ボガに懸かる期待 ~プレースタイルとミラン移籍の可能性について~
まずはボガのプレースタイルについて。

(Source:『SofaScore』)
今季はセリエAで非常に印象的な活躍を見せているため既に知っている方も少なくないと思われますが、ボガは左サイドを主戦場とする選手です。
今季はリーグ戦24試合に出場し、8ゴール4アシストを記録しています。
(※ボガの好プレー映像。動画時間:10分16秒)
まず何よりも特徴的なのは、そのドリブルです。
安定したボディバランスと圧倒的なスピード・テクニックを存分に活かしたキレのあるドリブル突破は圧巻で、中央に切り込むことも縦に抜くことも出来る上に狭いスペースだろうがお構いなしに突破する怪物ドリブラーであります。
⛹️ Successful dribbles by Jeremie Boga - 1⃣0⃣6⃣
— WhoScored.com (@WhoScored) 2020年3月18日
⛹️ Successful dribbles by Chelsea's four wingers - 1⃣2⃣8⃣
Now is the time for Chelsea to learn from past mistakes in the transfer market, writes @BenMcAleer1 👇https://t.co/ct22EjJnxf
そのドリブルの凄さはデータにもはっきりと表れています。『WhoScored』によると、今季のボガのドリブル成功数は106回(1位)とのこと。
2位のカストロヴィッリ(フィオレンティーナ)が76回、3位のベナセルが59回ですので、その差は歴然です。
また、今季はオフザボールの動きも改善されてきた印象です。
彼ほどのスピードがあれば純粋な裏抜けでもだいぶ効果的ですし、例えばローマ戦のゴール(に至る前のサイドでの駆け引き)やユヴェントス戦のゴール前での動きなんかは正にその一つの成果といえるかなと。
(参考:ユヴェントス戦におけるボガのゴール。)
Jeremie Boga doing a reverse Arjen Robben. 👏🏽👏🏽👏🏽 pic.twitter.com/NG8DtrLVDH
— S09_CFC (@Saminioluwa) 2020年2月1日
(参考:ローマ戦におけるボガのゴールまでの一連の動き)
そしてシュートに関しては、左サイドからカットインしての強烈な(ミドル)シュートに定評があり、先ほどのローマ戦を始め、フィオレンティーナ戦やトリノ戦でも同様の形からゴールを決めています。
(参考:フィオレンティーナ戦におけるボガのゴール)
Hopefully this beautiful Goal of Jeremie Boga will cheer you up a bit!
— Nouman (@nomifooty) 2020年1月18日
At this point, I wouldn't mind activating the €15m buy-back clause in Boga's contract if we're not going to sign anyone else!pic.twitter.com/F8iQBOwQMB
(参考:トリノ戦におけるボガのゴール)
一方で課題については、何よりパスの意識と判断といえるかなと。
というのも、ボガはドリブルでの打開を好むあまり、シンプルに(スルー)パスを出せばチャンスに繋がりそうな場面においてもドリブル・キープを優先する傾向があります。
確かに、先述の通り素晴らしいドリブル技術を持っているため突破できちゃうこともあるのですが、その後サイドに追い込まれたり複数人に囲まれたりして状況を悪くしてしまうこともままあるため、その点の改善はやはり必要かなと。
ただし、通常のショートパスやワンツーパスでの突破なんかを見ていても技術的にはさほど問題はなさそうですし、意識さえ変えればすぐに改善が期待できる部分だと思います。
もう一つ、個人的に気になるのが逆足である左足の精度(頻度)です。
例えば左サイドから縦に突破した際に、そのまま左足でクロスを入れられる場面でも切り返して右足で出そうとしたり、左足でクロスないしシュートを放っても精度が低かったりといった場面が散見される印象かなと。
今のままでもゴリゴリ突破できているわけですが、左足をもう少し効果的に使えるようになれば更に驚異的な選手になれると思うので、この点の改善にも期待したいですね。
以上がボガのプレースタイルについてです。
では、そんなボガがミランに移籍することはあり得るのでしょうか。
この点について、「ミランがボガの獲得に興味を示している」との噂が報じられてから少し経ちましたが、今から4~5日前の代理人の発言によればミランとの接触はないとのことでした(『calciomercato.com』より)。
「ミランに関して言えば、これまで一度も接触していない。彼らが本当にボガに関心があるか私にはわからないよ。だが、ミランは偉大なクラブだ。今後の動向を見守る必要がある」
「ナポリ、アタランタ、その他のヨーロッパクラブとは接触している。(チェルシーの買戻しOPについて)現時点で、私から言えることはない。」
ボガの移籍に関して留意すべきは、前所属先であるチェルシーがボガの買戻しOPを持っているという点です。
買戻しに必要な額は1600万ユーロと報じられていますが、今季の活躍を考えれば非常に手頃な価格であるといえます。
ただ、一部報道では買戻しOPをチェルシーが行使しないのではないかという話ですけどね(本当に?)。
話を戻します。上記の通り代理人には(インタビュー時までにおける)ミランとの接触を否定されたわけですが、その後に『Mediaset』が報じたところによりますと、ミランがボガの代理人と交渉を開始し、移籍の可能性について話し合ったとのことです。
また、ボガとの交渉については来季のミラン新監督と有力視されるラングニックも承認しているらしく、今後数週間で合意に達する可能性もあるとか何とか。
上記のインタビュー後に接触を開始したのであれば発言に矛盾は生じないですが…果たして真相はどうなんでしょうかね。
最後に。この件について個人的な意見を述べさせて貰うと、ボガには是非ともミランに来てほしいと思っています。
まず、来季の左サイドのレギュラー候補と目されるチャルハノールとは大きく異なるタイプのため、対戦相手や試合状況に応じて使い分け(ないし共存)が可能という利点があります。
そして何より、圧倒的な突破力を備える彼の存在自体が稀有なものですし、チームに一人彼のような選手がいることはチームにとって間違いなく大きいんじゃないかと。
例えば、後半途中から出場して流れを変えるスーパーサブとしての役割も十分にこなせるでしょう。思えば今シーズン前半戦のユヴェントス戦にて、相手はドウグラス・コスタを途中投入して流れを引き寄せ決勝弾を奪いましたが、彼にもああいったような役割が期待できます。
もちろんスーパーサブに限らず、能力的に彼はミランでも十二分にレギュラーを務められる選手だと思います。
最初の内は守備や戦術理解に戸惑うかもしれませんけど、ラングニックがウワサ通りの人ならボガを直に適応させ、更なる成長に導くでしょうしね。
そんなわけで、個人的にボガ獲得は大歓迎です。報道通り2000万ユーロで獲得できるなら、それはバーゲンといって差し支えないと個人的には思いますしね。
ですが正直なところ、「競合クラブ多数で移籍金は釣り上がるんじゃ?」とか「チェルシーは本当に買戻しOPを行使しないのか?」とか懸念材料はありますし、今のところミランがどこまで本気で獲りにいくか読めないため、現時点で獲得の可能性は高いとは言えないのかなと。
まぁもう少し経てばより詳細かつ信憑性のある報道がなされると思いますし、ボガについては今後も大注目していきたいと思います。
それでは今回はこの辺で。