ミラン対ナポリ 【セリエA第13節マッチレポート】
スタメン

試合前にスタメンを確認したら、スソがスタメンから外れていて滅茶苦茶驚いたわけですが、ウォーミングアップ中に負傷したとのことです。
そのため、レビッチが急遽スタメンに。
後は前回の記事で言及した予想スタメン通り。
(※キャプチャ画像の映像引用元はいずれも『Dazn』)。
○前半序盤・中盤~ミランの守り・ナポリの攻め~
今日のミランのメイン守備はハイラインでブロックを作りながら、隙を見てプレスかけていくというもの(GK時はいつも通りハイプレス)。
4-1-4-1(orインサイドハーフが前に出て4-4-2)で中央を固め、相手をサイドに追いやっていきます。
一方のナポリはカジェホンが積極的に中に侵入して2トップのインシーニェ、ロサーノと近い距離間を保ち、中でボールを受けようとするわけですが、上記の通りミランの中央が固いためライン間でボールを受けられず。
また、インシーニェの下がってボールを受けようとする動きに対しても、ビリアやムサッキオがしっかりとマークして封じます。
そんなわけでナポリは中央ではほとんどボールを持てないため、放り込みが増えていく。
しかし、インシーニェやロサーノに単調に放り込んだところでチャンスは滅多に生まれるはずもなく、ミランが難なくボールを回収。

――例えばこのシーン。ナポリがサイドでボールを持つが、ミランは4-1-4のブロックでスペースを埋める。ライン間にポジショニングするインシーニェに対してはビリアがマーク(黒丸)。

――その後、バックパスで後方へボールを戻したシーン。ここでも前方にパスコースがないため、止む無くロングボールを放り込む。しかし、このボールはGKドンナルンマが難なくキャッチング。
ここまでミランはプラン通りの守備が出来ていますね。
誤算があったとすれば、レビッチが早くも膝を痛めてまともに動けていないこと。
そのため攻守において足を引っ張ってしまっているわけですが、果たしていつ交代させるのか。
そういうわけでミランが危なげなく試合を進めていたわけですが、24分、ワンチャンスをモノにされてロサーノが得点。
ミラン0-1ナポリ
まさか決められるとは…。
大してチャンスでもなかったと思うんですけどね。
しかし29分、ビリア→テオ→クルニッチと繋ぎ、最後はクルニッチからパスを受けたボナベントゥーラが見事なシュートを突き刺してミランが同点に追いつきます。
ミラン1-1ナポリ
○前半終盤戦の攻防
ミランの攻撃に関しては、前半を通じて左サイドがメイン。ボナベントゥーラ、クルニッチ、テオの3人の連携で崩しを試みる。
ボナベントゥーラはここまでチャルハノールと同等以上のプレーを見せているし、クルニッチ、テオ(攻撃時限定)も相変わらず素晴らしいため、主にこの3人の連携からゴールを脅かしていきます。
ビルドアップに関しても、アンカーのビリアが相手のシステムとの関係上フリーになりやすいため、彼を中心に安定したボール出しが出来ています。

――ナポリは4-4-2で守るため、2トップの後方にスペースが生じる。ビリア(黄)のマーク担当は主にダブルボランチの片方が担っていたが、このシーンのようにフリーにしてしまうことが多々あった

――その後のシーン。ビリアからライン間のパケタ(赤)へと正確なパスが送られた
しかし、右サイドのレビッチが負傷で満足に動けないし、中央のピョンテクは相変わらず足元が酷くてボールが全く収まらないため、ほとんど左からしか攻められない。
カウンターに関しても、最初こそ上手く突破できたシーンもありましたが、その後はほとんど上手くいかず。
まぁピョンテクを前線に1人残したところで上手にカウンターできるはずもありませんし…。期待されたレビッチも負傷により出足が遅いですしね。
一方のナポリも相変わらずほとんど上手く攻められませんが、ミランのパスミスからカウンターでいくつかチャンスを作る。
ナポリは早く4-3-3にでもして、サイドを起点に攻めれば良いのにと思いますけどね。インシーニェとロサーノに単調に放り込んだってチャンスは滅多に生まれませんよと(その形でまさかの失点を喫したわけですが笑)
試合終了間際。ミラン側左サイドを破られ、インシーニェが抜け出して1対1のピンチを迎えますがドンナルンマがファインセーブ。
前半は1-1で終了。
後半
○後半序盤戦の攻防
45分、レビッチ→ケシエ
怪我で最悪のコンディションでしたし、これは仕方ないですね。
この交代によりパケタが右ウイングに入る。といっても積極的に中央に入り、それにより空いたサイドのスペースをSBのコンティが使うという形。そしてケシエは右インサイドハーフに入る。

――パケタ(赤)とコンティ(紫)のポジショニング
58分、カジェホン→メルテンス
ナポリはようやく4-3-3に変更。これにより、早速カウンターからロサーノがチャンスを迎える。
ここからナポリはしばらく、テオの裏のスペースを徹底的に突いていきます。
4-3-3に変えたことで右ウイングのロサーノがこのスペースを頻繁に突けるようになりましたし、インサイドハーフやSBがウイングと上手に絡むことで、サイドで起点を作れるようになりました。

――ナポリのカウンターのシーン。攻め上がっていたテオ(黄)の空けたスペース(黒丸)へとロサーノがドリブルで侵入。決定機になりかけるが、ムサッキオのスライディングで事なきを得た。

――このシーンでは、テオがロサーノのマーク(黒丸)に付いたところ、その背後へインサイドハーフのジエリンスキ(水)が飛び出してパスを引き出した

――アランから右サイドに張ったロサーノへのロングボールにより、テオの背後を突く
ナポリはこのシステム変更により明らかに先ほどより上手くボールを回せるようになりましたし、対してミランは押し込まれ気味に。
加えてビリアが60分辺りから大乱調。動きも少なくなり、トラップもおぼつかずにパスミス・ボールロストを連発して何度もカウンターの逆起点に。
ミランはこの展開なら早くレオンを入れた方が良いし(このピョンテクなら基本的にどんな展開でもレオンの方が良いと思いますが、)、一体いつまでピョンテクのまま引っ張るのか。
65分、インシーニェ→ユネス
負傷交代。
○後半終盤戦の攻防
73分、ビリア→カラブリア
ケシエをアンカーに置き、カラブリアを右インサイドハーフに。
とんでもない采配ですが、そこまでしてでもビリアを代えたかったということなのでしょう。
懲罰交代かってレベルの無理矢理な交代ですが、後半のビリアは酷すぎたので致し方ないですかね。
しかし、当然この交代で好転などするはずもなし。
ケシエにゲームメイクなど微塵も期待できませんし、カラブリアも個でどうにかするタイプではない。加えてどちらも不慣れなポジションですしね。
ただひたすら左サイドの3人が頑張る展開。
84分、ロサーノ→ジョレンテ
非常に厄介な選手の登場。
85分、ピョンテク→レオン
遅い交代。エンジンがかかるのが遅いレオンにわずか5分ちょっとの時間を与えて結果を出せというのは酷な話です。
その後は主に左サイドから攻めてクロスを入れてくるナポリと、そこからなんとかボールを奪ってカウンターに繋げたいミランの構図。
ミランはもうパケタを筆頭に多数の選手が疲弊しているのでキツいですね。レオン1人で自陣からフィニッシュまで持っていけというのは流石に至難です。
一方、ナポリはジョレンテにもっと放り込んでくるかと思われましたが、存外パスを繋いできたのでミランとしては助かりましたかね。
ミランは伝統的に屈強な選手とのエアバトルに弱いですし、アンチェロッティもそれは良く知っていると思うのですが(笑)
試合はそのまま終了。
ミラン1-1ナポリ
○雑感
妥当な(若干ミランが得した?)結果ではないでしょうか。
ミランは相変わらず攻撃(というかカウンター)が機能していないですし、決定機自体は少な目でしたからね。
むしろ、ビリアのやらかし連発からのショートカウンターでいつ失点を喫してもおかしくなかったですしね。それ以外は安定していましたが。
それと、もう既にずーーーっと言ってますし冬の移籍市場開幕まで言い続けるでしょうが、ボランチと右ウイングの補強は必須だと思いますね。
ビリアはもはや60分しか集中力とスタミナが持たないですし、右ウイングは誰一人として最適な選手がいませんし。
あと、レオンを継続的に起用していけばいずれ1トップ問題は解決するでしょうが、ピオリは何故かピョンテクに固執するので、イブラヒモビッチ獲得は必須ですね(そういう戦力的な理由だけでなく、チームメンタルの向上のためにもイブラ獲得は必須だと思いますが)。
確かに戦術がピョンテクに合っていないというのも不調の原因の一つではありますけど、彼自身のパフォーマンスも昨季と比べるとかなり悪いですからね。
ピョンテクのために戦術を変えるっていうなら話は別ですが、このままだとミラン・ピョンテク共倒れです。
続いて良かった点に目を向けますと、何といってもボナベントゥーラにゴールが生まれたことですよね。
全体的な動きも以前より大きく改善されていますし、コンディションも上がってきた印象です。
それにクルニッチは今節も攻守ともに貢献度の高いパフォーマンスでしたし、テオも守備はアレでしたが攻撃は相変わらず脅威になっていました。
左サイドの攻撃は非常に安定しているため、今後も維持して欲しい部分です。
そして、守備に関しても前節から引き続き、運動量をベースとしつつ組織的に守れているので良い傾向ですね。
この点に関してはピョンテクも非常に良くやってくれていますし、大分痛みがあったであろうレビッチも懸命に守ってくれたので、チーム全体に守備意識の高さが根付きつつあるように感じます。
後はリトリート後の個人個人の対応が課題ですかね。特にテオはもう少し判断の部分を磨く必要があります。
さて。今月の強豪3連戦は1分2敗という残念な結果に終わりましたが、内容的には決して悪いものではありませんでしたし、今後に向けて期待の持てるものでした。
しかし、ここからしばらくは絶対に結果(勝利)が求められますし、これ以上安易に勝ち点を零すことは許されません。
まずは次節のパルマ戦に万全の態勢で臨んでもらい、4戦ぶりとなる勝利を手に入れて欲しいと思います。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。