ロレンツォ・コロンボに懸かる期待 ~プレースタイルと特徴について~

先日、「イブラの控えはどうするのか」という旨の内容についての記事を上げたのですが、その約1時間後にイブラがコロナに感染していたことが発覚するというまさかの事態に。



正直、「イブラの控え問題」に実際に直面するのはもう少し後だと思っていただけに、本当に衝撃的でした…。

同じくコロナに感染したドゥアルテもそうですが、まずは両者が何事もなく無事に回復してくれることを願いたいです。



さて。イブラが急きょ離脱を余儀なくされたということで、先日のボデ/グリムト戦にはミラン期待の若手FWであるコロンボが先発に抜擢。そしてゴールを決め、チームの勝利に大きく貢献してくれました。



今回は、そんなコロンボについて、そのプレースタイルや特徴を振り返っていこうと思います。




最初に、コロンボの簡単なプレースタイルについて。彼は中央最前線に構え、裏抜けやエリア内でのポジション取りによってパスを呼び込みゴールを奪おうとするオーソドックスなセンターフォワードといえると思います。


DFライン裏への抜け出し

具体的に見ていきましょう。先日のボデ/グリムト戦にて、コロンボは主に相手の左SBとCBの間にポジショニングしました。そして、そこからゴール方向へのダイアゴナルな裏抜けにより一気に得点を狙う形を好みます。


コロンボ_プレースタイル1
――ミランのポゼッション時、ケシエがボールを持っている場面。コロンボ(赤丸)は相手の左SB-CB間にポジショニング



コロンボ_プレースタイル2
――その後の場面。チャルハノールがライン間でボールを受け、前を向く。そこでコロンボ(赤)は裏へ走り出す。チャルハノールがそれに合わせてパスを出すも、相手にカットされる


上記のようなSB-CB間を狙うパターンの他にも、相手のCB間のスペースへと旋回して入っていくという形も見られます。


コロンボ_プレースタイル3
――例えばこの場面。テオからサレマにボールが入り、サレマはワンタッチでケシエにバックパス。サレマには右CBが対応するため、CB間にスペースができる



コロンボ_プレースタイル4
――その後の場面。コロンボは左CBの前を横切り、CB間のスペースへ走り込む(赤)。一方、ケシエは右へのサイドチェンジを選択


この試合、左サイドハーフのサレマがハーフスペースを基本ポジションとしながら、積極的にサイドに流れてパスを引き出すなどして、対面の右CBを引き付ける動きを繰り返していました。

そして、このような動きによって生じるCB間のスペースを突いていくのがミランの主な攻撃パターン。同サイドのテオやトップ下チャルハノールと同様に、上記のようにコロンボがそのスペースを突いていく、と。


しかし、コロンボがシュートチャンスを迎えるシーンというのは多くありませんでした。

以上のようなコロンボの動きが十分に活かされる(良い形でボールを受ける)には、パスの出し手との連携や出し手のクオリティが不可欠となりますから、この点については練習や試合を通して改善されていく必要がありますね。
特にチャルハノールとの連携向上、そしてトナーリのフィット・成長が強く期待されます。



エリア内でのプレー

続いて、エリア内でのプレーについて。

コロンボ_プレースタイル5
――例えばこの場面。エリア内でボールを待つコロンボに、カスティジェホ(画面外)からクロスが入る。コロンボは相手を背中で抑えながらボールキープ


コロンボ_プレースタイル6
――その後。すぐに反転して強烈なシュートを放つも、GKにセーブされる

18歳にして既に恵まれた体格を持つコロンボにとって、フィジカル面で相手DFに引けを取らないという点はエリア内で大きなメリットになります。

また、プレシーズンマッチのブレシア戦でも相手を抑え込みながらシュートを撃っていたように、強引にシュートまで持っていける力強さと積極性には非常にロマンを感じますね。


そして、この試合では少ないチャンスながら、ゴールを決めてチームの勝利に大きく貢献してくれました。


コロンボ_プレースタイル7
――得点シーンについて。先述のサレマによるスペースメイクから、テオ(緑丸)がCB間へ走り込みパスを受ける


コロンボ_プレースタイル8
――その後、テオがクロス。一方、ボールサイド側へ走るチャルハノールとDF(黄)を認識したコロンボはファーサイドに流れる(赤)


コロンボ_プレースタイル9
――その後、チャルハノールから完璧なパスが通り、コロンボがワンタッチでゴールに押し込んだ

この得点はチャルハノールによるアシストが素晴らし過ぎたわけですが、コロンボもしっかりとエリア内の状況を察知してポジションを決め、その後訪れた決定機にも俊敏に反応し冷静にボールを押し込んだ点は評価されるべきだと思います。



○おわりに

イブラの復帰は最短でも来月のダービー戦になることが濃厚…つまりミランはその間、早くもイブラ抜きで3試合を戦う必要があります。
そんな中、FWの純粋な控えとしては第一候補といえるコロンボが早くも結果を残してくれたのは非常に大きいですね。

確かにミランにはレビッチ、レオンを1トップに回すという選択肢がありますし、経験や実績、能力等を踏まえるとその方が無難な選択ですが、個人的にはコロンボにも途中出場などで積極的にチャンスを与えて欲しいと感じます。
プレシーズンから継続的に結果を残している彼には確実に良い流れがきていますし、プリマヴェーラ出身という事で、心情的にも活躍して欲しいなと(笑)

ミランにとって、イブラの控えが(別の形でも)下部組織出身の若手FWコロンボに務まるということになれば色々な意味で最高ですし、是非とも実現して欲しいと思います。

今後のコロンボの活躍、そして成長に期待しましょう。


それでは今回はこの辺で。

4Comments

ビオラ

カカニスタさん、こんにちは!
沢山、ブログ楽しませていただいています。

プレシーズンの頃から、コロンボ選手、気になっていました。
EL予選でゴール!
なんといっても下部組織から上がってきた選手がトップチームで活躍してくれるのは嬉しいです。ダニエル選手も頑張ってほしいです。

開幕戦は楽しかったですね!
昨シーズン前半は、本当に得点不足に泣きましたから。

思えば、イブラがミランのピッチに立ったあの日から、すべてが変わりました。
どうか、2人ともコロナの後遺症が残らないように回復してほしい。

1トップの選択肢が増え、チャルハノールが絶好調、ケシエ、ベナセルの安定感、カラブリアの覚醒(!?)と今期は楽しみです。サレマーカーズも躍動してますね!

リーグは3位以内、ELはベスト4を期待します😄

  • 2020/09/27 (Sun) 14:04
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カカニスタ22

カカニスタ22

To ビオラさん

コメントありがとうございます。楽しんでいただけているようで何よりです。

ダニエルもホントに頑張ってほしいですね。彼はFWですが、ディフェンスの際にスライディングでボール奪取したシーンには「マルディーニ」を感じました(笑)

個人的にはリーグ戦の結果を最優先して欲しいのですが、ELにも勝ち残ってほしいですねー。
その分だけ過密日程で苦しくなりますが、今のチームならやれると信じています。

  • 2020/09/27 (Sun) 22:55
  • REPLY

名無しのミラニスタ

イブラの役目を他の選手にそのままやらすのはどうなんすかね?私は別の形を模索して欲しいかな?と
そのままやらすのは選手のポジティブな特徴を殺してしまう事にもなりかねないと思ってます
ピオリには選手の特徴を活かしたチームを構築して欲しい今のミランは未来が多いので余計に
下手な話イブラはあくまでも短期的なクオリティの確保と若手の成長剤であり未来じゃない
極端な話現代サッカーで彼のようなタイプは生まれにくいし必要とされにくい
まず走らない選手が必要とされにくいイブラのプレースタイルは走り回って出来るもんじゃないですしね

カカニスタさんも言っておられましたがぶっちゃけ完全な代わりはいないと思うんすよ
少し…というかかなり特殊な選手だと思うので
純粋なポストプレイヤーって訳でもフィニッシャーって訳でもないですからね確かに
上手く連動しないと彼のせいで停滞を生んだりする事もあるぐらい中盤やサイドにも関与しますから
もちろん試合の流れにもよりますけど
ポストは勿論ですが前線から中盤やサイドに寄って組み立てに加わり攻撃の活性化をしながら
得点やアシストを狙うような彼のスタイルは極端な言い方をすれば現代に必要ないと思います
俺は好きですけどもね
残念ながら以前のようなロングフィードやスルーパスは彼からあまり見られなくなりましたが
それでも彼は多岐にわたって仕事が上手いです
ポジショニングやスペースの作り方一つ見てもやっぱ頭が良いなと思って最近見てます
動きも技術も精彩を欠く事が増えましたが本当に器用です何歳になろうが
ミランが好調なため若手が躍動してるため全盛期の彼の幻影はもう見えませんし
見てて苦しみむ事もなくなりましたが
ピオリには彼が去った後に悪影響が残るような形にだけはして欲しくないなと思っとります

それとケシエは素晴らしい選手になりましたよねほんと
最近試合見ててもケシエのプレーばかり追いかけてしまいます安定感が増し判断が早く的確だ
後はチャルハノールですよ素晴らしいですほんとワクワクします
この先のミランを背負う10番になって時代を築いて欲しいですよ

カカニスタ22

カカニスタ22

To 名無しのミラニスタさん

返信が遅れてしまいすみません。コメントありがとうございます。

仰る通り、イブラの役目をこなせる選手は他にいませんから、彼の欠場時は大なり小なりチームの形(戦術・システム)を変えることは必須になると思いますね。

イブラほどのオールマイティな選手は滅多にいませんからねー。
普通は圧倒的なフィジカルとテクニックを兼備するだけでも十分に脅威ですが、イブラはそのうえ戦術理解度(インテリジェンス)まで高いので本当にいろんな役割をこなせますからね。
ジダンとかトッティもそうですが、こういう1人でチームの全てを変えてしまうような選手のプレーは本当にワクワクします。

ケシエもチャルハノールも、いよいよミランの中心選手としての風格が出てきましたね。
個人的にチャルハノールはイケると思っていましたが、ケシエはミランではもう厳しいと昨季前半まで感じていただけに反省です。

  • 2020/09/29 (Tue) 14:12
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