ラファエル・レオンの成長と今後の課題について
その時のマッチアップの相手はディエゴ・ゴディン。組織もへったくれもない当時のミランの中で、百戦錬磨のディフェンダーを相手に光るものこそ見せたレオンでしたが、全体としては封じられ結果を残すことはできませんでした。
しかし今シーズン。あの頃と比べ劇的に変化したミランの中で同じように先発したレオンは、今回のマッチアップ相手であるダンブロージオに随所で勝利。
Rafael Leão (21) 🇵🇹 vs Inter
— HomeOfMilan (@homeofmilan) October 19, 2020
• 24 touches
• 67% pass accuracy
• 1 key pass, 1 big chance created
• 💯 dribble success 2/2
• 3 ground duels won
• 💯 aerial duels won 1/1
• 1 tackle
• 1 assist 🅰️ pic.twitter.com/AqDlMRTsXH
結果的には決勝点をアシストする大仕事をやってのけ、チームの勝利に貢献してくれました。
しかし、今季こそはポテンシャルを最大限に発揮してくれるのではないか……そう思わせてくれる今シーズン序盤となっています。
では、そうした予想が現実と化すには、一体今後のレオンには何が求められるのでしょうか。
この点について、2人の「指導者」であるピオリ監督とイブラヒモビッチは、以下のようにコメントしています。
ピオリ「レオンは上手くやっている。しかし、更に多くのものを期待して良い選手だ。試合の中での一貫性を身に付けなければならない。彼にはクオリティがあるが、そのクオリティの活かし方を知る必要があるね。」
イブラ「レオンには強力なフィジカルがあるし、スピードもテクニックも持っている。自分のサッカーに集中しさえすれば良いんだ。だが、彼はミランでプレーしているというのに忍耐力が足りない。」
両人が口を揃えて認めているのは、レオンの素質の高さです。
振り返ればピオリはミラン監督就任時から、レオンの潜在能力を非常に高く評価していたと報じられていましたし、イブラも加入当初はレオンを相棒に指名したということで、よく2トップを組んでいましたね。
しかしやはりというべきか、同じく両人がレオンの課題として挙げているのは、継続性といったメンタル的な部分です。
パフォーマンスに波があるというのは若手選手にはありがちですが、レオンは特にその傾向が強く、一試合に限ってみても波のあるパフォーマンスが見られる印象です(ピオリの求める「一貫性」も、おそらくこの点を指してのことだと思われます)
また、中でも守備に関しては、プレスのスピードが速くなく、プレスバックも十分にこなせているとは言えません。こうした点は体力的な問題だけではなくメンタル的な問題も大いに関係しているのではないかと(例えばコロンボなんかは、スタミナが豊富であるようには見えず、ガス欠も早いですが、出場中は献身的に守備をこなしていますしね)。
今のミランでレオンがレギュラーとして継続的に出場して活躍するには、こうした守備面や波のあるパフォーマンスの改善がどうしたって求められますし、そのためにはイブラの指摘するように意識を変え、より真摯にサッカーに取り組む必要があるのかなと。
しかしながら一方で、攻撃に関しては徐々に改善が見られているように思われます。
とりわけ、イブラと一緒に出場した際の動き(裏抜けの意識など)やポジティブトランジションの速さですね。
この点については、先日のミラノダービー戦でも見られました。以下はその一例です。(『Dazn』より)

――自陣右サイドでチャルハノールがボールを受ける

――その後チャルハノールは反転し、コラロフの背後のスペースへ走るサレマにスルーパスを通す

――その後の場面。DFライン手前でボールを受けようとしたイブラに代わり、レオン(赤)が右サイドに流れてDFライン裏に抜ける。サレマはレオンの抜け出しに合わせ、スルーパスを出す

――そのスルーパスは長くなり、惜しくもレオンに合わず
左サイドを基本ポジションとする選手が右サイドにまで流れてくるこうした動きは、まず何よりも運動量が必要となります。
また、タイミング良く流れてくるための状況判断力や、相手DFとの駆け引きを制し、味方からのパスを引き出すための集中力等も求められるわけですが、このシーンのレオンは見事な動きで決定機を作りかけてくれました。
ボール保持・非保持時の両方でスピードがあり、かつテクニックとフィジカルを兼備するレオンがスプリントを行えばそれだけで一定の驚異が生まれますし、そこに動きの量と質を加えることができれば鬼に金棒です。
守備に関してはまだまだ意識改革の必要がありそうですが、攻撃面の改善に関しては良い傾向にあると思いますし、是非ともこの調子で成長を続けて欲しいと思います。
最後に。レオンはまだ21歳と若く、今後のミランを長年に渡って支えていくポテンシャルを秘めていることは間違いないと個人的に思っています。
それだけに、その才能を浪費しないためにもメンタル面を改善して欲しいですし、プロ意識の塊のような存在であるイブラが側にいる今こそ、意識改革を果たすには千載一遇の大チャンスなのではないかと。
レオンには是非ともイブラのメンタリティを学んでもらい、今シーズンこそは大きな飛躍を遂げて欲しいですね。
それでは今回はこの辺で。