ボローニャ対ミラン 【セリエA第15節/マッチレポート】
スタメン

前回の記事で言及した予想スタメン通りのスタメン。
○前半
(※キャプチャ画像の映像引用元はいずれも『Dazn』)。
序盤から両チームともにアグレッシブにプレスをかける予想通りの展開。
誤算があるとすれば、ミランのビルドアップにミスが目立つことか。
ミランは中央やサイドでの細かく素早いパス交換から突破を図り、ボローニャはパラシオのポストプレーやショートカウンターからチャンスを演出。
14分、ミランが敵陣深くでボールを奪うと、ピョンテクがエリア内で仕掛けて倒されPKを獲得。
それをピョンテク自身がしっかりと決めてミランが先制に成功しました。
ここからはミランが完全に優勢。
ミランの攻め手としては、主に2つ。
1つは両ウイングのチャルハノールとスソが積極的に内に絞って中央で数的優位を作り、速いテンポと細かいパスワークで崩していくというもの。
チャルハノールはいつも通りのことですが、スソまで同様のことをやるのは比較的珍しいですね(前節もこんな感じでしたが)。

――内に絞ったスソ(赤)のポジショニング。このため、サイドの幅取り役は主に右インサイドハーフのケシエ(青)と右SBのコンティが交互に担った。
ボローニャは中央が手薄なので、どんどん中央から崩していこうぜという狙いなのでしょうね。
というのもボローニャのボランチはポーリとスハウテンの2枚で、基本的にこの2人は対面のボナベントゥーラやケシエ(orスソ)を見る形なので、中央へと移動してきたチャルハノールに対するマークは難しい。
それにポーリはサイドのケアにまで頻繁に顔を出すため、ただでさえ中央は手薄になりがちですしね。

――1枚目の画像と同じシーン。ボローニャのダブルボランチ+トップ下がそれぞれミランの中盤3枚に付く。チャルハノール(橙)がライン間に位置し、このシーンの数秒後にロマニョーリからパスを引き出す。
そんな中、チャルハノールに対しては本来のマーク担当である冨安がそのまま付いてくるシーンも多々ありましたが、これをやると左サイドのテオを比較的自由にさせてしまうという状況に陥ります。

――冨安(水)がチャルハノールの下がる動きに付いていくが、その背後のスペースをすかさずテオがオーバーラップ(黒線)。ピョンテクとの連携で惜しいチャンスを作りかけた。
そのため、同サイドハーフのオルセンがそのカバーリングやテオのマークに奔走していましたが、下がり過ぎることになってしまい、結果としてどんどんミランに押し込まれることになりましたと(逆サイドでも似た状況に陥ることが多々)。
ロングカウンターをしようにも、前線に残っているのがパラシオ(とジェマイリ)では厳しいですからね。

――オルセン(紫)が最前線にまで駆け上がってきたテオ(黄)に付く為にDFラインに参加。逆サイドでも同様の状況となり、一時的に6バックのような状態に。そのため中盤にスペースが生じる
もう1つの主な攻め手としては、前線へとロングボールを送り込んでからのセカンドボール回収。
ボローニャは先述の通りアグレッシブにプレスをかけてきたわけですが、中央が薄いことに加えてDFラインは低めなため、2ライン間が空きやすい。
そこでポンポンと放り込んでいき、クリアされたこぼれ球を拾って二次攻撃に繋げていく場面が多々ありました。
正直クルニッチを差し置いてのケシエの先発起用は全く以て解せなかったわけですが、こうしたセカンドボールの拾い役をやらせたかったのかなと一応なんとか納得しました。
機動力の面ではケシエに分があると思いますし、実際にボールも拾えてましたしね。
ちなみに、この試合のミランのロングボール回数は「79回」(『WhoScored』より)。これは前々節ナポリ戦(60回)や前節パルマ戦(41回)を大きく上回っている数字です。
試合内容を含めて考えると、ミランが意図的にロングボールを使っていた一つの根拠と言えるかなと。
さて。こんな感じでミランが攻め込んでいくと、32分。スソの見事なスルーパスを受けたテオが冷静にゴールを沈め、ミランが貴重な追加点をゲット。

――得点シーンの場面。スソのスルーパスに対し、テオが孤立したオルセンの背後から飛び出す
これ以前にも似たようなシーンがあったことからも、完全に狙い通りの得点と言えるのではないでしょうか。
一方、ボローニャはボランチがほとんど機能していないし、パラシオの素晴らしく気の利いたポストプレーとかサンソーネの個人技といった散発的な攻撃しかできていなかったため、かなり厳しい状況でした。
ミランの守備へのトランジションも速かったですしね。
しかし40分、CKからテオのOGを誘発し、1点を返します。
前半はそのまま1-2で終了。
○後半
45分、スハウテン→ズヴァンベリ
46分、クリアのこぼれ球を拾ったボナベントゥーラが素晴らしいミドルシュートをネットに突き刺し、ミランが早速の追加点。
その後は2点ビハインドとなったボローニャが攻勢を強め、主にポゼッションしていく展開に。
ミランがプレスの強度を弱めたこともあり、前線のパラシオのポストプレーを軸にしてサイドから押し込む展開が作れるようになります。
ただし、崩しのキーマンであるサンソーネをコンティがキッチリと抑えているため決定機は作れず。
前半はサンソーネにかなり手を焼いていたコンティでしたが、後半は安定しています。
64分、ジェマイリ→サンタンデール
まぁ途中から消えてましたしね。
パラシオを1列下げ、サンタンデールを頂点に。
70分、ベナセル→ビリア
1枚イエローを貰っていますし、仕方ないかなと。
ビリアも20分ちょっとの出場ならボロも出ないはず。
ターゲットマンであるサンタンデールを前線に置いたボローニャでしたが、ロングボールはあまり使わず先述と同様の形を継続。
一方のミランは、運動量低下→ラインを下げる→カウンターが機能しないから押し上げられない→ボールロスト→押し込まれるという恒例の状況に突入。よって攻撃が停滞。
前半は速いテンポのパス回しで相手を押し込み、ボールロストしても素早い守備へのトランジションでボールを回収するという良い形が出来ていたのですが、その流れがなくなりましたからね。
まぁここ最近は大体こんな試合展開ですが。
また守備に関してもリトリートが得意な陣容ではないため、ヒヤりとするシーンも出始める。
ラインを下げること自体は悪くないですが、それならちゃんとカウンターを機能させないと不味いよって話ですね。
79分、ボナベントゥーラ→パケタ
84分、テオが相手を倒してしまい、VARの結果ボローニャがPKを獲得。これをサンソーネが隅に流し込んでボローニャが1点差に詰め寄ります。
85分、チャルハノール→カスティジェホ
守備固め兼(一応の)カウンター要員でしょうか。
ボローニャはサンタンデールへの放り込みを開始。
ひたすらに放り込んでいきます。
一方のミランも、ガラガラに空いた敵陣を突いてチャンスを量産していきますが決めきれず。
試合はそのまま終了。
ボローニャ2-3ミラン
○雑感
久方ぶりの2連勝ということで、気持ちの良い週明けとなりましたね。
順位は10位とさほど試合前と変わりませんが、7位ナポリとの勝ち点差は「1」という状況になりました。
ここ1~2か月は惨憺たる戦績だっただけに、思った以上に希望が残された状態にあると感じたのは僕だけではないはずです(笑)
続いて試合内容に話を移しますが、試合をこなす毎に連携が向上しているのがわかりますし、前半に関しては素晴らしいパフォーマンスだったと思います。
速いテンポでパスを回してからの中央突破は徐々にモノになりつつありますし、何といってもボナベントゥーラの本格復帰が大きかったように感じますね。
やはりミドルシュートの上手い選手は貴重だなと。彼がバイタルでシュートモーションに入った時の期待感が他の選手とは全く違いますからね。
相手を自陣に押し込めさえすれば、物量とクオリティでゴリ押しできる力はあるとここ2試合で証明されたので、後はそれ以外の状況で如何に得点を奪っていくかが重要ですね。
例えばセットプレーはもちろん改善の余地が大いにありますし、何より問題は少ない人数で攻めた時のプレーの判断・精度ですよね。
相手のレベルや自チームのコンディション等が原因で思うような試合が出来ないときってのは必ずあるわけで、そんな状況で勝利を得るためにはどうしたって効率よく点を取っていく術が求められます。
ただし組み合わせや選手層の問題もありますし、現時点で劇的な改善というのは難しいと思うので、ウィンターブレイク前の残り2試合は何とか前半~後半序盤でリードの状況を作り、後半中盤以降は意地でも守り抜くという形で勝利をもぎ取っていくしかないかなと。
チーム成績や選手のコンディションは上々ですし、先述の通り良い面もだいぶ見られるようになってきたので視界は良好です。
この流れを切らすことなく、次節のサッスオーロ戦にも勝利といきたいですね。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。