ミラン対サッスオーロ 【セリエA第16節/マッチレポート】

サッスオーロ戦
すみません、今週のジャ〇プを読んでいたら遅れてしまいました。


今回はセリエA第16節、ミラン対サッスオーロのマッチレビューを行いたいと思います。

スタメン

ミランサッスオーロスタメン

前半

※画像及びその注釈以外は、試合中にとったメモをそのまま載せています。


前半序盤・中盤戦の攻防

開始早々にミランがチャンスを作るも、序盤はサッスオーロが優勢。

ミランは4-1-4-1でセットしてからのプレスなので、ミランの中盤3枚がサッスオーロの中盤(2ボラ+トップ下)に対してガッチリと噛み合う形。

そこで、サッスオーロは後方でパスを回して相手インサイドハーフ(ボナベントゥーラorケシエ)のプレスを誘発し、それにより空いたボランチへとパスを出していくというのが一つの攻めの形かなと。

時には右サイドのベラルディが中に侵入してパスコースを作るするなどして、とにかく中央への縦パスを起点に一気に速攻を仕掛けようという狙いが見て取れました。


しかし、対するミランも敵陣深くでボールを持てば、かなり惜しいシーンを作ることはできるという状況。
サッスオーロのバイタルが基本ユルユルなので、この試合もボナベントゥーラのミドルシュートが炸裂するかもしれません。

具体的にミランの攻め手としては、サッスオーロのハイラインの裏へとピョンテク目がけて蹴り込んでいく形が一つ。
ピョンテクの体がキレてきていることもあり、中々に効果的な攻めです。

他には、相手システムとの関係上、比較的フリーになりやすいベナセルを起点とした速いパス回しからの中央突破がもう1つ。
前節同様に、チャルハノールだけでなくスソもどんどん中に入っていきます。


bandicam 2019-12-17 00-32-38-476
――この試合におけるスタメン選手の平均ポジション(右攻め。『WhoScored』より。)チャルハノール(10)とスソ(8)のポジショニングがかなり内寄りで下がり目なことがわかる。



bandicam 2019-10-21 21-07-28-853
――ピオリの初陣であったレッチェ戦と比べると一目瞭然。



前半終盤戦の攻防

31分。CKの流れから、最後はテオのミドルシュートが相手に当たってミランが先制。…と、思いきや、VARの結果ケシエのハンドによりノーゴール判定に。

その後はちょっとグダる。両チームともにゴール前に人数をかけて固め、シュートを撃たせながらもなんとか守り切るという展開に。

選手個人に目を向けると、ムサッキオがあまりよろしくない。
元々テクニカルなドリブラー(今回はボガ)に弱く、押し込まれると対人の弱さを露呈することも多い彼ですが、最近は縦への強さを見せつつ全体的なプレーも安定していただけに、より目に付きました。


後はチャルハノール。
ボナベントゥーラの復活、及び左インサイドハーフ起用に伴い、彼がボールを運んでくれるようになったので相対的に重要度が低下。
それにプレーエリアも結構被っており、消える時間帯というのが増えてきた印象です(これに関しては、スソまでグイグイ中央に入ってくるようになったのも原因の一つでしょうが)。

その分ファイナルサードで仕事が出来れば良いのですが、相変わらずの精度の低さによりチャンスをフイにしてしまうという…。

彼の存在(動き方)がテオを活かしている側面は今なおあると思いますけど、肝心のチャルハノール自身のパフォーマンスが良くないのは問題です。
このままならボナベントゥーラやパケタを彼の位置・役割で起用した方が良いかもしれないですね。


それとケシエ、スソもどうかと思いますが、元々あまり期待していないのでこんなものかなと。
スソはまぁ良いとして(流石に中に入り過ぎだと思うので、ポジショニング修正は必要だと思いますが)、ケシエに関しては後半からちゃんとクルニッチに代えてください。


試合内容に戻ります。41分、サッスオーロの信じられないミスからベナセルがキーパーを躱して独走。しかし時間をかけてしまい、DFに追いつかれてシュートはクリアされる。

そのまま前半は0-0で終了。不満点を書いていたらいつの間にか終わってしまいました(笑)


それにしても、この内容で無得点は痛恨。
審判がアレだったとはいえ最低1点は取らないといけなかったし、ここ最近のミランの後半の弱さを考えるとかなり不安ですね。
まぁ点は取れるでしょうが、終盤の相手の攻撃を凌げるかどうか…。



後半

後半序盤戦の攻防

両チームともに変更なし。前半はお互いにチャンスを作れていましたし、このままでということなのか。

若干サッスオーロが優勢で、ポゼッションと(ミランのパスミスからの)カウンターの両方でチャンスを作り、一方のミランも速攻からチャンスを窺う。

56分、ケシエ→パケタ

ケシエ交代は当然として、パケタ?
クルニッチじゃないのか…。



後半中盤・終盤戦の攻防

ミランが攻勢を強める。
ピッチを縦横幅広く使いながら相手を押し込んで、空けたバイタルに侵入してミドルシュートという形でゴールを脅かしますが入らない。

悪くない攻めですが、もっとサイド(クロス)を使った方が良いと思います。
サッスオーロはクロスに弱いし(この試合でも危ない対応を見せている)、実際に惜しいチャンスを作れているんですから使わない手はないと思うのですが。

スソはガンガン中に侵入してくるし、コンティは後方のケアであまり上がれないため右サイドが上手く機能しない状況に。

というか今に始まった話ではないですが、なぜにパケタを右インサイドハーフで起用するのか。
昨季を振り返っても明らかに左の方がプレーしやすそうですし、スソとも合っていないのに同サイドでプレーさせる利点はあるのでしょうか。
ボナベンやチャルハノールと位置を代えた方が良いと思うんですけどね。

一方のサッスオーロはカウンターから、左サイドのボガを中心に攻め込みますがDF陣+ベナセルが必死に守って事なきを得る。


こんな感じで終盤もひたすらに殴り合う両チーム。ミランはレオンを投入し、彼がシュートを放ちますが、ポストとバーにそれぞれ阻まれて決まらず。それ以外の決定機もひたすらペゴーロおじさんに阻まれ続ける。

サッスオーロもカウンターでひたすら攻め込みますが決めきれず。

試合はそのまま終了。
ミラン0-0サッスオーロ。


雑感


ウィンターブレイクまでは何とかこのシステム・戦術で勝利をもぎ取れたらと思ったのですが…。決定機をモノに出来ず、惜しくも引き分けに終わりました。



こちらのデータによれば、この試合のミランのxG(ゴール期待値。統計的に期待されるゴール数のこと)は「2.16」で、サッスオーロは「1.56」というもの。


ですので、統計的にはミランが得点を奪って勝利を得ても全くおかしくはなかったわけですが…。やはり、このシステムに限界を感じるのも事実。

確かにピョンテク自身のコンディションが上がり始めたことや、スペースへのロングボールが増え始めたことで彼の持ち味が出始めてきたとはいえ、この試合のシュート数は3本と少なめ(ちなみにボナベントゥーラが6本で、チャルハノールが4本)。

結局のところ点取り屋としての役割を担わせている彼へと最適なパスを出せる選手がいませんから、彼が頻繁に行うファイナルサードでの裏抜けに大して効果はないという状況です。

そりゃ点取り屋のタイプに合ったメンバー・戦術じゃないんだから点も中々取れませんよ、と。


それに個人的に、現状の戦力・チーム状況を考慮すればスタートを4-3-3で始めること自体は悪くないと思うわけですが、試合状況に応じて途中から2トップにするなり、レオンをサイドで起用してサイド突破型に戦術を変えるなどの大胆な変化を加えてもいいんじゃないかと。

この試合で言えばもっとサイドを使っても良かったし、相手は空中戦に弱いチームなんですからもっとクロスを入れるようにした方が良かったと思いますしね。


しかし、「レオンは純粋なストライカーではない」とインタビューでは答えておきながら、実際はこのような試合展開でピョンテクに代えて1トップで起用したり、スソとパケタの同サイドでの併用を止めなかったり、なぜかクルニッチを冷遇し始めてケシエを先発で使いだしたり(これが一番不可解)、最近のピオリ采配には疑問を感じることが多いです。


勿論、途中就任という難しい状況の中で良くやってくれている方だと思いますし、冬の移籍市場開幕~新戦力加入までの苦戦は想定内ではあるので、今後の改善に期待していますけどね。

しかし、この試合内容でのスコアレスドローにフラストレーションを大いに感じでしまったので、不満を吐露させていただきました。申し訳ないです。



さて。次節の相手はアタランタ……言うまでもなく極めて厄介な相手です。

加えて、この試合にはテオ・エルナンデスを累積警告により欠くという最悪の状況で臨まなければなりません。

現戦術のキーマンを欠く以上、否が応でも今のシステムないしメンバー構成は見直さなければならないと思いますが、果たしてピオリはこの一戦にどのように臨むのか。注目ですね

Forza Milan!


最後まで読んでいただきありがとうございました。

8Comments

名無しのミラニスタ

フラストレーション溜まる試合でしたね~
ペゴーロがキレキレだったとは言えサッスオーロは決して良い訳ではなかった
ミランも特別良かったわけでは無いが内容的に勝てる試合だったと思いますわ
決定機をあれだけ得点に繋げられないのは不甲斐ないという他に表現が無い
勝ち点をこぼす余裕なんて一つもないはずですがね…
ミランにとってこのような日でさえ勝利を引き寄せられないのは悲しいっす
アタランタはCLもあって疲労してる上に何故か相性は悪くないので
まぁでも純粋にチームの出来で考えりゃ厳しいっすよね予想の段階では
サパタとイリチッチがいないだけでも大分助かる

全然関係ないっすけど昨今よく用いられるゴール期待値は本当に意味のある理論なんでしょうかね
近年のデータ信仰にはついてけん部分がありますわ

おでごろう

マッチレポートお疲れ様です。

いやー、勝てる試合だったとどうしても思いますねえ。たしかに相手のペゴおじはキレッキレでしたが、だとしても今回の展開だと勝ってくれないとそりゃフラストレーションも溜まりますよね。

中盤はやっぱりべナセルクルニッチでもう一枚をパケタ、WGをボナベントゥーラ(もしくは逆)にした方が今の状況だといいと思うんですけどね。まあ今節に関してはパケタ怪我明け(?)だったと思うので途中投入はそりゃ当然だろうなと思いながら見てましたよ。そしてたしかにチャルハノールとボナベントゥーラは役割が被ってますしプレーエリアも被ってますし、なんならスソも中に入ってくるので中央が渋滞気味ですよねー、だからこそ途中交代でサイドからグイグイ持っていける選手を入れたいんですけど、今のミランだと中々そういった選手も思いつきませんからね。

とりあえず次節のアタランタ戦は僕は引き分けを願ってます。というかテオがいないミランは今考えられませんが、テオはずっと出ずっぱりなのでまあ休養日みたいに捉えておけば大丈夫かな(白目)。カルダーラ(ドゥアルチ)が復帰してくれれば3バックも試したいんですけどね〜。

  • 2019/12/17 (Tue) 09:23
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ペス

スソの中央は明らかに意図的ですよね。
ケシエとダイアゴナルなポジションチェンジを行う事により良い形でボールを受け、逆サイドのボナベンやテオに展開する精度を高めたいのかなと。
その場合、スソの代わりにサイドに飛び出したり、逆サイドに振ってからのクロスに飛び込んだりするにはクルニッチより走力と得点能力に優れるケシエの方が合っている気がします。
ただクルニッチでも普通にやれるかもしれないですね。笑

あとパケタは最近使いにくい選手になってきたイメージですね。
テクニックはありますが個人戦術の部分でボナベントゥーラやチャルハノールには完全に劣る。
この試合でもケシエがやっていた役割を理解せず通常のプレーに奔走した結果、彼が入って来てからは個人の能力に依存するサッカーになってしまった。
そもそも指示を守る気があったかによりますが、ジャンパオロの時もただただサイドに張るだけで戦術的なポジショニングはほぼ感じられなかった。
なので、ボナベンの所に入れてもクオリティは維持できないでしょうし、クルニッチの方がまだやってくれそうかなと。
となると、使いどころがなくなってくるのでなんとかもう一皮剥けて欲しい。
攻守に穴のないセードルフの様な選手に成長する事を期待しています。

すくろう

ほとんど同じ感想です!
ジャックは左ウイングに回して、左インサイドはパケタ、右インサイドはクルニッチで良いんじゃね?って思うんですけどね…
まぁ僕はスソに関してはずっと懐疑的ではありますが一発があるのは間違いないんで使いたがる気持ち自体は理解の範囲内ですけどケシエの所にクルニッチ使わないのはいまいち分からないですね
勝ちは逃しましたけど選手達も気持ちが入ったプレイしてくれたのは嬉しかったです。
特に途中から入ったパケタとカスティジェホの気持ちは伝わってきました
レオンはプレイ的には見せ場も作ったんですが途中からのわりに歩いてたり個人的にはちょっとな…という気もしました
彼の場合はあんまり気持ちが表情にでないだけかもしれませんが。もちろんシュート2つは良かったです!
あとちょっと気になったのがベナセルを始めミランの左利きは左は素晴らしいけど右足苦手過ぎやしないかいと。まぁ左利きの選手あるあるですしそういう選手嫌いじゃないんですけど

  • 2019/12/17 (Tue) 18:21
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カカニスタ22

カカニスタ22

To 名無しのミラニスタさん

コメントありがとうございます!

こういう試合内容で勝ち点3を積めないというのは痛恨ですし、2連勝と良い流れできていただけに本当に勿体ないですよね。

アタランタとは出来ればミッドウィークに試合がある週(今節とか)に試合がしたかったですねー。
ただ仰るようにアタランタとは相性は悪くないですし、何とか勝ちを得られたら最高なんですけどね。

以前、「プレミアリーグのとあるシーズンにおいて、各クラブが決めた実際のゴール数」と「xG(ゴール期待値)」を比較した図をどこかで拝見したのですが、一部のクラブ(確かシティとかチェルシーとか)を除いておおむねゴール期待値に近い得点数を記録していたはずです。
もちろんそうじゃないチームもありましたので、信ぴょう性は状況によりけりですかね。

  • 2019/12/18 (Wed) 01:51
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カカニスタ22

カカニスタ22

To おでごろうさん

コメント&労いのお言葉ありがとうございます!

ベナセル、クルニッチは外せないですよね。また、パケタもここまで非常に頑張ってましたけど、現状はボナベントゥーラが素晴らしいのでベンチか左ウイング(仰るような逆の形もアリ)という形になりそうです。

レオンかレビッチが当初の期待通りフィットできていればスーパーサブとしても非常に有用だったのでしょうが、現状は中々厳しいですね。
レオンは未だ十分に可能性を感じますが、レビッチは明らかに監督からの信頼を得られていないですし、これから出番を得られるかかなり微妙なところですし…。

いきなりのカルダーラ先発起用はリスキーではあるものの、3バック採用自体は面白そうですよね。
相手の不意を突くことが出来ますし、テオがいない以上は大胆な采配を見せでもしないと勝利はおろか引き分けも苦しい気がします。

  • 2019/12/18 (Wed) 01:52
  • REPLY
カカニスタ22

カカニスタ22

To ペスさん

コメントありがとうございます!

ケシエ否定派の僕でも、彼の走力・フィジカルに関しては認めざるを得ません(笑)
ここ数節は縦へのロングボールを用いた速い攻めも頻繁に見せていますし、そうした状況では彼の走力は確かに効果的ですよね。
ただ、これらに加えて最低でももう少しファイナルサードでの精度の高さとか、守備技術が欲しい気がします。
今のところ攻守において長所を十分に活かし切れていないと思いますが、その点に関する改善・成長には個人的に懐疑的です。

パケタに関しては全くの同意見です。
ボナベントゥーラがあらゆる面においてパケタとの違いを見せている今、彼のポジションを脅かすには成長が必要不可欠だと思います(共存という形は個人的にアリだと思いますが、二者択一ならボナベントゥーラ)。
改善点はとにかくプレー判断の部分でしょうし、潜在能力は凄いはずですから今後の成長に期待したいですね。

  • 2019/12/18 (Wed) 01:53
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カカニスタ22

カカニスタ22

To すくろうさん

コメントありがとうございます!

チャルハノールはどうにもファイナルサードでの精度が安定しませんし、少し休ませる意味でもベンチスタートの試合があって良い気がします。
まして、次節はテオがいませんから、次節はボナベントゥーラをウイングに回し、空いた位置にパケタというのは選択としてはアリだと思いますね(出来ればウイングはレオンの方が良さそうですが、先発はなさそうなので)。

レオンは途中出場だとどうにも継続性がないですね。
シーズン序盤や先発時の方が明らかに攻守において走っている気がしますし、むらっけのある選手であることは間違いなさそうです。


>>ミランの左利きは左は素晴らしいけど右足苦手過ぎやしないかいと

僕も全く以て同感です。
ベナセルなんかは右足が使えるようになると本格的にレジスタとして花開きそうなのですが、あそこまで左足に偏っているのはかなり気になりますね。

上手く身体を使いながらやっていますけど、右足を使えれば遥かにプレーの選択肢が広がると思いますしね。

  • 2019/12/18 (Wed) 01:54
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