【最強の戦術:イブラ】 ミラン対アタランタ 【セリエA第36節】
今回はセリエA第36節、ミラン対アタランタのマッチレビューを行いたいと思います。
スタメン

4-2-3-1のミランと、3-4-1-2のアタランタ。
ミランはここにきてロマニョーリ、ベナセル、テオが欠場。
コンティも含めると、実に4人の主力を欠く非常に苦しい状況です。
スタメン

4-2-3-1のミランと、3-4-1-2のアタランタ。
ミランはここにきてロマニョーリ、ベナセル、テオが欠場。
コンティも含めると、実に4人の主力を欠く非常に苦しい状況です。
※アタランタ戦のハイライト映像
○前半序盤戦の攻防
序盤はアタランタが主にポゼッション。序盤から人数をかけて押し込んでいきます。
ミランとしては前からのプレスでボールを奪いたいのでしょうが、アタランタの後方が数的優位(ゴメスや両ボランチが下がってボールを受けに来る)ということもあり中々上手くいかず。また、リトリート後はレビッチの戻りが遅く、そのスペースを突かれてチャンスを作られていきます(後述します)。
一方、序盤のミランはSBの持ち運びから崩していこうとする形。相手のシステム上、ミランのSBは比較的フリーになりやすく、カラブリアもしくはラクサールを経由してボールを運んでいきます。

――前半序盤までのアタランタの守備陣形について。まず2CFがミランCBを見て、ゴメスがビリア、フロイラーがケシエをそれぞれマーク。そしてトップ下のチャルハノール(画面外)にはデローンが対応。
ミランの2ボランチ1トップ下の形に合わせるため、中盤の形を変えています。しかし…

――その後の場面。ドンナルンマは右サイドでフリーのカラブリアへロングパス。それに対しては左CBのジムシティ(桃丸)が後方から対応
位置的には左WBのゴセンスが対応しても良さそうですが(実際、左SBのラクサールには基本的に右WBのハテブールが対応)ゴセンスは左サイドに張るサレマの対応を優先して後方のスペースカバーをするため、このようにジムシティが駆り出されるシーンが序盤は目立ちました。
とは言え、他の選手にはしっかりマークが付いているため、SBからの展開に一苦労する形に。アタランタとしても、カラブリアにはある程度自由を与えても良いと判断したのかもしれません。
ミランとしては、細かい連係で崩すか、個の力でマークを剥がすかしたいところです。すると13分、敵陣左サイド深くでレビッチが1対1でドリブルを仕掛け、FKを得たミラン。そのFKでチャルハノールが素晴らしいキックを見せて直接ネットを揺らし、ミランが先制に成功しました。

――先制点の少し前の場面。フリーのラクサールが自陣からドリブルで運ぶ。続いて、レビッチがサイドへ流れる動きに合わせてスルーパス

――その後、レビッチはサイドで1対1を仕掛け、ファールを受ける。そのFKからチャルハノールが得点した。
○前半中盤・終盤戦の攻防
失点後もアタランタは左サイドから崩しを試みる。ミランは同サイドハーフのサレマの献身的な戻りもあり、左サイドをそのまま突破されるシーンこそ少ないものの、左サイドで密集した状態から右寄りの中央へ展開されると危ないという状況です。
というのも、先述の通りレビッチが中盤ラインに加わらず前残りになることが多く、そのスペースをマリノフスキが使うことでボールを受けようと狙っています。

――例えばこの場面。後方からボールを運んできたジムシティに対し、ミランは中盤3枚が絞って対応。レビッチ(黄丸)は前線に残る。そこで、マリノフスキが中央でパスを受ける機会を窺う

――その後の場面。マリノフスキがジムシティからボールを受ける。ビリアが対応するも、マリノフスキは後方から上がってきたデローン(緑丸)にパス。デローンはそのまま持ち運び、ミドルシュートを放った
レビッチについては、攻撃において中央寄りにポジショニングするためサイドハーフとしての守備に戻り辛いという戦術的な理由もあるでしょうが、何より勤続疲労がヤバいという体力的な理由が大きいでしょうね。
確かに、カウンター要員として前に残しておくことで相手CBの牽制にもなりますから決してマイナスばかりではありませんが、やはり相手がアタランタであることを考えると危険です。
この状況でもベナセル(本調子)がいれば、ケシエとのコンビである程度無理もできるのでしょうが…代役のビリアでは守備範囲的に厳しいものがあります。
すると26分には、ライン間でボールを受けたマリノフスキが対面のガッビアをいなしながらエリア内へ。最終的にはカバーに入ったビリアがファールしてしまい、アタランタがPKを獲得。しかしながらドンナルンマがシュートストップを見せ、事なきを得ました。
とはいえ続く34分、アタランタがパスカットから速攻を仕掛け、最後はサパタがネットを揺らして同点に追いつきます。
さて。一方のミランは、イブラへのロングボールを多用しながらセーフティに攻めていく形を増やしていきます。
前回のアタランタとの対戦では屈辱的な大敗を喫したミランでしたが、今回とその時とで最も違うところといえば、やはりイブラヒモビッチという存在の有無でしょう。
前線でロングボールのターゲットとなることで、アタランタのハイプレスを躱す武器として機能。ベナセル、ロマニョーリが不在でビルドアップに不安を抱えるミランにとって、彼の存在は精神的にはもちろん戦術的にも大きいものでした。
しかし、ミランはフィニッシュまでは中々至らない。途中からアタランタがマーク担当を整理(後述)し、プレスの圧を強めたことでミランSBが中々ボールを持てなくなりましたし、やはりテオの強引な突破やベナセルのドリブル、フリーランニングといった大きな個の力の不在が運動量の低下とともに如実に表れてきた印象です。それとレビッチの疲労も痛かったですね。

――前半中盤辺りからのアタランタの守備陣形。ゴメス(青丸)が左に回ってカラブリアに対応することになり、フロイラーとデローンはそのままの形でミランの両ボランチに付く。後方のチャルハノールにはジムシティが対応。
ゴメスは攻撃時に左サイドを主戦場としてますし、ジムシティも位置的にチャルハノールの方がマークしやすいため、こうした守備位置変更は好都合でしょう。
これにより左サイドでプレスをかけやすくなり、同点弾となるゴールもそのプレスから生まれました。

――アタランタの得点の少し前のシーン。ゴメスにプレスをかけられたカラブリアは、浅めにボールをクリアする。そのボールをゴセンスに弾き返された後、デローンとフロイラーに拾われてカウンター。その流れからミランは失点を喫した
対するミランは失点以降ほとんどチャンスを作ることができず、1-1で前半を終えました。
○反撃開始
後半もアタランタは、ピッチを幅広く使いサイドから上手く押し込んでいきます。
しかし、中央ではサパタに対して引き続きしっかりとケアーが付き、集中した素晴らしい守備でボールを触らせないため、チャンスの数というのは少なかったです。

――この試合におけるケアーの主要な守備スタッツ(『SofaScore』より)。クリア、タックル成功数はいずれも両チーム合わせてトップ
一方、ベナセルとロマニョーリ不在により後方で上手く繋げないミランは益々ロングボールに頼り、ターゲットマンのイブラによる落としを拾ってから速攻という形でチャンスを狙っていきます。
そして60分には、チャルハノール、ビリア、レビッチに代えてボナベントゥーラ、クルニッチ、レオンを投入。それぞれ同じ位置に入ります。
この試合のミランはイブラに徹底して放り込み、それで惜しいシーンを作れているわけですから、その周囲にフレッシュな選手を増やすという選択は合理的ですね。
前線中央の左寄りにポジショニングするイブラを中心に、その周りにレオン、ボナベントゥーラ等を配し、そこへロングボールを放り込んでいくという形を明確にします。
すると、直後の62分、イブラの落としを受けたレオンが左サイドを突破し、クロス。そのクロスにサレマが反応し決定機を迎えました。

――62分のシーンについて。ドンナルンマからのロングボールにイブラが競り勝ち、背後にあるサイドのスペースへとボールを落とす。そこへレオンが反応してボールを拾い、敵陣深くまで運ぶ。同時にボナベントゥーラとサレマはエリア内へ

――その後、レオンはサレマへとクロスを上げるも、サレマがミートできずにゴールならず
続く64分には、サレマが裏抜けから再びチャンスを演出しますが、DFに阻まれます。

――64分のシーンについて。ケシエからのロングボールをサレマが胸でトラップし、そのままエリア内へ侵入するもDFに阻まれる。アタランタCB陣はイブラとその周囲の2人に対応していたため、裏への反応が遅れてしまう
コチラのプレーは再現性こそ低かったものの、アタランタのイブラに対する警戒心を逆手に取るナイスプレーだったと思います。
更に73分、ロングカウンターから最後はボナベントゥーラがシュートを放ちますが、惜しくもポスト。こうして、選手交代をきっかけに惜しいチャンスを次々と作り出していきました。
○最強の戦術:イブラヒモビッチ
その後も、ミランはケアーを中心にアタランタの攻撃を弾き返し、イブラへの放り込みで反撃するという展開です。
ミランはこの試合、前後半を通じてイブラへの依存度が半端なく、インテル時代やミラン時代2年目を思い出させる圧倒的な存在感を発揮。全盛期に比べ全体的なプレーの精度こそ下がりましたが、殊にロングボールのターゲットマンとしては今なおトップクラスであることに疑いの余地はありません。凄すぎます。

――この試合における空中戦「勝利数」トップ5(『WhoScored』より)。イブラは断トツの「14回」を記録

――空中戦「勝率」においても圧倒的で、こちらも両チームトップの「88%」
来季もロッソネロのユニホームを着てプレーしてくれるという事で、正直イブラの残留は完全に諦めていただけに喜びもひとしおです。彼ならばまだまだセリエAでやってくれるでしょう。
試合については、両チームともに最後までゴールを目指し攻めの姿勢を見せましたが追加点は生まれず。試合はそのまま1-1で終了。
ミラン1-1アタランタ
雑感
ロマニョーリ、テオ、ベナセル等が不在の中、アタランタを相手に1失点に抑えてドローというのは十分な結果といえるのではないでしょうか。
前半こそ守勢に回りましたが、後半はシンプルかつ効果的な攻めで巻き返し、チャンスを量産。先述の通り欠場者(それも主力中の主力)が多く、使える戦術が限られた中で、「戦術:イブラ」を全うし及第点といえる結果を残した監督、選手たちは素晴らしかったと思います
欲を言えばアタランタにも勝ち、前回の歴史的大敗のリベンジといきたかったところですが…。この点は来シーズンに期待しましょう。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
※そろそろ新シーズンの展望に移りたいので、次回は19-20シーズンの37、38節をまとめて概観していこうと思います。ですので次回は軽い内容になりますが、あらかじめご了承くださいませ。
○前半序盤戦の攻防
序盤はアタランタが主にポゼッション。序盤から人数をかけて押し込んでいきます。
ミランとしては前からのプレスでボールを奪いたいのでしょうが、アタランタの後方が数的優位(ゴメスや両ボランチが下がってボールを受けに来る)ということもあり中々上手くいかず。また、リトリート後はレビッチの戻りが遅く、そのスペースを突かれてチャンスを作られていきます(後述します)。
一方、序盤のミランはSBの持ち運びから崩していこうとする形。相手のシステム上、ミランのSBは比較的フリーになりやすく、カラブリアもしくはラクサールを経由してボールを運んでいきます。

――前半序盤までのアタランタの守備陣形について。まず2CFがミランCBを見て、ゴメスがビリア、フロイラーがケシエをそれぞれマーク。そしてトップ下のチャルハノール(画面外)にはデローンが対応。
ミランの2ボランチ1トップ下の形に合わせるため、中盤の形を変えています。しかし…

――その後の場面。ドンナルンマは右サイドでフリーのカラブリアへロングパス。それに対しては左CBのジムシティ(桃丸)が後方から対応
位置的には左WBのゴセンスが対応しても良さそうですが(実際、左SBのラクサールには基本的に右WBのハテブールが対応)ゴセンスは左サイドに張るサレマの対応を優先して後方のスペースカバーをするため、このようにジムシティが駆り出されるシーンが序盤は目立ちました。
とは言え、他の選手にはしっかりマークが付いているため、SBからの展開に一苦労する形に。アタランタとしても、カラブリアにはある程度自由を与えても良いと判断したのかもしれません。
ミランとしては、細かい連係で崩すか、個の力でマークを剥がすかしたいところです。すると13分、敵陣左サイド深くでレビッチが1対1でドリブルを仕掛け、FKを得たミラン。そのFKでチャルハノールが素晴らしいキックを見せて直接ネットを揺らし、ミランが先制に成功しました。

――先制点の少し前の場面。フリーのラクサールが自陣からドリブルで運ぶ。続いて、レビッチがサイドへ流れる動きに合わせてスルーパス

――その後、レビッチはサイドで1対1を仕掛け、ファールを受ける。そのFKからチャルハノールが得点した。
○前半中盤・終盤戦の攻防
失点後もアタランタは左サイドから崩しを試みる。ミランは同サイドハーフのサレマの献身的な戻りもあり、左サイドをそのまま突破されるシーンこそ少ないものの、左サイドで密集した状態から右寄りの中央へ展開されると危ないという状況です。
というのも、先述の通りレビッチが中盤ラインに加わらず前残りになることが多く、そのスペースをマリノフスキが使うことでボールを受けようと狙っています。

――例えばこの場面。後方からボールを運んできたジムシティに対し、ミランは中盤3枚が絞って対応。レビッチ(黄丸)は前線に残る。そこで、マリノフスキが中央でパスを受ける機会を窺う

――その後の場面。マリノフスキがジムシティからボールを受ける。ビリアが対応するも、マリノフスキは後方から上がってきたデローン(緑丸)にパス。デローンはそのまま持ち運び、ミドルシュートを放った
レビッチについては、攻撃において中央寄りにポジショニングするためサイドハーフとしての守備に戻り辛いという戦術的な理由もあるでしょうが、何より勤続疲労がヤバいという体力的な理由が大きいでしょうね。
確かに、カウンター要員として前に残しておくことで相手CBの牽制にもなりますから決してマイナスばかりではありませんが、やはり相手がアタランタであることを考えると危険です。
この状況でもベナセル(本調子)がいれば、ケシエとのコンビである程度無理もできるのでしょうが…代役のビリアでは守備範囲的に厳しいものがあります。
すると26分には、ライン間でボールを受けたマリノフスキが対面のガッビアをいなしながらエリア内へ。最終的にはカバーに入ったビリアがファールしてしまい、アタランタがPKを獲得。しかしながらドンナルンマがシュートストップを見せ、事なきを得ました。
とはいえ続く34分、アタランタがパスカットから速攻を仕掛け、最後はサパタがネットを揺らして同点に追いつきます。
さて。一方のミランは、イブラへのロングボールを多用しながらセーフティに攻めていく形を増やしていきます。
前回のアタランタとの対戦では屈辱的な大敗を喫したミランでしたが、今回とその時とで最も違うところといえば、やはりイブラヒモビッチという存在の有無でしょう。
前線でロングボールのターゲットとなることで、アタランタのハイプレスを躱す武器として機能。ベナセル、ロマニョーリが不在でビルドアップに不安を抱えるミランにとって、彼の存在は精神的にはもちろん戦術的にも大きいものでした。
しかし、ミランはフィニッシュまでは中々至らない。途中からアタランタがマーク担当を整理(後述)し、プレスの圧を強めたことでミランSBが中々ボールを持てなくなりましたし、やはりテオの強引な突破やベナセルのドリブル、フリーランニングといった大きな個の力の不在が運動量の低下とともに如実に表れてきた印象です。それとレビッチの疲労も痛かったですね。

――前半中盤辺りからのアタランタの守備陣形。ゴメス(青丸)が左に回ってカラブリアに対応することになり、フロイラーとデローンはそのままの形でミランの両ボランチに付く。後方のチャルハノールにはジムシティが対応。
ゴメスは攻撃時に左サイドを主戦場としてますし、ジムシティも位置的にチャルハノールの方がマークしやすいため、こうした守備位置変更は好都合でしょう。
これにより左サイドでプレスをかけやすくなり、同点弾となるゴールもそのプレスから生まれました。

――アタランタの得点の少し前のシーン。ゴメスにプレスをかけられたカラブリアは、浅めにボールをクリアする。そのボールをゴセンスに弾き返された後、デローンとフロイラーに拾われてカウンター。その流れからミランは失点を喫した
対するミランは失点以降ほとんどチャンスを作ることができず、1-1で前半を終えました。
○反撃開始
後半もアタランタは、ピッチを幅広く使いサイドから上手く押し込んでいきます。
しかし、中央ではサパタに対して引き続きしっかりとケアーが付き、集中した素晴らしい守備でボールを触らせないため、チャンスの数というのは少なかったです。

――この試合におけるケアーの主要な守備スタッツ(『SofaScore』より)。クリア、タックル成功数はいずれも両チーム合わせてトップ
一方、ベナセルとロマニョーリ不在により後方で上手く繋げないミランは益々ロングボールに頼り、ターゲットマンのイブラによる落としを拾ってから速攻という形でチャンスを狙っていきます。
そして60分には、チャルハノール、ビリア、レビッチに代えてボナベントゥーラ、クルニッチ、レオンを投入。それぞれ同じ位置に入ります。
この試合のミランはイブラに徹底して放り込み、それで惜しいシーンを作れているわけですから、その周囲にフレッシュな選手を増やすという選択は合理的ですね。
前線中央の左寄りにポジショニングするイブラを中心に、その周りにレオン、ボナベントゥーラ等を配し、そこへロングボールを放り込んでいくという形を明確にします。
すると、直後の62分、イブラの落としを受けたレオンが左サイドを突破し、クロス。そのクロスにサレマが反応し決定機を迎えました。

――62分のシーンについて。ドンナルンマからのロングボールにイブラが競り勝ち、背後にあるサイドのスペースへとボールを落とす。そこへレオンが反応してボールを拾い、敵陣深くまで運ぶ。同時にボナベントゥーラとサレマはエリア内へ

――その後、レオンはサレマへとクロスを上げるも、サレマがミートできずにゴールならず
続く64分には、サレマが裏抜けから再びチャンスを演出しますが、DFに阻まれます。

――64分のシーンについて。ケシエからのロングボールをサレマが胸でトラップし、そのままエリア内へ侵入するもDFに阻まれる。アタランタCB陣はイブラとその周囲の2人に対応していたため、裏への反応が遅れてしまう
コチラのプレーは再現性こそ低かったものの、アタランタのイブラに対する警戒心を逆手に取るナイスプレーだったと思います。
更に73分、ロングカウンターから最後はボナベントゥーラがシュートを放ちますが、惜しくもポスト。こうして、選手交代をきっかけに惜しいチャンスを次々と作り出していきました。
○最強の戦術:イブラヒモビッチ
その後も、ミランはケアーを中心にアタランタの攻撃を弾き返し、イブラへの放り込みで反撃するという展開です。
ミランはこの試合、前後半を通じてイブラへの依存度が半端なく、インテル時代やミラン時代2年目を思い出させる圧倒的な存在感を発揮。全盛期に比べ全体的なプレーの精度こそ下がりましたが、殊にロングボールのターゲットマンとしては今なおトップクラスであることに疑いの余地はありません。凄すぎます。

――この試合における空中戦「勝利数」トップ5(『WhoScored』より)。イブラは断トツの「14回」を記録

――空中戦「勝率」においても圧倒的で、こちらも両チームトップの「88%」
来季もロッソネロのユニホームを着てプレーしてくれるという事で、正直イブラの残留は完全に諦めていただけに喜びもひとしおです。彼ならばまだまだセリエAでやってくれるでしょう。
試合については、両チームともに最後までゴールを目指し攻めの姿勢を見せましたが追加点は生まれず。試合はそのまま1-1で終了。
ミラン1-1アタランタ
雑感
ロマニョーリ、テオ、ベナセル等が不在の中、アタランタを相手に1失点に抑えてドローというのは十分な結果といえるのではないでしょうか。
前半こそ守勢に回りましたが、後半はシンプルかつ効果的な攻めで巻き返し、チャンスを量産。先述の通り欠場者(それも主力中の主力)が多く、使える戦術が限られた中で、「戦術:イブラ」を全うし及第点といえる結果を残した監督、選手たちは素晴らしかったと思います
欲を言えばアタランタにも勝ち、前回の歴史的大敗のリベンジといきたかったところですが…。この点は来シーズンに期待しましょう。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
※そろそろ新シーズンの展望に移りたいので、次回は19-20シーズンの37、38節をまとめて概観していこうと思います。ですので次回は軽い内容になりますが、あらかじめご了承くださいませ。