悲運の神童、アレシャンドレ・パトを振り返る

アレシャンドレ・パト
ネタ探しをかねてネットサーフィンをしていたところ、興味深い記事を見つけました。




これは『WorldSoccer』というサイトが2007年に掲載したとある記事の内容について、別サイトの『90min』が改めて言及した記事なのですが、その内容とは「50人の若手有望株を選出する」といったもの。

その50人の中で3番目に選出されていたのが、ミラニスタにとっては忘れがたい選手であるアレシャンドレ・パトです。

当時、2007年の彼はミランに加入したばかりで、年齢はわずか18歳。
しかし、加入初年度後半からその類稀なスピードと得点能力を活かしてチームの主力として早くもフィット。

当時の彼は将来を嘱望されて然るべき選手でしたし、実際に09-10シーズン途中までは世界最高の選手への道を順調に進むことが出来ていたと思います。


そんな彼が、当初期待されていた程のキャリアを歩むことができなかった理由。色々と考えることはできますが、やはり一番は怪我の多さによるものでしょう。

09-10シーズン後半に怪我で長期離脱してからというもの、パトのミランでのキャリアは怪我なしで語ることができなくなります。


そこで、具体的に彼がどの程度怪我で離脱したのか、これを機に調べてみたのでご紹介します(ソースはここ最近お世話になっている『Transfermark』様より)


まずは09-10シーズン。12月までは怪我なく順調に過ごしていたものの、第18節のジェノア戦から23節のボローニャ戦まで(期間にして約1カ月間)負傷離脱。

その後復帰し、4戦で5ゴールを決める活躍を見せましたが再び離脱。27節から最終節である38節までの間、出場できたのはわずか3試合です。

結局のところ、怪我によるリーグ戦欠場は通算で15試合。しかしこれらは全て後半戦の出来事であり、後半戦に限れば22試合15試合の欠場ですからかなりの欠場率です。



続いて10-11シーズン。リーグ戦38試合の内怪我により欠場したのが11試合
昨季より改善したとはいえ、やはり決して少なくない数字です。

ちなみにこのシーズンからはイブラヒモビッチとロビーニョ、冬にはカッサーノが加入したことでポジション争いが激化し、スタメンから外れる試合も増えました。

また、相変わらず凄まじい決定力を誇っていたため成績自体はかなりのものを残しましたが(14ゴール)、絶対的な存在であったイブラとの相性が悪く、全体的なプレー内容についてはあまり褒められたものではなかったという印象も強いですね。




そして11-12シーズン。ここから怪我が深刻化します。

リーグ戦38試合の内、怪我による欠場数は驚愕の25試合。CLは10試合の内5試合欠場。

またリーグ戦の出場数は11試合に終わったわけですが、その内スタメンでのプレーは6試合に留まっており、その中でフル出場したのはわずか1試合です。

如何に怪我に悩まされたかが良く分かります。



最後に、12-13シーズン。

リーグ前半戦18試合の内、怪我で11試合を欠場。そして出場はわずか4試合

うん…。

その後、冬の移籍でコリンチャンスへと旅立ちました。



・おわりに

これほどの怪我にさえ見舞われなければ、果たしてパトがどれほどの選手に成長できたのかは今でもよく考えます。

改善すべき点は多々ありましたが、抜群のスピードと突破力、そして何より得点能力はピカイチでしたし、大一番での勝負強さも兼ね備えた本当に将来が楽しみな選手でした。


まぁ私生活が荒れた時期もあったようなので彼自身の責任も多分にあるとは思うのですが…それにしたって怪我が多すぎたよなぁ、と。



さて。そんなパトは先日の9月2日に30歳の誕生日を迎えました。



現在は中国のクラブでプレーしている(訂正。現在はブラジルのサンパウロでプレーしている)パトですが、個人的な願望を言わせてもらうと欧州復帰して欲しいです。

チェルシーでもビジャレアルでも上手くいきませんでしたし、難しいとは思いますが、どうしても彼がトップクラスのリーグでもう一度輝く姿が観たいですからね。
…我ながら未練がましい人間だと思います(笑)


最後に。かつてのパトが決めた衝撃のゴールをご紹介して終わりたいと思います。
ローマ戦の爆走ドリブルからのゴールやシエナ戦の超ロングシュートなど、彼がこれまでに決めたスーパーゴールは数多く存在するわけですが、中でも以下のバルセロナ戦のゴールは格別です。

隆盛を極めたペップ・バルサを相手に、キッフオフ開始からわずか24秒で決めたこのゴールを僕は一生忘れることはないと思います。





それでは今回はこの辺で。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

12Comments

諭吉

現在パトはサンパウロでプレーしていますよ、一時期サン・シーロのピッチが悪いとか噂が出たりしていましがスプリンターには怪我は付き物って感じですよね。ベイル何かもその典型ですし、怪我をしないっていうのも一流の選手な証な気がしますね。
まだ、30歳ですし戻って来て欲しい選手の1人です笑

すくろう

パトがもう30歳になりますか…
加入当初はこれで今後10年はストライカーに困らないと思ったものです。いやジラルディーノの時もそう思ったんですが今度こそは、今度こそは本物だと。
彼の才能は確かに本物でした…それだけに悔やまれますよね…
ミランだけでなくロマーリオとかロナウドクラスの存在になれたと思います
度重なる怪我によってプレイできなくなるストレスは大きいはずです。僕たちも、またか…と思いますが本人はそれ以上に感じてますよね。でもピッポの様に何度も復活を遂げる選手もいます。そういった精神力はサッカーの才能以上に稀なものなのかもしれません
パトはバルバラさんでしたっけ?ベルルスコーニの娘さんと交際もセンセーショナルではありました。センセーショナルと言えばゴールの内容もそういったものが多く、記録以上に記憶に残る選手でしたね

  • 2019/09/07 (Sat) 11:41
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カカニスタ22

カカニスタ22

To 諭吉さん

コメントありがとうございます!

すみません、訂正しました。
指摘していただき感謝です!

ベイルもその通りですし、ミランで言うとエル・シャーラウィも同様のパターンですかね…。
無事之名馬という言葉もありますが、怪我をしないというのは本当に重要だと感じますね。

パトが昨冬戻ってくるかもという報道を知った時は、今の実力云々は関係なく盛り上がってしまいました(笑)

  • 2019/09/07 (Sat) 16:42
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カカニスタ22

カカニスタ22

To すくろうさん

コメントありがとうございます!

ロナウド以降ぷつりと途切れてしまったブラジル人怪物FWの系譜ですが、やはり本来であればパトが彼らの跡を継ぐ存在であったと今でも思ってしまいますね。
順当にいけばロナウド→アドリアーノ→パトという順番だったかなと。

パト自身も数年前のインタビューで「(当時は)自信を失ってしまった」とコメントしていましたが、仰る通りトッププレーヤーが深刻な怪我からの再起を図るというのは尋常ならざるエネルギーを要するでしょうし、パトのように何度も負傷離脱を繰り返す場合はなおさらですよね。

記憶に残る選手というのはまさにですね。
何年たっても彼のような選手がいたというのは忘れられないと思います。

  • 2019/09/07 (Sat) 17:04
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リーナ

ああ、懐かしいですね(゜ロ゜)
ミランを出ていった際に、ミランのメディカルを批判してアッレグリに注意された彼ですねww
まだミランを愛してくれてるので嬉しいです。
批判したから許せない部分もありますが( ・ε・)

素晴らしい才能の代償が怪我の多さなのかなって感じがしますね(つд;*)

  • 2019/09/07 (Sat) 19:26
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ロッソネリスタ

レジェンド・OBネタやっぱり楽しいです、ありがとうございます(笑)
まぁパトの場合楽しさ半分、悲しさ半分ですが…

度重なる負傷離脱はファンにとっても遣る瀬無いことですが、本人の辛さは想像も及ばないでしょうね。この神童がミランとともに栄光のキャリアを築けなかったのは本当に残念です。

ただ、たとえ短くても彼がミランで輝きを見せたことは記憶から消えないです。そしてベストゴールと言えばこのバルサ戦のゴールで決まりですよね!開始早々に相手DFをぶっちぎって悠々とゴールを陥れる、その才能を遺憾無く発揮した最高のゴールでした…!

この一戦はネスタのメッシへの華麗なスライディング、終了間際のチアゴシウバの劇的同点弾と合わせて非常に思い出深い試合です。またCLでハイレベルな試合を繰り広げるミランを見たい気持ちが募ってしまったので、本当に頼みますジャンパオロ・ミランさん…(笑)

カカニスタ22

カカニスタ22

To リーナさん

コメントありがとうございます!

ああー、確かそんなこともあったような気がしますね。
あの頃はカッサーノを始め色んな選手がミランに苦言を呈していましたから、すっかり忘れていました(笑)

このままフェードアウトしてしまうのはやはり悲しいですし、何とか第二の全盛期を迎えてほしいと思います。

  • 2019/09/09 (Mon) 00:27
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カカニスタ22

カカニスタ22

To ロッソネリスタさん

コメントありがとうございます!

楽しんでいただけて嬉しいです。
僕個人も過去の名選手を振り返るのは凄く楽しいので、今後も定期的にやらせていただく予定です。

この試合は最高でしたね。
試合開始・終了直後の衝撃ゴールと、それらの間に起きた攻防全てがハイレベルでスペクタクルでしたし、とにかくハラハラワクワクさせられました。

本当に今季こそはCL権を獲って欲しいですよね。もう毎年言っていますが(笑)

  • 2019/09/09 (Mon) 00:42
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名無しのミラニスタ

本当にもう一度元気な姿見たいですね出来ればミランで
パトには本当に期待していた

パトのメディカルへの批判は正当だと思うので怒りはありませんね~
あの怪我人の数は批判されるべきだと思いますパト自身の管理能力の欠如もあるでしょうけど
現に私も腹立ってたんで当時
今見返しても異常な数字だと思います

カカニスタ22

カカニスタ22

To 名無しのミラニスタさん

コメントありがとうございます!

ブラジルリーグだとあまり目にする機会もないですし、せめて欧州に戻ってきてくれると個人的には嬉しいです。

優勝したシーズンもそうでしたが、その翌年は更に酷かったですね。
伝統的に怪我人は多い傾向にあるチームの気もしますが、アッレグリが率いていた頃は特に怪我人の数が目立ったような…。練習メニューが原因ですかね?

  • 2019/09/21 (Sat) 02:29
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名無しのミラニスタ

本当に戻って来てほしいですよねどうにか
でもパトが母国で幸せならそれが一番ですけども

2011/12は300以上出してますからね脅威の数字です
あのシーズンは優勝出来てたはずと思うのはそこなんですよねやっぱり
と言うかよくあの状態で31節までトップだったなと…
イブラヒモビッチも当時の惨状を早い段階で嘆いてた記憶があります

2011/12はミランが307人、次がラツィオの208人、その次がインテルの193人
逆転優勝したユーヴェは述べ44人しか出してない
アッレグリが原因かは分かりません
ですが数字見るとミラン時代程じゃなくてもユベントスでも欧州で1.2を争う程怪我人を出してる
レオナルド時代も結構な数でしたがアッレグリ時代は数字が跳ねあがってます
そうなるとアッレグリのトレーニングも関係してる可能性は否定できません断定もできませんが
よくミランラボに懐疑的な目線が向けられたりしてましたね
私はそっちが原因だと思ってました当時。というか無関係ではないはずです

カカニスタ22

名無しのミラニスタさん

コメントありがとうございます!

具体的なデータまで書いていただき感謝です。
307…確かに怪我人が多いとは思っていましたが、そんなにでしたか…。
僕も今でもあのシーズンは戦力的にも(ベストメンバーでの)内容的にも圧倒的な優勝候補だったと確信していますし、それにコンディションさえ整っていればCLでも相当良い所までいけたんじゃないかと。

当時のイブラヒモビッチのインタビューで今でもはっきり覚えているのが、カッサーノの不在を嘆いていたコメントです。
確かに傍から見ても2人の連携は神がかっていましたし、せめてカッサーノだけでも健在だったらまるで違ったシーズンになったと思うんですよね。

ああいった当時の惨状は、メディカル面の深刻な問題+アッレグリの負荷の大きいトレーニングのダブルパンチによって引き起こされたと見るのが妥当なところなんでしょうかね。

  • 2019/09/22 (Sun) 03:43
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