ラツィオの元キャプテン、マウリが語るピオリとミランについて
2016年まで10年近くラツィオに在籍し、計300試合以上に出場。非常に高いインテリジェンス(戦術理解、ポジショニング等)と豊富な運動量を兼ね備えた偉大な選手でした。
そんな彼が『calciomercato.com』のインタビューにて、ピオリやミランの選手について語ってくれました。
今回はそれについて、個人的見解を加えつつご紹介していこうかなと。
まず始めに、ピオリについて。
「ピオリはこの挑戦に値する。彼はグループを作り上げるのがとても上手だ。それに、チームとしてのコンセプトの重要性というものを上手に理解させようとする人物だね。彼ならばチームの持つ力を最大限発揮すると確信しているよ。」
マウリの言うようにピオリの人心掌握能力に関しては定評がありますし、ミランでも早速意識改革に取り組んでいるようです。
また先日のガゼッタ紙によれば、ピオリは食事面にも気を使っているらしく、選手たちには1つの大きなテーブルで朝食と昼食をとらせているとか。
これにより選手の食生活のコントロールと、選手間の関係性の向上を図ろうとしているのでしょう。
練習風景などを見ても選手・コーチ陣共に楽しそうな雰囲気に見えますし、今のところこの点に関しては非常に上手くいっているのではないかと思われます。
続いて、フォーメーション(ミランではどんなフォーメーションが採用されると思うか?)について。
「フォーメーションというのは試合開始時に見られる配置に過ぎない。なぜなら、実際の配置は選手の特徴や、対峙する相手に応じて監督が定めた戦術的アイディアに基づいて決まるからだ。重要なのは、フィールドにおける役割の解釈だね。例えば、かつてピオリは(ラツィオ時代に)我々を4-3-3や4-2-3-1でプレーさせ、私は時折右サイドのアタッカーを務めた。でも、私はカンドレーバとは違い、フィールドの中央へと侵入していった。」
これは正に仰る通りですよね。より重要なのは選手に与える具体的な役割と、(ここでは言及されていませんが)メンバーの組み合わせだと。
マウリは運動量とポジショニングに優れ、飛び出しも上手かったですから積極的にエリア内へと侵入させてゴールを狙わせる。
一方でカンドレーバはドリブル突破とミドルが最大の持ち味でしたから、タッチライン近くでのプレーを多くさせたのでしょうね(サイドでボールを受け、ドリブルカットインからのシュート)。
最後に、ミランの各選手に対するマウリの寸評です。最初はビリアについて。
「私は、ビリアがチームの中心となりスタートすると信じている。彼はピオリの求めるものが何かを知っているからね。それに、彼には国際経験も豊富で、アルゼンチン代表のような難しい環境も経験している。そうしたものはチームにプラスアルファをもたらし得るね。」
ラツィオ時代にはビリアに全幅の信頼を置いていたピオリ。(どうでもいいですが、この2人は字面が似ていてややこしい。笑)
各報道を見てもピオリがビリアを今でも高く評価しているのは間違いなさそうですし、ビリアが中盤の主力として返り咲くのは濃厚です。
ただし、同インタビューでマウリも言及していましたが、自チームの状況や対戦相手よってはベナセルが代わりに起用される可能性も十分に考えられますね。
僕は共存派ですが、この辺りはピオリの選択に注目です。
続いてパケタ。
「パケタは強力な選手で、テクニックも非常に秀でている。ポジションはトップ下というよりもメッザーラだね。ただし、場合によってはストライカーの背後に移動してボールを送りこむことが出来る。」
パケタをメッザーラ(インサイドハーフ)として起用しようとする意図は良く分かりますし(ボールの運び屋として非常に優秀なため)、それにピオリの場合はインサイドハーフを積極的にエリア付近に上がらせてゴールに絡ませようとするでしょうから特に異論はありません。
3ボランチの左インサイドハーフで問題なく機能すると思います。トップ下でも面白いとは思うんですけどね。
最後はピョンテク(とレオン)について。
「(ピョンテクに関して)ひょっとするとピオリは、レオンを1トップとして使いたがるかもしれない。代表ウィークが終わってから、彼は2人の状態を確認するだろう」
ピョンテクがピオリの下で復活を遂げそうというのは前回までの記事に書きましたが、正直なところレオンのトップ起用でも非常に面白いと思いますし、攻撃のバリエーションの多さという点では後者の方に分があるように感じます。
まぁしかしピョンテクの(本来の)決定力の高さは捨て置くには勿体ないですし、昨季のパフォーマンスを取り戻してくれれば申し分ないですからね。
基本はピョンテクで、場合によってはレオンを起用するという形に落ち着くかなと。
「現時点で、ピオリはいつもより少ない人数の選手たちとトレーニングしているし、彼の考えというものを即座に選手たちに理解させることはできない。我々は様子を見る必要がある。」
「私はビリアとパケタが中心となってチームがスタートすると信じている。そしてレオンとピョンテク、どちらがストライカーとしてプレーするか見てみよう。」
さて。そんな見どころの多いピオリ・ミランの初陣はいよいよ今週末です。
不安もありますが、それ以上にワクワクする気持ちの方が大きいので早く試合が観たいですね。