マルディーニの去就について~偉大過ぎるバンディエラの行く末~
ここ1カ月近くほとんどサッカー情報に触れられていなかったため、その間のサッカー記事を高速で斜め読みしているのですが、中でも驚いたのがマルディーニ父子の新型コロナウイルス感染です。
🔴 L’AC Milan annonce que Paolo Maldini et son fils Daniel, ont été contrôlés positif au coronavirus. pic.twitter.com/NlRtLsA0bL
— Actu Foot (@ActuFoot_) 2020年3月21日
現在は快復したそうで一安心ではある一方、父マルディーニについてはその後遺症として体力的な問題に悩まされているとか…。
そのような状況ですが、マルディーニが抱える問題は更にもう一つ。それはシーズン終了後の去就についてです。
仮に、有力報道通りラングニック氏がミランに全権監督として就任するとすれば、マルディーニの退団はかなり濃厚でしょう。
ラングニック監督がSDを兼任するということは必然的にマルディーニが今の役割を外されることを意味しますし、マルディーニも以前のインタビューにて「ラングニックがミランに適しているとは思わない」という旨の否定的な発言をしていることからも、両者がスポーツ部門において役割を分担し上手くやっていく様子が思い浮かびません。
そこで上記のような状況においてもマルディーニが残留するとすれば、それは「(1)クラブが別の役割を提供し、(2)マルディーニがそれを受け入れる」しかないと思われますが、果たしてそのような事は起こりうるのか。
まずは(1)に関し、メディアセットのクラウディオ・ライモンディ氏が『MilanNews.it』にて、以下のような興味深い発言をしました。
『レジェンドの存在が重要であることは明らかだ。だからエリオットがマルディーニに新しい役割を提供することはあり得る。それはユヴェントスにおけるパベル・ネドベド、インテルにおけるハビエル・サネッティのそれに近いものだ。』
『そうなった場合でも、彼の重要性は変わらない。市場やスポーツ部門に携わる必要はなくなるかもしれないが、そのことが彼の重要性を減少させるわけじゃない。行動領域が変わるだけだ』
※念のため補足:ネドベド、サネッティはそれぞれユヴェントス、インテルの伝説的名選手であり、現在は共にそれぞれのクラブで副会長を務めています。
ライモンディ氏の発言通りであれば、エリオット側もマルディーニという存在の大きさをしっかりと認識し、一応はそれに相応しいポストを(最低でも形式的には)用意しているように思われますね。
では、仮に上記の役割を提示されたとして、肝心のマルディーニはそれを受け入れてくれるのか(2)。
これに関しては、マルディーニが数年前の
詳しくはコチラの記事「マルディーニがミランの幹部就任オファーを拒否…その理由とは?(ttps://news.livedoor.com/article/detail/12137692/)livedoor NEWSより」に飛んで読んでいただきたいのですが、重要なキーワードを抜粋し引用・要約させてもらうと以下のようになるかなと。
・オファーを受ける際の判断基準は、自身に与えられた役割の「定義」
・いわゆる「お飾り」になるつもりはない
・クラブの復権にはクラブ内の明確な役割分担とコンセンサス、そして大きな投資が必要
・自分への要求、クラブ目標等、重要なことはオーナーから直接話を聞きたい
・何よりも大切なのは、自分の価値と考えの独立性
現状に即して考えますと、まず「副会長」もしくはそれに類する地位の高い役割を提示されたとしても、その実質が地位に見合わないものであれば受け入れないというのが一つ目の趣旨であり、同時に「お飾り」になるつもりはないよということでしょうか。
また、3つ目のような考えを持っているマルディーニにとっては、スポーツ部門のトップである自分に何の断りもなく内密に後任監督を選定するような人物にはさぞ腹を立てていることでしょうね。
そんな人物を全面的に信頼し、自身と直接密な関係を築こうとしないオーナーにも当然不信感を抱いているでしょう。
そして、リスペクトに欠ける上記の一件でマルディーニのプライドが傷つけられたことは想像に難くなく、自身の持つ考えと大きく異なる現状を踏まえると…マルディーニが今後もエリオット・ミランの下に居続ける可能性はかなり低いんじゃないかなという気がしますね。
それでもなお残留の条件を探るとすれば、マルディーニに与えられる新しい役職が明確かつ中身のあるものであること、そして今季嫌というほど見せつけられたマルディーニ(&ボバン)とエリオット側との見解の相違がしっかりと修正されることの2つが最低限求められるかなと。
まぁ後者については、立場的にもチーム状況的にもマルディーニがエリオット側に迎合するしか解決策がない気もするので複雑ですけどね。
ただこれが修正されないと双方にとって、延いてはミランにとって損しかないですし、今季のような内紛を繰り返しかねないですから絶対条件だと思います。
最後に。もはやバレバレだと思いますが、今回の一件について僕はもちろんマルディーニ擁護派ですし、今でもマルディーニ&ボバンのコンビで来季を迎えられていたら良かったのにと未練がましくも思っています。
しかし、エリオット側の行いを全否定するつもりは毛頭ないですし、ラングニックの選定に関してもエリオット・ミランの基本方針を踏まえれば非常に合理的だとも思います。
結局のところ、絶対的な存在であるオーナーがこういう方針であり、それを受け入れられないのであればマルディーニが去らなければいけないというのは致し方ないことなのかなと。
マルディーニのようなレジェンドの中のレジェンドを軽視する今の状況は、正直はらわたが煮えくり返るほどの怒りを覚えますけどね。
📰 @Gazzetta_it : As soon as football can start again, Paolo Maldini will meet with management to understand certain things before deciding on his future, including for Boban left the club and why. pic.twitter.com/s8cjbsd7Lc
— TeamMilanAC (@TeamMilanAC) 2020年4月15日
『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によれば、リーグ再開後にマルディーニはすぐにフロント陣と話し合い、それから自身の将来を決める予定だそうです。
新型コロナウイルス騒動もあり、この問題の解決は当面先延ばしになりそうですが、引き続き注目していきたいですね。
願わくは、双方が妥協点を見つけて合意に達し、足並みを揃えてミラン復権に臨んで欲しいです。
復帰空け2度目の記事でだいぶ長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。