリーグ戦におけるショボスライのヒートマップ(『SofaScore』より)ですが、左ハーフスペース周辺を主戦場としつつも、他にも様々なエリアでボールを受けていることがわかります。
また、実際のプレー映像や分析記事を読んでも、ライン間でのボール引き出し、対面のマーカーを釣り出すことで味方にパスコースを提供する等のスペースメイク、そして前方のスペースを自ら突くフリーランニングなど動きのバリエーションが豊富ですし、非常に頭の良い選手であることが窺えます。
チャルハノールの後釜として考えたとき、強く求められる能力の一つは様々な場所でボールを受けられるポジショニングセンスにあるわけですが、その点の資質については申し分のない選手であるように見受けられますね。
○パス能力
そして、おそらくショボスライの最大の魅力は、そのパス能力にあるのではないかと思います。
(※ショボスライのプレー集)
狭いスペースへとスルーパスを通すパス精度の高さはもちろん、相手の不意を突くコースにパスを通せるテクニックと創造性、相手のコンパクトなブロックを揺さぶるサイドチェンジ、走力のある味方に的確に合わせるスペースへのパスなど様々なタイプのパスを使いこなし、しかもそのいずれもハイレベルに思われます。
また、それらを可能にする視野の広さも特筆すべきものがありますね。

(※今シーズンのリーグ戦7試合における、ショボスライのパスに関するスタッツ。アシスト5、ビッグチャンス創出数5、平均キーパス数3.4と、いずれも高数値を記録。『SofaScore』)
今のミランにはレビッチ、サレマーケルスといった走力と飛び出しのセンスを兼ね備えた選手がいますが、彼らのような選手を活かす術をショボスライは持っているといえます。
将来性を含め、パスセンスに関してはチャルハノールを上回っている部分であると個人的には感じますし、チームにおいて攻撃の核として君臨し得るポテンシャルを秘めた選手であることは間違いないんじゃないかと。
もちろんセットプレーの精度や、ミドルシュートの精度など、キックが全般的に上手いですし、スピードに乗ったドリブルでボールも運べるという事で、技術面に関してはほとんど欠点がありませんね。
○懸念材料
一方で、ショボスライをチャルハノールの後釜として考えた場合、いくつかの懸念材料が存在します。
その中でも最たるものは、ミランの中心選手であるイブラとの連携についてです。
🔥 Zlatan Ibrahimović since the restart:
— The State Of Play (@StateOfPlayPod) July 29, 2020
• 9 appearances
• 609 minutes
• 6 goals
• 4 assists
🔥 Hakan Çalhanoğlu since the restart:
• 11 appearances
• 757 minutes
• 6 goals
• 8 assists
Dynamic duo for the Rossoneri 🔴⚫️💥 pic.twitter.com/yCiyGXY6GA
イブラとチャルハノールの連携に関しては特筆すべきものがあり、イブラのボールを貰う動きに応じてチャルハノールが的確にスペースを突いてボールを引き出したり、逆にチャルがボールを運んで前線のイブラに素早くパスを供給したりといった相互補完的な関係性を確立しています。
この点で、ショボスライがチャルハノールと同様のクオリティを見せられるかは未知数です。
特に、ショボスライの球離れ(時としてボールを持ち過ぎ、効率的なプレーを選択しない等)を課題として挙げている記事も見ましたし、その点で非常にシンプルかつ効率的にプレーするチャルハノールとの差異を(少なくとも最初の内は)感じてしまうのかなと。
ただもちろん、20歳と若いショボスライがこれから判断面に磨きをかけることは間違いなく、頭が良さそうなので割とすんなり改善しちゃうんじゃないかという気もするんですけどね。
それと、動きの量の面で、攻守に非常に貢献度の高いチャルハノールが抜けるのは純粋にチームにとって大きな痛手だと思います。
ショボスライも攻守に動ける選手だというのは存じていますが、最初の内はチームの戦術理解や異なる国・リーグへの適応に時間がかかるとも思いますし、後釜として(それもシーズン途中加入で)即フィットが求められるとなると難しいのではないかと。
○おわりに
懸念材料こそ挙げたものの、ショボスライがかなり有望な選手であることは間違いないですし、チャルハノールの後釜としても(将来性含め)十二分な選手だと思います。
移籍金に関しても、バイアウト条項により2500万ユーロと報じられており、そのポテンシャルを考慮すれば随分と安価ですしね。
とは言え、実際にミランが獲得できるかどうかは別問題です。ショボスライに対してはライプツィヒ、バイエルン、レアルマドリー、プ、リヴァプール、アーセナル、またイタリアだとユベントスといった無数の有力クラブが興味を示していると報じられており、この獲得レースを制するのは至難の業です。
しかし、一度そういったクラブに移籍してしまえば今のミランに手が出せる選手ではなくなると思いますし、もし獲得のチャンスがあるとすれば今冬、それも他の競合クラブに先んじて所属先のザルツブルク、およびショボスライ側と接触して合意を得るしかないのではないかと。
Dominik Szoboszlai has no agreement with Leipzig or any other club, except, of course, his current association, Red Bull Salzburg. Which is good news for Arsenal [@Sport_Witness] https://t.co/2XpkN2MuUN pic.twitter.com/NyivtYUecs
— AFTV (@AFTVMedia) November 12, 2020
(※ショボスライの代理人の言葉を信じるなら、未だにどのクラブとも合意はしていないとのこと)
そしてチャルハノールとの契約延長交渉が遅々として進まない現状を踏まえると、フロントが彼に見切りをつけショボスライ獲得に動くとしても個人的には納得できます。
チーム状況が非常に安定している今、チームにとって最も安全な選択がチャルハノールの残留であることは間違いないわけですが、先述の通り肝心の延長交渉が平行線ですしね…。
また、フリーでの移籍を覚悟で残したとしても、メンタルが強いとは言い難いチャルハノールが去就問題を抱えたまま好パフォーマンスをシーズン通して維持できるかというと疑問符が付きます(しかも、既に若干その兆候が見られます)。
一方で、ショボスライの選手としての可能性については先に見たとおりですし、確かにリスクはかなりありますが、成功すればそれ以上に大きいリターンが得られるのではないかと。
いずれにせよミランの補強方針や財政的制約を考慮した時、ショボスライはチャルハノールの後釜として極めて適切だと個人的には思うので、チャルハノールとの延長交渉の行方(正直今でも、出来れば延長して欲しいと思っています)を引き続き注視しつつ、ショボスライの去就にも注目していきたいですね。
それでは今回はこの辺で。