イブラヒモビッチ、ミラン加入が正式発表!~王の帰還~
これまで何度も噂になり、その度に噂に終わったズラタン・イブラヒモビッチのミラン復帰が遂に実現しました。
Z. 🔙🔴⚫#IZBACK pic.twitter.com/TbibEQ0oYB
— AC Milan (@acmilan) 2019年12月27日
契約期間は半年で、1年間の延長オプション付。報道通りであれば、延長オプション行使の条件はイブラが一定の個人成績を収めることのはずです。
そして、1月2日にミラノに到着してメディカルテストを受け、その後にチームトレーニングに参加。それと同時期に入団会見が予定されています。
本当に嬉しいですし、最高です。
「どのポジション・システムで起用するのか?」とか「果たして今でも通用するのか?」とか、確かにイブラ復帰に際して考えることは多く、いずれも極めて重要な話題のわけですが、はっきり言って僕の中でそれらは二の次です。
イブラヒモビッチが再びミランの選手としてロッソネロのユニフォームに袖を通し、ミランの為にプレーするというその事実こそが一番です。
少しクサい言い方をさせてもらうと、これは頭より先に心が喜ぶ移籍なんですよね。
ミランに来てくれたら無条件に嬉しい選手。僕の中でそんな選手は滅多にいませんし、最近で言えばカカが復帰した時以来の喜びです。
思えば11-12シーズンの終了後、インザーギ、ガットゥーゾ、セードルフ、ネスタを始め、ミランの黄金時代を築き上げた多数のレジェンドが一挙に退団し、チームは本格的な過渡期を迎えました。
本来であれば、イブラヒモビッチとチアゴ・シウバを新たなプロジェクトの中心に据え、ミランは名実ともに強豪クラブとしての地位を維持したまま再スタートを切ることができたのでしょう。しかし、2人は先のレジェンド達と時を同じくしてチームを離れ、現状はご覧の有様です。
この7年半の間に、ミランは多数のレジェンドOBを監督として使い捨て、多額の資金を浪費し、挙句に数々の不名誉な記録を更新して、往年の名選手が必死になって築き上げてきたクラブの誇りと伝統に大きく傷をつけました。いえ、今もなお傷つき続けています。
そんな中でのイブラヒモビッチの復帰は、やはり言葉では言い表せないほどの感動がありますし、彼ならば今のミランすら変えてくれるのではないかという期待感を抱かざるを得ません。
ただし、絶対に留意しておきたいのは、レジェンドであるイブラ一人に全てを任せることはできないということ。すなわち13―14シーズンの「過ち」を繰り返してはいけないということです。
少し振り返りますと、13―14シーズンはカカがレアルマドリーからミランへと復帰を果たした非常に意義深いシーズンでした。
かつての驚異的なスピードは見る影もありませんでしたが、テクニックとインテリジェンスの高さは健在。カカは孤軍奮闘を続け、シーズン前半戦に関してはチームMVP級の活躍を見せてくれました。
しかし最悪に近い組織レベルと戦術の中では、当時の彼が及ぼせる影響力にも限界があり、チーム成績は低迷。
後半戦は酷使の影響でカカのパフォーマンスもかなり下がり、最終的にチームは8位フィニッシュ。シーズン終了後、カカはMLSへと旅立ちました(直後にサンパウロへレンタル移籍)。
心情的にはもちろんのこと、戦力的にもカカの復帰は間違っていなかったと断言できるわけですが、肝心要のチーム成績が酷かった以上、これを成功と呼ぶことが出来ないのも否定できない事実です。
つまり僕が言いたいのは、「レジェンドが戻ってきただけで満足せず、レジェンドの存在を十分に活かせるようなしっかりとした組織・戦術・スカッドを作り上げないといけない」ということです。
確かにイブラヒモビッチは紛れもなくカンピオーネであり、今の彼に期待されるのも当然ながらチームの中心的な役割です。
もちろん僕もイブラには大いに期待していますし、中でも彼の持つ勝者のメンタリティ、練習への姿勢などは間違いなく今のチームに特大の効果をもたらしてくれると思っています。
しかしながら、ピッチ上においてはかつての支配者としての姿を求めることは流石に難しいわけで、今のイブラをそのままピッチ上に入れたとしても、劇的な試合内容の改善というのはほぼ不可能です。
彼を十分に活かすには戦術・システムの抜本的な見直しは不可欠ですし、「イブラヒモビッチ」という多くのミラニスタにとっての最後の希望に手を出した以上、そうしてもらわないと困ります。
何より現状のミランに復帰するという男気を見せてくれた彼に対しては、万全のサポート態勢を整えて然るべきですからね。
さて。今回のミラン移籍は、イブラヒモビッチという偉大な選手のキャリアの終着点になると予想されます。
Same Zlatan. Different Devil. @acmilan Arrivo pic.twitter.com/2sU0su3Jtt
— Zlatan Ibrahimović (@Ibra_official) 2019年12月27日
そんな彼に課された最後のミッションは、「地に堕ちた、かつての世界最高クラブを救うこと」。実にイブラらしい、最後にして最大の挑戦になるでしょう。
この出来事が後に、ミランの歴史的転換点として語り継がれることを願ってやみません。
Forza Zlatan!!
最後に。コチラは56ゴールという、ミランでのイブラの「暫定」ゴール数がまとめられた素晴らしい動画です。
この感動と興奮を再び味わう瞬間が、今から待ちきれませんね!