ダニエル・マルディーニに懸かる期待 ~偉大なる先人の後に続けるか~
パオロ・マルディーニのご子息であるダニエル・マルディーニ。ご存知の通り今シーズンは開始からミランのトップチーム入りし、偉大なる「マルディーニ」の血を継ぐ者として、ミランでのキャリアを本格的にスタートさせました。
しかし、今のところ出場機会を十分に得られているとは言えず、今シーズンはここまで4試合の出場(内訳:先発1、途中3.総プレー時間109分)に止まっており、序盤のEL予備予選での2試合を除けば、わずか9分間のプレータイムとなっています。
という事で、この状況が続けば、出場機会を与えるためにレンタル移籍させるという選択肢も視野に入ってくるのではないかと。
📰CM: The decision was made: Daniel Maldini will not be leaving AC Milan in January. pic.twitter.com/fsjSJpozzB
— AC Milan Reports (@ACMReports) October 31, 2020
しかしながら『カルチョメルカート』によれば、ミランは来る冬のメルカートではダニエルを放出しないことを決断したようです。
しかし一方で、19歳と伸び盛りのダニエルにとって試合への出場機会が大切であることは言うまでもありませんが、この点に関しては、先述の通り決して望ましい状況では今のところありません。
○ポジション・プレースタイルについて
ダニエルのメインポジションは2列目。というのも、昨シーズンのプリマヴェーラでは14試合の出場の内、13試合はトップ下としてプレーしていたとのことです(『transfermarkt』より。ちなみに2シーズン前は主にウイングとしてプレー)。
またダニエル自身も、クラブ主催の「Q&A」企画にて、「最も快適にプレーできるポジションは?」という趣旨の質問に対し、「メインストライカー(CF)の背後でプレーするセカンドストライカー」と答えています。

(参考:ダニエルの基本データについて【『SofaScore』より】。こちらでもメインポジションは2列目となっている)
続いてプレースタイルについてですが、実際にトップチームで見る限りでは出場機会が少なくまだ何とも言えないところです。
ですのでプリマヴェーラ時代のマルディーニを調べたところ、戦術的インテリジェンスとテクニックの高さを兼備した選手であり、ピッチを幅広く動きながらボールを集め、広い視野を活かしてボールを捌いていくことに特長があるタイプのようです。また得点力もあり、昨シーズンのプリマヴェーラでは14試合で9ゴール4アシストを記録していました。
○熾烈なポジション争い
ところが、今のミランのトップ下は激戦区であり、ダニエルが出場機会を得るのが難しい要因となっています。
トップ下の絶対的レギュラーであるチャルハノールとは(フィジカル含)走力、判断力、(トラップ含)パス精度という面でまだ大きな差があるように見受けられますし、控えのブラヒム・ディアスもメキメキと力を付けているため、彼らを差し置いてトップ下で起用されるというのは至難の業です。
実際に、今シーズンここまでダニエルが出場した際のポジションはほとんどCFという事で、本職と見られるトップ下での起用は(少なくとも僕の記憶している限り)ありません。
しかし、先述のプレースタイルであるダニエルに1トップ適正があるかは疑問ですし、ましてイブラの代役としての役割が要求されるとなれば尚更ですね。
また、今のミランの左サイドハーフにはストライカー色の強いタイプが好まれ、右サイドハーフには走力と守備力が求められるという事で、いずれも現状のダニエルが優先的に起用されるポジションではなさそうかなと。
○それでも残留すべき理由
そうなると、レンタル移籍によって出場機会を得るという選択がひとまずは妥当なようにも思えてきます。が、しかし少なくとも今シーズンいっぱいは残留するべきだと個人的には考えています(ベストは生涯残留ですけどね)。
理由の一つとしては、まずイブラヒモビッチの存在です。
🔸Bir zamanlar Paolo Maldini'ye karşı oynayan Zlatan Ibrahimovic, şu an oğlu Daniel Maldini ile takım arkadaşı. pic.twitter.com/VBi6hj19n8
— L'écho Sport🦇 (@lechosport) November 3, 2020
(ズラタンVSパオロ、ズラタンVSダニエル)
イブラヒモビッチの特殊性については全世界のミラニスタが現在進行形で痛感しているわけですが、とりわけそのメンタリティ、周囲に与える影響力に関しては筆舌に尽くしがたいものがあります。
そんなイブラが練習の際にチームメイトに多くの助言を与えているというのは周知の事実でありますし、彼の側で学べるものというのは、ともすればただ試合に出ることよりも遥かに貴重で、若いダニエルにとって今後のキャリアを築いていく上で極めて重要になっていくんじゃないかと。
もう一つは過密日程による、出場機会の増加の可能性です。
ご存知の通り、リーグとELの両立を目指しているミランにとって、今後も過密日程を避けて通ることはできず、それを乗り切るには選手層の厚さが生命線となります。
この点についてはダニエル、そしてコロンボといった若手選手たちのフィットと成長(+補強)が鍵になってきますし、トップチームでの継続的な練習と試合を通じ、成長した彼らがシーズン後半戦で爆発する…なんて展開になったら最高じゃないかと。
いずれにせよ後半戦になれば国内カップ戦も始まりますし、その分チャンスは増えるでしょうしね。今冬に武者修行に出るというのはその意味でも勿体なく感じます。
そういうわけで、主に以上2つの点からダニエルには残留して欲しいですし、またコロナ禍でもありますから、この状況で環境を変えるというのは得策ではないと考えます。
○おわりに
僕のような2000年代にミラニスタになったような人間からしても、パオロ・マルディーニは特別な存在でしたし、それ故に「マルディーニ」の血を受け継ぐダニエルにはどうしても期待してしまいます。
現状出場機会は少ないですし、先述の通りしばらくは我慢の時だと思うのですが、このシーズン中にきっとチャンスは訪れるはずなので、その時には是非とも活躍して欲しいと心から願います。
偉大な祖父、父と同様に、ミランで偉大なキャリアを築いて欲しいです。
それでは今回はこの辺で。