【リーグ再開初戦!】 レッチェ対ミラン 【セリエA第27節】
スタメン

4-3-2-1のレッチェと、4-2-3-1のミラン
○ミランの攻めとレッチェの守り
ミランはサイドを中心に攻め、右サイドでは主にカスティジェホ、左サイドではテオを使いながら崩していこうとする形が基本。
というのも、レッチェは守備時の陣形が段階的に変化していく形で、敵陣にボールがあるときは4-3-2-1を維持する。そして押し込まれたらシャドーが状況に応じてサイドに下がるという流れなので、最初の段階ではサイドが空きやすい状態です。
そこでミランはそのスペースを突いていく、と。それによって序盤からチャンスを作っていきます。

――後方(ケアー)からのロングパスを受けたサイドのカスティジェホ(黄色)。レッチェの左CB(青)はフリーのボナベントゥーラへのパスを警戒し、前方に少し移動

――その背後のスペースをレビッチ(緑)が突き、そこへカスティジェホがパスを送る。
左サイドでも似た形からチャンスを作ります。

――ロマニョーリからサイドでフリーのテオ(桃)へボールが渡った場面。

――レビッチがCB間を抜け出し、そこへテオがスルーパスを送る。

――エリア内に飛び出したレビッチがダイレクトパス。しかし中央で待つボナベントゥーラには惜しくも合わず
対するレッチェは、右シャドーのファルコを前目に残し、前線へ駆け上がるミラン左SBテオの背後のスペースを突いてのカウンターを狙っていくというのが一つの形。
ただし、そのスペースはいつもの如くロマニョーリが注意深く監視していますし、ケアーやベナセルも目を光らせているためほとんど狙い通りの形は作れず。

――レッチェが自陣でボールを回収した場面。高い位置にいるテオ(桃)の後方のスペースへパスを出す

――ファルコ(緑)にボールがわたるが、この場面ではケアー(茶)がしっかりとカバー。ベナセルも素早く戻り、ファルコの前進を防ぐことに成功
○レッチェの守備とミランの攻撃
レッチェはこの試合、後方から丁寧にボールを繋いで攻めようという意図が見られました。が、パスミスを連発し、前線に良い形で繋ぐことはほとんどできませんでした。
その理由の一つには、ミランの継続的なプレスがあったということ。
前線のレビッチとボナベントゥーラが相手アンカーを見ながら片方もしくは両方がCBに精力的にプレスをかけ、それに応じて他の選手が対面の相手をそれぞれマークしてサイドに追い込むことで、パスミスやロングボールを誘発する形が多く見られました。

――レッチェ右SB(青)がボールを持った場面。周囲の味方は全てマークされ(黒丸)、かつ自身もプレスをかけられたため前線へのロングボールを選択

――前線のラパドゥーラがそのボールを受けに来るが、ケアーのマークによってロングボールの落下地点に立てず。結局、ミランがこぼれ球を楽々と回収した
レッチェは前線のメンバーの特性上、純粋な競り合いでは分が悪いですし、クリアボールが素直にレッチェボールになることはほとんどありませんでした。
また、この点に関し、特にレビッチのプレスには気迫を感じました。前回のユヴェントス戦後には退場のことでチームメイトとスタッフに謝罪したらしいでしたが、その反省がしっかりと見られる非常に献身的なプレーだったと思います。
ただもちろん、レッチェのミスについてはやはり調整期間不足によるところも大きかったかなと。
○獅子奮迅の10番
25分、ミランがプレスを躱してサイドに展開。カスティジェホ、ボナベントゥーラ、チャルハノールと繋ぎ、最後はチャルハノールのグラウンダークロスにカスティジェホがダイレクトで合わせてミランが先制します。

――得点に至る一連の流れについて。まず後方からベナセル、チャルハノール、ボナベントゥーラとパスを繋ぎ、サイドのカスティジェホへ展開

――その後、カスティジェホはボナベントゥーラ(紫)にボールを預け、中央エリアへ侵入。同時にチャルハノール(赤)は右サイドのスペースへ流れる

――ボナベントゥーラがドリブルで相手DF4人を引き付けてから、サイドのチャルハノールへパス。このタメにより、レッチェDF陣のチャルハノールへの対応が遅れる

――チャルハノールのクロスにカスティジェホが合わせ、ミランが先制
チャルハノールの流動性、ボナベントゥーラのタメ、カスティジェホのゴールへの積極性(エリア内への飛び出し)が上手くかみ合ったことで生じた見事なゴールでした。
右ウイングがスソでは絶対に生まれない類のゴールですね。
そしてチャルハノールはやはり素晴らしい選手で、縦横無尽に動きながらパスを引き出し、崩しに関与し、フィニッシュワークにも絡む獅子奮迅の活躍ぶり。
ゴールシーンもそうでしたが、左サイドを基本ポジションとしながら右サイドにも頻繁に顔を出す途方もない運動量です。
今回のようにゴールにも絡めるようになれば、もはや文句なしですね。
その後もチャルハノールの持ち運びを中心にチャンスを作っていくミラン。
ただし前半終盤はネットを揺らされたり(ギリオフサイドでノーゴール)、連係ミスからピンチを迎えたり、40分ケアーが負傷交代したりとネガティブなシーンが連続。とはいえ1-0のまま前半終了。
○怒涛の後半
後半のレビューは極めてあっさりと。
レッチェは守備時のシステムを4-4-2に変更。サポナーラを左サイドにして、ファルコが後半投入のババカルと2トップを組む形。ただ、攻撃時は前半に近い形。
これでマーク担当を明確にしてプレスをかけるレッチェに対し、ミランは裏に抜けるレビッチやカスティジェホに合わせるロングボールを使って回避を試みる。一度、エリア内のレビッチにボールが渡りかける惜しいシーンがありました。
しかし53分、エリア内でババカルを倒してしまい、レッチェがPKを獲得。
54分、そのPKをマンコスが決めてレッチェが同点に追いつく。
しかし55分、チャルハノールのシュートのこぼれ球にボナベントゥーラが詰め、ミランが勝ち越し。
続く57分、ロングカウンターからレビッチが独走。1対1を冷静にモノにしてミラン3点目。
ここからはミランがパスを多く回して時間を使いながら、機を見てスピードアップしチャンスを狙っていく。
68分、カスティジェホ→サレマーカーズ
68分、レビッチ→レオン
72分、コンティのクロスにレオンが頭で合わせて4点目。
レオンは相変わらず動き出しも動き直しも遅いシーンが目立つものの、底からは脱却した印象ですかね。前回と違って裏抜けするようになりました。
相手の疲労もあったとはいえ、それだけで多くの惜しいチャンスを作れるんですから、本人にも自覚を持って取り組んでほしい所です。
しかし80分辺りから早くも疲労の色が見られましたが、よほどコンディションが悪いのか。
また、サレマーカーズも何度か良い守備を見せましたが、攻撃面で結果は残せず。
買取濃厚みたいですが、アタッカーで起用される以上は何らかの武器を見せて欲しい。まぁこの試合に関しては守備で穴を作らなければOKでしたし、良い形でパスが回ってくることもほとんどなかったと思うので致し方ないですかね。
試合終盤にはパケタとビリアも登場。最後までレッチェに追加点を許すことなく、試合は1-4で終了。
レッチェ1ー4ミラン
雑感
リーグ再開初戦ということで試合前は不安でしたが、終わってみれば1-4の大勝。素晴らしい結果でした。
また、結果だけでなく内容に関しても及第点以上で、攻守において集中したプレーを見せてくれたのではないかと。
個人的に、PKで同点に追いつかれたときはまずいと感じたのですが、選手たちは気落ちすることなくすぐに2得点を上げてレッチェを突き放してくれました。
イブラヒモビッチがいない中でもこういう試合展開を披露できるようになったのはチームとして成熟した証だと思います。
また、上記のレビュー中に挙げられなかった選手についても、そのほとんどが調整不足とは思えない安定したパフォーマンスだったので、個人的には満足です。
さて。次節の相手はローマということで、奇跡の上位進出を目指すためには絶対に負けられない相手です。
次の試合も勝利し、2連勝といきたいところですね。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。