ピョンテク、ヘルタ・ベルリンに移籍 ~納得と感謝~
移籍金は約2700万ユーロと報じられており、ピョンテクのサラリーも約2倍になったとか。
🎵... But Piatek
— Hertha Berlin (@HerthaBSC_EN) 2020年1月30日
He saw the light
He got the call from Michael Preetz
And off he went to Hertha BSC! 🎵#hahohe pic.twitter.com/rGiJLnWEaH
ところで、この移籍に関しては賛否両論(否寄り?)あると思うのですが、個人的にはフロントの決断を支持しています。
確かに、現戦術が速攻をベースにしているという点では彼のスタイルに合致するようにも思われるわけですが、今のFWに求められる具体的な役割とは合っていないんですよね。
というのも、今のFWに求められているのは「前線でボールを収め、中盤の選手たちが攻め上がるためのスペースと時間を与えること(要はイブラの役割)」と「広範囲に精力的に動いてパスを引き出し、裏抜け、キープ、ドリブルなどで崩しに貢献すること(要はレビッチ、レオンの役割)」に大別できるわけですが、ピョンテクは主に前者に近い役割を任されていました(コッパ・イタリアのSPAL戦、トリノ戦など)。
しかし、今のピョンテクにポストプレーやロングボールのターゲットとしての役割が期待できないことは今シーズン散々見せつけられたわけで、戦術のベースが変わったとしてもそれは変わりません。
また、後者の役割をこなそうにも彼にはドリブル技術もキープ力もないので難しいですしね。
2つ目の理由は、タイプ的に他の選手との相性が良くないこと。
ピョンテクの本来の持ち味は何といっても裏抜けやエリア内での動き出し(特にクロスに対する動き)、そしてそこからのシュート精度にあるわけですが、先述の通り自力でシュートまで持っていく技術がない(※昨季を見るに、本調子ならば多少はあるのかもしれませんが、少なくとも今季はない)ため、持ち味を活かすには周囲の味方のサポートが必須です。
具体的には、一人でゴール前までボールを運べる人、チャンスメーカー、正確無比な裏へのパスを出せる人などが中盤やサイドにいて、ピョンテクをエリア内近辺での駆け引きに専念させてあげられる形が理想的(クロス主体なら、強力なサイドアタッカーやクロッサーの存在など)。
極端な話、カカとピルロがいればゴールを量産できるんじゃないかなと(笑)
一方で、現チームの中盤やアタッカーはほとんどが活かされる側(自らがシュートを撃ったり、飛び出したりが持ち味)の選手ですし、数少ない活かす側の選手も決定的なパスというのが技術的・ポジション的に出せませんでしたから、元々ピョンテクのようなプレースタイルは活きるのが難しいチームです。
昨季にしても、ミランでゴールを量産できたのは偏にピョンテクの異常な決定力と得点感覚によるものでしたし、決定機の数それ自体は非常に少なかったですからね。
事実、ピョンテクが調子を落としたシーズン終盤戦はゴール数が激減しました。
ただ、選手のタイプに関わらず、もっとスペースにパスを出してあげるとか、ピョンテクの動き出しに合わせたラストパス(クロス)を出すなどしてあげればプレーしやすかったと思いますし、要は周囲の意識を変えるだけでだいぶ状況は違った気もしますけどね。
この点については、本来もっとピョンテクをサポートするべきだった両ウイングのチャルハノール、スソの責任は大きいんじゃないかと。
チャルハノールが好む足元へのパス、スソのクロスなど、とてもじゃないですがピョンテクに合っているとは思えませんでしたしね。
最後に3つ目の理由としては、ピョンテクがサブとしてチームに残留するのがチーム・選手双方にとってマイナスになる可能性が高かった(と個人的に感じた)こと。
イブラの復帰や、上記の戦術変更に伴い、今季後半戦のピョンテクは控えとしてベンチを温めることが極めて濃厚でした。
無論、イブラと共に練習をこなし、彼の技術やメンタルを直で学んで成長を遂げる可能性はありましたし、前線の層も厚くはないですから、もし残留しても出場機会は決してゼロではなかったとも思います。
しかしながら、スーパーサブとして活きる選手かというとそうではないですし、先述の通り現戦術にも合っていないですから、使い所がかなり限定される恐れがありました。
そして何より、彼のように得点感覚を持ち味とするタイプの選手にとって、出場機会を減らしてその感覚を鈍らせるのは死活問題です。百戦錬磨のベテランであるならばまだしも、彼はまだまだ若いですしね。
このまま半年間を過ごせば、来夏には更に市場価値が下がった可能性が高いですし、そうなればFFPの問題を抱えるチームにとっては痛恨です。
そう考えると、ピョンテクにとってはスタメンで出られるチームへと移籍でき、ミランにとってはピョンテクへの投資分を回収できた今回の取引は双方にとって良かったんじゃないかなと。
○おわりに
以上、僕の考えるピョンテク移籍を是とする理由なのですが、最後に書いておきたいのは彼への感謝です。
今回の移籍直後に、ミランの抱える「ストライカーがチームに定着しない問題」について挑戦的なコメントを残したのは残念ですし少し腹も立ちましたが、確かに彼には同情すべき点があったのも事実。
何より、昨季後半戦における半年間のプレーに限ってはまさに救世主と呼ぶに相応しいものであり、ナポリ戦やアタランタ戦でのドッピエッタなど記憶に残るものでした。
彼の得点力がなければ最終節までCL圏争いに留まることなどあり得ませんでしたし、シーズン最終盤まで夢を見せてくれたという点では彼には感謝しかありません。
ミランでのプレーは終わってしまいましたが、今後は昨季のような得点感覚を取り戻しつつ、更なる成長を遂げて欲しいです。
「エル・ピストレロ」の復活・成長を心より願っています。
Love this feeling! 🔫🔫#VeronaMilan #ForzaMilan 🔴⚫️ pic.twitter.com/XW5k4Fbe9q
— Krzysztof Piątek (@pjona9official) 2019年9月15日