難航するチャルハノールとの契約延長交渉~要求額は妥当なのか~
来年2021年6月までとなる契約の延長が急がれるドンナルンマとチャルハノールの2名。
前者に関しては楽観的な報道がなされており、後はバイアウト契約(CL権を逃した場合に発生)を付けるかどうかといった点を残すのみという事らしいので、契約延長については問題なさそうです。
一方で、割と本気でヤバそうなのがチャルハノールです。
チャルハノール側が要求する年俸とミラン側の提示額が乖離しているという報道は当初からなされていましたが、ここにきても両者が歩み寄り合意に近づく等といった様子は一切ありません。
3年前の2017-18シーズンにミランに加入してからというもの、チャルハノールはほとんどの時期を主力として過ごしてきています
『transfermarkt』でチャルハノールの出場歴をざっと調べましたが、まず初年度となる17-18シーズンはリーグで31試合に出場(内25試合に先発)。EL本選にも10戦の内8戦に先発出場しています。
翌18-19シーズンはリーグ戦36試合に出場(内34試合に先発)。ELでも6試合中5試合(3先発)に出場しています。
昨シーズンの19-20シーズンはELこそありませんでしたが、リーグでは35試合に出場し、内34試合にスタメンとして名を連ねています。
そして、ロックダウン後の12試合では6ゴール8アシストをマークする大活躍を見せ、チームの快進撃に大きく貢献していましたね。
そして今シーズン。20-21シーズンもここまで主力として活躍。ELではターンオーバーの一環で休むことも多いですが、リーグではここまで7試合すべてに出場しています(内6試合先発)。
このように、出場数という観点で見れば紛れもなくここ数年のミランでトップクラスの貢献度でありますし、これだけでも現年俸額と報じられる250万ユーロからの昇給自体は極めて妥当であると個人的には思います。
しかし、問題はどれだけ昇給すべきかでありますが、チャルハノール側が要求していると報じられる額は500~700万ユーロほど。報道によりバラつきがありますが、少なくとも現在の倍以上のようです。
"Hakan Calhanoglu ha pedido 7M€ al año para renovar su contrato con el Milan. A día de hoy su renovación es complicada y hay varios clubes interesados en el turco"
— AC Milan 🇮🇹 (@ACMilanGoleador) November 12, 2020
-Manuele Baiocchini en Sky Sport pic.twitter.com/MDmJYTbssJ
そして500万ユーロというと、現在のミランの推定年俸ランキングでいえばイブラヒモビッチ(700万ユーロ)、ドンナルンマ(600万ユーロ)に次ぐ3位の数字という事になりますね(ちなみに暫定3位はレビッチ、ロマニョーリの350万ユーロ)。
さて。それではこの要求額が妥当なのかどうかという話です。
先述の通り、チャルハノールの出場ペースに関してはこれまで申し分ないものがあったわけですが、具体的なパフォーマンスや結果に関していえば、振るわない時期というのが断続的にありました。
具体的に、各シーズンにおけるチャルハノールのリーグ戦成績を振り返ってみますと、17-18シーズンは6ゴール9アシスト。18-19シーズンは3ゴール6アシスト、19-20シーズンは9ゴール9アシストとなっています。
しかし、チャルハノールの傾向として「固め打ち」するというのがあり、それこそ17-18シーズンは最後の4試合で3ゴール3アシスト、19-20シーズンに至っては先述の通り最後の12試合で6ゴール8アシストと、そのシーズンの大半のゴール・アシストを終盤にたたき出しています。
つまりシーズンを通して得点・アシストをコツコツ積み重ねているわけではないため、この点については評価が分かれる部分だと思います。
チャルハノールはこれまで、起用法だったり戦術だったり気の毒な点も多く、そのため一概に彼を好不調の波が大きい選手であると断定することはできないと思うのですが、それでも安定したパフォーマンス・結果をこれまで残しているとは言えない以上、500万ユーロ以上の要求額というのは(少なくともミランにおいては)過大であると思ってしまいますね。
パフォーマンスが安定し、継続的な結果も付いてくるようになったのはここ数カ月のことですし、そうした状態が通常と感じられるようになって初めて提示され得る金額だと思います。
○おわりに
チャルハノールとミランの交渉の動向には多くのクラブが注視しているようで、国外クラブで言えばアトレティコマドリーやマンチェスターユナイテッド、国内だとガットゥーゾ率いるナポリやライバルクラブのインテル、ユベントスがチャルハノールに関心を寄せていると報じられています。
チャルハノールをフリーで放出という事になれば経済的にも戦力的にも大ダメージですが、かといって現行契約が残り半年となる今冬の移籍市場で急いで放出すれば、チームに大きな影響を与えることになります。
代役を何とか確保したとしても、すぐにチャルハノールと同等のパフォーマンスを見せてくれる保証は全くありませんし、何よりリーグ4位以内フィニッシュが今まで以上に求められる今シーズン。現チームの主力中の主力であるチャルハノールをシーズン途中に手放すリスクはあまりにデカすぎます。
ですので、やはり契約延長&残留して欲しい。とは言え先述の通り、選手側の言い値で契約延長すべきかというとそうではないと思います。
このように、フロントは本当に難しい選択を迫られていると思いますし、今の好調なチーム状態に水を差すチャルハノール(と代理人)の態度には正直かなりガッカリなのですが…選手の目線に立てば致し方ないんですかねー…。
何とか350万ユーロ+ボーナス位で合意してくれないものかと思いつつ、別れの覚悟はしておいた方が良いのかもしれません。
それでは今回はこの辺で。