ミラン対ラツィオ 【セリエA第11節マッチレポート】
スタメン

前回の記事で言及した予想スタメンからの変更は2つ。
1つはスソからカスティジェホ。どうやらスソは軽く負傷したらしく、メンバー外です。
正直なところそんなに影響はないし(1発がなくなるのは痛いですが)、守備面やカウンターを考えるとむしろ良い。
もう1つはビリアからベナセル。
大分攻撃的な中盤の構成になりましたが、果たしてこれで守ることができるのか。
中途半端なパスミスから失点みたいな流れだけは止めてほしい所です。
前半
○前半序盤・中盤戦の攻防
序盤のラツィオは主に左サイドから攻めてきましたが、今日のミランは右サイドにカスティジェホがいますし、彼がプレスとリトリートに奔走。
それに同サイドのパケタもやる気十分にアグレッシブに守るため崩されません。時にはチャルハノールも右サイドの守備に参加。。
一方ミランの攻撃に関しては、トランジションを速くし、ショートカウンターを狙うというもの。
そのためのピョンテクか、と一応納得。
プレスの速さとか、継続性とか、そういう部分はピョンテクの方がレオンより上ですし、とにかく今日はひたすらショートカウンターでいくぞと。
このメンバーだと相手に引いて守られたら崩すのは至難ですし、相手が陣形を整える前に攻め切ろうという狙いですね。
実際に敵陣でのボール奪取から惜しいチャンスを作れていますし、ある程度狙い通りの展開にはなっているかなと。
そしてこういうハイテンポでスペースのできる試合だと、カスティジェホは活きますね。
マークに付かれ辛いので、課題であるボールの受け方の悪さがあまり露呈しないですし、スペースで受ける意識が高いのでカウンターも普段より機能します。
それとクルニッチ。少し詰まることもありますが、それでもケシエより遥かに連動して動けているし、チャルハノールとの連携もまずまず。
特にカウンター時は結構良い。
また、一端ラツィオにポゼッションを確立されても、ミランは基本的にはハイラインを維持して前から奪いに行く形を継続。
いつも通りといえばそうですが、今回はその強度も練度も上がっていたかなと。
まず前線の3人でラツィオの3バック+GKにプレスをかけ、主に右CBのバストスにボールを誘導して逃げのロングボールを誘う。WBのラッツァーリに出されても、テオが猛プレスをかけて対応。
そしてミランの両インサイドハーフ、クルニッチとパケタはそれぞれ対面のサビッチ、アルベルトを徹底マーク。アンカーのベナセルも、相手アンカーのルーカスへのマークのために上下動を繰り返す。
特にクルニッチとベナセルは奮闘していましたね。前者は巨漢のサビッチとのデュエルにも怯むことなく対応し続け、後者は守備に走り回り、隙あらばタックルを仕掛けました。
一方のラツィオの攻撃は、サイド(主に右サイド)から素早く持ち運んでのクロスが主な攻撃パターン。
プレスを躱せば広大なスペースがありますし、主にテオとチャルハノールが空ける裏のスペースを突いていく。
それとアルベルトが比較的自由に動いてパスを引き出し、彼のパスからチャンスを作り出していく形も。
パケタが攻め上がった場合、アルベルトへのマークが緩くなりますし、そんな時はすかさずライン間に移動してパスを引き出してくる本当に嫌な奴です(笑)
すると25分、ラツィオのカウンターからミラン側左サイドを破られ、最後はインモービレに決められてラツィオが先制。
アルベルトを経由し、ガラ空きのサイドを破られての失点でした。
しかし28分、テオのクロスにピョンテクが合わせてミランが同点に追いつきます。
○前半終盤戦の攻防
36分、カスティジェホ→レビッチ
負傷交代。攻守にフル回転してましたからね…。
今日は守備では勿論、攻撃でも利いていましたし、これは痛い。
ラツィオは先述のサイド攻撃の他に、2トップとアルベルト辺りが上手くローテーションしてマークを外し、中央のスペースを使い始める。
レビッチはカスティジェホほど守備に熱心ではないし、カラブリアやドゥアルチもボールを奪えないしで、ミラン側右サイドから崩されるシーンが目立ち始めます。
ミランも引き続き速攻からチャンスを作りますが、惜しいシーンはベナセルのクロスからレビッチのヘディング位か。
前半は1-1のまま終了。
ミランは存外チャンスを作れていますし、守備に関しても中盤とカスティジェホが奮闘してくれたおかげで辛うじて耐えています。
ただ、せっかくのカウンターチャンスをふいにしている場面が目立ちますね。
チャルハノールの素晴らしいパスやクルニッチの良い攻め上がりによってボールは運べていますが、肝心の決定機にまで繋がるシーンは多くはない。
流動的なカウンターアタック(後方から選手がスペースに飛び出していく形)がしたいのであれば、前線にキープ力があったりサイドへと流れられたりする選手は必須ですし、その役割はやはりピョンテクでは厳しいかなという印象です。
点には絡んでいますし、守備は頑張ってるので起用する意図はわからなくはないのですが…。
まぁいずれにせよ、この運動量が後半まるまる持つとは到底思えませんし、早いところ追加点が欲しいですね。
後半
○後半序盤戦の攻防
ひたすらカウンターからチャンスを作るミラン。
ラツィオは相変わらず攻撃的だし、パスも引っかかるしでボールロストからの被カウンターが頻発。
しかしミランも決められない、そもそも決定機まで持っていくシーンも少ない。
前半も含め、カウンターの機会自体は凄く多いんですけどね。カカもしくはシェバのどちらかがいれば今頃2点は追加しててもおかしくないのですが。
53分、パケタ→レオン
早い交代ですが、運動量が半端ないんで妥当ですかね。
しかし交代選手が同じ中盤の選手(ケシエとか)ではなく守備意識の低いレオン。
追加点を奪いに早くも勝負に出た感がありますね。
レオンは左寄り中央、チャルハノールはトップ下に移動。これはレオンとピョンテクの2トップか。
そしてレオンは守備に消極的なのでいよいよ左サイドはガラガラに。
○後半中盤・終盤戦の攻防
60分、サビッチ→パローロ
クルニッチにほぼ抑え込まれていましたしね。
60分、インモービレ→カイセド
僕が観る試合では絶対に活躍しない男、カイセド君が登場しました。
試合はどちらに得点が入ってもおかしくない展開に。
ミランはカウンターのために前線に人数を残すし、そのためラツィオも速攻からゴールを脅かす。
そろそろピョンテクは代えても良いと思うんですけどね。
カウンターの流れを止めるし、守備にも走れなくなってきたので全く効果的ではないですし。
今日はカウンターの起点としてチャルハノールがキレキレですし、前線に残すのは彼とレオンで十分かなと。というか左サイドの守備がヤバいんで修正してください(笑)
82分、カイセド→カタルディ
怪我っぽいですね。無事を祈ります。
83分、カウンターからコレアに決められてラツィオが勝ち越し。
案の定左サイドを崩されての失点。まぁこれに関してはそのままでも防げた失点だと思いますがね。。
85分、クルニッチ→ボナベントゥーラ
攻勢を強めましたが同点弾は奪えず。試合はそのまま終了。
ミラン1-2ラツィオ
○雑感
リーグ戦においてホームでラツィオに負けたのは30年ぶりということで、歴史的敗戦を喫しました。
まぁそれでも思ったよりはやれたんじゃないかというのが、悲しくも率直な感想です。
攻守におけるアグレッシブさという点ではピオリ就任後で一番だったと思いますしね。
客観的なデータとして、この試合のスタッツとこれまでを比較して見ていきます。

ミラン(ホームチーム)のスタッツは左側です。そして上記のスタッツの注目は「タックル成功数(Tackles)」と「空中戦勝率(Aerial Duel Success)」で、今節はそれぞれ「21回」と「65%」となっています(『WhoScored』より)。
この数字、例えば前節SPAL戦では「14回」と「55%」、前々節のローマ戦に至っては「10回」と「23%」なので、明らかに向上しています。
ちなみに、ここには書かれていませんがインターセプト数も改善しており、今節は「17回」。過去2試合の数字はそれぞれ「9回」と「13回」です。
試合を観ていても、組織的なレベルは徐々に上がっているように感じます。今日はプレスの狙いもはっきりとしていましたしね。
後はプレスを外されたときの対応ですとか、被カウンター時の動きが大きな課題ですかね。
しかしこの点に関しては、やはりスペースを管理するのが上手い中盤の選手が絶対に必要だよなあと常々思います。
今日の中盤、特にベナセルは本当に守備に献身的で素晴らしかったですが、スペースを埋める動きは不十分なので、そこを突かれるシーンは多々ありました。
歴代のミラン選手でいうと、アンブロジーニはこういう動きが神懸かり的に上手かったですね。
後の課題は、カウンターの精度ですよね。
この点、やはり1トップはレオンの方が絶対に良いと思うんですけどね。
まぁしかし守備の意識が高くないのは確かなので(この試合も中々に酷かった)、不動のスタメンを勝ち取るにはこの部分の意識改革は不可欠ですかね。
良いカウンターチャンスは良い守備からですしね。
さて。次節の相手は絶対王者ユヴェントスです。
今季も粘り強く勝ち点を積み重ねている彼らは暫定で首位に立っています。
限りなく難しい試合になりますが、超絶無理矢理ポジティブに考えますと、もし万が一にも彼らに勝とうものなら今の停滞感が一気に払拭されることは間違いありません。
ある意味で流れを好転させるにはうってつけの相手ともいえますので、何とか良い内容と結果を得て欲しいです。
そのためにもここからの1週間、適切なスタメン選考を含めた入念な準備を行ってほしいと思います。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
※選手個々の寸評は明日以降書かせていただきます。