【ICC第二戦】 ミラン対ベンフィカ 【マッチレポート】

ミランの戦術は前回と大体同じ。
攻撃ではテンポ良くショートパスを繋いでビルドアップをしつつ、積極的にライン間や裏へと縦パスを入れていき中央突破を図る。
その際に顕著に見られた形が、両インサイドハーフ(ボリーニ、チャルハノール)がCB(主にロマニョーリ)からのパスを受けるために降りてきてパスコースを作ることで菱形を形成し、ボールを貰ったら素早く近くの選手にシンプルにはたいたり前を向いたりしてボールを前進させるというのもの。

―例えばこのシーン(映像引用元;Dazn)では、ボールを持ったロマニョーリ(水)、ロドリゲス(緑)、ビリア(黄)、そして下がってきたボリーニ(赤)の4人で菱形を形成。この時点でビリアにはマーカーが付いているが、その後ボリーニ→ロドリゲスと繋いでマーカーを外してビリアにパスを回すことに成功している。
続いてもう1つ印象に残ったシーンとして、アンカーのビリアが相手2トップ(1トップ+トップ下)の背後にポジショニングしつつ、主に両インサイドハーフがCB(主にロマニョーリ)からの縦パスをビリアに落とし、フリーで受けさせるというのもの。

―例えば、このシーン(映像引用元;Dazn)ではビリアが敵の第一プレッシャーライン(桃)の背後にポジショニング。ロマニョーリは受けに来たボリーニにパスを出し、そのボリーニがフリーのビリアへとパスを落とすことでプレスを回避している。ちなみに、この後はビリア→スソ→ボリーニ→ピョンテクへとワンタッチパスを連続で繋いでいき、ゴール前まで迫った。
こうしたビルドアップ~崩しの形を恒常的に作れるようになればポゼッションの安定感が飛躍的に向上しますし、この試合を観るにそのための練習はしっかりと為されていると感じます。
そしてこの試合では、ベンフィカの守備が緩慢だったこともありますが、バイエルン戦よりも遥かに多くの惜しいチャンスを作れていましたね。
また、選手個人のパフォーマンスに目を向けますと、ロマニョーリの縦パス、チャルハノールの流動的なフリーラン、カスティジェホの裏抜け、ボリーニの奮闘などはかなり印象に残りました。
しかし守備に関しては、正直言ってまだまだだったかと。
この試合の守備はハイラインハイプレスで前から奪いにいく前回と同様の形がメイン。上手くいったときは良いのですが、リトリート後の守備は緩さが随所に見られました。
縦横のコンパクトさも十分ではなく、ライン間に楽にボールを入れられてズルズルと下がらざるを得ない場面も目立ちましたね。
ベンフィカがピッチをワイドに使ってきたことや、熱さによる疲労もあったでしょうが、かなり緩慢でした。
○後半
後半は飛ばします(笑)
ベンフィカは前半よりも中央のスペースを空けなくなった(全体的にラインを下げ、ビリアはターラブがしっかりマークする。前半はここが曖昧だった)ことで、ミランの攻撃は上手くいかなくなります。
加えて流動的なフリーランでパスコースを作っていたチャルハノールの交代や、カラブリア、ロドリゲスに代わってボールを繋げないコンティとストリニッチが入ってきたことなどもあり更に悪化。
すると70分、元ミランのターラブにミドルシュートを決められ失点。
それ以降はあまり集中して観てませんが、その後も(多分)改善されずに試合終了。
ミラン0-1ベンフィカ
○雑感
前半と後半で内容が大きく変わってしまったかなという印象です。
メンバー、ピッチコンディション、練習期間などを考慮すると、ジャンパオロの志向するサッカーを90分続けるというのは非常に難しいことですし、後半になってペースダウンするというのは致し方ないかなと。
前半に関してはポジティブな面も多々ありましたし、収穫はあったので決して悪い結果ではなかったですかね。
選手に関していえば、ロマニョーリとチャルハノールは素晴らしかったと思います。
さて。課題は決して少なくありませんが、現時点で既に小さくない変化をチームから感じられるのも事実。
アプローチは決して間違っていないと思いますし、このままチーム一丸となって組織力を高めていって欲しいと思います。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。