フロレンティーノ・ルイスのプレースタイルについて ~ミランが狙うベンフィカの至宝~

今回は、ミランが獲得を狙っていると報じられるベンフィカのMFフロレンティーノ・ルイスについて、そのプレースタイルや来歴を見ていこうと思います。

まずはフロレンティーノの来歴について簡単に紹介を。
フロレンティーノは昨季の18-19シーズン途中からベンフィカのトップチームに加入すると、21節のナシオナル戦でデビュー。2月からの加入ながら、最終的にリーグ戦では合計で11試合に出場(内9試合に先発)しています。
また、ELでも3試合に先発。


しかし、更なる飛躍が期待された今シーズンは、序盤こそ継続的に出場機会を得ていたものの、12節以降は一切出番がありません。
おそらく、今冬にドルトムントからヴァイグルという中盤の選手が来たのが一つの原因だとは思うのですが、出番がなくなったのはそれ以前からですし…。(詳しい理由を知っている方がいれば教えていただけると幸いです)。
とにかく、今季のリーグ戦での出場は7試合に止まっています。




続いて、フロレンティーノのプレースタイルについて。まずは実際のプレー動画を観ていただき、プレースタイルの大枠を掴んでいこうかなと。


(※動画時間:10分17秒)


続いて。選手情報サイトから、フロレンティーノのデータを参照していきます。

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(Source:『SofaScore』)

以上の情報によれば、ポジションは所謂ディフェンシブ・ミッドフィルダー。右利きの20歳であり、身長は189センチと大柄です。
そして長所はポジショニング、インターセプト、タックルとなっています。

もう少し具体的に。今度は試合における平均スタッツを参照しつつ、彼のプレースタイルを推測していこうと思います。

最初に、パスに関するスタッツです。

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(Source:『SofaScore』)

目を引くのが、パス成功率(上から5番目のデータ)。90%と高い数値を記録しています。
無論、これだけでパスセンスを判断することはできませんが、正確なボールコントロールとパス精度を期待することはできるかなと。

一方で、アシスト数、チャンスクリエイト数、キーパス数(それぞれ上から1、3,4番目のデータ)は軒並み低い。


上記のデータに加え、プレー動画や彼についてのファンからの評価を総合的に考慮すると、おそらくはショートパスを主体にテンポ良くパスを叩き、リズムを作っていくのが彼の攻撃時における役割といえるんじゃないでしょうか。

近年のミランで無理やり例えると、ナイジェル・デ・ヨングに似たタイプでしょうかね(近年といっても5年以上も前になりますが。笑)



続いて、守備に関するスタッツを見ていきましょう。

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(Source:『SofaScore』)

注目は1試合平均のインターセプト数とタックル数(上から1、2番目のデータ)。4.1、2.9といずれも高い数値です。

確かに、実際のプレー動画を観るに、フロレンティーノの守備時における出足の早さは特筆すべきものがあります。スピードと機動力を活かしてプレスやカバーリングを迅速に行い、
後ろ向きの相手やボールタッチの大きい相手には容赦なく襲い掛かってボールを奪いに行くシーンが散見されますからね。
また、脚が長いので多少無理が利くというのも良いですね。タイミングを外され、横からドリブルで抜かれかけても足をスッと伸ばしてボールを引っかけるプレーが少なくありません。

そして、ミランの次期監督と目されるラングニックのサッカーと関連付けて考えてみても、守備範囲が縦にも横にも広く、独力でボールを奪えるフロレンティーノの特徴は十中八九マッチします。

更に、現ミランの中盤の要であるベナセルとの関係性を考慮しても、彼の守備負担を大きく軽減してくれる存在になり得ますし、主なプレーエリアの違いという観点からも相性の良さが期待されます。

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(Source:『SofaScore』)

こちらはフロレンティーノの今季のヒートマップです。主なプレーエリアは自陣側では中央、そして敵陣側では右サイドとなっていますが、こうしたエリアは左サイドでのプレーを得意とするベナセルと被りません。

以上のことから、今のミランが求める中盤のタイプにかなりマッチする選手であるといえますね。



一方で、守備に関する弱点についてですが、少なくともスタッツ上は問題なさそうに見えます。
ですが別の記事によれば、判断面に問題を抱えているとのことです。

具体的には、ボールホルダーや近くの相手選手に意識が集中し過ぎた結果、自身の担当ゾーンから不用意に離れてしまい危険なスペースを空けてしまうといった状況が多々あるとのことです。

まぁ得てして、若手選手であればこうした状況判断に課題を抱えるものですし、それはフロレンティーノのような野性味のあるプレースタイルの持ち主であればなおさらです。

それにこれほどの対人守備の強さと守備範囲がありながら、判断面まで良いとなったら今のミランが手を出せる選手ではなくなりますしね。
こうした点は、出場機会を重ねて経験を積んでいく過程で多くの選手が洗練させていくものでありますし、20歳と伸びしろ十分な彼であればさほど大した問題ではないかなと。




さて。ここまでフロレンティーノのプレースタイルを見てきました。

若く、将来有望で、守備範囲が広く、対人守備が強い。

先述の通り、今の(おそらく来季の)ミランが求めるプロフィールに合致する選手であることは間違いなく、獲得のチャンスがあれば逃す手はないんじゃないかと。

そんなフロレンティーノですが、所属先のベンフィカは彼に4500万ユーロの値札を付けているとのことです。
非常に高額なわけですが、ミランはこれに対し、ベンフィカが興味を示すパケタをトレード要員として交渉に含めることで移籍金を減額することを考慮しているそうです。



確かに、「今の」パケタが報道通り3000万ユーロと評価され、彼をトレード要員として差し出しフロレンティーノを安価で獲得できるとすれば、それは極めて合理的な判断であると思いますし、個人的にこの選択はアリかなと(無論、パケタにミランで活躍して欲しい思いもあるんですけどね)。

後はケシエ辺りを売却して得た資金の一部を使えば十分に手が届くでしょうし、タイプ的に是非ともフロレンティーノは狙って欲しい。
まぁ、それでももう少し安価で獲得して欲しいというのが本音ですけどね。減額は可能なんじゃないかなという気もしますし。

とにかく、フロレンティーノの噂には今後も大いに注目していきたいと思います。今のところ、ミランの獲得候補として挙がっている選手の中で個人的に一番期待しているのが彼ということもありますしね。


それでは今回はこの辺で。

4Comments

諭吉

トナーリも結構話題になってますけど、現実味はかなり低いのでしょうか?ヴェラッティのようにならないよう、イタリアの有望株はセリエAに留まって頂きたいのですが。。。
フロンティーノにしても、ベナセル以外替えの効かないアンカーポジションは補強必須ですね。
ビリアの復活は厳しいと思うので。。。。

Joie_de_Myao

サイズがあり、個人でボールを奪えて、カバーできる範囲が広い。バカヨコそのものですね。
でもこの選手に大金投じて欲しくないのは、彼からポジション奪ったのが「あの」ターラブトだからなんだよねw
「ターラブトにポジション奪われた」選手に€45Mも出すくらいならトナーリの方が絶対いいし、それこそバカヨコ戻す方が金額を含めたリスクは少ないでしょう。

  • 2020/05/18 (Mon) 20:06
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カカニスタ22

カカニスタ22

To 諭吉さん

コメントありがとうございます。

トナーリはインテルとユヴェントスがデットヒートを繰り広げているらしく、最近だとインテルがトナーリと個人合意したなんて話がありますね。残念ながら、金銭的にもクラブ成績(CLの有無)を考えてもミラン移籍の可能性は限りなく低いと思います。
国外流出は防げそうですが、中々に複雑な移籍となりそうです…。

ビリアは今季限りでほぼ間違いなく退団でしょうし、仰るようにアンカーのできる選手は是非とも欲しいですね。
2ボランチが基本ベースであれ、状況によって中盤3枚に容易に変えられることに越したことはないですしね。

  • 2020/05/19 (Tue) 15:28
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カカニスタ22

カカニスタ22

To Joie_de_Myaoさん

コメントありがとうございます。

そうだったんですか。ターラブト懐かしいですね。

ただ、あくまで私見ですが、バカヨコとフロレンティーノは似て非なる選手だと思いますよ。
前者は待ち構えた形での対人戦は尋常じゃないほど強いですが、縦に奪いにいく守備(プレスの判断、背後のスペースカバー)はあまり上手い印象がないですし、昨季にしてもガットゥーゾ監督の使い方(基本的にライン低めにブロックを作り、担当ゾーン近くに来たボールを圧倒的なフィジカルで奪う)によって活かされていた側面は大いにあると思います。
事実、今季はハイプレスを志向していたランパード・チェルシーで即戦力外になっていますしね(詳しくは知りませんが)。
ラングニックのサッカーなら、縦に強くインターセプトの意識も高いフロレンティーノの方が(将来性含め)良い気が個人的にはしますけどね。

  • 2020/05/19 (Tue) 15:29
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