スラヴィア・プラハによる、インテルの抑え方 【CL第一節】

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カカニスタ22
日本時間で明日の3時45分にいよいよ開催されるミラノデルビー。

前節までの内容・結果を踏まえると、この試合に不安を覚えるミラニスタの方は多いでしょう。ちなみに僕もその一人です。

そこで今回は不安を少しでも和らげるためにも、インテルが1-1の引き分けに終わった先日のCLのスラヴィア・プラハ戦を振り返ることで、その中にインテルの弱点らしきものがないかを探っていきます。


(・・・などという建前ですが、本音をいうとちょっと他チームのマッチレビューをしたくなっただけです笑。)



スタメン

インテループラハスタメン


今回はプラハの戦術をメインに書いていきます。



~守備編~

サイド封じ

プラハが採用したメイン守備戦術は、ハイラインハイプレス。
2CFがそれぞれ主に右CBのダンブロージオと左のシュクリニアルをマークし、サイドのインテルWBにボールが渡った瞬間にプラハSBが猛然とプレス。

また、サイドから中央(ガリアルディーニやセンシ、ブロゾビッチ)へのパスコースには両インサイドハーフとトップ下がそれぞれ対応して封鎖。

これによりインテルにサイドでは起点を作らせませんでしたし、実際にプラハとしては狙い通りの展開だったかと(理由は後述)。

一方こうした形でプレスをかけると、3CBの真ん中であるデ・フライが空きやすくなります。


そしてデ・フライがボールを持つと、基本的にプラハの選手たちはラインを下げて待ち構えるか、2CFのどちらかが緩くプレスをかけるため、デ・フライは比較的自由にボールを持つことが出来ました(もちろん場合によってはちゃんとしたプレスをかけられる時もありましたが)。


インテループラハ1
――あるインテルのビルドアップの局面(※当記事のスクショ画像の映像引用元はいずれも『Dazn』)。デ・フライ(橙)はフリーとなっているが、彼の前方にいる(手前から)ダンブロージオ、ブロゾビッチ、シュクリニアルにはそれぞれオラインカ、スタンチュ、マソプストがマーク。



インテループラハ2
――先の画像から少し進んだ場面。インサイドハーフのガリアルディーニ、センシに対してもそれぞれマークが付いている


こういった守備により、サイドへの展開は先述の通り厳しいため、次のプレーの妥当な選択肢としては縦へのロングボールや前線への楔の縦パス。

しかし、前線のラウタロとルカクに対しても2CBがマンマーク気味に対応し、降りてくる動きにもキッチリと付いてきて潰します。もちろん空中戦(ロングボール)にも彼らが身体を張って全く自由にさせません。

というわけで、インテルはポゼッションで上手く崩していくことが出来ませんでした。

プラハとしては、インテルの「サイドで菱形等を作って素早くパスを回して突破し、そこからエリア内へのクロスやバイタルへの折り返しパスでゴールを脅かしていく」という形を阻止したかったのでしょう。
その形を頻繁に作られると押し込まれますし、そうなるとジリ貧ですから、いずれやられます。

だからこそまずサイドを起点にさせないようにマンツーマン+ハイプレスで潰し、ロングボールを誘発したのでしょうね。


ただしこの戦術ももちろん弱点があって、まず中央で比較的自由にボールを持たれるため、高精度のロングボールが飛んでくる可能性がそこそこあります。
実際にロングボール1発からラウタロに抜け出され決定機を作られたシーンもありましたしね。

後はプレスを外されると、当然ながらカウンターでピンチを迎えることになります。
それに前半終盤辺りは疲労もあってプレスが緩かったり、引くことで押し込まれたりもしました。

しかしインテルの2トップ、特にルカクの動きが良くなかった(疲労?)ことや、デ・フライのゲームメイクがあまり効果的でなかったこと、アンカーのソーチェクさんの無双などもあっておおむねプラハのプラン通りに進んだのではないかと。


後半からはややプレスのかけ方が変わったみたい(おそらくシステム変更)でしたが、それでも「サイドを封じる」という狙いは同様でした。



ブロゾビッチ対策~小さきファイターの奮闘~

※ここからは個人に焦点を当てていきます。

インテルの中心選手として君臨しているブロゾビッチ。
そのため、対戦チームは彼を封じようと様々な対策を講じるわけですが、プラハはトップ下のスタンチュが彼を徹底的にマークすることで封じようとしました。

スタンチュは攻撃的な選手のようですし、ときにマークを外しましたが、それでも十分にそのタスクをこなせていたのではないかと。

『WhoScored』でこの試合におけるブロゾビッチ(71分出場)のパス本数を調べたところ、41本だそうです。
一方で、数日前のウディネーゼにおけるパス本数は、同じ71分の時点で74本だとのことで、大きな差が付いています。

もちろんウディネーゼ戦では相手が退場者を出したという点は考慮すべきですが、それを差し引いてもスタンチュのマンマーク攻撃が効いていたと考えて良いのではないでしょうか。



「鉄壁の守備」トマーシュ・ソーチェク

守備編の最後のトピック。
プラハのこの試合の守備を語るうえで欠かせない選手が、アンカーポジションを務めたトマーシュ・ソーチェク。

彼は特定のマーク担当を持っていないように見受けられ、そのため守備時には様々な場所に顔を出していきますが、これが本当に凄い。

基本はDFラインの前に君臨して縦パスカットを狙いつつも、ときに前に飛び出したCBのスペースカバーに入ったかと思ったらプレスの穴を塞ぐために前に飛び出すし、気づけば浮いた位置にいる選手(センシやガリアルディーニ)をキッチリとマーク。

とにかく危険なスペースを的確に、そして徹底的に潰していきます。
しかも空中戦も非常に強く(調べたら192センチあるとか)、ハイボールを尽く跳ね返す無双ぶり。

いやー衝撃です。終盤はこの人ばかり見ていました(笑)

僕は他リーグに関してはホントに知らないので既に有名な選手だったら恥ずかしいのですが、今まで全くご存知無かったため本当に驚きました。


確かに試合最終盤にエリア手前でFKを与えてしまい、そのFKからインテルが得点したことはマイナスポイントかもしれません。
しかしソーチェクがいなければ間違いなくプラハはもっと押し込まれていましたし、ましてアディショナルタイムまでリードを保つことは極めて難しかったでしょう。

こういうインテリジェンス抜群の選手は是非ともセリエAに来ていただきたいところ。ビリアの後釜にミランとかどうですかね(笑)


もちろん彼だけでなく全員が献身的な守備を行っていたことが1-1の要因ですし、ホヴォルカ、オラインカ、インテル両WBを見事に封じたボジルとクファルなどはかなり印象に残りました。



~攻撃編~

ビルドアップ

攻撃編についてはシンプルにいきます。随分長くなってしまったので。

ビルドアップに関しては、まずは後方でのショートパスを志向。
最終ラインではCBがワイドに開き、中央にソーチェクが降りてくることで、インテル2トップのラウタロとルカクに対し数的優位を保とうしていたのかなと。

ただしパス回しは十分に洗練されてはいませんでしたし、実際に何度かカットされてピンチを迎えていました。

それでも後方でのパス回しを頻繁に続けたのは、おそらくインテルのハイプレスを誘発してラインを押し上げさせ、裏のスペースを空けさせるためでしょう。

事実、カンドレーバの裏へロングボールを出し、そこをオラインカに使わせようとする意図は感じましたし、そうした形で速攻を仕掛けようとしたのかなと。

それと、センシが降りてきたソーチェクを捕まえに来たことで空いたインテル側左サイドのスペースを素早く突き、ボールを素早く敵陣へと持ち運んだシーンもありました。


崩しの局面

なんやかんやでビルドアップを確立した後は、流動的な攻撃を見せつけます。
インサイドハーフやトップも積極的にサイドに流れ、局所的な数的優位を作ってスペースにアタックし、チャンスを作ろうとします。

特に、攻略ポイントはWBの裏にあったかなと。


インテループラハ3
――例えばこのシーンでは、WBのアサモア(青)とブロゾビッチがボールホルダーの右SBクファル(紫)に対応。その後方に空いたスペースを2トップの一角であったマソプスト(赤)が突く


インテループラハ4
――マソプストにボールが繋がったのち、シュクリニアル(桃)がカバーリングすることで空けたスペースをトラオレ(黄)が突く


途中交代でゼレニーという選手が入ってからは更にサイド攻撃に磨きがかかり、数回に渡って惜しいチャンスを作り出しました。

それにプラハの得点に関しても、シュクリニアルがボールを持ち運んだところをボールロストしてしまい、それによって空いたスペースを巧みに利用したところから生まれましたしね。



まとめ

バルセロナ、ドルトムント、インテルが同居するこの組において、「1弱」と見られていたプラハがスタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ(この呼称は普段は個人的には使いませんが、インテル戦の話なので。笑)にてインテル相手に引き分けたというのはやはり驚きではあります。

しかし、敵地で恐れることなく攻守にアグレッシブに仕掛け、勝ち点をもぎ取った彼らは称賛されるべきですし、内容的にもインテルが悪かったというよりプラハが良かったというのが個人的な印象です。今のミランも是非とも参考にすべき戦い方だと思います。

一方インテルに関して僕がどうこう言うのは恐縮なのですが、今回のような試合だとルカクをサイドに流して起点を作らせるとかして、強引にでも中央以外からの攻め手を見つけるべきだったのではないかなと。

もしくはインサイドハーフをもっと上げて、中央へのロングボールを跳ね返された後のこぼれ球を拾わせて2次攻撃に繋げる、といった感じですね。
2トップの孤立が目立ちましたし、プラハのサイド封じ&ロングボール誘発にまんまとハマってしまった印象でした。

まぁ彼らは層が厚いですし、監督も名将コンテなので時間と共に修正していくでしょう。
CL・ELでは全イタリアチームを応援するというのが僕の基本的スタンスですので、インテルにもCLでは本当に頑張って欲しいです。


さて。話は変わりますが、こうしてCLを観ていて毎年のように思うのが…やはり羨ましいなと(笑)
もう6年以上ミランのCLでの勇姿が見られていないですし、そろそろ本気でお願いしますよと。

そのためにも次節のミラノデルビーで結果を出し、今後のリーグ戦に向けてブーストをかけて欲しいです。


強引にミランの話に繋げましたが、今回はこんなところで(笑)
ミランブログなのに、あまり関係のない話ですみません…。


非常に長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

※ミラノダービーのプレビュー記事は今日中にできるだけ早く載せる予定です

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Comments 2

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すくろう  

ソーチェクという選手はそんなに凄かったんですね
僕はハイライトしか観ていませんがこのグループに入った事も初戦のホームを取りこぼすのもインテルらしいというか…
欧州の舞台に於いては僕もイタリアのクラブを応援しているんですがナポリ以外はあまり良くない結果に終わってしまいましたね
ともあれルカクが思ったほど怖くない?感じなのは僕も感じました。今の両チームの状態を考えればダービーは勝ち点1でも上々という流れではありますがそれがそうもいかないのがダービーですからね!期待してます!
でもカラブリアがいないのは痛いなぁ…

  • 2019/09/21 (Sat) 18:15
  • REPLY
カカニスタ22
カカニスタ22  
To すくろうさん

コメントありがとうございます!

残り2チームがバルサとドルトムントですし、中々厳しいグループに入ってしまいましたよね。
ユーヴェ、ナポリは突破してくれるでしょうから問題ないとして、残りの2チームも頑張って欲しいです。

ルカクはポストプレー苦手なはずなのに、中央でロングボールを収めさせようとしていたのはちょっと不可解に映りました。
彼はサイドに流れたり前を向くと厄介な印象なので、とにかくマークを外さずに対応してほしいところですね。

ここにきてのカラブリア欠場は痛恨ですねー…。
圧倒的に押し込めるプロヴィンチャ相手ならまだしも、インテル相手に今のコンティは相当リスキーです。
まぁこうなった以上彼には予想を大きく裏切る活躍に期待したいです!

  • 2019/09/22 (Sun) 00:56
  • REPLY