ミラン、右サイドハーフのレギュラー争いについて
今季ここまでのミランでは、サレマーケルスとカスティジェホのどちらか1人がスタメンとして右サイドハーフで起用され、その後スタメンから外れたもう一方、もしくは時としてディアスが同ポジションで交代出場するというパターンが主流になっています。
具体的に、サレマとカスティジェホの状況を比較してみますと、前者が主にリーグ戦で起用され、ここまでリーグ7試合中6試合に先発(開幕戦だけカスティジェホ先発)。後者はELが主な舞台となっており、ここまでのEL3試合全てに先発しています。
現状、レギュラー争いを大きくリードしているのはサレマであり、対するカスティジェホが結果を残せていないことから、このままならこの序列が続くものと考えられます。
私見ですが、サレマはカスティジェホよりも周囲の味方(特にSB)を使う意識・能力が高く、チームの連動性を高めてくれますし、飛び出しのセンスもあることから彼がレギュラーの座を勝ち取っているのは納得です。
確かにカスティジェホにもサレマにはない武器(右サイドからカットインし、そのまま左足で精度の高いアーリークロスを送る)というのがありますが、輝ける状況があまりに局所的に感じますし、中央に入り込んでのプレーがほとんど出来ていないことから、今の右サイドハーフに合っている選手かというと微妙なところです(献身性は常に素晴らしいんですけどね)。
○移籍?コンバート?
ところで、両者に関していくつか気になる報道があり、それが事実だとすれば今後の右サイドハーフの人選にも大きな影響を及ぼす事となります。
まずはカスティジェホについてですが、彼は現在レギュラーポジションを失ったという事もあり、移籍の噂が浮上しています。
📰@86_longo on Instagram Live: Samu Castillejo could leave AC Milan. Sevilla is a more likely destination than Atletico Madrid.
— AC Milan Reports (@ACMReports) November 13, 2020
The Rossoneri management has a good relationship with Sevilla. pic.twitter.com/LEbP9DBrgE
移籍先候補はスペインで、具体的にはアトレティコマドリーやセビージャ、ビジャレアルの名前が挙げられていると。
なお、肝心のカスティジェホ本人の意思は明確でなく、残留を希望しているという話もあれば移籍を考慮しているという話もあり、何とも言えません(ただ、彼の真面目な性格から推察するに、今はひたすらトレーニングをこなしてレギュラーを再奪取することに燃えていると個人的には思います)。
続いてサレマーケルスについてですが、彼にはコンバート案の噂が浮上しています。
📰GdS: Milan technical staff and managers see Alexis Saelemaekers destined to be the right-back of the club in the future. But for now, Calabria is doing well and is becoming increasingly reliable. pic.twitter.com/J6Mgddziop
— AC Milan Reports (@ACMReports) September 29, 2020
『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によれば、ミランはサレマを将来的には右SBとして考慮しているとのことです。
個人的にも、サレマはかつてのアバーテに近いモノを持っていると思っていまして、いずれは彼のようにSBとして大成する可能性も十分にあると踏んでいます(もちろんそのためには守備力諸々を鍛える必要があるわけですが)。
現時点でサレマは右サイドハーフのレギュラーであるため、すぐにコンバートされる可能性は低いですが、今後の右サイドハーフの陣容の変化・サレマの成長の仕方によってはポジションを一列下げる可能性はあるでしょうね。
○その他のレギュラー候補
また、両者の動向に関わらず、右サイドハーフの序列が変わる可能性の1つとして「現有戦力からの台頭」が考えられます。
例えば、個人的に期待している選手の1人がハウゲです。
ハウゲは左サイドを主戦場とする選手ですが、当初の触れ込みでは右サイドや中央でもプレー可能な選手とのことであり、実際にEL第3節のリール戦では右サイドハーフで途中出場したらしいです。
左サイドハーフではレビッチ、レオンの2人が主にスタメン起用されそうなことから、ハウゲにとっても出場機会を確保する上で決して悪い話ではないですし、両サイドをこなせる選手になってくれればミランとしては最高です。
それに、ドリブルによる突破は勿論のこと、スピード、(中央に入りながらプレーできる)テクニックを兼備し、スタミナと献身性もおそらく問題ないことから、ミランの右サイドハーフの適正は十分にあると思います。
他にも、候補としてはディアス、レオンが考えられますが、2人とも別ポジションの主力(ディアスはトップ下の貴重な控え)であるため、ここで起用されるとしてもスーパーサブかなぁと。ディアスなんかは凄く面白いと思いますけどね。
○補強という選択肢
一方、外からの補強により右サイドハーフを強化するという可能性も十分に考えられます。
これに関連し、今ミランの補強候補として挙げられている最もホットな名前がマルセイユのトヴァンです。
📰CorSport: Castillejo could leave Milan to return to Spain, and join Sevilla. To replace him, the club thinks of the possibility of signing Florian Thauvin whose contract expires at the end of the current season. However, the problem is the €5M salary demand. pic.twitter.com/86y0nU6SCN
— AC Milan Reports (@ACMReports) November 13, 2020
ミランの補強担当の1人であるマッサーラが長年に渡り(ミランに来る前から)獲得を熱望していると報じられるトヴァンは、右サイドを主戦場とする選手という事でミランの(暫定)要補強ポジションには合致します。
また、現所属クラブであるマルセイユとの契約が来年2021年に切れ、契約延長の気配も今のところなさそうという点から、来夏にフリーないし今冬に安価で獲得できる可能性が高いというメリットがありますね。
前政権であればガッリアーニが舌なめずりしてそうな案件ですが、エリオット現政権ではどう捉えられるでしょうか。
まず、問題となり得るのは年齢についてです。トヴァンは現在27歳(2か月後に誕生日を迎える)という事で、決してベテランというわけではありませんが、若手路線を本格化させた今のミランが実際に獲得に動くか(動けるか)は未知数です(多分大丈夫そうですが)。
また、それ以上に問題となるのが年俸についてです。現在トヴァンは年俸500万ユーロを要求しているという報道があり、それが事実であればミランに手が出せる選手ではなくなります。
個人的見解として、前者の年齢面は何の問題もないと思いますし、むしろ選手として脂が乗った時期とも言えますから、この手の選手には是非とも来ていただきたいですよね。
ただ、年俸に関しては報道通りなら極めて厳しいですし、事実なら別の選手を探した方が良いのかなと。
○おわりに
現時点で言えば右サイドハーフの陣容に多少の物足りなさを覚えるのは確かですし、そうなると外からの補強による強化を願いたくなる気持ちにはなりますね。
ただ、先述の通りハウゲを筆頭に現有戦力が台頭する可能性があり、またサレマの成長もまだまだ期待できることから、冬のメルカートまでに何らかの嬉しい誤算が生じて欲しいとも思います。
特に、ミランの場合CBを始め優先して補強すべきポジションが他にありますし、使えるお金も限られているため、できることなら右サイドハーフは現有戦力でどうにかできたら良いなと。
くどいようですが僕はハウゲに期待してるので、彼がメルカートまでに右サイドでも可能性を見せてくれると最高なんですけどね。
という事で冬のメルカートに思いを馳せつつ、現有戦力の成長・フィットに期待したいと思います。
それでは今回はこの辺で。