パルマ対ミラン、マッチレポート【得点力不足の原因とその改善法】
今回もいつも通り試合後のマッチレポートといきたいところなのですが、不手際で試合中のメモを消去してしまいました。
まぁ内容的に特筆すべきことはそんなに多くありませんでしたし、今回はサラッと試合展開を振り返った後、ミランが抱える慢性的な得点力不足問題について(パルマ戦の内容に絡めながら)言及していこうかなと思います。
パルマ対ミランの一戦は、テオの試合終盤のゴールによって0-1でミランが勝利を収めました。
試合内容に関しては、ミランが終始圧倒。
その要因は大きく分けて2つあって、1つ目はパルマがCFに本職ではないクツカを起用したこと(本職CFが離脱中だったり復帰明け直後だったりで致し方ない采配だったのでしょうが)。
当然ながら、ロングカウンターを十分に機能させるには1トップの貢献が大いに求められるわけですが、クツカ(推進力のあるドリブルが武器の選手)に前線でのキープやポストプレーを期待できるはずもなく、そのため前線で全く起点を作れない状況に。
ムサッキオを中心に、ミランDF陣が尽く潰していましたね。
また、そうして徐々に押し込まれていくにつれてクツカも守備に積極的に参加せざるを得ず、そもそも前線にいないなんて状況もしばしば。
そしてこうなった以上、残る頼みの綱は左WGジェルヴィーニョによる強引なドリブル突破なわけですが、ここは対面のコンティが鬼神の如きパフォーマンスで完封。
タックル成功数、インターセプト数はそれぞれ「5回」を記録し(『WhoScored』より)、この数字はいずれも両チームの中でトップの成績です。
加えて、逆サイドの右WGクルゼフスキに対しても対面のテオ&ベナセルのカバーリングでキッチリと対応。
つまりミラン圧倒の要因の2つ目は、コンティの完全復活(+DF陣の安定したパフォーマンス)にあると。
そんなわけで、ミランはサイドを起点にしてガンガン攻めていき、前線でキープできず上手く押し上げられないパルマはどんどん押し込まれていきました。
正直に言って前半中盤の段階で「このままパルマが手を打たないなら勝利は確実、何点取れるかな」と僕は高をくくっていたわけですが…まさかの大苦戦(笑)
シュートを何度撃っても入らず、また決定機となりそうなシーンにおいても尽く判断や精度を欠いてチャンスをフイにしてしまう体たらく。
今季のミランは「カウンターで点を取ってはいけない」という縛りを設けているようですが、まさかここまでとは…笑
Milan's best game of the season pic.twitter.com/xc8wGoRWDb
— Cheuk Hei Ho (@Tacticsplatform) December 1, 2019
冗談はさておき。上図はこの試合における両チームのパスマップ及びxG(ゴール期待値。統計的に期待されるゴール数のこと)を示したものですが、これによるとこの試合のミランのxGは「2.03」ですので、1ゴールに終わった今節は予想をかなり下回るものとなっています(ちなみにパルマのxGは「0.29」)。
ミランのゴール不足は今に始まった話ではなく、今季を通じての大きな課題であるわけですが、果たしてその原因は何なのか。
勿論その原因はいくつも存在するでしょうし、「カウンターの精度が酷すぎる」というのはこれまで当ブログでも何度も言及してきたため割愛します。
今回は、より根本的な原因として「選手の組み合わせ&役割のミスマッチ」に触れていこうかなと。
今節、というかここ最近は1トップにピョンテクがスタメン起用されているわけですが、ここまで全く結果を残すことが出来ず大きな批判に晒されています。
無論、彼の技術的課題は明白ですし、昨季ならば容易く決めたであろういくつかのチャンスもフイにしている状況ですから、ある程度の批判は免れないでしょう。
ただし、「チームとして彼を十全にサポートできているか」という面を考慮すると、彼にも同情すべき点はあるかなと。
例えば、この試合でのいくつかのチャンスシーンにおいても、ボールホルダー(主にチャルハノール)がピョンテクの裏への抜け出しに対して反応することなくシュートを撃ったり別の選択肢を選んだりといった場面が目立ちました。
ピョンテクの一番の武器はシュート精度なわけですが、一方でそれ以外の能力(ポストプレー、ドリブル、パスetc…)に関してははっきり言ってかなり平凡。
そのため、チームとして彼を活かすには「アシスト性の強いパス」と言いますか、とにかく一発でシュートチャンスに持ち込めるようなパスを狙っていく必要があると思うんですよね。
確か前にも書いた気がしますが、言うなればピッポとカカのような関係性の構築が求められるかなと。
しかし、彼に向けてそのようなパスを出そうとする選手は非常に少ないし、何よりタイプ的にそうしたことが向いている選手も少ないと。
チャルハノールなんかは正にその典型で、彼は前線の選手にボールを預けて収めてもらい、そこから自分も前線に飛び出してゴールに絡もうとするタイプなので、ピョンテクとの相性は良くないかなと。
1ゴール1アシストを記録し、「チャルハノールがミランに来てから最高のパフォーマンス」と評されたレッチェ戦にしても、1トップはレオン。
また、アシストの場面もクルニッチとのワンツーでエリア内に侵入し、そこからピョンテクへとパスを出してアシストといったように細かい崩しによるものです。
このパルマ戦に関しても自らシュートを撃つ場面が目立ちましたし、ピョンテクへと一発のスルーパスを出すシーンというのも少なかったですしね。
ただチャルハノールに限らず、ここ最近はっきりとピョンテクに向けてスペースにパスを出そうとする(出せる)選手はパケタ位ですけどね。
まぁそんなわけで、ピョンテクを活かしたいならもう少し周囲の選手の役割(動き方)というのを変えるよう指示すべきですし、それが技術的に無理だというのならピョンテクを変えるしかないと思います。
僕が今のメンバーの中で1トップにレオンを推す理由もここにあって、彼ならサイドに流れてキープすることが出来ますし、それによって中央に生じたスペースに中盤が飛び出すことができるので、今の中盤やウイングの面子、及びその役割を考慮するとピョンテクよりレオンの方が適切かなと。
もちろんレオンもまだまだ改善すべき点は多いですし、最近は迷走気味なのではっきりと断言はできませんが、伸びしろを考えるともっと起用してあげても良いと思うんですけどね。
少し話は変わりますが、もし8年前のイブラヒモビッチがこのチームにいたら非常に強力なチームになると思います。
11-12シーズンはイブラヒモビッチが前線でひたすらボールを収め、中盤の選手(主にノチェリーノやボアテング)が前線に飛び出しそこへパスを出すという形でゴールを量産しましたし、今のメンバー・戦術からしてもこういう形が理想なのかなと。
奇しくもイブラヒモビッチの復帰が噂される今、当時と同レベルの活躍は無理でもどうしても期待せざるを得ません。
話を戻します。得点力不足解決のために現時点でやれることは、先述の「ピョンテク周りの選手の意識・役割を変える」、「ピョンテクを代える」、そしてもう一つの選択肢として「システムを変える」のいずれかかなと。
個人的に3つ目の選択肢はかなりアリだと思っていて、例えば2トップに変更してピョンテクの負担を減らすと共に、レオンを置いて前線の起点を一つ増やすといった形は良いんじゃないかなと。
コンティが復活を果たしたこともあり、3-5-2(ないし3-4-2-1)辺りへのシステム変更は十分に検討されるべきだと思います(ドゥアルチが負傷したので、すぐには難しいとも思いますが)。
まぁ何にせよ、ピオリは元来選手に特性に合わせたシステム作りを行える監督ですし、現状の得点力不足の原因を放置したりはしないと思うので、何らかの対策を講じてくれると信じています。
ウィンターブレイクまでの残り3試合で、一つの解決策をピッチで見せて欲しいと思います。
Forza Milan!!
最後まで読んでいただきありがとうございました。