【流動的サッカーの破壊力】 ミラン対ボローニャ 【セリエA第34節】
というのも、当ブログでは昨シーズン終盤にできなかった5節分のマッチレビューを終えてから、新シーズンの展望へと移っていこうと考えています。
振り返りレビューについては今日から5~6日間使う予定ですが、それでもセリエA2020-21シーズン開幕には間に合う予定です。そしてできれば開幕前に、今プレシーズンの振り返りも行いたいと考えています。
改めて、これからもよろしくお願いいたしします。
スタメン
さて。ではボローニャ戦について。スタメンは以下の通りです。

4-2-3-1のミラン。4-3-3(4-5-1)のボローニャ
○ボローニャの守備とミランの流動的サッカー
まずはボローニャの守備について。左サイドハーフのサンソーネと1トップのサンタンデールでミランの2CBに対応し、右サイドハーフの7番がテオに密着マーク。そして両インサイドハーフがミランの両ボランチを見るというのが基本的な形。

――ハイプレス時のボローニャの陣形。オルソリーニがテオの位置を確認しながらポジショニング。一方で逆サイドのカラブリアはある程度フリーにし、ボールが渡った場合にSBがプレスにいく
対戦相手にとって、ハイプレス時にテオをどうやって見るか(止めるか)というのはミラン対策を練る上で重要なことの1つです。
テオにスペースのある状態でボールを持たせれば、スピードとフィジカルを活かした強引なドリブルやワンツーパスでの突破により一気に相手プレスを掻い潜れますから、上記のボローニャ(オルソリーニ)のような動きはそうしたテオにスペースを与えない、ひいては活躍を制限させる一つの方法です。
とはいえ、どうしたってマークの緩くなる状況(後半など)ではテオを止めることは難しくなりますし、実際に試合終盤でテオがゴリブル突破するシーンというのはこれまでにも何度も見られるんですけどね。
さて。そうしたボローニャの守備にも怯むことなく、ミランはロングボールを活かしながら、プレスをセーフティに回避し、そのこぼれ球に素早く反応して拾うなどしてボローニャを押し込んでいきます。

――例えばこの場面。中央にポジショニングするレビッチに付く冨安。それにより空いた右サイドのスペースにテオ(画面外)が侵入したため、オルソリーニに対してカバーするように指示。
すると10分、そのレビッチとテオの連係から左サイドを突破し、テオがクロス。そのボールにサレマが合わせてミランが先制します。
その後もチャンスを量産していくミラン。
ミランの攻撃について詳しく見ていくと、ます1トップのイブラが下がった位置やサイド(特に右)でボールを受ける頻度が普段よりも高く、フリーマンに近い役割です。

――参考:この試合のイブラのボールタッチポジション(右攻め。『WhoScored』より)。下がり目、それも右サイドでのボールタッチが多い
そのため、空いた中央前方のスペースへ左からレビッチ、後方からチャルハノールやケシエが飛び込んでいく頻度も高くなり、流動性が増す形になります。

――イブラが下がった位置でボールを受けた場面。レビッチが中央から右サイドへ走り抜けたところにスルーパスを送る。

――その後の場面。チャルハノール(赤丸)がエリア中央のスペースへ走り込み、レビッチからの浮き球のパスをダイレクトボレー。決定機を演出した
また、レビッチが中央に移動することで生じる左サイドのスペースはテオの格好の持ち場となるので、そのテオがオーバーラップをガンガン仕掛けていきます。
こうして24分、ミランが待望の2点目をゲットしました。

――2点目のシーンについて。ミランは右サイドでボールを回してから中央のケシエに展開。ケシエはテオのオーバーラップに合わせ、左サイドのスペースにスルーパス。ボローニャ守備陣は逆サイドに寄せられていたため、オルソリーニがそのスペースを埋めるために懸命に戻る

――その後、オルソリーニがなんとかスライディングでカットするが、キーパーへの不安定なバックパスという形に。そしてスコルプスキがそのボール処理をミスし、ゴール前に詰めていたチャルハノールにプレゼントパス。それをチャルハノールがすかさず押し込んだ。
流動的でスピーディーな攻撃は破壊力がありますし、何より見ていて面白いので最高です。
○ミランの守備と一瞬の隙
一方のミランの守備ですが、なるべく高い位置でボールを奪い、速攻を狙うこれまで通りの形です。
具体的には、ボローニャの後方の選手たち(DF陣)に対してプレスをかけてパスコースを誘導しつつ、その後縦パスやロングボールを受ける選手たちを積極的に潰しに行くという形。今回のボローニャの後方陣に展開力はありませんし、狙い通りの形で次々とボールを回収していきます。

――ボローニャはビルドアップ時に右SBの冨安が下がって3バックを形成するため、ミランはチャル、イブラ、レビッチの3人で基本的に対応。例えばこの場面では、中央CBのダニーロに対し、イブラがプレスをかける

――その後、ダニーロは下がってきたソリアーノにパスを送るが、対面のケシエが対応。ソリアーノはやむなく近くのポーリにバックパス。それを読んでいたベナセルとケシエでポーリを挟みにいく

――その後、ポーリからボール奪取し、前方のイブラに素早く繋げてシュートカウンターに
こうして、前半途中までほとんどボローニャにチャンスを作らせなかったミランでしたが、ペースを落とした終盤にはサイドを起点にいくつかチャンスを作られます。
すると40分、後方から駆け上がってきた冨安がバイタルでボールを受け、そこから素晴らしいシュートを突き刺しボローニャが1点差に詰め寄りました。
こうして前半は2-1で終了。ミランとしてはもう1、2点取れてもおかしくなかったチャンス量だっただけに、悔やまれる試合展開でした。
○後半の概略
初っ端は1点ビハインドのボローニャが攻勢をかけますが、ミランは後半早々の50分。人の密集した左サイドから中央のベナセルへとパスが展開。その後ベナセルはそのままドリブルで持ち運んでシュート。重要な3点目を奪取します。

――3点目のシーンについて。左サイドでボールを持ったチャルハノール。まずレビッチが左に流れ、対面のCB(デンスビル)を釣り出す

――その後、イブラもサイドに流れ、CB(ダニーロ)を釣り出す。同時にポーリもイブラの動きを認識し、そのパスコースを塞ぐためにサイドへ寄る

――以上の動きによって中央へのパスコースとスペースが生まれ、そこへベナセル(黄色)が飛び出し、チャルハノールがパスを送る

――その後、ベナセルがドリブルでマーカー(ソリアーノ)を振り切ってエリア内に侵入し、貴重なチーム3点目を奪取
そして59分、イブラのパスを受けたレビッチが4点目となるゴールを沈め、ミランが早々に試合を決定づけました(という事で、ここからはマッチレビューも流します。)
62分、チャルハノール、イブラ、サレマに代えてボナベントゥーラ、レオン、クルニッチを同時投入。主力を休ませます。
その後は両チームともにチャンスを作っていく展開。ミランとしては自陣エリア内で与えてしまった間接FKが特に危なかったですが、ドンナルンマがいつも通りファインセーブを披露。
終盤にはベテランのビリア、そして期待の若手FWコロンボを投入したミラン。アディショナルタイムにはカラブリアがチーム5点目となるゴールを決め、試合終了。
ミラン5-1ボローニャ
雑感
ミランが見事な大勝劇を見せてくれました。
失点に繋がりかねないシーンはいくつかあれど、それをはるかに上回るチャンスを量産していましたし、順当な結果といえるのではないかと。
そして、この試合ではサレマとベナセルという、これまで戦術的に重要な役目を果たしながらも結果(ゴールorアシスト)に乏しかった2人にゴールが生まれたという点でも良かったですね。
この調子で次の試合も勝利といきたいところです。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
※追記
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