ミラン対SPAL 【セリエA第10節マッチレポート】
スタメン

前回取り上げた予想スタメン通りのスタメン。
普段は実況スタイルで書いている試合中のメモなのですが、15分観て「あ、こりゃダメだ」と。
なので、急遽形を変え、悪かったと思う点を列挙していくことにしました。
まず、ピョンテクが1トップなら、チャルハノール左ウィング起用の意義は薄い。
というのも、レオンと違ってピョンテクはサイドに流れられないのでサイドを使う選手が1人減りますし、チャルハノールを純粋なウィンガーとして起用してもあまり効果的でないのは以前説明した通りです。
これまでの左サイド攻めはテオ、レオン、チャルハノールの3人による流動的な攻撃によって成り立っていたものなので、その中核の1人であるレオンがいないというのは痛恨。
僕が1トップにレオンを推すのもこれが理由の一つです。
1トップがピョンテクなら、純粋にレオンだとかレビッチだとか、その辺りの個人で勝負できるスピーディーな選手をウィングに置かないとダメですね。
ケシエがもはや攻撃に関与しない方がマシなレベルの酷さですし、テオが1人で持ち運ぶのは流石に無理があります。スタートポジションは低めなわけですしね。
チャルハノールは今回も頑張ってチャンスを作りましたけど、やはりレッチェ戦のような輝きからは程遠いです。
いくつかデータを示します。

――以上の図は、以前も使用したレッチェ戦における各選手の平均ポジションです(右攻め。数字は各選手の背番号。『WhoScored』より。)

――続いてコチラが、今回のSPAL戦の平均ポジション。
注目はテオのポジショニングと1トップの位置で、まず今節は明らかにテオ(19)の位置が下がっています。
高めの位置で起点を作れず、中々攻め上がれなかったということを示しているかなと。
そして1トップについては、レッチェ戦のレオン(17)は左サイド寄り高めに位置しているのに対し、今節のピョンテク(9)はど真ん中です。
これはお互いのプレースタイルの違いを端的に示しているだけであって、どちらが絶対的に優れているといった話ではありません。戦術やメンバーの組み合わせによって大きく変わってくる部分です。
しかし、左ウィングに中央へと積極的に入ってくるチャルハノール(10)を起用する場合、1トップとして好ましいのはサイドにも流れられる万能タイプな選手なわけで、それはやはりレオンなわけですよ(他にもカウンター要員としても必要)。
逆に1トップにピョンテクを起用するのであれば、彼がエリア内で仕事に専念できるよう左サイドには(できれば右にも)ある程度独力で突破できるタイプが望ましいわけで、それはレオンやレビッチが該当すると思うんですよね。
まぁそういうわけで、今回は前線のメンバーの組み合わせが良くなかったかなと。
もちろん中盤や最終ラインの構成、戦術、対戦相手の状況、各選手の役割等々によって複雑に変わってくるので、絶対的にダメというわけではありませんけどね。
それと、同じく『Whoscored』によれば、今節のミランが左サイドでボールを持った割合は全体の35パーセントらしいです。

ちなみにレッチェ戦は46パーセント、ローマ戦は47パーセントなので、明らかに下がっていますね。
これまでより左サイドでの攻撃が滞った一つのデータといえるのではないでしょうか。
続いての話題として、右サイドのカスティジェホ。彼もまた案の定ボールを持ったときのプレーが良くない。
サイドでボールを受けてもすぐにパスやチャンスメイクを窺うプレーをするならスソと変わらないですし、そうしたプレーの質はスソの方が上です。彼に期待しているのはそういうプレーじゃないんですけどね。
要は縦にドリブルでボールを運んでほしいのですが、そうしたプレーは今のところ非常に少ない。
ただし、オフザボールはスソとは全くの別。守備にも非常に精力的ですし、裏抜けやエリア内への飛び出しも多い。
12分~13分のプレーはまさに象徴的。パケタのサイドチェンジから左のテオへとボールが渡り、テオがそのままクロス。ピョンテクのシュートのこぼれ球に詰めて決定機を迎えたシーンです。
シュートはクロスバーに当たりネットを揺らせませんでしたし流石に決めてくれよって場面でしたが、まぁあの場面は彼の積極性があったからこそ生じたわけなので。
次に、一応試合展開をサラッと書いておくと、ライン高めかつコンパクトに守るSPALに対し、ロングボールによる裏抜けを多用するミランという構図。
ピョンテクやカスティジェホが裏抜けを多用し、そこへ合わせようとしますがあまり上手くいかず。
サイドから崩そうにも先述の通りで難しいですし、中央はSPALの人数も多く、コンパクトなのでスペースもない。
カウンターも1トップがキープ力のないピョンテクで、両サイドがボールを運べないので難しい。
というわけで、相当厳しい状況です。決定機は先述のパケタのサイドチェンジ~からの一連のシーン位です。
終盤になると、段々と中央のスペースが空いてきましたし、カスティジェホ等の裏抜けもようやく効いてきて裏にも通るようになったのでチャンスをいくつか作りました。が、決定機と呼べるものはなかったかなと。
そんなこんなで前半はスコアレスで終了。
一番の問題はメンバーの組み合わせと戦術との噛み合わせの悪さ。ピオリさんのこの采配はちょっと個人的に擁護できませんね。
すぐに戦術修正していただきたいところですがどうなるか。
後半
46分、ムサッキオ→カラブリア
これは意外。確かに一度ムサッキオ何やってんだってプレーがありましたが…まさかの怪我ですかね(※内転筋を痛めたらしいです)。
カラブリアを右SBにし、ドゥアルチをムサッキオの位置にスライド。
47分、パケタのパスに抜け出したテオがネットを揺らしますが惜しくもオフサイド。
57分、カスティジェホ→スソ
まぁ確かにスソでも良いとは思いますが、この試合の問題の本質はそこじゃないと思うんですけどね。
しかし63分、スソが直接FKを決めてミラン先制。
素晴らしい。試合の流れとか、戦術に関係なく点を取ってくれました。
しかし得点後も試合の流れはほとんど変わらず。まぁ前掛かりになったSPAL相手に多少攻めやすくなったのでチャンスは作れてますけど、いずれも決定機とは言い難い。
ミランの試合じゃなきゃとっくに視聴中断してるレベルの酷さです。
まぁ何とか追加点は取れるんじゃないでしょうか。というか失点しそうなんで早く追加点取ってください。
79分、パケタさんそれを外すのはないですぜ…。
88分、パケタ→ボナベントゥーラ
チャルハノールを中盤に下げ、ボナベントゥーラを左ウィングに。
この状況においても起用されないレビッチはよほど信用されてないんですね…。
その後はチャンス皆無。グダグダなまま試合終了。
○雑感
1-0でミランが勝利しました。
うん、それだけ(笑)
後半とかぼーっと眺めていただけなので、なんかいつも以上に内容薄くてすみません。
ただ真面目に観ていてもこれ以上に書くべきことがあったかどうか…。
ピオリのこれまでの采配には納得のいくことが多かったですけど、この試合はかなり不可解でした。
攻撃の引き出しの多さという点ではレオンの方がピョンテクより圧倒的に上なわけで、そんな彼(とテオ)を軸にした攻撃戦術を今までは展開していたはずなのに、今回はその彼を外して同様の戦術で臨みましたからね。
ピョンテクに同じタスクは厳しいでしょうと。彼自身はかなり頑張ってたと思うので、気の毒でした。
ただレオンを起用しなかったのは、多分ですが疲労を考慮してというのもあると思います。すぐにまた週末に試合がありますし、そちらに向けてターンオーバーしたかったのかなと。
次に、もう何度も言っていますが右ウィングとボランチだけは(このままなら)絶対に補強が必要ですね。
スソの直接FKによるゴールは本当に素晴らしかったですが、相変わらず戦術的には機能していないですし(フリーランしない、裏抜けしない、縦に運べない、だからカウンターもロクに機能しない。ただし本調子ならチャンスメイクができる)、カスティジェホも良くも悪くもこれまでと何も変わらない(積極的にフリーランする、裏抜けする、守備もする。ただし縦に運べないしチャンスメイクも上手くない)。
どちらも一長一短なのですが持ち味は異なるので、冬の移籍市場までのスタメンは守備(とカウンター)を重視するならカスティジェホ、攻撃(試合の流れに関係ない1発)に期待するならスソって感じで使い分ければ良いんじゃないでしょうか。
まぁそうは言っても次回からはスソが不動のスタメンだろうなーとは思いますが。レビッチを右で起用する気はさらさらないようなので。
それに今日のような活躍をしてもらっちゃうと、あんまりスソの先発という選択も責められないですしね。
今節の決勝ゴールは間違いなく彼の独力によるものですし、彼のゴールがなかったら本当にヤバかったので。
カスティジェホのプレースタイルにもう少し変化があれば良かったのですが、現状は得点に絡めるスソの方が優先されるかなと。先述の通り一長一短ですし、くどいようですが補強は必要だと思いますが。
続いてボランチに関して、ベナセルは今日のようなバランサーとして起用されるのは勿体ない気がしますし、信頼の置ける潰し屋がいればもっと攻撃的に振る舞えると思うんですけどね。
というかビリアとは結構違うと思うのですが、ピオリはこの2人を似たタイプだと考えているようで…併用というの選択肢はなさそうですね。
ケシエについてはノーコメント。
最後に、数少ないポジティブな面に目を向けるとすると、勝利という形で終えられたことは選手にとって自信に繋がると思いますし、今後の強豪3連戦に向けて弾みが少しでもついたかなと。
後は、注目だったドゥアルチのパフォーマンス。決して悪くなかったと思いますし(もう少し縦に付けるパスが欲しいですが)、後半から入ったカラブリアもまずまず安定していたんじゃないかなと。
右SBのポジションはこの2人で切磋琢磨していって欲しいと思います。
さて。次節の相手はラツィオです。
非常に厄介な相手でありますし、ベストメンバーの彼らは本当に強い。
なので戦々恐々としていますが、ホームでありますし、勢いに乗るためにも何とか良い結果を手に入れて欲しいです。
Forza Milan!
非常に長くなってしまいすみません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。