ピョンテクの不振の原因について考える
今プレシーズンは非公開試合であったノヴァ―ラ戦に始まり、ICCでの3試合、フェロニケリ戦、チェゼーナ戦と試合をこなしてきたミラン。
その中で生じたいくつかの問題の内の1つとしては、ピョンテクにゴールが生まれなかったという点が挙げられます。
エースストライカーである彼に懸かる期待は大きく、CL権獲得のためには彼の活躍は必要不可欠。そのため、現在の不振は決して見過ごすことはできません。
そこで今回は、その原因について探っていこうかなと。
○本人の問題
当然ながら本人の問題を無視することはできないと思います。
ここでいう問題とはコンディション的な問題と技術的な問題に大別できるわけですが、前者は単純にプレシーズン中なのでまだ身体が完全に仕上がっていないということです。
後者については詳述します。
監督がジャンパオロになってからミランはシステムを4-3-1-2に変更、また戦術はポゼッションメインへと移行し、スピーディーながらも相手の守備ブロックを主に中央から崩していくスタイルに転換しました。
一方で昨季のピョンテクが所属していたチームを振り返りますと、シーズン前半戦はジェノアでしたが、彼らはカウンターベースのチームでありシステムは3バック。
そして後半戦から加入したミランも言う間でもなくカウンターベースの(というよりポゼッションが苦手な)チームであり、かつ得点パターンの多くはサイドからのクロス。システムは主に4-3-3で1トップ。
つまり、昨季と今季とではプレー環境が全然違うんですよね。
故にピョンテクに求められるプレーも変わりますし、現時点ではその戦術的タスクが上手く遂行できていないのかなと。
例えば狭いスペースでのワンタッチパスの精度だったりボールキープ力だったりは観ていて気になりますし、ポゼッションかつ中央突破をベースにするチームにおいてはそうしたプレーは一般的に求められます。
それこそ昨季のサンプドリアでは、エースのクアリャレッラが未だ錆びつかない抜群のスキルを活かすことでラインの押し上げや相手の守備崩しに一役買っていましたし、得点だけでなくそうした貢献度も高かったわけです。
やはりピョンテクにもゴールだけでなくそうしたプレーが一定以上求められますし、自らの決定力をより活かす(=ゴールを量産する)ためにも重要な事だと思います。
そうしたプレーができれば得点チャンスが増えるわけで、そうなれば必然的にゴール数は増えるでしょうからね。
今は(生じ得た)得点チャンスをパスミスやボールロストで多数ふいにしてしまっているというのが実情だと思いますし、それがプレシーズンマッチ無得点という結果に少なからず影響を与えてしまったのだと考えます。
○周囲の問題
以上のように本人の問題もあるとは思うのですが、それでは「ピッチ上における周囲の選手たちは彼をちゃんとサポートできていたのか」、と言われれば決してそんなことはないというのが僕の見解です。
例えばプレシーズンマッチの大半で彼と前線でコンビを組んだのはカスティジェホなわけですが、残念ながら彼がピョンテクをサポートできていたとは全く思いません。
ボール運んだり前線でキープしたり、マーカー引き連れてスペース開けたりラストパス出したり等々セカンドトップの役割は(戦術に応じて)様々あるわけですが、果たして彼はそうした動きがどれほどできていたのかと。
彼は細かいテクニックがないため狭いスペースでボールを上手く扱えませんし、ワンタッチパスも尽くズレる。
出来ていたことといえば積極的な裏抜けからのゴールチャンス演出位なものですが、それもゴールという結果には繋がりませんでしたし、何より「ピョンテクの相方」ということを踏まえると優先順位は低いプレーですからね。
そして、彼ら2トップの背後に位置しボールを供給するのがトップ下のスソなわけですが、彼もまたピョンテクを上手くサポートできていたとは全く思えません。
カスティジェホよりマシとは言え彼も狭いスペース(それも中央)でのプレーは得意ではないですし、クロスの精度は素晴らしいですがスルーパスの判断や精度に特筆すべきものは感じません。
ベンフィカ戦前半のようにスペースがあればシンプルに縦へとボールを供給することが出来ていましたが、それも多くはカスティジェホに対してでありピョンテクとの相性に関してはやはり疑問符が付きます。
ここまで酷評してしまいましたが、2人とも適切なポジションと役割を与えれば活躍できる選手だと思いますし、癖は強いですが良い選手たちだと思います。特にスソはここ数年中心選手としてチームに貢献してくれましたしね。
しかし今のシステム・戦術に合っている選手たちだとは思いませんし、「ピョンテクとの相性」という観点からも彼らを起用するメリットは現状感じられません。
○まとめ
以上、ここまでピョンテクのプレシーズンマッチノーゴールの原因について個人的見解を述べさせていただきました。
こう考えると、まず即効性のある対策としては周囲の選手を入れ替えることが挙げられます。例えばカスティジェホに代えてレオン(打開力がある。カウンター要員としても貴重)、そしてスソをコンディション万全のボナベントゥーラ(狭い所を崩せるテクニックを持ち、流動的に動ける能力がある)に代えれば今よりも遥かに機能的な攻撃が見られると思いますし、得点チャンスも増えるでしょう。
加えて、先に述べた狭いスペースでのプレーといった個人技を改善できれば鬼に金棒です。「9番のジンクス」など軽く一捻りしてくれるでしょう。
僕はそろそろイブラヒモビッチ以来となるミラン所属選手の得点王が見たくてたまらなくなってきましたし、ピョンテクにはその可能性があると確信しています。
是非ともゴールを量産してもらい、ミランのCL権とピョンテク得点王のダブル獲りといきたいところです(笑)
FT: Milan 2-0 Napoli (Goals: Piątek x2)
— Milan Eye (@MilanEye) 2019年1月29日
Milan will face the winner between Inter and Lazio in the Coppa Italia semifinal #ForzaMilan pic.twitter.com/WKd9vk3WSd
最後まで読んでいただきありがとうございました。