ラファエル・レオンとチャルハノールの違い

ラファエル・レオンハカン・チャルハノール
アタランタ戦のマッチレポート記事にて、果敢さんから「左にレオン 中央にピョンテクを試さないのは何か理由があるんですかね ?」というコメントをいただきました。ありがとうございます。

そうした質問に対し、コメント返信の際は個人的見解として「①守備、②ピオリの好み、③ボバンへの配慮」の3つを挙げたのですが、それぞれの具体的内容については説明していなかったので、今回はもう少し詳しく書かせていただきます。

ただ、今回は純粋な返信というよりも、一種のレオン君応援記事として掲載します。


守備

現在のミランの左ウイングはチャルハノールが務めているわけですが、攻撃時の彼は純粋なウイングとしてではなく実質的にはトップ下のような感じで、ガンガン中央へと移動することが求められます。

一方で守備に関しては、ディレイで相手の攻撃を遅らせつつ、リトリート後は従来の左ウイングとして左サイドに戻っての守備が基本的に求められます。

要は、めちゃくちゃ運動量が必要なわけですね。
実際に、チャルハノールの1試合の平均走行距離は10.57kmで、これはチームトップという話です。


一方でレオン君はどうかというと、運動量が少ない。
厳密にいうとスタミナ自体はあってもおかしくなさそうなので、そもそも守備に走る気が無いという一番タチの悪い状態かもしれないです(笑)

そんな彼に今のチャルハノールと「同じ」役割を任せれば、左サイドはほぼ間違いなくズタズタにされてしまいます。まして、普段はテオが左SBを務め、左の最前線に張ることも珍しくないわけですから、スペースはかなり空いている状態ですしね(ベナセルやロマニョーリが頑張ってカバーしようとしていますが)。



ピオリの好み

運動量があり、スペースを見つけるのが上手く、動きながらシンプルにパスを出すことのできるチャルハノールはイタリア的な好選手です。
シュートを撃ちたがる癖と、その割にとんでもなく低いシュート精度であるというデカい欠点を除けばかなり使い勝手が良く、個人的にも好きなタイプです(流石に重用され過ぎだとも思いますが)。

おそらくピオリもその辺を高く評価していて、チャルハノールを流動的な左ウイングとして起用しているのだと思います。


一方のレオン君は、スピードを含めたフィジカル、ドリブル、ボールキープなんかはチャルハノールよりも明確に上であるものの、肝心のパスの判断だったり動きの質・量だったりが未だあまり宜しくないという状況。
現戦術の要であるテオとの相性を考えても、前方のスペースを空けてくれ、かつパスもすぐに出してくれるチャルハノールの方が適任なのかなと。



ボバンへの配慮

正直、これはかなり根拠薄弱ですが…。

一部報道によると、どうやらボバンはレオンの「ストライカー(トップ)」としての将来性を高く評価しているらしいです。
似たようなことは前監督時代から定期的に報じられていることでして、例えば当時は不振のピョンテクの代わりにレオンが起用されないことにボバンが不満を抱いているなんて記事も見かけた記憶があります。

一方で、ピオリは記者会見にてレオンを「ストライカーではない」と明言しており、レオンをウインガーとして起用することを示唆していました。

しかし、実際に起用されているのはほとんど1トップ。
おそらくは選手層の問題だとは思われますが、ひょっとするとボバンに配慮した采配を行っている?とも考えられなくはないかなと。

ピオリ就任の経緯からして、彼のミラン監督としての成否は直接ボバン(とマルディーニ)の去就にも影響を与える可能性が非常に高く、仮に失敗に終わればボバン等の立場も危なくなります。
そこで、現場介入とまでは言わずとも、何らかの助言ないしちょっとした個人的願望を伝え、ピオリがそれに応えているのではないかという妄想です。

ピオリのここ最近の数々の謎采配も、こうした事情ならば同情できますが…。



以上、考えられる理由としてはこんなところでしょうか。

とりあえず、現戦術・システム及び左ウイングの役割を考えると、「左SBにテオがいるならば」現時点ではチャルハノールの方が適任だと思います。

レオン君はまず今よりも走らないといけないし、パスの判断もよろしくないのでそこも改善の必要があります。
しかし素晴らしい可能性を秘めていることは間違いなく、真面目に改善に取り組み(これが難しそうですが…)、意識を変えればスタメン奪取は十分に可能です。


この点、イブラヒモビッチのミラン復帰は彼にとって追い風になるのではないでしょうか。
まず、練習においても常にチームメイトに全力の姿勢を求めるイブラ(byカッサーノ)の存在によって、否が応でも真面目に全力で練習せざるを得ない状況になりました。

更に戦術的にも2トップに変更の可能性が高くなり、「今の」イブラとの補完性を考えると、レオンにもスタメンのチャンスは回ってくるでしょう。


後は本人次第です。僕はパケタ、ベナセルと同じくらいレオンにも期待しているので少し辛口になりますけど、イブラヒモビッチ復帰という千載一遇の好機をモノにして、次期エースとして飛躍を遂げて欲しいと思います。




EMLgu7cUEAA8lgn.jpg

最後まで読んでいただきありがとうございました。

8Comments

名無しのミラニスタ

こんにちは
個人的にはチャルハノールWGは単独で見るとさっぱり評価してないんですが
テオがいるならというのは本当に感じますね
リカロド使うしかなかったアタランタ戦ではレオンかレビッチか
ボナ前出してクルニッチだろ〜と思っていたのですが

  • 2019/12/30 (Mon) 07:36
  • REPLY

おでごろう

記事乙です。

レオンはミランに移籍する前は新ムバッペなどと呼ばれていて本当に期待されていた選手でしたし、ミランに移籍が決まった時にはピョンテクとの共存はどうすんだ(笑)、でもレオンが来てくれるのか!みたいに思ってはいたのですが、ピオリ下では苦しんでますねえ。ムバッペもトゥヘル下のミーティング遅刻→即刻ベンチで改善した(と個人的に思っている)ので、レオンにはイブラ下で覚醒して欲しいですね!

彼の才能は無限の可能性を秘めています!そしてミランも可能性しかないです!ドンナルンマ、ロマニョーリ、テオ、ベナセル、クルニッチ、パケタと若い選手が光を見せつつあります。レオンも覚醒したら一体どうなってしまうんだと思いながら大学の課題に取り組みたいと思います(笑)

  • 2019/12/30 (Mon) 11:42
  • REPLY

すくろう

イブラがイブラのままであるようにメンタリティに関しては非常に難しいと思います。
年齢と共に成熟したとしても人生においてサッカー選手としての時間はそう長くありません…
才能がある若者というのは実は結構いるものでその才能を開花させる事ができる若者がほんの一握りなのだと僕は考えています
実際、将来を期待されながらも消えていった選手は多いですし…
何か大きなきっかけがなければ無理だと思いますがその大きなきっかけは用意されましたね。あとは本人次第、これで変われなければそこまでだったということだと思います。
それにしてもチャルハノールは最後の局面さえ良ければなぁ…
恥ずかしながらミラン以前の彼をよく知らないのですがFKとミドルが得意な…という触れ込みだった気がするんですけどね
でも絶望のアタランタ戦のあとイブラ加入のニュースだけで何か希望が見えてくるというもは不思議なものです
これがカリスマというものなんでしょうね!
レオンをはじめ、選手達も奮起してくれると信じています!

  • 2019/12/30 (Mon) 16:11
  • REPLY

華夏

詳しい解説ありがとうございます!
確かにテオがいるならチャルハノール起用は仕方ないですね
テオがトップスコアラーな状況ですしw
ただイブラが帰還してCF枠が余りますし仰るとおりフォーメーションなりシステム変えるなりしてレオンを塩漬けだけにはして欲しくはないです

  • 2019/12/31 (Tue) 01:14
  • REPLY
カカニスタ22

カカニスタ22

To 名無しのミラニスタさん

コメントありがとうございます!

チャルハノールのような役割だとゴールに直接絡む力が欲しいわけですが、残念ながらその点については基本的にさっぱりですからね…。
ファイナルサードでのプレー精度が上がれば申し分ないのですが、昨季から続く慢性的な問題なので根本的に改善するかどうかは微妙なところです。

アタランタ戦については仰る通りですね。
レオン左ウイング+ピョンテク1トップ(+守備面を考慮してカスティジェホ右ウイング)で良かったと思いますし、まして少人数での速攻という戦術を考えるとチャルハノール起用は益々不可解でした。

  • 2019/12/31 (Tue) 13:34
  • REPLY
カカニスタ22

カカニスタ22

To おでごろうさん

コメント&労いのお言葉ありがとうございます!

なるほど、ムバッペにそういう経緯があったのは初耳でした。
レオンもポテンシャル自体は本当に素晴らしいものがありますし、何とか改心してくれると良いのですが…。

仰るように有望な若手の多い今のミランですと、上手くいけば数年後には非常に強力なチームになり得ますし、そのためにもちゃんとしたメンバーと組織を組んで欲しいですね。

  • 2019/12/31 (Tue) 13:35
  • REPLY
カカニスタ22

カカニスタ22

To すくろうさん

コメントありがとうございます!

メンタリティというのは超一流選手になるには欠かせない要素ですよね。
どれだけ才能に溢れていようとも、それをフルに引き出すための努力を怠れば宝の持ち腐れですし、実際に神童と呼ばれた選手の中にはこの手のタイプが多そうですよね。
カッサーノが引退時に過去を悔やんでいたのが印象深かったです。

チャルハノールのFKは本当に不可解ですね。
当時は世界一だなんだと持て囃されていましたが、ミランに来てからはさっぱりですしね。

  • 2019/12/31 (Tue) 13:36
  • REPLY
カカニスタ22

カカニスタ22

To 華夏さん

コメントありがとうございます!

いえいえ、レオンについては書きたいと前々から思っていたので、むしろそのキッカケとなる質問を頂けてこちらこそ感謝です。

レオンについてはレンタルでも手放す気はさらさらないみたいですし、ちゃんと出場機会を与えて欲しいですね。
彼はちょっと気分屋なところがありますし、ピオリが上手くモチベーションをコントロールしてくれると良いのですが…。

  • 2019/12/31 (Tue) 13:38
  • REPLY