【高速カウンター炸裂】サッスオーロ対ミラン【セリエA第35節】
今回はセリエA第35節、サッスオーロ対ミランのマッチレビューを行いたいと思います。
スタメン

4ー4-2のサッスオーロと、4-2-3-1のミラン。
スタメン

4ー4-2のサッスオーロと、4-2-3-1のミラン。
※だいぶ前の試合になりますので、まずはハイライト動画を紹介しておきます。
○ミランの守備とサッスオーロの攻撃
序盤はサッスオーロのペース。ミランの前線からのプレスを掻い潜って全体を押し上げ、ポゼッションからチャンスを作っていきます。
ミランの守備は、イブラとチャルの2人で両CBを見て、サッスオーロの両SBと両ボランチの計4人に対しては、それぞれ対面の両サイドハーフ(サレマ、レビッチ)とボランチ(ケシエ、ベナセル)で対応するのが基本的な形。そのため、サッスオーロはミランボランチの背後のスペースで1トップのカプートとトップ下の○が横並びの関係でせわしなく動き、パスを引き出そうとします。

――ミランの守備陣形。この場面では、ボールホルダーのペルーゾにチャルハノールが寄せに行く

――ミランボランチの背後にポジショニングするカプート(青丸)とラスパドーリ。ペルーゾはカプートにパスを通す
そんな彼ら2トップには主にロマニョーリとケアーが対応するわけですが、2人とも前に出て対応していくのは当然リスキー。まして、スピーディーなアタッカーを揃えるサッスオーロを相手に、こちらはスピードに優れているとはいえないCB2人という状況ですから、背後にスペースを与えるのはできる限り避けたいところです。
そういう事情もあり、今回は相手の縦パスへの対応について後手に回ってしまい、プレス回避されてしまう状況に陥りやすかった印象です。
そして、プレス回避後は、高い位置に張るサイドハーフを経由しながら連携でサイドを崩していく形が一つ。その際、2トップは引き続きライン間に下がって積極的に動く形を継続します。

――カプートがライン間に降りてきて、ペルーゾからボールを引き出す。その後、カプートは左サイドの高い位置に張るハラスリン(黄丸)にパス
2トップが主に裏を狙うのではなく、中央からサイドへと展開するための経由地点として機能することで、円滑なパス回しを実現させていました。
一方のミランはビルドアップ時におけるパスミスや、コンティの早々の負傷退場により中々流れを掴めないという状況でしたが、それでもイブラへの放り込みやカウンターから何度かチャンスを作ります。
そして19分。ミランがサッスオーロのビルドアップ時にインターセプトし敵陣深くでボールを奪うと、チャルハノールの見事なクロスにイブラが合わせてネットを揺らし、流れに反してミランが先制に成功します。これは大きいですね。
○高速カウンター炸裂
その後も同様にサッスオーロがボールを持ち、ミランが時おり速攻で応酬するという展開でしたが、31分、ロマニョーリにアクシデント。ガッビアとの交代を余儀なくされます。
この過密日程で最も恐れていたことの1つといっても過言ではない、ロマニョーリの負傷が現実となってしまいました。
そして41分。セットプレー時にチャルハノールが手でボールをクリアしたという判定でPK。それをカプートにモノにされ、サッスオーロに同点に追いつかれます。
非常に嫌な流れでしたが46分、ロングカウンターから最後はイブラが決め、ミランが再びリードします。

――2点目のシーンについて。後方からのパスを受けたチャルハノールがドリブル開始。同時にレビッチが右サイドから左へと全速力で走り抜け、相手DFサントスを引き付ける

――その後の場面。イブラが相手の動きに応じてポジションを微調整し、ボールを呼び込む。一方、チャルハノールは前方のスペースへと冷静にスルーパスを送る

――その後の場面。イブラはキーパーとボールの間に体を入れて間合いを保ちながら、ワンタッチ目でキーパーの手が届かない絶妙な位置にボールを転がす

――その後の場面。キーパーを躱したイブラは、ボールを冷静にゴールに流し込んだ
前半アディショナルタイムという時間帯でフルスプリントできるレビッチの献身性にはただただ頭が下がりますし、イブラのシュートまでの技術、チャルハノールの冷静なスルーパスも素晴らしかったです。
それにしても、こうした高速カウンターが決まるのは本当に気持ちがいいですね。選手の質と組織双方が伴うカウンターは近年のミランには中々見られなかったものですが、最近(イブラ復帰後)はこのようなカウンターによるチャンスが何度も見られます。
これができれば、サッスオーロのようにポゼッションを武器とする相手だろうとカウンターで仕留められますし、得点ひいては勝ち点を効率的に奪っていく上で非常に重要な要素ですね。
さて。こうして前半は1-2、ミランリードで終了。しかもブラビアが終了間際に2枚目のイエローカードで退場ということで、大きなアドバンテージを得て折り返すことになりました。
○数的不利の代償
後半開始とともに、サッスオーロはマニャレッリとボガとパパドプーロスを一気に投入。退場したブラビアの穴を埋めるため2トップの一角(ハラスリン)を削り、4-4-1に変更。一方のミランはテオに代えてラクサールを投入します。テオも負傷でしょうか…。
前半はサッスオーロがボールを持つ時間帯が長かったわけですが(ボール支配率61%)、後半は一転してミランがポゼッション。11対10の数的アドバンテージを活かして押し込んでいきます。
また、1点ビハインド状態のサッスオーロとしては防戦一方になることは許されず、前半同様ハイプレスを継続するわけですが、当然1人少ない分通常よりもスペースが空きやすくなります。そのため、ミランはその空いたスペース(主にサイド)へとボールを運んでいくという形でプレスを躱していくという形です。

――ガッビアがボールを持った場面。ケシエがガッビアとラクサールの間にポジショニングすることで、右サイドハーフのベラルディに対し数的優位を作り出す

――その後、ガッビアはケシエにパス。ベラルディが食いつくが、ケシエは素早くサイドのラクサールへパス

――ラクサールがフリーでボールを受けることに成功
攻撃に関しても、サッスオーロは前線のターゲットが前半と比べ1枚減ったことで、楔のパスを当ててから展開するといった形が困難になりました。

――例えばこの場面。GKからのロングパスをカプートが収めようとするが、周囲に味方がおらず、ケアーに厳しくマークされた結果ボールロスト。
○後半中盤・終盤戦の攻防
後半中盤戦以降もミランがボールを持つ展開。
サッスオーロは疲労と人数不足でライン間が空いてきましたし、帰陣も遅いため、ミランが追加点を奪うのは濃厚といった印象。チャルハノールやイブラ等がライン間でボールを受け、次々とチャンスメイクしていきます。
そして、65分にはイブラが持ち上がってケシエとのワンツーから決定機を迎え、74分にはベナセルがポストを掠めるミドルシュートを放ちますが惜しくもゴールならず。

――65分の場面。ミランは右サイドでボールを奪い、中央のケシエに展開。前線に上がっていたことでベラルディの戻りが遅く、それにより生じたスペースへとイブラが降りてきてパスを受ける。その後、イブラがドリブルで持ち運んで決定機を演出した
一方のサッスオーロもカウンターからチャンスを演出。ベラルディのドリブルなどで、少ないながらもゴールに迫っていくシーンが見られました。
79分にはビリア、ボナベントゥーラが投入され、直後にボナベントゥーラが自らドリブルで運んで決定機を迎えますがまたしても追加点ならず。
1点差という緊迫した状況の終盤戦、両チームともに攻めの姿勢を崩しませんでしたが得点は生まれず。試合はそのまま終了になりました。
サッスオーロ1-2ミラン
雑感
ミランがまたしても勝利を収めました。
出来ればもう1点取って勝利を決定づけたいところでしたが、前半にコンティ、ロマニョーリの負傷退場という連続アクシデントがありながら、しっかりと勝ち切ったのは大きいですね。緊急出場のカラブリア、ガッビアは難しい状況ながら良くやってくれたと思います。
休みなく試合が続く厳しい日程でありますが、何とか乗り切ってほしいと思います。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
○追記
先日投稿した記事の宣伝ツイートに反応をくださり、誠にありがとうございました。
通常のツイートができるようになり次第、フォロバやリプライ等させていただきます。
○ミランの守備とサッスオーロの攻撃
序盤はサッスオーロのペース。ミランの前線からのプレスを掻い潜って全体を押し上げ、ポゼッションからチャンスを作っていきます。
ミランの守備は、イブラとチャルの2人で両CBを見て、サッスオーロの両SBと両ボランチの計4人に対しては、それぞれ対面の両サイドハーフ(サレマ、レビッチ)とボランチ(ケシエ、ベナセル)で対応するのが基本的な形。そのため、サッスオーロはミランボランチの背後のスペースで1トップのカプートとトップ下の○が横並びの関係でせわしなく動き、パスを引き出そうとします。

――ミランの守備陣形。この場面では、ボールホルダーのペルーゾにチャルハノールが寄せに行く

――ミランボランチの背後にポジショニングするカプート(青丸)とラスパドーリ。ペルーゾはカプートにパスを通す
そんな彼ら2トップには主にロマニョーリとケアーが対応するわけですが、2人とも前に出て対応していくのは当然リスキー。まして、スピーディーなアタッカーを揃えるサッスオーロを相手に、こちらはスピードに優れているとはいえないCB2人という状況ですから、背後にスペースを与えるのはできる限り避けたいところです。
そういう事情もあり、今回は相手の縦パスへの対応について後手に回ってしまい、プレス回避されてしまう状況に陥りやすかった印象です。
そして、プレス回避後は、高い位置に張るサイドハーフを経由しながら連携でサイドを崩していく形が一つ。その際、2トップは引き続きライン間に下がって積極的に動く形を継続します。

――カプートがライン間に降りてきて、ペルーゾからボールを引き出す。その後、カプートは左サイドの高い位置に張るハラスリン(黄丸)にパス
2トップが主に裏を狙うのではなく、中央からサイドへと展開するための経由地点として機能することで、円滑なパス回しを実現させていました。
一方のミランはビルドアップ時におけるパスミスや、コンティの早々の負傷退場により中々流れを掴めないという状況でしたが、それでもイブラへの放り込みやカウンターから何度かチャンスを作ります。
そして19分。ミランがサッスオーロのビルドアップ時にインターセプトし敵陣深くでボールを奪うと、チャルハノールの見事なクロスにイブラが合わせてネットを揺らし、流れに反してミランが先制に成功します。これは大きいですね。
○高速カウンター炸裂
その後も同様にサッスオーロがボールを持ち、ミランが時おり速攻で応酬するという展開でしたが、31分、ロマニョーリにアクシデント。ガッビアとの交代を余儀なくされます。
この過密日程で最も恐れていたことの1つといっても過言ではない、ロマニョーリの負傷が現実となってしまいました。
そして41分。セットプレー時にチャルハノールが手でボールをクリアしたという判定でPK。それをカプートにモノにされ、サッスオーロに同点に追いつかれます。
非常に嫌な流れでしたが46分、ロングカウンターから最後はイブラが決め、ミランが再びリードします。

――2点目のシーンについて。後方からのパスを受けたチャルハノールがドリブル開始。同時にレビッチが右サイドから左へと全速力で走り抜け、相手DFサントスを引き付ける

――その後の場面。イブラが相手の動きに応じてポジションを微調整し、ボールを呼び込む。一方、チャルハノールは前方のスペースへと冷静にスルーパスを送る

――その後の場面。イブラはキーパーとボールの間に体を入れて間合いを保ちながら、ワンタッチ目でキーパーの手が届かない絶妙な位置にボールを転がす

――その後の場面。キーパーを躱したイブラは、ボールを冷静にゴールに流し込んだ
前半アディショナルタイムという時間帯でフルスプリントできるレビッチの献身性にはただただ頭が下がりますし、イブラのシュートまでの技術、チャルハノールの冷静なスルーパスも素晴らしかったです。
それにしても、こうした高速カウンターが決まるのは本当に気持ちがいいですね。選手の質と組織双方が伴うカウンターは近年のミランには中々見られなかったものですが、最近(イブラ復帰後)はこのようなカウンターによるチャンスが何度も見られます。
これができれば、サッスオーロのようにポゼッションを武器とする相手だろうとカウンターで仕留められますし、得点ひいては勝ち点を効率的に奪っていく上で非常に重要な要素ですね。
さて。こうして前半は1-2、ミランリードで終了。しかもブラビアが終了間際に2枚目のイエローカードで退場ということで、大きなアドバンテージを得て折り返すことになりました。
○数的不利の代償
後半開始とともに、サッスオーロはマニャレッリとボガとパパドプーロスを一気に投入。退場したブラビアの穴を埋めるため2トップの一角(ハラスリン)を削り、4-4-1に変更。一方のミランはテオに代えてラクサールを投入します。テオも負傷でしょうか…。
前半はサッスオーロがボールを持つ時間帯が長かったわけですが(ボール支配率61%)、後半は一転してミランがポゼッション。11対10の数的アドバンテージを活かして押し込んでいきます。
また、1点ビハインド状態のサッスオーロとしては防戦一方になることは許されず、前半同様ハイプレスを継続するわけですが、当然1人少ない分通常よりもスペースが空きやすくなります。そのため、ミランはその空いたスペース(主にサイド)へとボールを運んでいくという形でプレスを躱していくという形です。

――ガッビアがボールを持った場面。ケシエがガッビアとラクサールの間にポジショニングすることで、右サイドハーフのベラルディに対し数的優位を作り出す

――その後、ガッビアはケシエにパス。ベラルディが食いつくが、ケシエは素早くサイドのラクサールへパス

――ラクサールがフリーでボールを受けることに成功
攻撃に関しても、サッスオーロは前線のターゲットが前半と比べ1枚減ったことで、楔のパスを当ててから展開するといった形が困難になりました。

――例えばこの場面。GKからのロングパスをカプートが収めようとするが、周囲に味方がおらず、ケアーに厳しくマークされた結果ボールロスト。
○後半中盤・終盤戦の攻防
後半中盤戦以降もミランがボールを持つ展開。
サッスオーロは疲労と人数不足でライン間が空いてきましたし、帰陣も遅いため、ミランが追加点を奪うのは濃厚といった印象。チャルハノールやイブラ等がライン間でボールを受け、次々とチャンスメイクしていきます。
そして、65分にはイブラが持ち上がってケシエとのワンツーから決定機を迎え、74分にはベナセルがポストを掠めるミドルシュートを放ちますが惜しくもゴールならず。

――65分の場面。ミランは右サイドでボールを奪い、中央のケシエに展開。前線に上がっていたことでベラルディの戻りが遅く、それにより生じたスペースへとイブラが降りてきてパスを受ける。その後、イブラがドリブルで持ち運んで決定機を演出した
一方のサッスオーロもカウンターからチャンスを演出。ベラルディのドリブルなどで、少ないながらもゴールに迫っていくシーンが見られました。
79分にはビリア、ボナベントゥーラが投入され、直後にボナベントゥーラが自らドリブルで運んで決定機を迎えますがまたしても追加点ならず。
1点差という緊迫した状況の終盤戦、両チームともに攻めの姿勢を崩しませんでしたが得点は生まれず。試合はそのまま終了になりました。
サッスオーロ1-2ミラン
雑感
ミランがまたしても勝利を収めました。
出来ればもう1点取って勝利を決定づけたいところでしたが、前半にコンティ、ロマニョーリの負傷退場という連続アクシデントがありながら、しっかりと勝ち切ったのは大きいですね。緊急出場のカラブリア、ガッビアは難しい状況ながら良くやってくれたと思います。
休みなく試合が続く厳しい日程でありますが、何とか乗り切ってほしいと思います。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
○追記
先日投稿した記事の宣伝ツイートに反応をくださり、誠にありがとうございました。
通常のツイートができるようになり次第、フォロバやリプライ等させていただきます。